騎士の勇気・世界樹の願い

影葉 柚希

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プロローグ・オルガスタン大陸編

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 オルガスタンと呼ばれる大陸があった、多種族が大陸を治め、長い間大陸統一を唱えた内乱を続けていた大陸。そんな大陸の統一を成しえた2人の若者がいた。
 その若者達は暗黒期とも呼ばれた内乱のオルガスタンの中でも希望を胸に抱いた命溢れる若者達だった。その若者達は内乱を止めようとオルガスタンの大陸中を駆け巡り、各国の王族達を説得、そして同時に外大陸から侵略してきていた敵勢力を追い返すまでの軍団の主力になってオルガスタン大陸を守り通した。
 その若者達は後々の平和が長く続いてくれる事を願って各国にある掟を持ち掛ける。このオルガスタン大陸には「世界樹」と呼ばれる聖なる樹が存在している。
 その世界樹の声を聞きながらオルガスタンの未来を守るように、世界樹の声を聞く専門の組織を設立する事と、軍事力による他国への侵略の禁止を促す為の中立国の設立。これらに反論をする王族達はおらず、オルガスタン歴109年の事であった。
「世界樹の声に従っていればきっとこのオルガスタンに暗黒期の再来は訪れない。どうか力による制圧は行わないままで後世を育てて行く事にしましょう」
「そして、平和なオルガスタン大陸で新しく生まれる命を育み、そして慈しみ、守っていくのです」
 若者達はそう高らかに宣言して、決して力による統一では成し遂げれない平和のオルガスタン大陸を生み出した。しかし、その若者達が死した後のオルガスタン大陸……忍び寄る闇の勢力が牙を剥いてオルガスタン大陸に襲い掛かろうとし始めていた。
 世界樹はその危機を察知して人々に知らせて行く。だが、平和に慣れてしまった人々は闇の勢力に成す術もなく闇の勢力である魔神アガルダが大陸を支配下に置く。
 人々は魔物の餌にならぬようにと用意された強制収容所にて息を潜めて暮らしていた。人々の希望は魔人アガルダの前では細い蜘蛛の糸の様に細くて短いものであった。
 それでも人々には世界樹が心の拠り所として希望の母として信じていた、しかし……。魔神アガルダの手に世界樹が落ちると大陸には希望を願う者達は少なくなり始め、魔神アガルダの力は増していくだけの時代が続いた。
「私達はもう希望なんて持つ事も出来ない……生きるだけで精一杯な今、希望なんて腹の足しにもならない」
「もう老い先短いこの命を神様でもない限り使った所で未来は変わらんわ……」
「世界樹が魔神アガルダの手に落ちた今、俺達人間を始めとする者達には希望は無いよ……」
 人々の心には希望は1ミリも残されてない、でも、そんな絶望に負けない心を持つ1組の騎士を目指す青年達が立ち上がった。その青年達の心には微かではあったが世界樹からの声が届いていたのであった。
 青年達は歴史を刻んだ2人の若者の再来を彷彿させるかのような怒涛の勢いで、魔人アガルダから人々の希望である国を取り戻す事に成功する。その国の名は「スジエル」。
 騎士の国として魔神アガルダの手に落ちる前、最後まで抵抗していた国である。その国を取り返した2人の青年は仲間を集め、そして、時間を掛けてスジエルを魔神アガルダに抵抗出来るだけの国として復興させた。
「……もう20年か」
「長かった。だが、ここから本当の意味で希望を繋ぐ為の聖戦が始まる。ここで俺達に神々の手が差し伸べられなかったら……本当の意味でオルガスタン大陸は終わる。それはこの世界の終焉を意味する」
「そう考えると俺達の努力は無駄だったとしか言えない。だが、俺達の希望はあの子達にある。そう……世界樹の心を継いだあの若い子達がきっと世界を、このオルガスタン大陸を切り開いていく」
「アルフォード、俺達はまだここで頑張る必要があるんだ。世界樹の願いの為にも、俺達はまだ希望の象徴でいなくちゃならない。俺が支える、だから……もう少し頑張ろう」
「エヴァとなら最後の時まで隣にいると信じているよ。さぁ、魔神アガルダ打倒の騎士が生まれるまで頑張ろう」
 青年達はスジエルの国政を担う育成も行い、そして同時に騎士達の育成にも力を入れていた。そして、青年達がスジエルを取り戻して30年。青年達も既に大人として立派に成長しスジエルもオルガスタン大陸の中で唯一の希望国として懸命に魔神アガルダの攻撃に抵抗を続けていた。
 青年の1人アルフォード、彼は国を守る騎士達をまとめる騎士団長として剣を握り若い騎士達を指導していた。そして、残りの青年であるエヴァは国の内政に才能を発揮しアルフォードと共にスジエルを確固たる希望国へと成長させていく。
 そして、運命の騎士達がスジエルの新人騎士選抜に現れる。過去のエヴァとアルフォードを彷彿させる世界樹の心を継いだ若き希望溢れる騎士見習の若い少年達の中に、その騎士達はいた。
 「それでは新人選抜の結果を発表する! トップ通過、ガイア・シューベルト、フェランド・デューリング! それ以外の者達もまぁまぁ能力的には申し分ない。これより君達は新人騎士として見習いから1人前の騎士として昇格する。人々の希望となって魔神アガルダを倒す為の希望となって戦うように。そして、同時に我々には世界樹の奪還と言う重要な使命がある。それを果たせるよう、頑張るように」
「いよいよ、ここから始まるな。フェランド、俺達に託された願いと希望……果たせるように頑張ろう」
「あぁ、俺達が世界樹を奪還して、このオルガスタン大陸の平和を取り戻すんだ。ガイアと一緒ならどこまでも行けると信じている」
 黒い肩までの髪の毛を持つ少年と、腰にまである茶色の髪を持つ少年がお互いに顔を見合わせて話し込む。彼らこそが後のオルガスタン大陸の歴史に名を刻む事になる騎士になるとは、この時のオルガスタン大陸の人々には思いもよらない事実になるとはまだ誰も知らない――――。
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