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サプライズの結末

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これから、手料理サプライズ(?)をすることになってしまった。
今は、調理場へ向かっている最中だ。
生憎、料理は得意だったので作れるには作れるけど…
迷惑じゃないかしら…。

そんなことを考えながら歩いていると、カルファが喋りかけてきた。
「アンジュ様!
ギルベール様もぜひアンジュ様の手料理を食べてみたいと思ってると思いますよ!!
…きっと!!」
「ありがとうカルファ。」
そんな会話をしながら歩いていると、調理場についた。

調理場には、シェフが一人いる。
私がシェフに話しかけようとすると、カルファが先に話しかけた。
「シェフ~~!!
今日、ギルベール様の未来の奥様が手料理作りたいんだって~!!
だから一日この調理場貸して~!!」
…そう。合ってはいるけれど。
そんなに赤裸々に話さなくてよかったのに…。

シェフは快くOKしてくれた。それに加えて席まで外してくれたのだ。
感謝しないとね。

「さぁ~~!!
…何作ります??」
確かに、何の料理を作ればいいんだろう…。
私が覚えてる料理は…。
カレー…は、とても記憶に残っている。
何故なら、カレーは、小さい頃に、家族が褒めてくれた料理だから。

「カレー…作りたい。」
そう私が言うと、カルファはノリノリで言った。
「おぉ~~!!いいですねえ~!!」
カレー。
小さい頃に何回も作っていたから作り方は大体わかる。
この調理場、一流のシェフが使ってただけあって、とても材料がそろっている。
なんと、スパイスも何種類もある感じだ。

さっそく私は作り始めることにした。
…最初は、上手く行っていた。


「な、なんで、
なんでカレーが上手く出来ないの~!?」
そう、小さい頃には上手く出来ていたカレーが、
…長年作っていなかったせいか、上手く作れないのだ。
今作っているもので3回目…。
カルファは美味しいと言ってくれているが、正直、あんまり味も美味しくない…。

「アンジュ様ぁ~。
私飽きました~!!
それに今夕方ですよぉ~?もう諦めてギルベール様に渡しましょうよ~。」
…今作っているのは7回目…。
それに、もう夕方…。
諦めて、ギルベール様に渡そうと思った、その時。

「あれ、アンジュとカルファだ。」
ギルベール様が来たのだ。
(…ついにバレた)

「あぁ~!!ギルベール様ぁ~!!良い所にっ~!
今アンジュ様がギルベール様に手料理作ってるんですよぉ~!!」
「…っちょ!?
カルファ…!!何で全部言っちゃうの…!!」
本当にカルファは空気読めないわね…!

「…え」
ギルベール様が反応した。
「…本当に俺に?」
「っ~!?
…そうです!悪いですか!?」

ギルベール様は照れながら、
「…いや、嬉しい。
ありがとう…。」

…でもこのカレーは…失敗している。
そんなものを渡していいんだろうか…?
「…どんなカレーでも、笑いませんか…??」
そう私が言うと、ギルベール様は笑って、
「笑わないよ。
どんなカレーでも、アンジュが作ってくれたものなら完食して見せるよ。」
「…うぅ~。
わかりました…。今用意してきますね…。」
私は渋々カレーをお皿に盛りに調理場に行った。

「しっかし、愛されてますねぇギルベール様!」
「…そうだね。僕には勿体ない位。」
「えぇ~??照れちゃって~」
私がお皿を持って戻ってくると、何故かギルベール様の顔が赤くなっていた。
本当に何故!?

「あの…カレー、持ってきました…。」
見た目は美味しそうなんだけどな、味が…ね。
ギルベール様は嬉しそうに、
「おぉ~!いただきます!」
(…大丈夫かな。本当に完食できるのかな?)
「ん~!!
美味しいじゃんっ~!」
「…本当に??」
私は疑いながら聞いた。

「うん!ほんとほんと!!」
良かった~。
お世辞かもしれないけど、とりあえず安心。
「え、逆にアンジュはどこらへんが笑われると思ったの?」
「…味、ですけど。」

「え?美味しいよ~!!」
カルファも同意した。
「ですよねギルベール様!
カルファもアンジュ様の舌が肥えてるだけだと思います!!」
(…なんでだろ、今一瞬カルファを殴りたくなった)

「…作って良かった、です!」
ギルベール様は元気に言った。

「おかわり~!!」

こうして、手料理サプライズ(?)は大成功で幕を閉じた。
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