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#6 ヒヤシンス

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#6 ヒヤシンス

[土曜日前夜]
仕事が終わり、私は、社長と一緒に会社のエントランスを出て駅に向かった。
秘書になってから数日。
もはや、これは当たり前になりつつあった。

「いやー、今日は華の金曜日ですね!!社長もやっと、一休み出来ますね!」
と私が言うと、社長は
「そうですねー。」
と少し気のない返事をした。

どうしたのだろうか。
何となく言葉の温度が低い。
疲れたのかな?

そう思いながら私は、ふと空を見上げた。
明日は雨。そう思わせる、曇り空だった 。
星も月も何一つ見えない。
「今日は、月、、見えませんね。」
自然とそう発していた。
「そうですね。でも、、、、。」
でもと発してから数秒の間あいて
「星は綺麗ですね。」
と言った。
え??
先程と空は変わらず、曇り空だ。
星なんてどこに見えますか。
と聞こうと私は社長の横顔に目を向けた。
目に映った社長の表情は暗くてよく見えなかったが顔が少し赤くなっているように見え、聞くのが少し遅れた。

なんで、顔が赤いのだろうか。

そんな疑問を抱えつつ、改めて聞こうとすると
「この意味は 、、、きっとあなたには届かないんですよね。」
とギリギリ聞こえる声で、泣きそうな作り笑顔とともに社長が言った。
「え、、なんでそんなk」 

え、なんでそんな顔するんですか。
と聞こうとした。
しかし、社長はその私の小さな声に被せるように「駅に着きましたね。今日は急いで帰りますのでこれで。」
と私に背を向け足早に私の前から去った。
時間が遅いこともあり、駅に人あたりはなく、社長の背中はより一層際立って私の目に映った。
私はただただその背中を見ているだけで、棒立ちのまま固まっていた。
すると足早に去って行ったように見えた社長の足が急に止まった。
そして私の方に振り返り少し大きめの声で、
「とても幸せな一週間でした!」
といい、

その後に
「この意味もきっと知らない。」
と小さく小声で言った。
しかし、私には、口が動いていることすら判断がしずらくなんと言ったのか、むしろ、声を発したのかすらもわからなかった。
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