大地魔法使いの産業革命~S級クラス魔法使いの俺だが、彼女が強すぎる上にカリスマすぎる!

倉紙たかみ

文字の大きさ
16 / 55

第16話 どっちの我慢ショー

しおりを挟む
 ――まあ、強いな。

 雑魚ではないとは思っていたけど、このファンサとかいう女性は相当な実力者だ。魔法の『器用さ』というのは天性のものでもある。アクアブラスターという難易度の高い魔法を、彼女は簡単にやってのけた。食らったのが心臓だったら、さすがの俺もヤバかったかもしれない。まあ、あたらないけど。

 俺は剣と鞘を粒子化して、周囲へと漂わせる。量は心許ないが、テスラみたいなバケモノと戦うわけでもないし、これぐらいで十分だろう。

 ファンサが指を持ち上げた。アクアブラスターだ。俺は、素早く回避する。魔力で水を創造できるのは羨ましい。

 魔法にもいろいろあって、俺は操作タイプだ。存在するものを操作することが圧倒的に得意。そのぶんパワーがある。だが、無からつくりだす創造タイプの魔法は苦手なのだ。こればっかりは属性的な不得手もあるので仕方がない。

「よっ」

 俺はファンサを囲むように砂の竜巻を発生させる。ファンサが連続してアクアブラスターを放つ。だが、風に起動を変えられ、砂に水分を奪われる。俺には届かない。

「属性の相性が悪かったな」

「う、うるさいのです! 戦い方などいくらでもあります!」

「ああ、俺だって戦い方はいくらでもあるぜ。足下を見てみろよ」

「えッ?」

 彼女の足を、砂が捉えていた。それは、蟻が這うかのように身体を這い上がる。そして蛇の如く身体に巻き付いた。

「はい、勝負あり」

「う、ぐッ!」

 たいした砂の量じゃないけど、女性を拘束するには十分だろう。力で逃れるのは無理だ。いや、テスラなら余裕で逃れるだろうけど。

「な、なるほど……少しはやりますねぇ……」

 負け惜しみかと思ったが――どうやら、彼女も奥の手を持っていたようだ。ファンサが水流を纏う。しゅわしゅわと砂が焼けるように溶けていく。

「砂が溶ける……? 水の上位属性……?」

 酸。いや、彼女の知識があれば、酸を操作することで、ありとあらゆる『薬品』をつくることが可能だろう。かなり珍しいタイプの魔法だ。

「薬魔法か」

 溶けた砂から煙が漂っている。毒ガスの可能性もありそうだ。そこそこ耐性もあるが、病気になると嫌なので、とっとと終わらせよう。

「あーあ。これで終わりなら楽だったんだけどな」

「ふふ、リークくんと言いましたっけ? 先生を侮っちゃいけませんよぉ?」

「いや、どちらにしろ、お仕舞いだよ。虐めるのは嫌だから、最後の手段だったんだけどな。――もう一度、足下を見てみな」

 俺たちの立っている床には、いつの間にかおびただしい量の砂がばらまかれていた。その水位――いや、砂位は、ゆっくりと確実に高さを増していく。

「え……ッ?」

 ファンサが見上げた。すると、窓からザァアアアアアと、滝のように砂が流れ落ちていた。俺がパチンと指を鳴らす。すると、点在する他の窓からも一斉に砂が流れてくる。外にある砂や土を大量に流し込んでいるのだ。

「この勢いだと、一時間ぐらいで部屋を満杯にできるかな? ま、そうなるとファンサ先生は確実に窒息死する。あるいは圧死する。砂って結構重いんだぜ」

「な……な……」

「はい、俺の勝ち。砂のせいで窓からは逃げられないよ。扉も砂が邪魔で開かない。ご自慢の薬魔法でなんとかできるかな? それよりも本は大丈夫かな?」

 事実、本が砂へと埋もれていく。これは、彼女にとって、あってはならないことだろう。さらにいえば、彼女自身は砂を登っていけば一時間は耐えられる。けど、その頃には本棚の本も埋まってしまうわけで、痛んでしまうか下手をすると二度と読めなくなる。

「こ、こんなの! ふ、ふざけないでください! 許されることじゃありませんよ!」

「うーん。知ったこっちゃないかな?」

 砂に足を捉えられながらも、向かってくるファンサ。けど、俺はその場へと仰向けに倒れた。瞬間、俺の身体は砂の中へと埋もれ、消えてしまう。砂の中へ回避だ。こうなると、俺を見つけることはできない。戦うこともできない。

「あ、あああッ! あ、あああッ! ほ、本がッ! 宝がッ!」

 ファンサは、砂に埋もれてしまいそうな本を発掘せんと、手で砂を掘り始める! けど、次々と迫り来る大量の砂が、それを許さない。

「ああ、ああああああッ! やめて! やめてください!」

 歴史的価値のある本を傷つけるのは憚るなぁ。けど、その気持ちは、ファンサの方が強いだろう。

「わかりました! 先生の負けです! お願い! お願いですからッ! これ以上、本を傷つけないでくださぁぁぁぁい!」

 彼女の叫びによって、この戦いの終わりが示されるのだった。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

『辺境伯一家の領地繁栄記』スキル育成記~最強双子、成長中~

鈴白理人
ファンタジー
ラザナキア王国の国民は【スキルツリー】という女神の加護を持つ。 そんな国の北に住むアクアオッジ辺境伯一家も例外ではなく、父は【掴みスキル】母は【育成スキル】の持ち主。 母のスキルのせいか、一家の子供たちは生まれたころから、派生スキルがポコポコ枝分かれし、スキルレベルもぐんぐん上がっていった。 双子で生まれた末っ子、兄のウィルフレッドの【精霊スキル】、妹のメリルの【魔法スキル】も例外なくレベルアップし、十五歳となった今、学園入学の秒読み段階を迎えていた── 前作→『辺境伯一家の領地繁栄記』序章:【動物スキル?】を持った辺境伯長男の場合

~唯一王の成り上がり~ 外れスキル「精霊王」の俺、パーティーを首になった瞬間スキルが開花、Sランク冒険者へと成り上がり、英雄となる

静内燕
ファンタジー
【カクヨムコン最終選考進出】 【複数サイトでランキング入り】 追放された主人公フライがその能力を覚醒させ、成り上がりっていく物語 主人公フライ。 仲間たちがスキルを開花させ、パーティーがSランクまで昇華していく中、彼が与えられたスキルは「精霊王」という伝説上の生き物にしか対象にできない使用用途が限られた外れスキルだった。 フライはダンジョンの案内役や、料理、周囲の加護、荷物持ちなど、あらゆる雑用を喜んでこなしていた。 外れスキルの自分でも、仲間達の役に立てるからと。 しかしその奮闘ぶりは、恵まれたスキルを持つ仲間たちからは認められず、毎日のように不当な扱いを受ける日々。 そしてとうとうダンジョンの中でパーティーからの追放を宣告されてしまう。 「お前みたいなゴミの変わりはいくらでもいる」 最後のクエストのダンジョンの主は、今までと比較にならないほど強く、歯が立たない敵だった。 仲間たちは我先に逃亡、残ったのはフライ一人だけ。 そこでダンジョンの主は告げる、あなたのスキルを待っていた。と──。 そして不遇だったスキルがようやく開花し、最強の冒険者へとのし上がっていく。 一方、裏方で支えていたフライがいなくなったパーティーたちが没落していく物語。 イラスト 卯月凪沙様より

ジャングリラ~悪魔に屠られ魔王転生。死の森を楽園に変える物語~

とんがり頭のカモノハシ
ファンタジー
「別の世界から勇者を召喚する卑怯な手口」に業を煮やした堕天使・ルシファーにより、異世界へ魔王として転生させられた大学生・左丹龍之介。 先代・魔王が勇者により討伐されて100年――。 龍之介が見たものは、人魔戦争に敗れた魔族が、辺境の森で厳しい生活を余儀なくされている姿だった。 魔族の生活向上を目指し、龍之介は元魔王軍の四天王、悪魔公のリリス、フェンリルのロキア、妖狐の緋魅狐、古代龍のアモンを次々に配下に収めていく。 バラバラだった魔族を再び一つにした龍之介は、転生前の知識と異世界の人間の暮らしを参考に、森の中へ楽園を作るべく奔走するのだが……

世界一簡単にレベルアップ ~魔物を倒すだけでレベルが上がる能力を得た俺は、弱小の魔物を倒しまくって異世界でハーレム作る事にしました~

きよらかなこころ
ファンタジー
 シンゴはある日、事故で死んだ。  どうやら、神の手違いで間違って死んでしまったシンゴは異世界に転生することになる。  転生する際にオマケに『魔物を倒すだけでレベルが上がる』能力を貰ったシンゴ。  弱小の魔物を倒してレベルを上げ、異世界でハーレムを作る事を企むのだった。

スキルはコピーして上書き最強でいいですか~改造初級魔法で便利に異世界ライフ~

深田くれと
ファンタジー
【文庫版2が4月8日に発売されます! ありがとうございます!】 異世界に飛ばされたものの、何の能力も得られなかった青年サナト。街で清掃係として働くかたわら、雑魚モンスターを狩る日々が続いていた。しかしある日、突然仕事を首になり、生きる糧を失ってしまう――。 そこで、サナトの人生を変える大事件が発生する!途方に暮れて挑んだダンジョンにて、ダンジョンを支配するドラゴンと遭遇し、自らを破壊するよう頼まれたのだ。その願いを聞きつつも、ダンジョンの後継者にはならず、能力だけを受け継いだサナト。新たな力――ダンジョンコアとともに、スキルを駆使して異世界で成り上がる!

異世界ハズレモノ英雄譚〜無能ステータスと言われた俺が、ざまぁ見せつけながらのし上がっていくってよ!〜

mitsuzoエンターテインメンツ
ファンタジー
【週三日(月・水・金)投稿 基本12:00〜14:00】 異世界にクラスメートと共に召喚された瑛二。 『ハズレモノ』という聞いたこともない称号を得るが、その低スペックなステータスを見て、皆からハズレ称号とバカにされ、それどころか邪魔者扱いされ殺されそうに⋯⋯。 しかし、実は『超チートな称号』であることがわかった瑛二は、そこから自分をバカにした者や殺そうとした者に対して、圧倒的な力を隠しつつ、ざまぁを展開していく。 そして、そのざまぁは図らずも人類の命運を握るまでのものへと発展していくことに⋯⋯。

【完結】異世界で神の元カノのゴミ屋敷を片付けたら世界の秘密が出てきました

小豆缶
ファンタジー
父の遺したゴミ屋敷を片付けていたはずが、気づけば異世界に転移していた私・飛鳥。 しかも、神の元カノと顔がそっくりという理由で、いきなり死刑寸前!? 助けてくれた太陽神ソラリクスから頼まれた仕事は、 「500年前に別れた元恋人のゴミ屋敷を片付けてほしい」というとんでもない依頼だった。 幽霊になった元神、罠だらけの屋敷、歪んだ世界のシステム。 ポンコツだけど諦めの悪い主人公が、ゴミ屋敷を片付けながら異世界の謎を暴いていく! ほのぼのお仕事×異世界コメディ×世界の秘密解明ファンタジー

社会の底辺に落ちたオレが、国王に転生した異世界で、経済の知識を活かして富国強兵する、冒険コメディ

のらねこま(駒田 朗)
ファンタジー
 リーマンショックで会社が倒産し、コンビニのバイトでなんとか今まで生きながらえてきた俺。いつものように眠りについた俺が目覚めた場所は異世界だった。俺は中世時代の若き国王アルフレッドとして目が覚めたのだ。ここは斜陽国家のアルカナ王国。産業は衰退し、国家財政は火の車。国外では敵対国家による侵略の危機にさらされ、国内では政権転覆を企む貴族から命を狙われる。  目覚めてすぐに俺の目の前に現れたのは、金髪美少女の妹姫キャサリン。天使のような姿に反して、実はとんでもなく騒がしいS属性の妹だった。やがて脳筋女戦士のレイラ、エルフ、すけべなドワーフも登場。そんな連中とバカ騒ぎしつつも、俺は魔法を習得し、内政を立て直し、徐々に無双国家への道を突き進むのだった。

処理中です...