ふたりで編むのは赤い糸

海棠 楓

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「やっぱり、交代にしませんか」
 すっかり事が済んで、そのままふたりしてベッドに横たわっていた。めくるめく時間はあっという間で、ただただ呆然としていた。そんなときに、樋口から出た提案だった。獰猛ささえ思わせていた、セックスの時の樋口はもうすっかり影を潜めて、いつもの樋口に戻っていた。
「抱くのと抱かれるの、ですか?」
 辻は驚いて樋口に向き直る。
「ええ」
「どうして」
「やっぱり、辻さん一人に負担をかけるというか、我慢を強いるのは良くないと……」
 ばつが悪そうに言う樋口を見て、やっぱり僕ではダメだったのかな、と辻の心に悲しい気持ちが湧いてくる。
「我慢なんかしてませんよ。樋口さん今まで散々悩んだ上でこうなったんですから、責任もってこの先も抱き通してください」
「いや……実を言うと、抱く時の辻さんも見てみたいと、思ったり……」

 核心を突く発言をする時、まっすぐに見据える辻に反して、樋口は視線を外す。明後日の方を見ながら、ぼそぼそと。彼の本気度は、真っ赤に染まった耳だけが伝えてくれる。そんな樋口を辻は愛おしく思うし、勝手な思い込みが生んだ悲しい気持ちはどこかへ行ってしまった。
「そういうことなら、喜んで」


「今度、ふたりで何か編みましょう」
「共作ってことですか?」
「ええ、赤い糸で」
「……聞いてる方が恥ずかしいですよ」
 既に赤い毛糸を購入済みなのだが、まだ樋口には言わないでおこう。
 辻はそう心に決めて、樋口の額に口づけた。

「あっとその前に! セーターちゃんと完成させてくださいね。冬になったら色違いのペアルックでお出かけしましょう」
「……遠慮します……」

【おわり】
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感想 2

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みんなの感想(2件)

⭐️べっちー⭐️

同じ趣味が紡いだ運命の相手…素敵ですね✨
お互い見た目より内面…という思いがあったからこそお互いを受け入れて相手の思いを尊重してる…好きだからこそ受け入れたいですもんね!
共作見てみたいです🧶

2023.11.01 海棠 楓

お読み頂いた上に感想もありがとうございます🙏
共作、編んでくれるかな?冬のうちに編みあがるかな……?
始まったばかりのふたりなのでこれからが楽しみですね💕

解除
ルチーノ
2023.10.30 ルチーノ

とあるオフィスビルのどこかにこんな二人が本当にいるかもしれない(^^)
似合うか似合わないかじゃなくどうしたいか、そんなところを大切にする二人
これからゆっくり仲を深めていくんだろうな
ペアルックはちょっと見てみたい|д゚)

2023.10.31 海棠 楓

お読み頂き感想までありがとうございます🙏
ぎこちな~く愛を育んでいって頂きたい😄
ペアルック見てみたいですね♪

解除

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