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再会
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尻餅をついているのは、紛れもなくかつて史郎が師事していた師匠であり、それ以上でもあった男だった。長い間蓋をしていた辛い記憶が一気に噴出して、視界がぐにゃりとゆがむ。
「手を、貸してくれないかな」
男はあの頃よりずいぶんと小さくなってしまった。弱々しく手を差し出されて、史郎がおずおずと手を引くと、驚くほど軽々と引き上げられた。
「すみませんでした、お怪我は?」
「大丈夫、ありがとう。元気そうだね」
「はい、おかげさまで」
ずいぶんと世話になったし、一度は愛し愛された仲ではあるが、手放しで再会を喜べるかというとそうでもなかった。今になって、大人になってから思い出せば、未熟であるのをいいことにおもちゃのように扱われたこともあった、などと回想してしまう。写真家としての成功は彼の力添えあってこそなのは事実だが、しかし――
「ずいぶん急いでいたみたいだけど」
「あっ!」
感傷にふけっている場合ではなかった、ジュンを迎えに来たのだった。にわかに慌てる史郎を見て
「相変わらずだね、君は」
男が柔らかく笑んだところへ。
「史郎さん!」
人でごった返すざわめきの中、ひときわ通る澄んだ声。その声を聴くや、史郎ははじかれたように握りっぱなしだった手を離す。
「ありがとうございます。それでは」
気を利かせたのか、師匠は他人行儀に頭を下げて歩き出した。
「ジュンくん」
独り言のようにぽつりとつぶやく。到底本人には届いていないであろう声で。
半年ぶりに見る恋人の姿は、言葉通り眩しくて直視できない。目がくらむという感覚はこういうことか、と史郎は目を細めた。
元々整っていた顔つきは精悍さが加わり、体つきも目に見えて筋肉量が増えている。
「……ズルいなあ、もう……」
やはり若い子は伸びしろしかない、こちとら寄る年波に流されないよう必死でしがみついているのに、と史郎がため息をつく。これでは惚れ直させるどころか――
「手を、貸してくれないかな」
男はあの頃よりずいぶんと小さくなってしまった。弱々しく手を差し出されて、史郎がおずおずと手を引くと、驚くほど軽々と引き上げられた。
「すみませんでした、お怪我は?」
「大丈夫、ありがとう。元気そうだね」
「はい、おかげさまで」
ずいぶんと世話になったし、一度は愛し愛された仲ではあるが、手放しで再会を喜べるかというとそうでもなかった。今になって、大人になってから思い出せば、未熟であるのをいいことにおもちゃのように扱われたこともあった、などと回想してしまう。写真家としての成功は彼の力添えあってこそなのは事実だが、しかし――
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「あっ!」
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「史郎さん!」
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「ありがとうございます。それでは」
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「ジュンくん」
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「……ズルいなあ、もう……」
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