蒼い炎

海棠 楓

文字の大きさ
8 / 70
幼なじみ

第8話

しおりを挟む
「……なんだ、そんなことでおまえ俺のことムシしてたわけ?」
 真司はとっさに、本来なら見ることが出来ないはずの晃司の顔を見た。
「だって晃司……」
「バカ。そんなんで嫌いになんかならねーよ……シカトされる方がつれえだろ」
「えっ、じゃあ晃司ー」
 真司の顔が明るくなった。ここ数日見られなかった顔だった。晃司が自分の気持ちを受け入れてくれた、そのたった一つの事実が彼の周りの世界をも変えてしまうかのようだった。 
 そして実際、この日から真司の人生は大きく変わっていくのだった。


 翌日から、再び彼らは二人で行動するようになった。表向きは単なる仲直りにしか見えなかったかも知れない。しかし、二人の間に流れる物は以前とは確かに違っていた。そして日に日に真司という人間そのものも変化していった。
 以前の屈託なくあどけない、言い方を変えると幼さの残る子供子供した彼は、次第に年相応の少年へと、遅れていた成長を取り戻すように変身していった。もちろんそれに周囲が気づかないはずはなかった。特にそういったことに敏感な女子生徒の間では、本人の知らないところで常に話題に上っていた。

「しーんじっ」
「な、何だよ晃司、ニヤニヤして……」
「おまえ、また今日女から告白されたってな。付き合うのか?」
 真司は晃司のその言葉に、唖然となった。
「えっ、晃司なんで……」
「なんでって、それはおまえが決めることじゃん。俺にどうこう言う資格は」
 真司の叫びにも似た声が晃司の言葉をさえぎった。
「晃司! 何言ってるの、晃司にとって俺ってその程度なの?! ねえ、俺は違うよ、 晃司……」
 人が近づいてきたのに気づいて、晃司は真司を制止した。
「わかったよ、真司、悪かった。人が来るから……な?」
 そう言いながら、しかし晃司は内心驚いていた。いつもとは違う、 普段の温和な真司からは想像もつかない激しさに。

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

【完】君に届かない声

未希かずは(Miki)
BL
 内気で友達の少ない高校生・花森眞琴は、優しくて完璧な幼なじみの長谷川匠海に密かな恋心を抱いていた。  ある日、匠海が誰かを「そばで守りたい」と話すのを耳にした眞琴。匠海の幸せのために身を引こうと、クラスの人気者・和馬に偽の恋人役を頼むが…。 すれ違う高校生二人の不器用な恋のお話です。 執着囲い込み☓健気。ハピエンです。

雪色のラブレター

hamapito
BL
俺が遠くに行っても、圭は圭のまま、何も変わらないから。――それでよかった、のに。 そばにいられればいい。 想いは口にすることなく消えるはずだった。 高校卒業まであと三か月。 幼馴染である圭への気持ちを隠したまま、今日も変わらず隣を歩く翔。 そばにいられればいい。幼馴染のままでいい。 そう思っていたはずなのに、圭のひとことに抑えていた気持ちがこぼれてしまう。 翔は、圭の戸惑う声に、「忘れて」と逃げてしまい……。

推し変なんて絶対しない!

toki
BL
ごくごく平凡な男子高校生、相沢時雨には“推し”がいる。 それは、超人気男性アイドルユニット『CiEL(シエル)』の「太陽くん」である。 太陽くん単推しガチ恋勢の時雨に、しつこく「俺を推せ!」と言ってつきまとい続けるのは、幼馴染で太陽くんの相方でもある美月(みづき)だった。 ➤➤➤ 読み切り短編、アイドルものです! 地味に高校生BLを初めて書きました。 推しへの愛情と恋愛感情の境界線がまだちょっとあやふやな発展途上の17歳。そんな感じのお話。 【2025/11/15追記】 一年半ぶりに続編書きました。第二話として掲載しておきます。 もしよろしければ感想などいただけましたら大変励みになります✿ 感想(匿名)➡ https://odaibako.net/u/toki_doki_ Twitter➡ https://twitter.com/toki_doki109 素敵な表紙お借りしました!(https://www.pixiv.net/artworks/97035517)

久々に幼なじみの家に遊びに行ったら、寝ている間に…

しゅうじつ
BL
俺の隣の家に住んでいる有沢は幼なじみだ。 高校に入ってからは、学校で話したり遊んだりするくらいの仲だったが、今日数人の友達と彼の家に遊びに行くことになった。 数年ぶりの幼なじみの家を懐かしんでいる中、いつの間にか友人たちは帰っており、幼なじみと2人きりに。 そこで俺は彼の部屋であるものを見つけてしまい、部屋に来た有沢に咄嗟に寝たフリをするが…

十七歳の心模様

須藤慎弥
BL
好きだからこそ、恋人の邪魔はしたくない… ほんわか読者モデル×影の薄い平凡くん 柊一とは不釣り合いだと自覚しながらも、 葵は初めての恋に溺れていた。 付き合って一年が経ったある日、柊一が告白されている現場を目撃してしまう。 告白を断られてしまった女の子は泣き崩れ、 その瞬間…葵の胸に卑屈な思いが広がった。 ※fujossy様にて行われた「梅雨のBLコンテスト」出品作です。

隣の席のイケメンに懐かれた

しょうがやき
BL
隣の席のイケメンに懐かれた平凡男子の話

交錯する群像劇

妖狐🦊🐯
BL
今宵もどこかのお屋敷では人と人による駆け引きが行われている 無垢と無知の織りなす非情な企み 女同士の見えない主従関係 男同士の禁断の関係 解決してはまた現れて 伸びすぎたそれぞれの糸はやがて複雑に絡み合い 引き合っては千切れ、時には強く結ばれた関係となる そんな数々のキャラクターから織りなす群像劇を とくとご覧あれ

告白ごっこ

みなみ ゆうき
BL
ある事情から極力目立たず地味にひっそりと学園生活を送っていた瑠衣(るい)。 ある日偶然に自分をターゲットに告白という名の罰ゲームが行われることを知ってしまう。それを実行することになったのは学園の人気者で同級生の昴流(すばる)。 更に1ヶ月以内に昴流が瑠衣を口説き落とし好きだと言わせることが出来るかということを新しい賭けにしようとしている事に憤りを覚えた瑠衣は一計を案じ、自分の方から先に告白をし、その直後に全てを知っていると種明かしをすることで、早々に馬鹿げたゲームに決着をつけてやろうと考える。しかし、この告白が原因で事態は瑠衣の想定とは違った方向に動きだし……。 テンプレの罰ゲーム告白ものです。 表紙イラストは、かさしま様より描いていただきました! ムーンライトノベルズでも同時公開。

処理中です...