上 下
5 / 11

『冷血騎士』とご対面

しおりを挟む
「ギルベ~~ル様!!
ギルベール様に、是非婚約してほしい女の子がいます!」
こうして、私はギルベール様と対面するのだった。
私は、頭を下げた。
「し、失礼します。
私は、元王女である、アンジュ…です。」
…私はどうしたらいいのか分からないまま、とりあえず挨拶をした。
だけれど、いつ頭を上げて良いものか分からなく、そのまま頭を下げ続けた。

ギルベール様と思われる人が喋った。
「…カルファ。
いつ、俺の家がこの女にバレたんだ?」
ギルベール様は困惑しながら言った。

(…ん??)
私の中で一つの疑問が出てきた。
もしかして、ギルベール様、私がギルベール様の家に押しかけて来たと思ってる?
全然違うんだけど…。
カルファは慌てて言う。
「あ~~~!!違いますよ!?
アンジュ様が押しかけたんじゃなくて、私が連れて来たんです!!」

…いまだに私は頭を下げ続けている。
いつ頭を上げれば良いものか…

「…そうか。
アンジュ…、と言ったか。
頭を上げて良い。」
「…ありがとうございます。」
私は頭を上げた。
そして、ギルベール様を初めて見た。

(…凄い美貌ね。)
そう、全ての女が嫉妬するような、凄い美貌だったのだ。
女々しい、とかそういう美貌ではなく、
(…なんというか凛々しい美貌。)
私がそんなことを考えていると、ギルベール様が言った。

「…この度は、俺の従者が迷惑をかけて申し訳ない。
きっとカルファに無理やり婚約するなど言わされたのだろう。
こちらからカルファにはきつく言っておくから、もう帰って良い。
申し訳なかった。」

…え?
これ、私がカルファに言わされたと思われてる??
また新しい誤解が生まれてしまった…。
カルファを横目で見ると、「ファイト!」とでも言いたげなようにジェスチャーをされてしまった。
(…カルファがここに連れて来たんだよね…??)

…仕方ない、ここは、猫を被ることにしよう。
「あのっ!私は自分の意思で婚約したいと言いました。
カルファさんの提案でしたが…。
だけど、私はギルベール様と婚約したいです!」

言い終わってから思い出したけど、ギルベール様って、女嫌いなのよね…?
急にこんなこと言ったら激怒したりしないかしら…??

「アンジュ…、君は今日王家を追い出された身だろ。
こんな俺以外にもきっと匿ってくれる人はいる。だから、婚約するなんて簡単に言ったら駄目だぞ。
分かったなら、違う人の元へ行きなさい。」
…話通じてる?
だけれど、ギルベール様は私を心配してくれてるのかしら…??

「ギルベール様は、私じゃ嫌ですか…??」
…私は、上目遣いで言った。
我ながら恥ずかしかったけれど、衣食住がかかっているのだ。
ギルベール様は、
「…嫌ではないが、」
上目遣い攻撃が効いたのか、少し照れてる…?
ギルベール様の美貌のせいだろうか。こちらが恥ずかしくなるからやめてほしい。

カルファはここぞとばかりに、
「じゃあ、婚約しちゃいましょうよ!!
とりあえずですよ、!」
と言ってきた。
私は構わないのだけれど…ギルベール様は大丈夫だろうか。
「…君は大丈夫だろうか?」

そうやって聞くってことは、ギルベール様は大丈夫ってことなのかな…?
「私は大丈夫です!」
カルファが言った。
「じゃあ、婚約決定~!!!
ということで、今日からアンジュ様住みますから、よろしくお願いします!!
じゃ、後はごゆっくり~~!!」
とカルファは言い残して、すぐに部屋を出て行ってしまった…。

私も部屋を出て行った方が良いのだろうか…??
そう考えていると、先に沈黙を破ったのはギルベール様だった。
「生憎、今は暇をしていたから、少し話をしても良いか…?」
「は、はい、大丈夫です。」

と、言ったは良いものの…。
(話題がない!!)
だけれどこのままだと話せないで終わりそうだから、話してみることにした。
「…質問をしても良いですか?」
「あ、あぁ。もちろんだ。」

「…ギルベール様は、女嫌いと聞いてましたけど…大丈夫でしたか?」
(正直、あんなにすんなり婚約を受け入れてもらえるとは思っていなかったので、内心びっくりしている。
そして、ギルベール様はそれなりに優しい。私は、何故ギルベール様が『冷血騎士』と呼ばれているのか疑問だった。)
「女嫌い、か…。」
ギルベール様は少し考えたのち、
「少し、俺の幼少期の話をしても良いか?」
と、語りだすのであった…。
しおりを挟む

処理中です...