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2章
記憶
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それから、昏睡状態に陥っている二人をシェルリオンの王城へ連れ帰った。
シリアス様は客間へ、カインは地下牢へ運ばれたあと、シリアス様のもとへ向かったカリム様と、カインの取り調べへ向かった僕とレオス様に別れた。シリアス様とカリム様を、二人にしてあげた方がいいと考えたからだ。
「レオス様…おふたりは、大丈夫でしょうか」
「…どうだろうな。おふたりは今苦しんでいるだろうに、なんでかな…俺は今、こうなるべきだったと感じてるんだ。乗り越えるしかない壁だったのだと…」
「僕もです。それに、前も同じことがあったかのような…とても大きい後悔があったような気がするんです」
今の僕と同じように誰かを助けようとして、失敗して涙を流したことがある。そんな記憶が確かにあるのだ。
この感覚は、あの夢と同じだ。
そして僕はこれがなんなのかもう分かっている。
僕はきっと、自分の中にいる初代リュードリアの記憶を観ているのだ。この魔力に宿った記憶を辿るように。
そんな不可思議な話を僕は真実だと確信している。
「レオス様…おかしなことかもしれません、でも僕たぶん、やり直しをしてるんだと思います」
「やり直し…?」
「知ってるんです。前も同じように、貴方に出会って恋して…誰かを失った」
僕の言葉にレオス様はハッとして、そして静かに頷いた。
「俺もだ」
そう言ってレオス様は、僕の目尻に触れる。
「君のこの瞳が影を差すと少し暗くなるのも…」
次は髪に触れ、微笑む。
「カナからしか感じない、甘い甘い匂いも。ずっと知っていたような気がするんだ」
そう言われて目が合った。
僕の視界はだんだんと歪んで、頬を雫が伝う前に暖かい指に拭われた。
「大丈夫だ、俺がいる。二人で助け合うんだろう?」
心細かった。知らないはずの何かを知っていることも、それをひとりで抱えていることも。レオス様はそれを分かって、一緒に抱えてくれているんだ。
(レオス様の中に居る人も、きっとそんな人だ)
僕の中にいるあの人を一人にさせないために、レオス様の中に在る。
「っ…ありがとう、レオス様!」
精一杯の笑顔を見せると、レオス様は優しく頭を撫でてくれた。
「確信があるんです。僕が後悔したことはきっと、カインと向き合うことで解消される」
この不思議な感覚が何なのかを自覚した今、前より鮮明に思い出せるのだ。
(絵本をなぞるような感覚で、あまりはっきりとは分からないけれど…)
初代リュードリア夫人は、僕と同じように拐われたことがあった。そこで出会ったカインの先祖と夫夫は激闘の末、夫夫が勝利した。
カインの先祖は先刻のカインと同じように後悔の言葉を残して、息を引き取った。そんな幕引きに、夫人は心残りがあったのだろう。
「だから行きましょう。ちゃんと話をするんです、彼と」
「あぁ」
前を向いて歩き出した僕に、もう心細さはなかった。
シリアス様は客間へ、カインは地下牢へ運ばれたあと、シリアス様のもとへ向かったカリム様と、カインの取り調べへ向かった僕とレオス様に別れた。シリアス様とカリム様を、二人にしてあげた方がいいと考えたからだ。
「レオス様…おふたりは、大丈夫でしょうか」
「…どうだろうな。おふたりは今苦しんでいるだろうに、なんでかな…俺は今、こうなるべきだったと感じてるんだ。乗り越えるしかない壁だったのだと…」
「僕もです。それに、前も同じことがあったかのような…とても大きい後悔があったような気がするんです」
今の僕と同じように誰かを助けようとして、失敗して涙を流したことがある。そんな記憶が確かにあるのだ。
この感覚は、あの夢と同じだ。
そして僕はこれがなんなのかもう分かっている。
僕はきっと、自分の中にいる初代リュードリアの記憶を観ているのだ。この魔力に宿った記憶を辿るように。
そんな不可思議な話を僕は真実だと確信している。
「レオス様…おかしなことかもしれません、でも僕たぶん、やり直しをしてるんだと思います」
「やり直し…?」
「知ってるんです。前も同じように、貴方に出会って恋して…誰かを失った」
僕の言葉にレオス様はハッとして、そして静かに頷いた。
「俺もだ」
そう言ってレオス様は、僕の目尻に触れる。
「君のこの瞳が影を差すと少し暗くなるのも…」
次は髪に触れ、微笑む。
「カナからしか感じない、甘い甘い匂いも。ずっと知っていたような気がするんだ」
そう言われて目が合った。
僕の視界はだんだんと歪んで、頬を雫が伝う前に暖かい指に拭われた。
「大丈夫だ、俺がいる。二人で助け合うんだろう?」
心細かった。知らないはずの何かを知っていることも、それをひとりで抱えていることも。レオス様はそれを分かって、一緒に抱えてくれているんだ。
(レオス様の中に居る人も、きっとそんな人だ)
僕の中にいるあの人を一人にさせないために、レオス様の中に在る。
「っ…ありがとう、レオス様!」
精一杯の笑顔を見せると、レオス様は優しく頭を撫でてくれた。
「確信があるんです。僕が後悔したことはきっと、カインと向き合うことで解消される」
この不思議な感覚が何なのかを自覚した今、前より鮮明に思い出せるのだ。
(絵本をなぞるような感覚で、あまりはっきりとは分からないけれど…)
初代リュードリア夫人は、僕と同じように拐われたことがあった。そこで出会ったカインの先祖と夫夫は激闘の末、夫夫が勝利した。
カインの先祖は先刻のカインと同じように後悔の言葉を残して、息を引き取った。そんな幕引きに、夫人は心残りがあったのだろう。
「だから行きましょう。ちゃんと話をするんです、彼と」
「あぁ」
前を向いて歩き出した僕に、もう心細さはなかった。
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