81 / 94
第80話 情報共有というか暴露
しおりを挟む
大地の大精霊様を助けて欲しい……ヴィヌテテュース様がそんなことを?
私のついた嘘と内容が似てるような気もするし、これは一体どういうことなんだろうか。
「内容はそれだけなの?」
「ああ、さっき言った通り細かい条件の指定はあったものの、具体的な内容としてはそれだけだ……俺の聞く限りはな」
「そう……」
やはりヴィヌテテュース様は、大地の大精霊様の不自然な状態を知っている?
でも、そうだったとしてもまるでご聖託が降ったタイミングが、私の行動と被っているように思えるのはいったい……。
「やっぱり、お前なんかおかしいな……?」
私が思わず考え込んでいると、そんなカイくんの怪訝そうな声が聞こえてきた。
声の方を向くとそこには、その声色と同じく不審げに私の顔を覗き込むカイくんの姿があった。
あら……?
「そもそも、お前が一番最初にヴィヌテテュース様の声を聞いたという話なのに、随分と意外そうな口ぶりで色々聞いてくるのはどうなんだよ?」
「あー、うん……」
いや、実は知らないからです……。
しかし、どうしよう……カイくんには本当のことを話す?
今のところは、本気で疑っているというより、少し違和感を感じてる程度みたいだけど……。
うーん…………言っちゃおっかな?
カイくんならきっと、まぁ大丈夫だろうし……!!
「実はさ、お兄様に私が言ったことって嘘なんだよねー!」
「……は?」
私がそう言った瞬間、カイくんはぽかんとした顔でマヌケな声を出す。
あ、やっぱり予想外だったんだ……こうなってしまったら、まぁこのまま全部言っちゃうけども。
「だから私は、ヴィヌテテュース様の声なんて聞いてないわけだね!」
「はぁ!?」
「いやー、私がちょうど嘘をついたタイミングで、その通りになるなんて本当にビックリだよねー!!」
「ちょっと待てっ!?」
そう言って私の言葉を止めたカイくんは、明らかに困惑した様子だ。
うんうん、見るからに混乱して考え込んでるねー。
全部私のせいだけど。
それからややあって、頭をおさえ、眉間にシワを寄せながら私へ顔を向けた彼は、ゆっくりと口を開いた。
「……つまりお前はアレか、あのヴィヌテテュース様をだしに使ったのか?」
うっ、それを改めて言われると痛いな……。
何か私の行動に呆れたり、色々言ってくることも多いカイくんだけど、今回は内容が内容なので、問いただしてくる雰囲気が普段のそれを通り越してる感じがするし。
「だってあの状況では仕方無かったんだよ……殺されるかと思ったから」
「それにしたって、その嘘はさすがにマズいだろうよ……そもそもアーク様がお前を殺すことは……」
「……確かに私だけだったら、そこまでの嘘はつかなかったよ」
「はぁ? だけ、だったらって……」
「あの時、あの場所には無関係の人が居て、私の事情で巻き込むわけにはいけなかったから……」
言い訳がましいとは思いつつも、私が色々言ってたら、彼は唐突に視線をそらして大きなため息をついた。
「そうか、そういうことか……よく分かった」
「え、えーっと……」
カイくんは何やら納得しているらしいが、私の方は彼が何に納得しているのか全然分からなくて、なんと返せばいいか逆に困ってしまった。
そうして私が戸惑っているうちに、私に視線を戻したカイくんが、真剣な表情で言う。
「お前って、他人が危なかったり困ってたりすると、自分よりそっちを優先したがる癖があるからな……本当にどうにかした方がいい」
それは気のせいか、やや怒っているようにも見えた。
「別に、そんなことはないと思うけど……」
「本気でそう思ってるなら、なおさら問題だ」
「えぇ……」
カイくんにはきっぱり言いきられてしまったけど、正直まったく納得がいかない。
だって、それについては本当に、そんなことをしてるつもりはないからだ。
いたって常識の範疇で、普通のことくらいしかしてない……むしろ場合によっては、普通にすら足りてないくらいだ。
「とにかくお前は馬鹿な行動は取らず、もっと自分を大切にしろ」
「はーい」
だがしかし、これ以上話をこじれさせても仕方ない……。
なので、ここは一旦おとなしく、この場をやり過ごすためにテキトーな返事でもしておこう。
「お前、とりあえずこの場をやり過ごそうと思って、今テキトーな返事をしただろう?」
「…………違うよ」
「さすがに分かるからな?」
ま、まずい、完全にバレてる……。
え、これって怒られる?
「まぁ、言うだけ無駄なことも分かってはいるがな……」
しかし、カイくんは何やら小声でボソッとこぼしたものの、そこから追及されることはなく。
代わりに彼は頭をかきながら、何度目か分からない大きなため息をついていた。
「お前のことは、きりがないので話しを戻すが……」
え、そうなの?
なんか知らないけどラッキー!!
そう思ってニコニコしてると、私のそれに気付いたカイくんが、明らかにイラっとした様子で軽く睨んできた。
あ、はい……調子に乗って、ごめんなさい。
―――――――――――――――――――――――――――……
【オマケ】
一方その頃アルフォンスは、まだまだ夢の中だった……!!
アル「んー……リア、ダメだ……耳に触りたいというのは……いや、尻尾ならまだいいが…………あ、待てダメだ、それは本当によくなっ————」
私のついた嘘と内容が似てるような気もするし、これは一体どういうことなんだろうか。
「内容はそれだけなの?」
「ああ、さっき言った通り細かい条件の指定はあったものの、具体的な内容としてはそれだけだ……俺の聞く限りはな」
「そう……」
やはりヴィヌテテュース様は、大地の大精霊様の不自然な状態を知っている?
でも、そうだったとしてもまるでご聖託が降ったタイミングが、私の行動と被っているように思えるのはいったい……。
「やっぱり、お前なんかおかしいな……?」
私が思わず考え込んでいると、そんなカイくんの怪訝そうな声が聞こえてきた。
声の方を向くとそこには、その声色と同じく不審げに私の顔を覗き込むカイくんの姿があった。
あら……?
「そもそも、お前が一番最初にヴィヌテテュース様の声を聞いたという話なのに、随分と意外そうな口ぶりで色々聞いてくるのはどうなんだよ?」
「あー、うん……」
いや、実は知らないからです……。
しかし、どうしよう……カイくんには本当のことを話す?
今のところは、本気で疑っているというより、少し違和感を感じてる程度みたいだけど……。
うーん…………言っちゃおっかな?
カイくんならきっと、まぁ大丈夫だろうし……!!
「実はさ、お兄様に私が言ったことって嘘なんだよねー!」
「……は?」
私がそう言った瞬間、カイくんはぽかんとした顔でマヌケな声を出す。
あ、やっぱり予想外だったんだ……こうなってしまったら、まぁこのまま全部言っちゃうけども。
「だから私は、ヴィヌテテュース様の声なんて聞いてないわけだね!」
「はぁ!?」
「いやー、私がちょうど嘘をついたタイミングで、その通りになるなんて本当にビックリだよねー!!」
「ちょっと待てっ!?」
そう言って私の言葉を止めたカイくんは、明らかに困惑した様子だ。
うんうん、見るからに混乱して考え込んでるねー。
全部私のせいだけど。
それからややあって、頭をおさえ、眉間にシワを寄せながら私へ顔を向けた彼は、ゆっくりと口を開いた。
「……つまりお前はアレか、あのヴィヌテテュース様をだしに使ったのか?」
うっ、それを改めて言われると痛いな……。
何か私の行動に呆れたり、色々言ってくることも多いカイくんだけど、今回は内容が内容なので、問いただしてくる雰囲気が普段のそれを通り越してる感じがするし。
「だってあの状況では仕方無かったんだよ……殺されるかと思ったから」
「それにしたって、その嘘はさすがにマズいだろうよ……そもそもアーク様がお前を殺すことは……」
「……確かに私だけだったら、そこまでの嘘はつかなかったよ」
「はぁ? だけ、だったらって……」
「あの時、あの場所には無関係の人が居て、私の事情で巻き込むわけにはいけなかったから……」
言い訳がましいとは思いつつも、私が色々言ってたら、彼は唐突に視線をそらして大きなため息をついた。
「そうか、そういうことか……よく分かった」
「え、えーっと……」
カイくんは何やら納得しているらしいが、私の方は彼が何に納得しているのか全然分からなくて、なんと返せばいいか逆に困ってしまった。
そうして私が戸惑っているうちに、私に視線を戻したカイくんが、真剣な表情で言う。
「お前って、他人が危なかったり困ってたりすると、自分よりそっちを優先したがる癖があるからな……本当にどうにかした方がいい」
それは気のせいか、やや怒っているようにも見えた。
「別に、そんなことはないと思うけど……」
「本気でそう思ってるなら、なおさら問題だ」
「えぇ……」
カイくんにはきっぱり言いきられてしまったけど、正直まったく納得がいかない。
だって、それについては本当に、そんなことをしてるつもりはないからだ。
いたって常識の範疇で、普通のことくらいしかしてない……むしろ場合によっては、普通にすら足りてないくらいだ。
「とにかくお前は馬鹿な行動は取らず、もっと自分を大切にしろ」
「はーい」
だがしかし、これ以上話をこじれさせても仕方ない……。
なので、ここは一旦おとなしく、この場をやり過ごすためにテキトーな返事でもしておこう。
「お前、とりあえずこの場をやり過ごそうと思って、今テキトーな返事をしただろう?」
「…………違うよ」
「さすがに分かるからな?」
ま、まずい、完全にバレてる……。
え、これって怒られる?
「まぁ、言うだけ無駄なことも分かってはいるがな……」
しかし、カイくんは何やら小声でボソッとこぼしたものの、そこから追及されることはなく。
代わりに彼は頭をかきながら、何度目か分からない大きなため息をついていた。
「お前のことは、きりがないので話しを戻すが……」
え、そうなの?
なんか知らないけどラッキー!!
そう思ってニコニコしてると、私のそれに気付いたカイくんが、明らかにイラっとした様子で軽く睨んできた。
あ、はい……調子に乗って、ごめんなさい。
―――――――――――――――――――――――――――……
【オマケ】
一方その頃アルフォンスは、まだまだ夢の中だった……!!
アル「んー……リア、ダメだ……耳に触りたいというのは……いや、尻尾ならまだいいが…………あ、待てダメだ、それは本当によくなっ————」
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
強面夫の裏の顔は妻以外には見せられません!
ましろ
恋愛
「誰がこんなことをしろと言った?」
それは夫のいる騎士団へ差し入れを届けに行った私への彼からの冷たい言葉。
挙げ句の果てに、
「用が済んだなら早く帰れっ!」
と追い返されてしまいました。
そして夜、屋敷に戻って来た夫は───
✻ゆるふわ設定です。
気を付けていますが、誤字脱字などがある為、あとからこっそり修正することがあります。
セクスカリバーをヌキました!
桂
ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。
国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。
ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……
人質5歳の生存戦略! ―悪役王子はなんとか死ぬ気で生き延びたい!冤罪処刑はほんとムリぃ!―
ほしみ
ファンタジー
「え! ぼく、死ぬの!?」
前世、15歳で人生を終えたぼく。
目が覚めたら異世界の、5歳の王子様!
けど、人質として大国に送られた危ない身分。
そして、夢で思い出してしまった最悪な事実。
「ぼく、このお話知ってる!!」
生まれ変わった先は、小説の中の悪役王子様!?
このままだと、10年後に無実の罪であっさり処刑されちゃう!!
「むりむりむりむり、ぜったいにムリ!!」
生き延びるには、なんとか好感度を稼ぐしかない。
とにかく周りに気を使いまくって!
王子様たちは全力尊重!
侍女さんたちには迷惑かけない!
ひたすら頑張れ、ぼく!
――猶予は後10年。
原作のお話は知ってる――でも、5歳の頭と体じゃうまくいかない!
お菓子に惑わされて、勘違いで空回りして、毎回ドタバタのアタフタのアワアワ。
それでも、ぼくは諦めない。
だって、絶対の絶対に死にたくないからっ!
原作とはちょっと違う王子様たち、なんかびっくりな王様。
健気に奮闘する(ポンコツ)王子と、見守る人たち。
どうにか生き延びたい5才の、ほのぼのコミカル可愛いふわふわ物語。
(全年齢/ほのぼの/男性キャラ中心/嫌なキャラなし/1エピソード完結型/ほぼ毎日更新中)
つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました
蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈
絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。
絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!!
聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ!
ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!!
+++++
・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)
男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件
美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…?
最新章の第五章も夕方18時に更新予定です!
☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。
※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます!
※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。
※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!
『異世界に転移した限界OL、なぜか周囲が勝手に盛り上がってます』
宵森みなと
ファンタジー
ブラック気味な職場で“お局扱い”に耐えながら働いていた29歳のOL、芹澤まどか。ある日、仕事帰りに道を歩いていると突然霧に包まれ、気がつけば鬱蒼とした森の中——。そこはまさかの異世界!?日本に戻るつもりは一切なし。心機一転、静かに生きていくはずだったのに、なぜか事件とトラブルが次々舞い込む!?
【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜
一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m
✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。
【あらすじ】
神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!
そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!
事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます!
カクヨム(吉野 ひな)にて、先行投稿しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる