大掃除にて

海棠 楓

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僕は羽田智之の恋人です

第1話

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 羽田さんと暮らしはじめてわかったこと。
 羽田さんは、よく寝る。
 少し静かだなと思ったらソファでうたた寝、夜寝るのも割と早い。朝起きるのは遅め。必要最低限の準備をする時間を逆算して、ギリギリまで寝てる感じ。
 仕事中やセックス時の、エネルギッシュでパーフェクトな羽田さんは、睡眠によって作られてるんだなあ。

 そんなことを言っている今も、少し目を離したらまたソファで寝てる。
「風邪引きますよ」
 と一応声をかけてみるけど、こんな声で起きないのは知ってる。まだ起こす気はない。息がかかりそうなぐらい、毛穴の一個一個が見えるぐらいにそばに寄って、美しい顔を堪能するのが日課。つけまかと思うような睫毛や、嬉しいことばかり言ってくれる、いやらしいことをしてくる、両端が上がった薄ピンクの唇とか、パーツのひとつひとつが芸術品みたいな。芸術とかよくわからないけど。んでそのパーツの配置も完璧で。
 こんな風に間近で羽田さんの寝顔を見つめられるのが、俺だけだったらいいのになって思ったら、胸の奥がずきんとした。

 起きている時もそうだけど、寝ている時まで笑っているように見えるから不思議。いつも機嫌がいいっていうイメージ。何が起こっても余裕で、大人だなあって。ちょっとのことですぐあたふたする俺は、そこに痺れる憧れる。

 そんな美しくて大人な羽田さんが俺と付き合ってくれているのが未だに理解できなくて、信じられない。真面目なところが好きと言ってくれたけど、真面目な人なんて世の中にはごまんといるし。体の相性が良いのは認めるけど。

 ……ダメだなあ。
 羽田さんに相応しい、かっこいい男になりたい、だなんて分不相応な目標を掲げてみても、湧き上がってくるのはみっともないぐらいに不安ばっかりだ。そもそも『羽田さんの隣にいても恥ずかしくない男』だなんて、ハードル高すぎやしないか。

 羽田さん。
 付き合えることになったのはすごく嬉しいんですけど、こんなふうに日々頭の中が忙しくて仕方がないです。愛想を尽かされない程度には、どうにか頑張りますから。
「一緒にいてつまらなくなったら、いつでも捨ててください」なんて言ってしまったことあったけど、今はもう、そんなこと言えません。
 捨てられたくないです。
 そばに置いて欲しいです。
 そのためにはどうしたらいいんでしょうか。
 どんな努力をしたら、どんな男になれば、ずっとそばに置いてくれるんでしょうか。
 不安で、焦って、おかしくなりそう。
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