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2章
13話「帰還した騎士達のひととき」
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スジエルへ戻る為の予定を騎士達は話し合っていた。怪我人の治療も終わり、回復もそこそこに終わっているのが報告が上がっている。
アベルゾはガイアとフェランドを交えて行軍予定の日程を話し合ってから、帰還後の行動についても話し合いの場にて話し合う事になった。そこにユリウスとルーデリッシュも同席して色々な話し合いの流れを軽く確認してアベルゾが話し始める。
「この村からスジエルまでは全員が揃って行ければ3日もあれば到着出来ます。そして、同時に帰還後に総団長アルフォード様にユリウス様をご紹介したいなと思っております」
「それは確実に早く行わないといけませんね。オルターナの大地に掛けられた魔力や呪いをどうにかしないと復興が遅れますから」
「ですが……皆様の報告などもあるのですから俺の事はあまり急がなくてもいいのですが……」
「ユリウス様、オルターナの未来を少しでも確実な状況に変える為にも今は団長に判断を仰ぎましょう? 俺やガイアの転生者の輝きではあの大地は救えない……悔しいですが白の神殿の巫女様の力を借りるには総団長の認可が必要なんです」
ガイアとフェランドの言葉にユリウスは少しだけ驚いた。オルターナの未来を考えてくれるのは、その現状を直に見ているから言える言葉でもあるが違うのだ。
ユリウスはガイアとフェランドの真意を考えてしまう。2人はオルターナの現状を救えない自分達を攻めているのではないだろうか、と。
アベルゾは2人の言葉を引き継いでユリウスにある言葉を聞かせる。アベルゾの考えはガイアとフェランドの言葉を受けて考えられた言葉であった。
「ユリウス様、我々はオルターナをまだ救えた訳ではありません。いくら転生者がこちらにいるとはいえ、それでも救えない現状に心を痛めているのも事実です。だからこそ、国を挙げてオルターナ再生政策を行うのは共にこのオルガスタン大陸の未来をつくる国同士だからですよ。そして、アルフォード様にユリウス様の事を紹介する事は私が必ず面会に取り次ぎます。ユリウス様の事は私達騎士達は最後までお付き合いしますよ」
「……ありがとうございます。俺も皆様の優しさにお返し出来るように、総団長様にしっかりお願いしたいと思います」
ユリウスとアベルゾは頷きつつガイアとフェランドは決まった事に内心安堵していた。そして、村の人々に旅立つ事を伝えて騎士達は行軍の準備を着々と終わらせていく。
旅立つ日、騎士達に笑顔で見送りに来る者達が入口を開けて村長の老人は騎士達に深い感謝を伝えて少ないが村の子供達が作ったお守りを手渡して見送ってくれた。
馬で駆ける一団は村を出て3日目、スジエルの国が見えてきて先頭を走る先頭集団にはフェランドが入っていた。フェランドは他の先頭を走る騎士達に手を挙げて自分が城門解放を伝えてくると伝えてハイクを飛ばした。
「ここがスジエルですか。スジエル領地に入ってすぐに気付きましたがこの大地はマナが活性化してましたね」
「恐らく世界樹の恩恵が濃くなったのだと思います。総団長と総統括様は世界樹の加護を受けた騎士でございますから。城門が開いたら専用の道を通って本部に向かいます」
「アベルゾ、城門が開くぞ」
「フェランドが行ったんだな。ハイクならこの距離はあっという間か」
先導していた騎士達と合流して本隊はスジエル国内に入っていく。まだ明るい時間ではあるが騎士達が出立と帰国する時に使う専用の道には市民の姿は疎らではあるがそれでも歓迎する姿に騎士達も安堵する。
ユリウスの姿を見た出迎えた市民が嬉しそうに手を振る者達も少なくはない。そんな光景にユリウスは心が温かくなって安心を得たのかも知れない。
本部前の広場に到着した一団は馬を降りてぞろぞろと整列していく。ユリウスはアベルゾとガイア、フェランドとルーデリッシュに連れられて総団長室に向かう。
カツカツと歩いているが不思議とユリウスは緊張感より何故か涙を浮かべてしまいそうになる程の優しさを感じていたのだ。そして、先導するアベルゾとガイアが立ち止まりある重厚な扉を数回ノックして声が掛けられる。
「総団長、オルターナよりアベルゾ、ルーデリッシュ、ガイア、フェランドが帰還しました」
「入りなさい」
「失礼致します」
入室許可を受けて5人は静かに入っていく。室内には2人の男性、1人は総団長のアルフォード・ガイダンとエヴァ・ルーズスルの2人であった。
アベルゾ達はアルフォードの前に並んで立つと胸元に手を当てて一礼するガイア達と、深々と頭を下げるユリウスにアルフォードとエヴァは座っていた椅子から立ち上がりユリウスに近寄る。そして、深々と頭を下げているユリウスの肩にアルフォードが手を置いて顔を上げらせるとユリウスを労った。
「オルターナ最後の王族であるユリウス様、御身がご無事で良かった」
「あ……」
「本来なら私達が赴かないといけなかったと思っていましたが、騎士達だけで行かせた事をお許し願いたい」
「いえ! あの時に騎士達が来なかったら俺の命は消えていました。その騎士達を配属させてくれたお2人には心より感謝致します!」
「総団長、オルターナの現状については事前にお知らせしていたかと思いますが……」
「その事についてエヴァから話をさせる。彼の判断を聞いた方がユリウス様の心も落ち着くかと思ってな」
アルフォードはユリウスの肩から手を離して背後に立っているエヴァに場を譲ると、エヴァは一礼してからユリウスにある言葉を告げる。その言葉に隠されたオルターナへの想いを察するユリウスは溢れてきた涙を流してしまう。
エヴァの口から放たれる言葉はきっとどれだけ考えられたのかも伺えるだけの重さと、優しさを含ませているのはガイア達にも分かった。ユリウスはその言葉を真摯に聞き入っていた。
「まずスジエルはオルターナの現状を踏まえて白の神殿と共にオルターナに残された呪い解除の為に人員を配置致します。そして、オルターナの復興を支援する為の経済支援と人員支援、同時に騎士の配置もスジエルで考えております。スジエルはオルターナを友国として認めているからこそ全力で支援する事をお約束致します」
「っ……あ、ありがとうございます……そ、そんなお優しいお言葉を掛けてもらえるだけで戦ってきた事が誇りに思えます」
「我々騎士団はオルターナを救えなかった事が何より申し訳ない。だからこそ、復興に関してはスジエルの騎士団としてではなく、一個人的に志願してきた騎士達も含めて力になりたいと思っております。ユリウス様のご勇気はスジエルの国民達にも伝わっております。どうか、最後までご希望を捨てなかったお心をお守りさせて欲しい」
アルフォードとエヴァの言葉にはユリウスへの深い敬愛と信用、愛情が含まれているのをアベルゾ達はしっかりと感じ取っていた。その場は一時的に静かになったのでアルフォードはガイアとフェランドを始めとする騎士達の功労を認めて褒賞を与える事を伝える。
特に転生者として自分の命を代価に輝きを使ったガイアとフェランドには暫くの休暇を与える事を伝えて2人には先に下がるように告げた。ガイアとフェランドは一礼して総団長室から退室すると通路を歩いて居住区へと向かっていく。
「休暇貰えるなんて予想外だったな」
「うん、また別の任務に派遣されるかと思っていたからね」
「でも、せっかくの休暇を貰ったなら何をする?」
「俺は……少し寝ておきたいな。寝不足ではないんだけれど緊張感から身体が痛くて」
「そうだよな。お前ずっと先頭にいたからそれは解消しないと今後に支障が出ちまう。俺は市街地にある本屋とかに行くかな」
「相変わらず本が好きだよなガイア」
「知識は裏切らないからな。それじゃ夕飯には呼びに来る」
「あぁ、また夜に」
自室前で別れた2人はそれぞれの部屋に入っていく。ガイアの自室はシンプルに配置された家具に囲まれており、窓際に置かれた机に近寄ると椅子に座って今回の任務についての自分なりの考えを日記に残し始める。
一方のフェランドの部屋にはあまり家具も無ければ物自体がないシンプルな部屋になっていた。ベッドに近寄り着ていたアーマーを脱いで腰の剣も取り外して壁に置き掛けるとベッドにダイブする。
バフッと布団に埋もれたフェランドは次第に安心感と解放感から訪れる睡魔に意識を静かに預けて眠り始める。そして、気付けば外は暗闇に染まり夜の訪れを知らせていた。
市街地に出ていたガイアは両手沢山の紙袋を持って自室に戻ってきて夜の濃さに視線を走らせて椅子から立ち上がる。まだ自室で寝ているだろうフェランドを起こして夕食を摂る為に部屋を出て隣のフェランドの部屋のドアを叩く。
「フェランドー?」
しかし、安定の反応がない事にガイアは気にするでもなくドアを開けて部屋に入れば暗闇に染まっている部屋の中を歩いてベッドに近付く。スヤスヤと寝息が聞こえているのを確認して右手をフェランドの頬に添えて優しく撫でながら声を掛ける。
「フェランド、起きろ」
「んんっ……あともう少し……」
「そろそろ起きないと夕飯食いそびれて夜中に街に出る羽目になるぞ」
「うー……もう、そんな時間……?」
「戻ってきて既に半日は寝ているぞお前。身体の痛みは?」
「……少し取れている。起きなきゃ……」
ガイアの手に引っ張られて身体を起こしたフェランドはボサボサな髪を整えて大きく背伸びをして身体の強張りを解す。ガイアはランプにマナを注いで明かりを灯すと部屋の端にある椅子の上に置いてフェランドの様子を伺う。
「なんだか帰ってきた! って感じだな」
「うん、自分のベッドでこんだけぐっすり寝れれば帰ってきたって実感するよ。やっぱり実戦じゃ緊張感と警戒心で安眠は出来ないしね」
「まぁ、休暇の間はしっかりと休む事も任務を果たす為には必要になる体力を回復させる事に繋がる。俺も適度に休まないと」
「ガイアは満足する本はあった?」
「かなり。シリーズの最新刊とか、魔導書とか色々と買い込んできた。休暇中に消化する予定だ」
ニヤリと笑って見せるガイアにフェランドも微笑む。そして、2人はフェランドの部屋を出て食堂に向かう。
2人の少しの休暇は静かに2人の心を回復させていく。そして、この2人の休暇中にスジエルでは新しい目的が形成される事となる――――。
アベルゾはガイアとフェランドを交えて行軍予定の日程を話し合ってから、帰還後の行動についても話し合いの場にて話し合う事になった。そこにユリウスとルーデリッシュも同席して色々な話し合いの流れを軽く確認してアベルゾが話し始める。
「この村からスジエルまでは全員が揃って行ければ3日もあれば到着出来ます。そして、同時に帰還後に総団長アルフォード様にユリウス様をご紹介したいなと思っております」
「それは確実に早く行わないといけませんね。オルターナの大地に掛けられた魔力や呪いをどうにかしないと復興が遅れますから」
「ですが……皆様の報告などもあるのですから俺の事はあまり急がなくてもいいのですが……」
「ユリウス様、オルターナの未来を少しでも確実な状況に変える為にも今は団長に判断を仰ぎましょう? 俺やガイアの転生者の輝きではあの大地は救えない……悔しいですが白の神殿の巫女様の力を借りるには総団長の認可が必要なんです」
ガイアとフェランドの言葉にユリウスは少しだけ驚いた。オルターナの未来を考えてくれるのは、その現状を直に見ているから言える言葉でもあるが違うのだ。
ユリウスはガイアとフェランドの真意を考えてしまう。2人はオルターナの現状を救えない自分達を攻めているのではないだろうか、と。
アベルゾは2人の言葉を引き継いでユリウスにある言葉を聞かせる。アベルゾの考えはガイアとフェランドの言葉を受けて考えられた言葉であった。
「ユリウス様、我々はオルターナをまだ救えた訳ではありません。いくら転生者がこちらにいるとはいえ、それでも救えない現状に心を痛めているのも事実です。だからこそ、国を挙げてオルターナ再生政策を行うのは共にこのオルガスタン大陸の未来をつくる国同士だからですよ。そして、アルフォード様にユリウス様の事を紹介する事は私が必ず面会に取り次ぎます。ユリウス様の事は私達騎士達は最後までお付き合いしますよ」
「……ありがとうございます。俺も皆様の優しさにお返し出来るように、総団長様にしっかりお願いしたいと思います」
ユリウスとアベルゾは頷きつつガイアとフェランドは決まった事に内心安堵していた。そして、村の人々に旅立つ事を伝えて騎士達は行軍の準備を着々と終わらせていく。
旅立つ日、騎士達に笑顔で見送りに来る者達が入口を開けて村長の老人は騎士達に深い感謝を伝えて少ないが村の子供達が作ったお守りを手渡して見送ってくれた。
馬で駆ける一団は村を出て3日目、スジエルの国が見えてきて先頭を走る先頭集団にはフェランドが入っていた。フェランドは他の先頭を走る騎士達に手を挙げて自分が城門解放を伝えてくると伝えてハイクを飛ばした。
「ここがスジエルですか。スジエル領地に入ってすぐに気付きましたがこの大地はマナが活性化してましたね」
「恐らく世界樹の恩恵が濃くなったのだと思います。総団長と総統括様は世界樹の加護を受けた騎士でございますから。城門が開いたら専用の道を通って本部に向かいます」
「アベルゾ、城門が開くぞ」
「フェランドが行ったんだな。ハイクならこの距離はあっという間か」
先導していた騎士達と合流して本隊はスジエル国内に入っていく。まだ明るい時間ではあるが騎士達が出立と帰国する時に使う専用の道には市民の姿は疎らではあるがそれでも歓迎する姿に騎士達も安堵する。
ユリウスの姿を見た出迎えた市民が嬉しそうに手を振る者達も少なくはない。そんな光景にユリウスは心が温かくなって安心を得たのかも知れない。
本部前の広場に到着した一団は馬を降りてぞろぞろと整列していく。ユリウスはアベルゾとガイア、フェランドとルーデリッシュに連れられて総団長室に向かう。
カツカツと歩いているが不思議とユリウスは緊張感より何故か涙を浮かべてしまいそうになる程の優しさを感じていたのだ。そして、先導するアベルゾとガイアが立ち止まりある重厚な扉を数回ノックして声が掛けられる。
「総団長、オルターナよりアベルゾ、ルーデリッシュ、ガイア、フェランドが帰還しました」
「入りなさい」
「失礼致します」
入室許可を受けて5人は静かに入っていく。室内には2人の男性、1人は総団長のアルフォード・ガイダンとエヴァ・ルーズスルの2人であった。
アベルゾ達はアルフォードの前に並んで立つと胸元に手を当てて一礼するガイア達と、深々と頭を下げるユリウスにアルフォードとエヴァは座っていた椅子から立ち上がりユリウスに近寄る。そして、深々と頭を下げているユリウスの肩にアルフォードが手を置いて顔を上げらせるとユリウスを労った。
「オルターナ最後の王族であるユリウス様、御身がご無事で良かった」
「あ……」
「本来なら私達が赴かないといけなかったと思っていましたが、騎士達だけで行かせた事をお許し願いたい」
「いえ! あの時に騎士達が来なかったら俺の命は消えていました。その騎士達を配属させてくれたお2人には心より感謝致します!」
「総団長、オルターナの現状については事前にお知らせしていたかと思いますが……」
「その事についてエヴァから話をさせる。彼の判断を聞いた方がユリウス様の心も落ち着くかと思ってな」
アルフォードはユリウスの肩から手を離して背後に立っているエヴァに場を譲ると、エヴァは一礼してからユリウスにある言葉を告げる。その言葉に隠されたオルターナへの想いを察するユリウスは溢れてきた涙を流してしまう。
エヴァの口から放たれる言葉はきっとどれだけ考えられたのかも伺えるだけの重さと、優しさを含ませているのはガイア達にも分かった。ユリウスはその言葉を真摯に聞き入っていた。
「まずスジエルはオルターナの現状を踏まえて白の神殿と共にオルターナに残された呪い解除の為に人員を配置致します。そして、オルターナの復興を支援する為の経済支援と人員支援、同時に騎士の配置もスジエルで考えております。スジエルはオルターナを友国として認めているからこそ全力で支援する事をお約束致します」
「っ……あ、ありがとうございます……そ、そんなお優しいお言葉を掛けてもらえるだけで戦ってきた事が誇りに思えます」
「我々騎士団はオルターナを救えなかった事が何より申し訳ない。だからこそ、復興に関してはスジエルの騎士団としてではなく、一個人的に志願してきた騎士達も含めて力になりたいと思っております。ユリウス様のご勇気はスジエルの国民達にも伝わっております。どうか、最後までご希望を捨てなかったお心をお守りさせて欲しい」
アルフォードとエヴァの言葉にはユリウスへの深い敬愛と信用、愛情が含まれているのをアベルゾ達はしっかりと感じ取っていた。その場は一時的に静かになったのでアルフォードはガイアとフェランドを始めとする騎士達の功労を認めて褒賞を与える事を伝える。
特に転生者として自分の命を代価に輝きを使ったガイアとフェランドには暫くの休暇を与える事を伝えて2人には先に下がるように告げた。ガイアとフェランドは一礼して総団長室から退室すると通路を歩いて居住区へと向かっていく。
「休暇貰えるなんて予想外だったな」
「うん、また別の任務に派遣されるかと思っていたからね」
「でも、せっかくの休暇を貰ったなら何をする?」
「俺は……少し寝ておきたいな。寝不足ではないんだけれど緊張感から身体が痛くて」
「そうだよな。お前ずっと先頭にいたからそれは解消しないと今後に支障が出ちまう。俺は市街地にある本屋とかに行くかな」
「相変わらず本が好きだよなガイア」
「知識は裏切らないからな。それじゃ夕飯には呼びに来る」
「あぁ、また夜に」
自室前で別れた2人はそれぞれの部屋に入っていく。ガイアの自室はシンプルに配置された家具に囲まれており、窓際に置かれた机に近寄ると椅子に座って今回の任務についての自分なりの考えを日記に残し始める。
一方のフェランドの部屋にはあまり家具も無ければ物自体がないシンプルな部屋になっていた。ベッドに近寄り着ていたアーマーを脱いで腰の剣も取り外して壁に置き掛けるとベッドにダイブする。
バフッと布団に埋もれたフェランドは次第に安心感と解放感から訪れる睡魔に意識を静かに預けて眠り始める。そして、気付けば外は暗闇に染まり夜の訪れを知らせていた。
市街地に出ていたガイアは両手沢山の紙袋を持って自室に戻ってきて夜の濃さに視線を走らせて椅子から立ち上がる。まだ自室で寝ているだろうフェランドを起こして夕食を摂る為に部屋を出て隣のフェランドの部屋のドアを叩く。
「フェランドー?」
しかし、安定の反応がない事にガイアは気にするでもなくドアを開けて部屋に入れば暗闇に染まっている部屋の中を歩いてベッドに近付く。スヤスヤと寝息が聞こえているのを確認して右手をフェランドの頬に添えて優しく撫でながら声を掛ける。
「フェランド、起きろ」
「んんっ……あともう少し……」
「そろそろ起きないと夕飯食いそびれて夜中に街に出る羽目になるぞ」
「うー……もう、そんな時間……?」
「戻ってきて既に半日は寝ているぞお前。身体の痛みは?」
「……少し取れている。起きなきゃ……」
ガイアの手に引っ張られて身体を起こしたフェランドはボサボサな髪を整えて大きく背伸びをして身体の強張りを解す。ガイアはランプにマナを注いで明かりを灯すと部屋の端にある椅子の上に置いてフェランドの様子を伺う。
「なんだか帰ってきた! って感じだな」
「うん、自分のベッドでこんだけぐっすり寝れれば帰ってきたって実感するよ。やっぱり実戦じゃ緊張感と警戒心で安眠は出来ないしね」
「まぁ、休暇の間はしっかりと休む事も任務を果たす為には必要になる体力を回復させる事に繋がる。俺も適度に休まないと」
「ガイアは満足する本はあった?」
「かなり。シリーズの最新刊とか、魔導書とか色々と買い込んできた。休暇中に消化する予定だ」
ニヤリと笑って見せるガイアにフェランドも微笑む。そして、2人はフェランドの部屋を出て食堂に向かう。
2人の少しの休暇は静かに2人の心を回復させていく。そして、この2人の休暇中にスジエルでは新しい目的が形成される事となる――――。
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