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これから
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賞金で小さな古い家を買い、住居兼ギャラリー兼アトリエにリノベーションを行った。
街のはずれ、線路の踏切から一本奥に入った場所に、その家はある。築五十年を超えた古い木造二階建てだが、二人が手を入れたことで、煤けた外壁はあたたかみのある象牙色に塗り替えられた。
一階は土間の一部を広げたギャラリースペース。打ちっぱなしの白い壁に、古い梁が剥き出しになった天井。そして、一番のこだわりは、元々あった小さな窓を拡張した、幅いっぱいの大きなガラス窓だ。この窓からは日没前のオレンジ色の光が、惜しみなく室内に差し込んできた。
部屋にはまだ、シンナーやペンキの匂い。それに新しい木の匂いと、埃が払われた古い土壁の匂いが混ざり合って漂っている。
「ついに完成しましたね! 嬉しいなあ、僕らの理想が詰まった家ですよ」
興奮気味にジュンが言うと史郎は
「贅沢すぎる終の住み処だ」
しみじみとため息まじりに感嘆した。
「そうですね。この場所で、僕に看取られながら逝くのが史郎さんにとって一番の幸せでしょうね」
いつもの年齢的自虐に対し怒るでもなく淡々と肯定され、逆に史郎の方が不満になった。
「なんなの、いつもこんなこと言ったら怒ってくるのに」
「事実そうですもん。怒ったって史郎さんの寿命が延びるわけじゃないし。それなら一日も長く仲良く楽しく一緒にいられることを願うだけですよ」
「それもそうだ」
史郎の視線は、壁に飾られた受賞作を含むいくつかの写真に向けられていた。白い壁並べられた写真たちは、彼がこれまで歩んだ人生のスライドショーのようであった。
ジュンは史郎に寄りかかり、静かに目を閉じた。
「大丈夫です、覚悟はとっくにできてますから。史郎さんの最後の最期に目にするものが、僕でありたい」
「……ありがとうね」
「ん? 何がです?」
「……ふふっ、何でもない」
きちんと言おうとしたものの、あまりにも照れくさくて言えない。
ずっと欲しかった『生涯最後の恋』をくれて、ありがとう。
だなんて。
『撮り残した幸せ』完
街のはずれ、線路の踏切から一本奥に入った場所に、その家はある。築五十年を超えた古い木造二階建てだが、二人が手を入れたことで、煤けた外壁はあたたかみのある象牙色に塗り替えられた。
一階は土間の一部を広げたギャラリースペース。打ちっぱなしの白い壁に、古い梁が剥き出しになった天井。そして、一番のこだわりは、元々あった小さな窓を拡張した、幅いっぱいの大きなガラス窓だ。この窓からは日没前のオレンジ色の光が、惜しみなく室内に差し込んできた。
部屋にはまだ、シンナーやペンキの匂い。それに新しい木の匂いと、埃が払われた古い土壁の匂いが混ざり合って漂っている。
「ついに完成しましたね! 嬉しいなあ、僕らの理想が詰まった家ですよ」
興奮気味にジュンが言うと史郎は
「贅沢すぎる終の住み処だ」
しみじみとため息まじりに感嘆した。
「そうですね。この場所で、僕に看取られながら逝くのが史郎さんにとって一番の幸せでしょうね」
いつもの年齢的自虐に対し怒るでもなく淡々と肯定され、逆に史郎の方が不満になった。
「なんなの、いつもこんなこと言ったら怒ってくるのに」
「事実そうですもん。怒ったって史郎さんの寿命が延びるわけじゃないし。それなら一日も長く仲良く楽しく一緒にいられることを願うだけですよ」
「それもそうだ」
史郎の視線は、壁に飾られた受賞作を含むいくつかの写真に向けられていた。白い壁並べられた写真たちは、彼がこれまで歩んだ人生のスライドショーのようであった。
ジュンは史郎に寄りかかり、静かに目を閉じた。
「大丈夫です、覚悟はとっくにできてますから。史郎さんの最後の最期に目にするものが、僕でありたい」
「……ありがとうね」
「ん? 何がです?」
「……ふふっ、何でもない」
きちんと言おうとしたものの、あまりにも照れくさくて言えない。
ずっと欲しかった『生涯最後の恋』をくれて、ありがとう。
だなんて。
『撮り残した幸せ』完
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約倍の年の差カップル、とても素敵です!
恋に臆病になってしまった史郎さんが、最初は騙されたっはいえ、やはりジュンくんに惹かれていく様がすごくよかったです。
写真へのこだわりと夢を棄ててしまっても、やはり好きなものは置いときたいですよね。
ジュンくんのために、元気で長生きして欲しいです。
とても詩的な表現が素敵で、読み心地がよかったです。
また続きの再会を読ませていただきます。
こうらい ゆあ様
お読みいただいた上に、嬉しい感想ありがとうございます!
今日からまた最終章がスタートしますので、お付き合いいただけると嬉しいです(^^)
完結おめでとうございます。
親子ほども年の差のある恋人に、惚れ直させてやると意気込む場面。
人生を諦めたような生活をしていたとは思えない行動に嬉しくなりました。
そして少し先にさらにドラマティックな展開が待っているなんて。
幸せな読後感!ありがとうございます!!
モサク様
感想ありがとうございます🙌
これでもかというほどのハピエンをご用意いたしました😊
最後までお読み頂きありがとうございました!
完結お疲れ様です。
期待していた分だけ嘘を知った時のショックや失望は大きかった。でもそこから取り戻そうとするジュンくに誠実さを感じました。もう既に好きになっていたからこそ手放しきれなかったのかな。自分の本心には抗いきれないですね。心を通じ合わせる事が出来てよかった。決して小さくない歳の差が壁になっていたけど大事なのはそこじゃない。二人の今後の幸せを願います。
ありがとうございます。
yuーchi様
再び感想ありがとうございます!!
スタートはいろいろ困難(出会い、年の差)ありましたが、二人でゆっくり時間をかけて心を溶かし合っていく様子を描きたかったんです😊
最後まで読んでくださりありがとうございました。