撮り残した幸せ

海棠 楓

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再会

5

「史郎さん、このまま始めちゃって大丈夫?」
 ジュンの重みがいよいよ史郎の身体全体にかかり、深く沈み込んだスプリングが、一度だけ微かにきし、と音を立てた。ソファに押し付けられた皮膚が、ザラリとした硬い布の摩擦を感じて、史郎はぞくりと震えた。
「もちろん。……お預け食らってたのは、君だけじゃないんだよ」
  その史郎の言葉で、ジュンはそれまでのムードもぶち壊しでがばっと起き上がると
「本当? 一人でしたりした?」
 嬉しそうに問いただす。史郎は大きく落胆のため息をついた。
「そりゃあ、まあ……」
「僕もしてました、毎晩史郎さんのこと思いながら……」
 密着させてくる下半身はすでに熱く昂っているのがうかがえる。
「毎晩? 元気だね」
「はい、頭の中で史郎さんのこと、いろんな風に……前からも後ろからも、優しくも乱暴にも……」
 乱暴に服を脱がせながらも、ジュンの指先は、史郎の鎖骨の形、肩のラインを、確かめるように丁寧に辿る。
 ジュンの唇が、史郎の唇を、そして顎のラインを、何度も何度も確かめるように辿る。 はじめの丁寧さはやがて急いてゆき、忙しなく史郎のTシャツを捲り上げ、火照り始めた上半身があらわになった。
「今日はどんな風に抱いてくれるの?」
 史郎はジュンの熱と重みを全身で受け止めながら、半年の空白を埋めるように、彼の背に手を回した。
「何も、考えられない、本物の史郎さんが目の前にいるのに、そんな余裕っ」
 ジュンの動きはすでに制御を失い、すべてを破壊するような熱を帯びていた。自分のシャツを床に脱ぎ捨てると、史郎の前を開けたままだったシャツも同じく剥がすように脱がせて床に放り投げた。どんどん荒々しくなるジュンに呼応するように、史郎の息づかいが激しくなる。
「ああっ……んっ」
「明かり、消さなくて平気?」
「……っ……うん……」
 うわごとのような生返事をしてから、史郎は我に返る。まだだ、まだ情事の際に顔や体を明るみの下に晒す勇気がない。
「やっぱり見ないで」
「どうして、すっごくきれい……」
 間接照明に照らされた史郎は、くぼんだ目にくっきりと眉骨の影が差し、少しこけた頬もうっすらと陰を作っていた。
「ここも、こんなに」
 うっすらと筋がついた腹筋をめざとく認め、ジュンの指が這う。
「や、っぱり、恥ずかしいから」
「もっとほかにも見せてよ、史郎さんの恥ずかしいところ」
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