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サプライズ

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(ギルベール様に、意識してもらうには…何をすればいいんだろう。)
…まさか、私がそんなことを考えるようになるなんて夢にも思わなかった。
だけれど、どうやって意識してもらうか…方法が分からない。
誰かに聞こうにも、話せる相手もいないし…。

どうしようかな、と思っていると、カルファに声をかけられた。
「あ~!!アンジュ様~!!
あ、アンジュ様じゃなくて、未来の奥様だ!」
…相変わらず、引くほど元気だわ…。
「元気ねカルファ…。」

「あれ、元気無いですね。
何かお困りですか~??このカルファが解決してみせましょう!!」
…そっか。カルファなら、話せるかも。
多分、一番ギルベール様に近い人物だし。
「カルファ。今、少し話せる?」

「ギルベール様を、意識させたい!?!?」
カルファに話すと、案の定、大げさなくらい反応された。
「…相変わらず声が大きい。」
(ギルベール様にバレたら、恥ずかしすぎる。)
「…そうでした。
小声にします。」

「でも、簡潔に言うと、そうなるわね。
…方法を考えていたんだけれど、どうしたら…い、意識させれると思う?」
正直、カルファに聞くのはお門違いかもしれないけど…。

「…未来の奥様、かわいいです!!」
…案の定、変な答えが返ってきた。
「…ちゃんと考えて。
これでも真剣に聞いてるの。」
(やっぱり、カルファに聞くのは駄目だったかもしれない…。)
そう思っていると、カルファは何故かドヤ顔で。
「お任せあれです!
これでも私、既婚者なので。」

…え??
「カルファって…既婚者だったの??」
この家に住み込みだったから、てっきり結婚してないのかと…。
「もー!!失礼な!
ちゃんと結婚してますよ!!」
「…というか、カルファって、何歳…??」
カルファは見た目も中性的だから、余計に年齢が分からない。
「え~~??そんなに知りたいですか~~??
それなら教えちゃおっかなぁ~~!!」

そんなに知りたくないです。
「そんなことより、どうすれば意識させれると思う?」
「…ハイ。」
(めっちゃ落ち込んでるけど、そんなに年齢聞いてほしいものなのかしら…??)

カルファは、さっきとは違い真剣な表情になり、
「きっと好きな人から何かしてもらったら、それだけで嬉しいんじゃないですか?」
と言った。
好きな人…。
ギルベール様は、私のことを好きなのかしら。
…分からない。

私が悩んでいると、
「とりあえず、悩むよりやったら良いんじゃないですか??」
とカルファが言った。
「あ、じゃあ未来の奥様は料理とか出来ますか?」
(…その呼び方、ぞわぞわするから本当にやめてほしい。
普通にアンジュ様って呼んでほしいのだけど。)

料理か。
王家で、唯一の私の取柄。
小さい頃から料理は得意だったから、それなりに自信はある。

「…それなりに、できるけど…。」
「じゃあ、手料理作りましょうよ手料理!!」
…でも、この屋敷にはシェフがいるし…。
私なんかが作っても迷惑にならないだろうか…??
「で、でも…。」
私が迷っていると、

「あ~~!!
愛しの人からの手料理なんて、幸せだろうなぁ~~~!!
食べたら意識しちゃうかもなぁ~~~!!!」
と大声でカルファが叫ぶので、圧倒されてつい、
「わ…分かったわよ…!!」
と言ってしまった。

これから、手料理サプライズ(?)をすることになってしまった。
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