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第18話 忘れ物はございませんか?
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一方その頃。
リークが出て行って数時間後。ククルはクザンガ山の中腹で待機していた。リークのことは心配していない。相手がエリート集団であろうと、リークの魔法は桁が違う。本人は謙遜しているが、あの魔法は国王陛下すらも凌駕するに違いない。ククルはそう信じている。
けど、寂しくないと言ったら嘘になる。本来なら、ミトリではなくククルがついていきたかった。
ククルは五十人の兵隊さんたちとお留守番。リークが学生たちをコテンパンにやっつけるだろうから、それらを兵隊さんたちに連行してもらうというのが流れになると思っていた。
兵隊さんたちは、テスラが直接雇っている私兵で、普段は町のパトロールや魔物の駆逐などを行っているらしい。教育が行き届いているのか、しっかりしている人たちばかりですごしやすかった。
リークたちを待っている間、ククルは彼らにパンケーキを振る舞ってあげる。
「おかわりの欲しい人はいらっしゃいますか?」
「はいはい!」「おかわりください!」「俺、三枚追加で!」「俺は四枚!」「おまえ食い過ぎだろう!」「蜂蜜たっぷりでお願いします!」
「材料はたくさんありますから、どれだけでもおつくりしますよ。順番に――」
その時だった。大地が鳴動する。兵士たちは、バランスを崩して転んでしまう。馬がいななき、暴れていた。ククルは、慣れているのですぐさましゃがんだ。
「こ、これはもしかして……」
ラシュフォールは地続きの大陸なので、地震は滅多に起こらない。ゆえに、地震が起こる時は、だいたいリークが魔法を使った時だ。しかし、これほどの揺れは経験がない。苦戦しているのだろうか。
ゆれが収まった。すると、ククルたちの頭上に巨大な影が落ちる。兵士たちが空を見上げた。そして、指を差して口をパクパクさせる。
「お、おい! あ……ありゃなんだ?」「魔物?」「ド、ドラゴンじゃないよな?」「こ、この世の終わりか?」
そこには、巨大な岩が浮かんでいた。いや、岩と形容するのは妥当ではない。岩の塊には違いないが、その規模はまるで浮遊大陸。山の一部を切り離したかのように、巨大な大地が空を浮かんでいるのだ。
そして、そこに屹立するのはイシュフォルト図書館。建物ごと大地を持ち上げ、それが空を浮遊しているのだった。
「まさか……リーク様が……?」
リークの魔力であれば、図書館を持ち上げることぐらい容易い。それが町ぐらい巨大であろうとも。
――凄まじい。
さすがはラーズイッド家を継ぐ御方である。大国とも、単騎で渡り合える魔力。
ククルは図書館でどのようなやりとりがあったのかを推察する。リークは優しい。ゆえに、図書館ごとの引っ越しを考えたのだろう。
だが、ククルに沸いてきた感情は『怒り』と『悲しみ』だった。
「リーク様ぁぁあぁぁぁぁッ! 私たちのこと忘れてませんかぁぁぁぁッ!」
クザンガ山の中腹で、不憫なメイドは哀を叫ぶ。
リークが出て行って数時間後。ククルはクザンガ山の中腹で待機していた。リークのことは心配していない。相手がエリート集団であろうと、リークの魔法は桁が違う。本人は謙遜しているが、あの魔法は国王陛下すらも凌駕するに違いない。ククルはそう信じている。
けど、寂しくないと言ったら嘘になる。本来なら、ミトリではなくククルがついていきたかった。
ククルは五十人の兵隊さんたちとお留守番。リークが学生たちをコテンパンにやっつけるだろうから、それらを兵隊さんたちに連行してもらうというのが流れになると思っていた。
兵隊さんたちは、テスラが直接雇っている私兵で、普段は町のパトロールや魔物の駆逐などを行っているらしい。教育が行き届いているのか、しっかりしている人たちばかりですごしやすかった。
リークたちを待っている間、ククルは彼らにパンケーキを振る舞ってあげる。
「おかわりの欲しい人はいらっしゃいますか?」
「はいはい!」「おかわりください!」「俺、三枚追加で!」「俺は四枚!」「おまえ食い過ぎだろう!」「蜂蜜たっぷりでお願いします!」
「材料はたくさんありますから、どれだけでもおつくりしますよ。順番に――」
その時だった。大地が鳴動する。兵士たちは、バランスを崩して転んでしまう。馬がいななき、暴れていた。ククルは、慣れているのですぐさましゃがんだ。
「こ、これはもしかして……」
ラシュフォールは地続きの大陸なので、地震は滅多に起こらない。ゆえに、地震が起こる時は、だいたいリークが魔法を使った時だ。しかし、これほどの揺れは経験がない。苦戦しているのだろうか。
ゆれが収まった。すると、ククルたちの頭上に巨大な影が落ちる。兵士たちが空を見上げた。そして、指を差して口をパクパクさせる。
「お、おい! あ……ありゃなんだ?」「魔物?」「ド、ドラゴンじゃないよな?」「こ、この世の終わりか?」
そこには、巨大な岩が浮かんでいた。いや、岩と形容するのは妥当ではない。岩の塊には違いないが、その規模はまるで浮遊大陸。山の一部を切り離したかのように、巨大な大地が空を浮かんでいるのだ。
そして、そこに屹立するのはイシュフォルト図書館。建物ごと大地を持ち上げ、それが空を浮遊しているのだった。
「まさか……リーク様が……?」
リークの魔力であれば、図書館を持ち上げることぐらい容易い。それが町ぐらい巨大であろうとも。
――凄まじい。
さすがはラーズイッド家を継ぐ御方である。大国とも、単騎で渡り合える魔力。
ククルは図書館でどのようなやりとりがあったのかを推察する。リークは優しい。ゆえに、図書館ごとの引っ越しを考えたのだろう。
だが、ククルに沸いてきた感情は『怒り』と『悲しみ』だった。
「リーク様ぁぁあぁぁぁぁッ! 私たちのこと忘れてませんかぁぁぁぁッ!」
クザンガ山の中腹で、不憫なメイドは哀を叫ぶ。
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