【完結】クビになった転生神子♂、仕様がないので元護衛の伴侶探しを手伝ってやる

夏ノ宮萄玄

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プロローグ

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「ラトゥエル様。予定の時刻となりましたがお目覚めになられましたでしょうか? ラトゥエル様? ……失礼いたします」

 侍従がノックし声を掛けるが、応答がなく意外そうに扉を開けている。いつもだったらさほど間を空けずにお返事をくださるのに、とオレも少し不思議に思いながら入室する侍従と隊長のあとに続いた。

「……ラトゥエル、様?」

 異常を知らせたのは呆然とした侍従の声だった。

 オレは素早く静寂な寝室を見渡すが、ここで眠っているはずの御方は見当たらない。隊長が声を張り上げると、護衛全員が広々とした寝室、それから繋がっている衣装室の捜索を始めた。

「いったい、どこへ……」

 影も形もなかった。攫われたのだろうか。人の気配があると眠れないというラトゥエル様の体調を優先し、魔法で結界が張ってあることも鑑みて就寝中はいつも護衛を室外に配置していたのが悔やまれた。

 今までこんなことはなかったのに。

 血の気が引く思いで膝を付きながらベッド下を覗き込む。そして頭を上げて次はどこを探せばと部屋を見回すと、ふと、近くにあるテーブル上の小さな紙の存在に気が付いた。よく見れば動かぬように重しが乗せてある。表には何も書かれていないが、これが手掛りだと直感し裏返した。

【教会の皆様へ
 顔を合わせてではあまりに名残惜しくなりますので、無作法なことではありますが手紙にて別れを申し上げることをご容赦ください。
 長い間本当にお世話になりました。皆様のこれからのご健勝とご多幸をお祈り申し上げて、最後の挨拶に代えさせていただきたいと思います。
                        第八十七代神子 ラトゥエル】

 丁寧な文字で綴られたその手紙は、見覚えのあるご署名で締めくくられていた。
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