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幼なじみ
第9話
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梅雨も明け、湿り気のない乾いた日差しが容赦なく照りつける。
「あぢぃー」
晃司はぶーたれながら教室の窓際で下敷きをせわしなく仰いでいた。 二人――もちろん晃司と、もう一人は真司だが――は、放課後の教室に残っていた。
「晃司……ボタン、止めなよ」
真司が覇気のない声で言った。
「なんでだよ。暑いだろ」
晃司は制服の開襟シャツの前ボタンを、第三ボタンまで開けていた。 何故、と訊かれると、真司は困ってしまった。
「他の奴に見られるの、イヤなんだよ、それに……」
「それに?」
真司は赤くなってうつむいた。言えっこない、こんな恥ずかしいこと。
『そそられる、晃司を欲しくなるから』
確かに自分は晃司を愛している、そして晃司はそれを受け入れた。愛していれば当然の欲求だといえるだろう。しかし、今になって 相手が同性であるということに何かしら違和感を抱いてしまっていた。それも、真司にしにしてみれば、誰かに対してそんな欲求を持ったのは生まれて 初めてのことだったから、戸惑いは当然のことだった。
「何でもないよ。もう帰ろう」
心苦しくなった真司はその気持ちと向き合うのを放棄した。
一時的には逃れられても、その後ろめたい欲望は真司を取り込んで離さなかった。 一方晃司も、最近の真司の様子がおかしいのになんとなく気づいていた。
「あぢぃー」
晃司はぶーたれながら教室の窓際で下敷きをせわしなく仰いでいた。 二人――もちろん晃司と、もう一人は真司だが――は、放課後の教室に残っていた。
「晃司……ボタン、止めなよ」
真司が覇気のない声で言った。
「なんでだよ。暑いだろ」
晃司は制服の開襟シャツの前ボタンを、第三ボタンまで開けていた。 何故、と訊かれると、真司は困ってしまった。
「他の奴に見られるの、イヤなんだよ、それに……」
「それに?」
真司は赤くなってうつむいた。言えっこない、こんな恥ずかしいこと。
『そそられる、晃司を欲しくなるから』
確かに自分は晃司を愛している、そして晃司はそれを受け入れた。愛していれば当然の欲求だといえるだろう。しかし、今になって 相手が同性であるということに何かしら違和感を抱いてしまっていた。それも、真司にしにしてみれば、誰かに対してそんな欲求を持ったのは生まれて 初めてのことだったから、戸惑いは当然のことだった。
「何でもないよ。もう帰ろう」
心苦しくなった真司はその気持ちと向き合うのを放棄した。
一時的には逃れられても、その後ろめたい欲望は真司を取り込んで離さなかった。 一方晃司も、最近の真司の様子がおかしいのになんとなく気づいていた。
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