甘いコーヒーと和菓子

茶雲

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甘いコーヒーには角砂糖

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「颯刃くんだっけ、告白みたいに聞こえたけど外の世界を色々見たいってことかな。」

「ごめん。サキと話す前に、毎日部屋から出てきなさいとか声をかけてくれてありがとう。見捨てずにいてくれてあ

りがとう。みんな。」

「気にすんなって、家族だろ。颯刃にも外の世界を十分に楽しんでほしいんだ。部屋に閉じ籠って過ごす日があって

もいいと思うけど【本当の外の世界】を知ることで、一人になったときの解放感や寂しさを感じられるんだよ。はじ

めから一人だとより大きな感情を楽しむことはできないだろ。今は悲しいとか喜怒哀楽だけしか感じたことないと思

うんだ。自分は失恋もしたし恋が実った時も会ってその時の感情は今でも忘れないよ。どんなに大人になったとして

もずっと覚えている出来事や感情が1つでも多い方が友達と飲み会で恋愛話しをした時に盛り上がって楽しかった

よ。だから、もっとほかの感情を知ってほしいんだ。」
 
「ありがとう。兄さん。」

「お姉ちゃんもありがとう。自分は幸せものだな。サキと会って深呼吸をしてみたら時間を無駄にしていたことに気

づいたよ。」

「決して時間を無駄にしていたわけではないよ。諦めたり、自分を傷つけることを今までしなかった。弱い自分に勝

ったんだよ。颯刃は時間を無駄にしたんじゃなくて少しずつ大人になったんだよ。お兄ちゃんだけにいい格好をさせ

ないよ。」

「ははは。いつも見てきた光景だけど、今だとよりおもろしく感じるよ。本当に仲がいいね。お兄ちゃん、お姉ちゃん。」

「お兄ちゃんか...久しぶりに呼ばれたな。」

「本当に昔に戻ったみたいだね。お兄ちゃん。私のこともお姉ちゃんって呼んでくれているし。」

「サキのおかげ?サキちゃんに会えたからこの世界に向き合うことができたよ。お母さんもサキをちゃんを連れてきてくれてありがとう。」

「ここで変わろうと思えたんだ。だから、サキとの二人旅に出たらダメかなお母さん。これをきっかけに変わりたい

んだ。」

「なんか、予想した感じの展開になっちゃった。サキさん案内する時に笑っちゃってごめんなさい。颯刃がまた外に

一歩踏み出す姿を想像したら笑みがこぼれちゃって。颯刃のお願いだけど私からもお願いしたい。颯刃と一緒に旅を

してくれませんか。」

「私も外の世界を知りたいと考えていたので一緒に踏み出してみませんか。颯刃」

「ありがとう。サキ。」


こうして、私と颯刃の2人旅が始まった。




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