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2章
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「僕、上手く言えましたかね…」
「あぁ、カナの言葉は必ず奴に響いている。あいつもきっと、次へ踏み出せる」
「…はい」
僕らの感情がどうであっても、きっと軽い刑では済まされないだろう。それでも乗越えて欲しいと思う。これは僕と、僕のご先祖さまの思いだ。
(貴方もこれで、前に進めますか…?)
帰ってこないと思って問いかけた言葉は、予想通りの独り言にはならなかった。
『あぁ、もう大丈夫。ありがとう、カナリエ』
「あ…」
思わず上空を眺めた。僕の中にはもう、あの人はいない。
(成仏…みたいなこと?)
ここまできたら、もうただの不思議体験では済まされない何かだ。僕は考えるのを放棄して、その自身の半身のような先祖の幸福な眠りを祈った。
そしてふと、あることに気づいた。
「か、完成してる…!!」
「うぉっ!ど、どうした…?」
「え!あ、ごめんなさい!それが、未完成の魔術がなぜか完成していて!」
あのとき、僕の魔力がレオス様と繋がったとき使った魔術が、確かに完成したのを感じた。
(夫人、これを完成させてから行ったってこと?)
やはり凄いお方だ。こんなに大きな力を持った魔術をふたつも完成させるだなんて。
「新しい魔術か!?どんなものだろうなぁ」
目を煌めかせたレオス様に促され、僕はこの魔術がどんなものなのか調べた。そして驚くべきその性能に唖然とした。
「これ、は…魂の回廊を繋ぐ魔術です…!」
「魂の…なんだ?」
「魂同士に明確な繋がりを作る魔術ってことです!こんなもの、どうして…!」
そこでハッと思い至った。ついさっきあの人は、その魂の全てを現世から解き放ったことを。
(なんって執着…!)
きっとレオス様の中の初代公爵も一緒に消えたのだろう。夫人は愛する人と永劫に共にいるために、こんな規格外の魔術を作っていたのだ。
「あ、あれ、僕そういえば…」
以前一度、使ってしまっている。レオス様と僕で。
あのときは詳しい性能が分からなくて、全く重く考えていなかった。
気付いたときにはもうあとの祭り、僕はあの魔術師のとんでもない置き土産に頭を抱えた。
「す、すみませんレオスさまぁ…!僕たち、もう永遠に離れられません…!」
「なっ、どうしたんだ…?急にそんなデレてきて」
「違うんです!!本当の本当に、未来永劫一緒なんです…!」
僕はこの魔術の性能を事細かに説明した。
この魔術で繋がれた人間は、魂同士が繋がっているため何度転生しても共に在る運命にあるのだ。何度生まれ変わっても、さもそれが当たり前であるかのように出会って、離れられない。
「だ、だから、レオス様はずーっと僕から離れられないんです。僕絶対レオス様のこと好きになっちゃうから…レオス様の邪魔しちゃうかも…」
何度生まれ変わっても、レオス様以上の人はきっと現れない。出会ったら恋してしまうと断言出来る。
そうやって説明すれば、レオス様は急に僕の腰あたりを掴んで抱き上げた。
「ははっ!そりゃあいいな!俺たちに別れは訪れない、そういうことだろう?」
「え…?あ、はい、そうですけど…いいんですか…?」
「カナ、そろそろ分かってくれ。君が俺をずっと好きでいると思っているのと同じように、俺も必ず君を好きになるよ。何度出会っても」
そう微笑まれたとき、僕の胸に燻っていた“嬉しい”という感情が堰を切ったように溢れ出した。
「ほんとに…?僕、ずっとレオス様の隣にいていいんですか?」
「あぁ、そうしてくれ。でなきゃ俺が追いかける」
「じゃ、じゃあ僕も、レオス様がよそ見してたら追いかけます!」
「ふっ、そうだな。お互いが道を逸れたときは、手を引っ張り合おう」
そう言って与えられた軽い口付けは、僕はこの先ずっと忘れないだろうと思った。
「あぁ、カナの言葉は必ず奴に響いている。あいつもきっと、次へ踏み出せる」
「…はい」
僕らの感情がどうであっても、きっと軽い刑では済まされないだろう。それでも乗越えて欲しいと思う。これは僕と、僕のご先祖さまの思いだ。
(貴方もこれで、前に進めますか…?)
帰ってこないと思って問いかけた言葉は、予想通りの独り言にはならなかった。
『あぁ、もう大丈夫。ありがとう、カナリエ』
「あ…」
思わず上空を眺めた。僕の中にはもう、あの人はいない。
(成仏…みたいなこと?)
ここまできたら、もうただの不思議体験では済まされない何かだ。僕は考えるのを放棄して、その自身の半身のような先祖の幸福な眠りを祈った。
そしてふと、あることに気づいた。
「か、完成してる…!!」
「うぉっ!ど、どうした…?」
「え!あ、ごめんなさい!それが、未完成の魔術がなぜか完成していて!」
あのとき、僕の魔力がレオス様と繋がったとき使った魔術が、確かに完成したのを感じた。
(夫人、これを完成させてから行ったってこと?)
やはり凄いお方だ。こんなに大きな力を持った魔術をふたつも完成させるだなんて。
「新しい魔術か!?どんなものだろうなぁ」
目を煌めかせたレオス様に促され、僕はこの魔術がどんなものなのか調べた。そして驚くべきその性能に唖然とした。
「これ、は…魂の回廊を繋ぐ魔術です…!」
「魂の…なんだ?」
「魂同士に明確な繋がりを作る魔術ってことです!こんなもの、どうして…!」
そこでハッと思い至った。ついさっきあの人は、その魂の全てを現世から解き放ったことを。
(なんって執着…!)
きっとレオス様の中の初代公爵も一緒に消えたのだろう。夫人は愛する人と永劫に共にいるために、こんな規格外の魔術を作っていたのだ。
「あ、あれ、僕そういえば…」
以前一度、使ってしまっている。レオス様と僕で。
あのときは詳しい性能が分からなくて、全く重く考えていなかった。
気付いたときにはもうあとの祭り、僕はあの魔術師のとんでもない置き土産に頭を抱えた。
「す、すみませんレオスさまぁ…!僕たち、もう永遠に離れられません…!」
「なっ、どうしたんだ…?急にそんなデレてきて」
「違うんです!!本当の本当に、未来永劫一緒なんです…!」
僕はこの魔術の性能を事細かに説明した。
この魔術で繋がれた人間は、魂同士が繋がっているため何度転生しても共に在る運命にあるのだ。何度生まれ変わっても、さもそれが当たり前であるかのように出会って、離れられない。
「だ、だから、レオス様はずーっと僕から離れられないんです。僕絶対レオス様のこと好きになっちゃうから…レオス様の邪魔しちゃうかも…」
何度生まれ変わっても、レオス様以上の人はきっと現れない。出会ったら恋してしまうと断言出来る。
そうやって説明すれば、レオス様は急に僕の腰あたりを掴んで抱き上げた。
「ははっ!そりゃあいいな!俺たちに別れは訪れない、そういうことだろう?」
「え…?あ、はい、そうですけど…いいんですか…?」
「カナ、そろそろ分かってくれ。君が俺をずっと好きでいると思っているのと同じように、俺も必ず君を好きになるよ。何度出会っても」
そう微笑まれたとき、僕の胸に燻っていた“嬉しい”という感情が堰を切ったように溢れ出した。
「ほんとに…?僕、ずっとレオス様の隣にいていいんですか?」
「あぁ、そうしてくれ。でなきゃ俺が追いかける」
「じゃ、じゃあ僕も、レオス様がよそ見してたら追いかけます!」
「ふっ、そうだな。お互いが道を逸れたときは、手を引っ張り合おう」
そう言って与えられた軽い口付けは、僕はこの先ずっと忘れないだろうと思った。
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