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「やっぱり、交代にしませんか」
すっかり事が済んで、そのままふたりしてベッドに横たわっていた。めくるめく時間はあっという間で、ただただ呆然としていた。そんなときに、樋口から出た提案だった。獰猛ささえ思わせていた、セックスの時の樋口はもうすっかり影を潜めて、いつもの樋口に戻っていた。
「抱くのと抱かれるの、ですか?」
辻は驚いて樋口に向き直る。
「ええ」
「どうして」
「やっぱり、辻さん一人に負担をかけるというか、我慢を強いるのは良くないと……」
ばつが悪そうに言う樋口を見て、やっぱり僕ではダメだったのかな、と辻の心に悲しい気持ちが湧いてくる。
「我慢なんかしてませんよ。樋口さん今まで散々悩んだ上でこうなったんですから、責任もってこの先も抱き通してください」
「いや……実を言うと、抱く時の辻さんも見てみたいと、思ったり……」
核心を突く発言をする時、まっすぐに見据える辻に反して、樋口は視線を外す。明後日の方を見ながら、ぼそぼそと。彼の本気度は、真っ赤に染まった耳だけが伝えてくれる。そんな樋口を辻は愛おしく思うし、勝手な思い込みが生んだ悲しい気持ちはどこかへ行ってしまった。
「そういうことなら、喜んで」
「今度、ふたりで何か編みましょう」
「共作ってことですか?」
「ええ、赤い糸で」
「……聞いてる方が恥ずかしいですよ」
既に赤い毛糸を購入済みなのだが、まだ樋口には言わないでおこう。
辻はそう心に決めて、樋口の額に口づけた。
「あっとその前に! セーターちゃんと完成させてくださいね。冬になったら色違いのペアルックでお出かけしましょう」
「……遠慮します……」
【おわり】
すっかり事が済んで、そのままふたりしてベッドに横たわっていた。めくるめく時間はあっという間で、ただただ呆然としていた。そんなときに、樋口から出た提案だった。獰猛ささえ思わせていた、セックスの時の樋口はもうすっかり影を潜めて、いつもの樋口に戻っていた。
「抱くのと抱かれるの、ですか?」
辻は驚いて樋口に向き直る。
「ええ」
「どうして」
「やっぱり、辻さん一人に負担をかけるというか、我慢を強いるのは良くないと……」
ばつが悪そうに言う樋口を見て、やっぱり僕ではダメだったのかな、と辻の心に悲しい気持ちが湧いてくる。
「我慢なんかしてませんよ。樋口さん今まで散々悩んだ上でこうなったんですから、責任もってこの先も抱き通してください」
「いや……実を言うと、抱く時の辻さんも見てみたいと、思ったり……」
核心を突く発言をする時、まっすぐに見据える辻に反して、樋口は視線を外す。明後日の方を見ながら、ぼそぼそと。彼の本気度は、真っ赤に染まった耳だけが伝えてくれる。そんな樋口を辻は愛おしく思うし、勝手な思い込みが生んだ悲しい気持ちはどこかへ行ってしまった。
「そういうことなら、喜んで」
「今度、ふたりで何か編みましょう」
「共作ってことですか?」
「ええ、赤い糸で」
「……聞いてる方が恥ずかしいですよ」
既に赤い毛糸を購入済みなのだが、まだ樋口には言わないでおこう。
辻はそう心に決めて、樋口の額に口づけた。
「あっとその前に! セーターちゃんと完成させてくださいね。冬になったら色違いのペアルックでお出かけしましょう」
「……遠慮します……」
【おわり】
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