蒼い炎

海棠 楓

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見知らぬ土地で

第52話

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 久々に目覚めると一人だった。静流は今日明日二日、オーナーと大阪の同業店の偵察に行った。その二日間は真司は有給休暇。画廊しか営業しないので、要と輝だけ出勤らしい。
 これといってすることもないので、また真司は静流のアルバムを引っ張り出していた。

 不意に、インターホンが鳴った。何の躊躇いもなく開けると、そこにいたのは……。
「お前、俺が来てよくドア開けるなぁ」
 紫苑だ。静流がいないのを当然知っている。勝手知ったる、とでも言うように、ズカズカ部屋に上がりこみ、真司がさっきまで見ていたアルバムに目を止めた。
「お、なつかしー」
 しばらくはへらへら笑いながら見ていたが、一瞬見せた悲しげな表情を真司は見逃さなかった。
「紫苑……さん?」
 呼ばれて我に返り、見られたと悟ったのか、照れ隠しに必要以上に荒々しく答えた。
「なんだよっ!」
「静流さんて、どんな人なんですか」
 またも一層顔を赤らめ、さらにぶっきらぼうになる紫苑。
「そんなモン要や輝にききゃーいいだろーが」
 真司はなおも食い下がる。
「付き合ってた人から見た静流さんはどんな人なんですか」
 そう言われると紫苑は黙り込み、しばらく考えている様子だったが、やがて口を開いた。
「弱い男だよあいつは。強いふりして大人気取ってるけど、奴は……しずは本当は俺よりずっと弱くて一途で、熱い男だ。表には絶対出さねーけどな」
 愕然とした。真司の知らない静流ばかりだ。
「そんなこと話すために来たんじゃねぇよ」
 いきなり後ろから羽交い締めにされた。すっかり忘れていたが、真司は今ピンチなのだった。
「いろんな男とやってみりゃいーんだよ……な?」
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