魔術少女と呪われた魔獣 ~愛なんて曖昧なモノより、信頼できる魔術で王子様の呪いを解こうと思います!!~

朝霧 陽月

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第80話 情報共有というか暴露

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 大地の大精霊様を助けて欲しい……ヴィヌテテュース様がそんなことを?
 私のついた嘘と内容が似てるような気もするし、これは一体どういうことなんだろうか。

「内容はそれだけなの?」

「ああ、さっき言った通り細かい条件の指定はあったものの、具体的な内容としてはそれだけだ……俺の聞く限りはな」

「そう……」

 やはりヴィヌテテュース様は、大地の大精霊様の不自然な状態を知っている?
 でも、そうだったとしてもまるでご聖託せいたくくだったタイミングが、私の行動と被っているように思えるのはいったい……。

「やっぱり、お前なんかおかしいな……?」

 私が思わず考え込んでいると、そんなカイくんの怪訝けげんそうな声が聞こえてきた。
 声の方を向くとそこには、その声色と同じく不審げに私の顔を覗き込むカイくんの姿があった。
 あら……?

「そもそも、お前が一番最初にヴィヌテテュース様の声を聞いたという話なのに、随分と意外そうな口ぶりで色々聞いてくるのはどうなんだよ?」

「あー、うん……」

 いや、実は知らないからです……。

 しかし、どうしよう……カイくんには本当のことを話す?
 今のところは、本気で疑っているというより、少し違和感を感じてる程度みたいだけど……。

 うーん…………言っちゃおっかな?
 カイくんならきっと、まぁ大丈夫だろうし……!!

「実はさ、お兄様に私が言ったことって嘘なんだよねー!」

「……は?」

 私がそう言った瞬間、カイくんはぽかんとした顔でマヌケな声を出す。
 あ、やっぱり予想外だったんだ……こうなってしまったら、まぁこのまま全部言っちゃうけども。

「だから私は、ヴィヌテテュース様の声なんて聞いてないわけだね!」

「はぁ!?」

「いやー、私がちょうど嘘をついたタイミングで、その通りになるなんて本当にビックリだよねー!!」

「ちょっと待てっ!?」

 そう言って私の言葉を止めたカイくんは、明らかに困惑した様子だ。
 うんうん、見るからに混乱して考え込んでるねー。
 全部私のせいだけど。

 それからややあって、頭をおさえ、眉間にシワを寄せながら私へ顔を向けた彼は、ゆっくりと口を開いた。

「……つまりお前はアレか、あのヴィヌテテュース様をだしに使ったのか?」

 うっ、それを改めて言われると痛いな……。
 何か私の行動に呆れたり、色々言ってくることも多いカイくんだけど、今回は内容が内容なので、問いただしてくる雰囲気が普段のそれを通り越してる感じがするし。

「だってあの状況では仕方無かったんだよ……殺されるかと思ったから」

「それにしたって、その嘘はさすがにマズいだろうよ……そもそもアーク様がお前を殺すことは……」

「……確かに私だけだったら、そこまでの嘘はつかなかったよ」

「はぁ? だけ、だったらって……」

「あの時、あの場所には無関係の人が居て、私の事情で巻き込むわけにはいけなかったから……」

 言い訳がましいとは思いつつも、私が色々言ってたら、彼は唐突に視線をそらして大きなため息をついた。

「そうか、そういうことか……よく分かった」

「え、えーっと……」

 カイくんは何やら納得しているらしいが、私の方は彼が何に納得しているのか全然分からなくて、なんと返せばいいか逆に困ってしまった。

 そうして私が戸惑っているうちに、私に視線を戻したカイくんが、真剣な表情で言う。

「お前って、他人が危なかったり困ってたりすると、自分よりそっちを優先したがる癖があるからな……本当にどうにかした方がいい」

 それは気のせいか、やや怒っているようにも見えた。

「別に、そんなことはないと思うけど……」

「本気でそう思ってるなら、なおさら問題だ」

「えぇ……」

 カイくんにはきっぱり言いきられてしまったけど、正直まったく納得がいかない。
 だって、それについては本当に、そんなことをしてるつもりはないからだ。
 いたって常識の範疇で、普通のことくらいしかしてない……むしろ場合によっては、普通にすら足りてないくらいだ。

「とにかくお前は馬鹿な行動は取らず、もっと自分を大切にしろ」

「はーい」

 だがしかし、これ以上話をこじれさせても仕方ない……。
 なので、ここは一旦おとなしく、この場をやり過ごすためにテキトーな返事でもしておこう。

「お前、とりあえずこの場をやり過ごそうと思って、今テキトーな返事をしただろう?」

「…………違うよ」

「さすがに分かるからな?」

 ま、まずい、完全にバレてる……。
 え、これって怒られる?

「まぁ、言うだけ無駄なことも分かってはいるがな……」

 しかし、カイくんは何やら小声でボソッとこぼしたものの、そこから追及されることはなく。
 代わりに彼は頭をかきながら、何度目か分からない大きなため息をついていた。

「お前のことは、きりがないので話しを戻すが……」

 え、そうなの?
 なんか知らないけどラッキー!!

 そう思ってニコニコしてると、私のそれに気付いたカイくんが、明らかにイラっとした様子で軽く睨んできた。

 あ、はい……調子に乗って、ごめんなさい。



 ―――――――――――――――――――――――――――……



【オマケ】
 一方その頃アルフォンスは、まだまだ夢の中だった……!!
 アル「んー……リア、ダメだ……耳に触りたいというのは……いや、尻尾ならまだいいが…………あ、待てダメだ、それは本当によくなっ————」
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