6 / 6
第6話『こまめって大事らしいです』
しおりを挟む
『こまめって大事らしいです』
リビングでは、母が年末恒例の大掃除に励んでいた。
雑巾片手に「ふんっ、よいしょっ」と気合だけは立派だ。
しかし窓の外には冬の光が差していて、やる気とは裏腹に空気はのんびりしている。
そこへ、みさきがふらりとやってくる。
「ねえみさき、アンタ掃除はもうやったの?」
母が髪を結び直しながら振り返る。
「普段からこまめにやってるから、とっくに終わったよ」
みさきはあっさり答える。
「こ・ま・め・に」
母はどこか遠い目をしながら、ボヤキ気味に雑巾を絞った。
再び掃除に戻ろうと家具を動かした瞬間、母の表情が一変する。
「んん? ちょっと待って……あっ!!」
床にころんと、小銭がひとつ転がり出てきた。
そしてわざわざみさきの目の前に持っていき、どや顔で見せびらかす。
「見て見て! こういうご褒美があるから、たまに掃除すると楽しいのよねぇ~?」
母は声を弾ませ、まるで宝を発見したかのように喜ぶ。
みさきは無表情で一言。
「だからって普段サボっていい理由には……ならないよ」
「…………」
完全に固まった母は、そっと小銭をポケットにしまい、表情ゼロのまま黙って掃除を再開した。
そのすぐ横で、みさきはのんびり座って湯呑のお茶をすする。
「はぁ~…」
リビングには、母の小さなラッキーと娘の冷静さが、いつも通りゆるっと漂っていた。
リビングでは、母が年末恒例の大掃除に励んでいた。
雑巾片手に「ふんっ、よいしょっ」と気合だけは立派だ。
しかし窓の外には冬の光が差していて、やる気とは裏腹に空気はのんびりしている。
そこへ、みさきがふらりとやってくる。
「ねえみさき、アンタ掃除はもうやったの?」
母が髪を結び直しながら振り返る。
「普段からこまめにやってるから、とっくに終わったよ」
みさきはあっさり答える。
「こ・ま・め・に」
母はどこか遠い目をしながら、ボヤキ気味に雑巾を絞った。
再び掃除に戻ろうと家具を動かした瞬間、母の表情が一変する。
「んん? ちょっと待って……あっ!!」
床にころんと、小銭がひとつ転がり出てきた。
そしてわざわざみさきの目の前に持っていき、どや顔で見せびらかす。
「見て見て! こういうご褒美があるから、たまに掃除すると楽しいのよねぇ~?」
母は声を弾ませ、まるで宝を発見したかのように喜ぶ。
みさきは無表情で一言。
「だからって普段サボっていい理由には……ならないよ」
「…………」
完全に固まった母は、そっと小銭をポケットにしまい、表情ゼロのまま黙って掃除を再開した。
そのすぐ横で、みさきはのんびり座って湯呑のお茶をすする。
「はぁ~…」
リビングには、母の小さなラッキーと娘の冷静さが、いつも通りゆるっと漂っていた。
0
この作品の感想を投稿する
あなたにおすすめの小説
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
ちょっと大人な物語はこちらです
神崎 未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な短編物語集です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
後宮の胡蝶 ~皇帝陛下の秘密の妃~
菱沼あゆ
キャラ文芸
突然の譲位により、若き皇帝となった苑楊は封印されているはずの宮殿で女官らしき娘、洋蘭と出会う。
洋蘭はこの宮殿の牢に住む老人の世話をしているのだと言う。
天女のごとき外見と豊富な知識を持つ洋蘭に心惹かれはじめる苑楊だったが。
洋蘭はまったく思い通りにならないうえに、なにかが怪しい女だった――。
中華後宮ラブコメディ。
【⁉】意味がわかると怖い話【解説あり】
絢郷水沙
ホラー
普通に読めばそうでもないけど、よく考えてみたらゾクッとする、そんな怖い話です。基本1ページ完結。
下にスクロールするとヒントと解説があります。何が怖いのか、ぜひ推理しながら読み進めてみてください。
※全話オリジナル作品です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる