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第二話〜目に見えない気持ち〜
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梅雨晴れの土曜日。
中学の同級生に誘われて、男女三対三で近くのカラオケボックスに行く事になった。
つまらないこの田舎街の地元で、唯一の娯楽と言ってもいいこのカラオケボックスは、行くと必ずと言っていいほどの高確率で知り合いに遭遇する。
今日も誰かに会いそうだな。
どうせ会うならうーちゃんに会いたい。
でも昨日連絡したら、友達が来るから今日は会えないって言われた。
しょんぼり。
誰と会うのかな……まさか、女の子じゃないよね!?
「華奈ー。D◯Mとjo◯soundどっちがいい?」
「どっちでも大丈夫だよ~」
わざわざ確認してくれた友達には悪いけど、歌えるならどっちでもいい、そんなの。
うーちゃんに会えない寂しさを、大声で歌ってみんなではしゃいで発散出来るなら、機種なんて何でも構わないもの。
「部屋十七号室だって。いこ!」
受付を済ませカウンターから移動する時、一緒に来た一人の男子が出入り口の自動ドアを指差した。
「あれ桃井じゃね?」
桃井の『もも』まで聞いてすぐに身体がピクッと反応する。
うーちゃんだ!
うーちゃんだ、うーちゃんだ、うーちゃんだ!
あの丸まった猫背にキラリ光る金縁眼鏡、下を向いていたってすぐ分かる。
あれは間違いなくうーちゃんだ!!
どうしてここに?
カラオケ好きなんて、今まで一度も聞いた事ないよ?
「トイレ寄ってから行くから、みんな先に行ってて!」
「はいよー」
一人はマイクの入った取手付きのカゴを持ち、他のみんなはドリンクバーのコップを片手に、ゾロゾロと列を成して指定の部屋へと向かって行った。
よし、何かと騒ぎ立てそうなお邪魔虫達を排除するのにも成功。
そろーりそろーり、見つからないように忍者の如く忍足で、受付に並ぶうーちゃんの背後から「わっ!」と声を掛けた。
「来てたんだ」
あれ?
驚かせようとしたのに全然驚かない。
いつも通りのあっさり塩対応。
『うわぁ!』って言うとは流石に思ってないけどさ、もう少しなんて言うかあるじゃない、『おっ!』くらいのやつ。
エッチの時はあんなに激しくしてくれるのに、他所だと気取っちゃって。
でもそんな態度は微塵も見せません。
大好きな人の前だもの。
「うーちゃんがカラオケって珍しくない?」
「そう?」
うーちゃんに霞んで気づくのが遅れたけど、隣にはうーちゃんと似たような雰囲気の男の子が、ニコッとこちらへ笑みを向けている。
その笑顔に釣られて私もスマイル返し。
『お友達』が男の子だと判明した途端、ホッと胸を撫で下ろす単純な私。
そして、自分が思う精一杯可愛い笑顔で改めてご挨拶。
「あ、うーちゃんのお友達ですか? ご挨拶が遅れてすみません、うーちゃん宅のお隣に住んでいる華奈です」
うーちゃんの『彼女の』ってご挨拶した方が良かったのかも? なーんてね。
「どうも吉田です」
なかなか爽やかな笑顔でペコっと頭を下げた吉田君は、顔を横に向けてうーちゃんに何かコソッと話しかけていた。
でもそのコソコソ話しっかり聞こえてる。
私の事「彼女?」って訊いたんでしょ?
うーちゃんなんて言って返してくれるのかな。
ドキドキ、ワクワク。
怖いけど、一つの答えがもらえるような気がしてワクワクのが大きかった気がする。
でも次に聞こえた言葉はあまりにも残酷で。
予告なく突きつけられた現実に、一瞬目の前が真っ暗になった。
「遅れてごめんね」
「もう華奈遅いよ! 先に乾杯しちゃったよ」
「大丈夫だよ~」
ひと足先に部屋に入ったみんなは、ジュース片手に歌ではなくトークを楽しんでいた。
せっかくカラオケに来たのに、だ。
久しぶりに会ったから、歌うよりお互いの近況報告をしたいらしい。
「テキトーに華奈のジュース持ってきちゃった。これでいい? 好きだったよね?」
「ありがとう」
気が利く友達が持ってきてくれたのは、私の好きな野菜ジュース。
さっきのショッキングな出来事で喉が渇いていたのだろう、コップ一杯分をあっという間に飲み干してしまった。
「プハっ。ねぇ、みんな歌わないの?」
充電器に刺さったままのタッチパネル式リモコンを取り、テーブルの中央に配置した。
でも、やっぱり誰も手に取る様子は見られない。
と思ったら、その場にいる男性陣からの質問攻めが一気に始まった。
「なぁ、桃井って今何してるん?」
「華奈とは同じ高校だったよな?」
「華奈と桃井って家隣だよね?」
「今も仲良しなん?」
次から次へと矢継ぎ早に……。
そんな男子勢とは反対に、女子はさほどうーちゃんに興味なさそうですよ。
ププッ。
ちょっと面倒だけど仕方ない。
盛り下がらないように、出来る範囲でお答えしましょうか。
「桃井君は、今は〇〇大生。高校は同じだったけど、あちらは特進クラスで私は普通科。家は隣だけど、最近はたまに顔合わせるくらい」
みんなの前では、うーちゃんなんて口が裂けても呼べない。
騒がれたくないし、余計な事も言われたくない。
そして何より、私達二人だけの秘密を誰にも知られたくないから。
「へぇーそうなんだ」
しかも、あれだけ質問した割に、大して興味ないって言う……。
どんな答えを期待していたのか知らないけど、きっとつまらなかったんだろうな。
だったら、初めから聞かなくていいのに。
一気に説明したからまた喉が渇いた。
それに、これ以上何か質問されてボロが出ると面倒だから、少しこの場を離れよう。
「おかわり取ってくる」
立ち上がると、隣に座っていた男子――佐々木君が「俺も行くわ」と言って、コップに残ったジュースを一気飲みしながらスクっと立ち上がった。
佐々木君とは中三の時同じクラスだったけど、実はそんなに話した記憶はないんだよね。
確かサッカー部で、一個下の可愛い後輩と付き合っているとかなんとか噂があったような。
それくらいの認識しかない同級生。
そんなわけで一緒に遊ぶ事自体、今日初めてかもしれない。
二人で受付カウンター近くのドリンクバーへ向かう。
「内藤またそれ?」
にんじん色の野菜ジュースが入ったコップを見た彼は、呆れたように笑う。
「これ好きなの」
私は一途なんです。
こうと決めたらずっとそれだけを愛するんです。
「こんなに種類あるんだから他飲めばいーじゃん」
「これがいいの。これしかいつも飲まないの」
「そうなん? 俺は色々飲みたい派だけどね。まぁいいや。それより内藤って桃井とはただの幼馴染なんだよな?」
佐々木君の言葉に、さっきのうーちゃん達のやり取りが蘇る。
『彼女?』
『違うよ』
確かに、うーちゃんは間違った事はひとつも言ってない。
私はうーちゃんから『付き合って』と言われた事はないし、私からもうーちゃんにその手の事は言ったことないから。
それでもショックだったな。
エッチはするし、『好き?』って訊くと『うん』って答えてくれるから、どこかで私達は付き合っているのかと錯覚してたみたい。
「内藤?」
何も答えない私に、佐々木君が心配そうに顔を覗き込む。
女子の中ではそこそこ背が高い私だけど、佐々木君はそんな私が見上げるほど背が高い。
その彼が身を屈めて覗き込む姿に、不覚にも少しだけドキッとした。
「あ、ごめん。そうだよ、う……桃井君とはただの幼馴染。てゆーかご近所さん? 知り合い? とにかくそんな感じで大した事ない仲だよ!」
もうヤケクソ。
うーちゃんなんてどうでもいい。
私の処女奪っておいて、あんな事言うんだから。
無理矢理奪わせたのは私だけど。
「そーなんだ? じゃあ俺と付き合わない? 前から内藤の事いいなと思っててさ。今日だって、内藤が来るって聞いたから俺来たんだよ」
「やだ。佐々木君遊び人だもん。ヤリ◯ンだって噂聞いた事ある」
「酷いなー。内藤の事は本気だよ、だから考えてみてよ。な?」
みんな待ってるし、面倒臭いからテキトーに返事して部屋に戻った。
*
『華奈も行こうよ~』
『ごめんね。どうしても今日中に終わらせたい課題があるの』
みんなとは三時間一緒に過ごして、暗くなる前に家に帰って来た。
どうしても気持ちが乗らなくて、誘われたファミレスには行く気にならなかったから。
お隣さんの駐車場をチラッと覗くと、うーちゃん愛用の白いクロスバイクが停めてあるのを発見。
うーちゃんも帰って来てる。
部屋に行きたい、ピンポン鳴らしちゃおうか、でも……。
うーちゃんに会いたい気持ちをグッと抑え、そのまま大人しく家の玄関ドアを開けた。
*
寝る前に、佐々木君に言われた事をもう一度よく考えてみる。
佐々木君と付き合うって事は、キスしたりエッチな事したりするって事だよね?
あの佐々木君と――
クチュクチュ出来る?
ペロペロ出来る?
やだ、いつものピンク色の妄想が全く膨らまない。
それどころか、想像したくないって言うか、うーちゃん以外の人となんてちょっと気持ち悪い。
ごめん、佐々木君。
それだけじゃなくて、もし佐々木君と付き合ったら、うーちゃんとはもうエッチな事しちゃいけないんだよね。
そんなのイヤ。
だって、あんなに恥ずかしい事してるのに、幸せで満たされた気分になれるのは、絶対にうーちゃんだけだもの。
それなのに、うーちゃんが何考えてるのか全然分からないよ。
フツー、好きだからエッチしたくなるんじゃないの?
好き+エッチ=彼女
こうなるでしょ?
それとも――
好きの種類が私と違うとか?
好きは好きだけど、『ラブ』じゃなくて『ライク』ってやつ?
まぁまぁ好き+エッチ=セフレ
まさかこっち!?
もしかして、私の愛が伝わっていなかったとか?
もう何が何だか全然分からない!
目に見えないうーちゃんの気持ち、うーちゃんお得意の計算で、数式みたいにハッキリ説明してくれれば良いのに。
うーちゃんが何を考えて私とエッチな事をしてるのか、誰かおバカな私にも分かるようにハッキリ証明して欲しい。
中学の同級生に誘われて、男女三対三で近くのカラオケボックスに行く事になった。
つまらないこの田舎街の地元で、唯一の娯楽と言ってもいいこのカラオケボックスは、行くと必ずと言っていいほどの高確率で知り合いに遭遇する。
今日も誰かに会いそうだな。
どうせ会うならうーちゃんに会いたい。
でも昨日連絡したら、友達が来るから今日は会えないって言われた。
しょんぼり。
誰と会うのかな……まさか、女の子じゃないよね!?
「華奈ー。D◯Mとjo◯soundどっちがいい?」
「どっちでも大丈夫だよ~」
わざわざ確認してくれた友達には悪いけど、歌えるならどっちでもいい、そんなの。
うーちゃんに会えない寂しさを、大声で歌ってみんなではしゃいで発散出来るなら、機種なんて何でも構わないもの。
「部屋十七号室だって。いこ!」
受付を済ませカウンターから移動する時、一緒に来た一人の男子が出入り口の自動ドアを指差した。
「あれ桃井じゃね?」
桃井の『もも』まで聞いてすぐに身体がピクッと反応する。
うーちゃんだ!
うーちゃんだ、うーちゃんだ、うーちゃんだ!
あの丸まった猫背にキラリ光る金縁眼鏡、下を向いていたってすぐ分かる。
あれは間違いなくうーちゃんだ!!
どうしてここに?
カラオケ好きなんて、今まで一度も聞いた事ないよ?
「トイレ寄ってから行くから、みんな先に行ってて!」
「はいよー」
一人はマイクの入った取手付きのカゴを持ち、他のみんなはドリンクバーのコップを片手に、ゾロゾロと列を成して指定の部屋へと向かって行った。
よし、何かと騒ぎ立てそうなお邪魔虫達を排除するのにも成功。
そろーりそろーり、見つからないように忍者の如く忍足で、受付に並ぶうーちゃんの背後から「わっ!」と声を掛けた。
「来てたんだ」
あれ?
驚かせようとしたのに全然驚かない。
いつも通りのあっさり塩対応。
『うわぁ!』って言うとは流石に思ってないけどさ、もう少しなんて言うかあるじゃない、『おっ!』くらいのやつ。
エッチの時はあんなに激しくしてくれるのに、他所だと気取っちゃって。
でもそんな態度は微塵も見せません。
大好きな人の前だもの。
「うーちゃんがカラオケって珍しくない?」
「そう?」
うーちゃんに霞んで気づくのが遅れたけど、隣にはうーちゃんと似たような雰囲気の男の子が、ニコッとこちらへ笑みを向けている。
その笑顔に釣られて私もスマイル返し。
『お友達』が男の子だと判明した途端、ホッと胸を撫で下ろす単純な私。
そして、自分が思う精一杯可愛い笑顔で改めてご挨拶。
「あ、うーちゃんのお友達ですか? ご挨拶が遅れてすみません、うーちゃん宅のお隣に住んでいる華奈です」
うーちゃんの『彼女の』ってご挨拶した方が良かったのかも? なーんてね。
「どうも吉田です」
なかなか爽やかな笑顔でペコっと頭を下げた吉田君は、顔を横に向けてうーちゃんに何かコソッと話しかけていた。
でもそのコソコソ話しっかり聞こえてる。
私の事「彼女?」って訊いたんでしょ?
うーちゃんなんて言って返してくれるのかな。
ドキドキ、ワクワク。
怖いけど、一つの答えがもらえるような気がしてワクワクのが大きかった気がする。
でも次に聞こえた言葉はあまりにも残酷で。
予告なく突きつけられた現実に、一瞬目の前が真っ暗になった。
「遅れてごめんね」
「もう華奈遅いよ! 先に乾杯しちゃったよ」
「大丈夫だよ~」
ひと足先に部屋に入ったみんなは、ジュース片手に歌ではなくトークを楽しんでいた。
せっかくカラオケに来たのに、だ。
久しぶりに会ったから、歌うよりお互いの近況報告をしたいらしい。
「テキトーに華奈のジュース持ってきちゃった。これでいい? 好きだったよね?」
「ありがとう」
気が利く友達が持ってきてくれたのは、私の好きな野菜ジュース。
さっきのショッキングな出来事で喉が渇いていたのだろう、コップ一杯分をあっという間に飲み干してしまった。
「プハっ。ねぇ、みんな歌わないの?」
充電器に刺さったままのタッチパネル式リモコンを取り、テーブルの中央に配置した。
でも、やっぱり誰も手に取る様子は見られない。
と思ったら、その場にいる男性陣からの質問攻めが一気に始まった。
「なぁ、桃井って今何してるん?」
「華奈とは同じ高校だったよな?」
「華奈と桃井って家隣だよね?」
「今も仲良しなん?」
次から次へと矢継ぎ早に……。
そんな男子勢とは反対に、女子はさほどうーちゃんに興味なさそうですよ。
ププッ。
ちょっと面倒だけど仕方ない。
盛り下がらないように、出来る範囲でお答えしましょうか。
「桃井君は、今は〇〇大生。高校は同じだったけど、あちらは特進クラスで私は普通科。家は隣だけど、最近はたまに顔合わせるくらい」
みんなの前では、うーちゃんなんて口が裂けても呼べない。
騒がれたくないし、余計な事も言われたくない。
そして何より、私達二人だけの秘密を誰にも知られたくないから。
「へぇーそうなんだ」
しかも、あれだけ質問した割に、大して興味ないって言う……。
どんな答えを期待していたのか知らないけど、きっとつまらなかったんだろうな。
だったら、初めから聞かなくていいのに。
一気に説明したからまた喉が渇いた。
それに、これ以上何か質問されてボロが出ると面倒だから、少しこの場を離れよう。
「おかわり取ってくる」
立ち上がると、隣に座っていた男子――佐々木君が「俺も行くわ」と言って、コップに残ったジュースを一気飲みしながらスクっと立ち上がった。
佐々木君とは中三の時同じクラスだったけど、実はそんなに話した記憶はないんだよね。
確かサッカー部で、一個下の可愛い後輩と付き合っているとかなんとか噂があったような。
それくらいの認識しかない同級生。
そんなわけで一緒に遊ぶ事自体、今日初めてかもしれない。
二人で受付カウンター近くのドリンクバーへ向かう。
「内藤またそれ?」
にんじん色の野菜ジュースが入ったコップを見た彼は、呆れたように笑う。
「これ好きなの」
私は一途なんです。
こうと決めたらずっとそれだけを愛するんです。
「こんなに種類あるんだから他飲めばいーじゃん」
「これがいいの。これしかいつも飲まないの」
「そうなん? 俺は色々飲みたい派だけどね。まぁいいや。それより内藤って桃井とはただの幼馴染なんだよな?」
佐々木君の言葉に、さっきのうーちゃん達のやり取りが蘇る。
『彼女?』
『違うよ』
確かに、うーちゃんは間違った事はひとつも言ってない。
私はうーちゃんから『付き合って』と言われた事はないし、私からもうーちゃんにその手の事は言ったことないから。
それでもショックだったな。
エッチはするし、『好き?』って訊くと『うん』って答えてくれるから、どこかで私達は付き合っているのかと錯覚してたみたい。
「内藤?」
何も答えない私に、佐々木君が心配そうに顔を覗き込む。
女子の中ではそこそこ背が高い私だけど、佐々木君はそんな私が見上げるほど背が高い。
その彼が身を屈めて覗き込む姿に、不覚にも少しだけドキッとした。
「あ、ごめん。そうだよ、う……桃井君とはただの幼馴染。てゆーかご近所さん? 知り合い? とにかくそんな感じで大した事ない仲だよ!」
もうヤケクソ。
うーちゃんなんてどうでもいい。
私の処女奪っておいて、あんな事言うんだから。
無理矢理奪わせたのは私だけど。
「そーなんだ? じゃあ俺と付き合わない? 前から内藤の事いいなと思っててさ。今日だって、内藤が来るって聞いたから俺来たんだよ」
「やだ。佐々木君遊び人だもん。ヤリ◯ンだって噂聞いた事ある」
「酷いなー。内藤の事は本気だよ、だから考えてみてよ。な?」
みんな待ってるし、面倒臭いからテキトーに返事して部屋に戻った。
*
『華奈も行こうよ~』
『ごめんね。どうしても今日中に終わらせたい課題があるの』
みんなとは三時間一緒に過ごして、暗くなる前に家に帰って来た。
どうしても気持ちが乗らなくて、誘われたファミレスには行く気にならなかったから。
お隣さんの駐車場をチラッと覗くと、うーちゃん愛用の白いクロスバイクが停めてあるのを発見。
うーちゃんも帰って来てる。
部屋に行きたい、ピンポン鳴らしちゃおうか、でも……。
うーちゃんに会いたい気持ちをグッと抑え、そのまま大人しく家の玄関ドアを開けた。
*
寝る前に、佐々木君に言われた事をもう一度よく考えてみる。
佐々木君と付き合うって事は、キスしたりエッチな事したりするって事だよね?
あの佐々木君と――
クチュクチュ出来る?
ペロペロ出来る?
やだ、いつものピンク色の妄想が全く膨らまない。
それどころか、想像したくないって言うか、うーちゃん以外の人となんてちょっと気持ち悪い。
ごめん、佐々木君。
それだけじゃなくて、もし佐々木君と付き合ったら、うーちゃんとはもうエッチな事しちゃいけないんだよね。
そんなのイヤ。
だって、あんなに恥ずかしい事してるのに、幸せで満たされた気分になれるのは、絶対にうーちゃんだけだもの。
それなのに、うーちゃんが何考えてるのか全然分からないよ。
フツー、好きだからエッチしたくなるんじゃないの?
好き+エッチ=彼女
こうなるでしょ?
それとも――
好きの種類が私と違うとか?
好きは好きだけど、『ラブ』じゃなくて『ライク』ってやつ?
まぁまぁ好き+エッチ=セフレ
まさかこっち!?
もしかして、私の愛が伝わっていなかったとか?
もう何が何だか全然分からない!
目に見えないうーちゃんの気持ち、うーちゃんお得意の計算で、数式みたいにハッキリ説明してくれれば良いのに。
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