ヒーロー達の青春エピローグ

蜂峰 文助

文字の大きさ
57 / 106
ヒーロー達の青春エピローグ~秋の章~

【第56話】飯、食ったのか?

しおりを挟む

 月夜は黙々と勉強していた。
 寂しさを紛らわす為に。
 そんな時、一通のメッセージが届いた。

 皐月からのメッセージだった。

『ごめんなさい。剛士くんの予想外な物分りの悪さのせいで、帰るのが遅れます(´;ω;`)
 びっくりしています。
 本当にごめんなさい……<(_ _)>』

「………………」

 月夜は返事を返す。

『いいよ(^^)
 ゆっくりしてきて。
 ご飯はこっちで用意するからさᐠ( ᐢ ᵕ ᐢ )ᐟ』

 メッセージを打ち終えた後、スマホを置く月夜。
 顔文字の種類とは裏腹に、彼女の表情は……。

(これで良いんだ……。これで……火焔さんも受験生なんだ。それも、私よりも難易度の高い試験に挑むんだ……。コンビニ弁当ばかり食べて貰う訳にはいかないもんね……。身体は……大事にして貰わないと……)

 再びペンを握り、勉強に励もうとする。

(夕食なんて……別に食べなくても平気だし。そんな暇があるなら、火焔さんを見習って、勉強勉強っ!)

 泣きそうになる、弱い気持ちを必死に押さえ込みながら。
 しかし……。

 ペンを持つ手に、力が入らない。

(皆が……遠い所へ行っちゃった気分……。何か……寂しいなぁ……)

 すると、このタイミングでピンポーンとチャイムがなった。

「…………誰だろう? ひょっとして、兄貴かな?」

 等と思いつつ、月夜は階段を下り、玄関へ。
 玄関の扉を開けるとそこには――

「宅配便でーっす!」

 宅配のお兄さんがいた。

「あ、はいはい……」
「ここにサインいただけますかぁー?」
「はい」
「ありがとうございましたぁー」

 月夜が荷物を受け取ると、宅配のお兄さんはそそ草と帰って行った。
 少しガッカリする月夜。
 
「てゆーか誰の荷物なの? 兄貴宛? うーん……中見ちゃお」

 包装紙を破り、中を確認するという暴挙に月夜は出た。
 良い子は絶対に真似をしないようにしましょう。
 箱の中には見知らぬ物体が入っていた。
 それに触れてみる。

「何だろうこれ……ピンク色……うわ、ぷにぷにしてる……。それに真ん中に穴空いてる……ペン入れか何かなのかな? でも立ちそうにないしなぁ……相変わらず兄貴の奴、変な物買ってるなぁ…………ん? よく見たら、パッケージに女の子の絵が書いてある……萌え系ってやつ? ん? 取り扱い説明書? こんな物に、取り扱い説明書が付いてるの? なになに……」

 月夜は、取り扱い説明書を読み始めた。

「えーっと……まずローションを穴の中へと投入する……ローション? あ、これか……てゆーかローション? ぷにぷにを更にネトネトにするの? 何なのこれ? 本当に何をする道具なの? ん? あ、商品名が書いてある……オナ〇ール? 何? オ〇ホールって……C、H、INGA……チンガ? って読むのかなぁ? あ、用途も書いてある……なになに……『まるで本物のような質感、思う存分抜き倒そう』? 抜く? クギでも抜く道具なのかな? ローション使って抜きやすく……的な? ん?」

 そして月夜は……いよいよ、その単語を目にする事になる。

「使用法その四――準備が出来たら後はオカズを手に――思う存分チ〇コを抜き差ししちゃおう……え? 何を……抜き差しするって……?」

 チ〇コ。

「え? あ……こ、コレって……コレってもしかして……」

 ようやく気付いたようだった。
 この謎の物体の用途方法に。
 顔を真っ赤にして、ワナワナと震える月夜。
 勢いよく取り扱い説明書を破り、叫ぶ。

「何ちゅうもん買っとるんや!! あの糞どエロ糞兄貴はぁぁああーーっ!!」

 月夜の念動力にて、物が入った箱がフワリと浮き上がり……そして――

「この間モジモジしていた理由はコレかぁぁあーーっ!! こんな如何わしいもの、家に置いとけるかアホぉーーーーっ!!」

 猛スピードで空に向かって発射され、あっという間に夜空の星となった。
 後日、ブラジルで発見されたとか、されなかったとか……。
 何にせよ、ソレは結局、太陽の手に渡る事はなかった。
 お金の払い損である。

「あの糞バカ糞エロ兄貴! 帰って来たらとっちめてやるんだから!! あと、白金さんに言いつけてやるんだから!!」

 「まったく……」プンプン怒り心頭な面持ちで、月夜は自分の部屋へと戻って行く。
 再び勉強机に座り、気を取り直して勉強を再開しようとした、その時――


 ピンポーン。

 またしてもインターホンが鳴った。
 イラッとする月夜。

「……今日はやたらと勉強に邪魔が入る日ねぇ……」

 ピンポーンピンポーンピンポーンとインターホンを連打する来客。
 部屋から「今行きまーす」と月夜が声を上げると、それは止まった。

「また宅配便かなぁー? 次は何が届いたのかしらぁ? また如何わしい物だったら、次はアメリカまで吹き飛ばしてやるんだから」

 そして月夜は玄関の扉を――

「はーい、荷物いただきまーす。サインどこにすれば良いですかぁー?」

 開けた。

 開けるとそこに――


「あん? 荷物? サイン……? 何言ってんだ?」
「え……?」

 泡水透士郎が立っていた。
 ポカンとしてしまう月夜……。

「な、何であんたがここに? 何の用……? 兄貴なら今、いないけど……」
「知ってる。白金とデートしてんだろ」
「あ、知ってたんだ……じゃあ、皐月姉に用事? 残念ながら皐月姉も今……」
「火焔先輩ん家に夕飯作りに行ってんだろ? それも知ってるよ」
「あ、これも知ってるんだ。ふむふむ………ん? じゃあ――あんた一体……何しに来たの?」

 何をしに万屋家に来たのか?
 その問いの答えを……透士郎が口にする。

「なぁ月夜」
「な、何……?」
「お前……飯、食ったのか?」
「い、いや……食べてないけど……」
「ははっ、だと思った」
「何それ? 私が料理作れない事、笑いに来たの?」
「料理は出来ないけど、錬金術は出来るって聞いたぜ」
「はぁ?」
「…………。実はさ、オレも――夕飯まだなんだよ」
「……そ、そうなんだ……」
「なぁ、月夜……」
「何?」
「今から――――

 一緒に食べに行かねぇか? 夕飯」

「…………へ?」

 そんな訳で。
 透士郎と夕飯を食べに行く事になった、月夜なのであった。

 次回へ続く。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

ちょっと大人な物語はこちらです

神崎 未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な短編物語集です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

彼の言いなりになってしまう私

守 秀斗
恋愛
マンションで同棲している山野井恭子(26才)と辻村弘(26才)。でも、最近、恭子は弘がやたら過激な行為をしてくると感じているのだが……。

クラスのマドンナがなぜか俺のメイドになっていた件について

マカロニ
恋愛
名家の御曹司として何不自由ない生活を送りながらも、内気で陰気な性格のせいで孤独に生きてきた裕貴真一郎(ゆうき しんいちろう)。 かつてのいじめが原因で、彼は1年間も学校から遠ざかっていた。 しかし、久しぶりに登校したその日――彼は運命の出会いを果たす。 現れたのは、まるで絵から飛び出してきたかのような美少女。 その瞳にはどこかミステリアスな輝きが宿り、真一郎の心をかき乱していく。 「今日から私、あなたのメイドになります!」 なんと彼女は、突然メイドとして彼の家で働くことに!? 謎めいた美少女と陰キャ御曹司の、予測不能な主従ラブコメが幕を開ける! カクヨム、小説家になろうの方でも連載しています!

旧校舎の地下室

守 秀斗
恋愛
高校のクラスでハブられている俺。この高校に友人はいない。そして、俺はクラスの美人女子高生の京野弘美に興味を持っていた。と言うか好きなんだけどな。でも、京野は美人なのに人気が無く、俺と同様ハブられていた。そして、ある日の放課後、京野に俺の恥ずかしい行為を見られてしまった。すると、京野はその事をバラさないかわりに、俺を旧校舎の地下室へ連れて行く。そこで、おかしなことを始めるのだったのだが……。

天才天然天使様こと『三天美女』の汐崎真凜に勝手に婚姻届を出され、いつの間にか天使の旦那になったのだが...。【動画投稿】

田中又雄
恋愛
18の誕生日を迎えたその翌日のこと。 俺は分籍届を出すべく役所に来ていた...のだが。 「えっと...結論から申し上げますと...こちらの手続きは不要ですね」「...え?どういうことですか?」「昨日、婚姻届を出されているので親御様とは別の戸籍が作られていますので...」「...はい?」 そうやら俺は知らないうちに結婚していたようだった。 「あの...相手の人の名前は?」 「...汐崎真凛様...という方ですね」 その名前には心当たりがあった。 天才的な頭脳、マイペースで天然な性格、天使のような見た目から『三天美女』なんて呼ばれているうちの高校のアイドル的存在。 こうして俺は天使との-1日婚がスタートしたのだった。

春の雨はあたたかいー家出JKがオッサンの嫁になって女子大生になるまでのお話

登夢
恋愛
春の雨の夜に出会った訳あり家出JKと真面目な独身サラリーマンの1年間の同居生活を綴ったラブストーリーです。私は家出JKで春の雨の日の夜に駅前にいたところオッサンに拾われて家に連れ帰ってもらった。家出の訳を聞いたオッサンは、自分と同じに境遇に同情して私を同居させてくれた。同居の代わりに私は家事を引き受けることにしたが、真面目なオッサンは私を抱こうとしなかった。18歳になったときオッサンにプロポーズされる。

俺を信じろ〜財閥俺様御曹司とのニューヨークでの熱い夜

ラヴ KAZU
恋愛
二年間付き合った恋人に振られた亜紀は傷心旅行でニューヨークへ旅立つ。 そこで東條ホールディングス社長東條理樹にはじめてを捧げてしまう。結婚を約束するも日本に戻ると連絡を貰えず、会社へ乗り込むも、 理樹は亜紀の父親の会社を倒産に追い込んだ東條財閥東條理三郎の息子だった。 しかも理樹には婚約者がいたのである。 全てを捧げた相手の真実を知り翻弄される亜紀。 二人は結婚出来るのであろうか。

処理中です...