蒼い炎

海棠 楓

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幼なじみ

第16話

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 晃司は別に行くところもなかったが、とりあえずあの空間から、あの忌まわしい行為の余韻を残すあの部屋から逃げ出したかった。
 無性に腹が立った。これまでずっと晃司の後を必死で追いかけてきた真司。弱い真司を守ってきたのはいつも晃司だ。しかも今回のことだって、元はと言えば初めは晃司が教えてやったのに。
 自分が常に上位に立っていなければ気がすまない晃司は、大変な屈辱を受けたのだった。

 心を落ち着けて真司の家に戻った。いくら夏といってもさすがに陽が沈む時間だったが、家の中は真っ暗だった。不審に思いながら電灯をつけると、真司が倒れていた。発作を起こしていた。感情が高ぶると発作が出やすい。
「真司! 大丈夫か?」
 抱え起こすと真司は目を開け、力なく微笑んだ。
「晃司、嫌われたんじゃ、なかった……?」
「嫌いになんかなんねーよ。……俺まだ言ってなかったけど、お前のこと好きだからな」
「――うれしい」
 二人は言葉を交わしながら、身体も絡まっていった。
「今度は俺が昼間のお返しさせてもらうぜ。……いいな?」
 やはり晃司は根に持っていたのである。真司に覆い被さりそう言ってのけた。真司は黙って小さく頷いた。
 晃司は慣れたものだった。いつもと少し位置をずらすだけで良かった。だが、今までにない快感が押し寄せた。
 真司は晃司とは違って、自分の感覚を素直に表に出していた。快感よりも痛みが大きいと見えて、苦痛に顔を歪めている。その悲愴でありながらも熱っぽく艶かしい顔を見て、今ならわかる、と晃司は思った。さっきの真司の言葉の意味だ。しかし、どれだけ痛みを与えられても、真司はやめろとは言わなかった。
「痛ぇんだろ、涙出てんぞ。……やめてくれって言うならおまえと違ってやめてやってもいいぜ」
 皮肉たっぷり、勝ち誇ったように口角を吊り上げて晃司は言ってやった。だが返ってきた答えは、晃司の完敗を決定付けた。
「誰がやめさせるもんか……止まらないで、早く達かせて」
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