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5章
35話「冷たい雨の中で考える自分の命とは?」
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シトシトと窓を叩く雨音でフェランドは目を覚ます。ルプス達の家の一部屋を借りて寝ていたガイアとフェランドは昨日のアルコールが抜けるまで寝ていたのだが、フェランドは隣で眠るガイアの腕に包まれて目を覚ます。
ガイアの腕の中は酷く安心出来る、それが分かっているからこそ普段は考えない事を考える事も出来る。アガルダはマナの聖樹が開花したら猛攻撃してくる、そう言われているのだがそれはアガルダがフェランドを狙う事に繋がるのだろうか? と。
「……」
色々とフェランドは考え込むが、元々こういうのを考える方の知識を持っている訳ではない。だからか考え過ぎて痛む頭を感じてフェランドは小さく溜め息を吐き出し、再度ガイアの胸元に顔を埋めて眠ろうとしていた。
でも、”聴こえて”しまった……世界樹の声が。フェランドに語り掛けてくる優しい声が脳に直接響いてくる。
『愛する子、貴方は知らないといけない。貴方の存在が影響を与える意味を』
「っ」
『貴方の存在はこのオルガスタン大陸の最後の希望。この時代ではなく永遠の希望。この時代でアガルダを止めなくては2度とオルガスタン大陸には光は差さないでしょう。貴方の決断で全てが定まるのです』
世界樹の言葉にフェランドは言葉を発する事も出来なかった。自分達が最後の希望、そう告げられている事に驚きは無かった。
だが、どうして自分達……フェランドのみにその声が届いたのか? ガイアには聴こえなかったのはどうしてか? それの答えはきっと誰も持ち合わせてないのだろうとフェランドはなんとなく察していた。 そして、フェランドの命が全てのトリガーであるのも理解はした。
ガイアを起こさない様に腕の中からすり抜けて、ベッドから立ち上がってインナー姿のままで窓の傍に椅子を持ってきて、そしてそこに座って窓の外を見上げて思う。この旅の果てに自分の未来は存在しないのでは? と。
1人で出来るだけ考えていると気付かなかった。ガイアの意識が目覚めてフェランドの姿を探して動いている事に。
「ふぇ……らんど……?」
「……」
ガイアの呼び声にも気付かないフェランドの意識は深い海に沈んでいた。意識をようやく覚醒させたガイアが身体を起こして部屋の中を見回すと窓辺のフェランドに気付く。
ベッドから立ち上がり窓辺に近寄ると、フェランドは膝を抱えて小さくなって何かを考えているようだった。そんな様子を近くに来て見ていたガイアは少し考えて、暫くは考えに沈ませてやろうと飲み物を取りに行く為に部屋を出ていった。
でも、フェランドにはどうしても気付いて欲しいとガイアは願っていた事をフェランドは気付かない。ガイアはフェランドとは別の”声”が聴こえて色々と考えていた事を。
「それじゃフェランドは何かを考え込んでいるの?」
「あぁ、あの様子だと暫くは戻って来ねぇな」
「ガイア、これでも飲んで。フェランドには後から持って行くから」
「すまない。……本当の意味で俺とフェランドは世界樹の声が聴こえてもおかしくはないんだろうが、フェランドには少し難しいのかもしれない」
「そうだとしても、フェランド自身が気付かないといけないのでしょう? それが、ガイアの聞いた声の答え」
ルプスは程よい温もりのお茶をガイアに差し出しながらフェランドとガイアの聞いた声について、少し考えてから自分なりの言葉でガイアに伝える。ガイアも分かってはいるのだ、フェランドの運命が、命が、このオルガスタン大陸の最後になるだろう世界樹からの救いの手になる事を。
その運命はガイアとは異なるのはルプスも知っている。だからこそ、今フェランドが考えている事はフェランドにしか辿り着けない答えでもあるのだと。
ガイアはお茶を飲みながらぼんやりと考えてみる。今までの人生でこんなにもフェランドを遠くに感じる事は無かった。
それだけ一緒にいたからこそ、やはりどうしても手を差し伸べてやりたくはなる。だが、今は、今だけは手を差し伸べる事が出来ない。
「甘やかし過ぎているんだろうな俺は」
「どうだろう。フェランドは自分の足で立っている。それはガイアがちゃんと見守ってきたからだと思う」
「……ルプスはヴォルグが困ってて、自分の足で踏み出せなくなっていたらどうする?」
「その時は背中を押す程度の手助けはする。でも、本当に歩けないなら背負うよ」
「背負う、か……。今はあいつも自分の足で歩き出そうとしているから、余計なお世話になっちまうとな」
ガイアの悩みは意外にも深く、そしてルプスにはそれがどうしてもガイアは世話を焼きたがる人間である。と印象付けるだけの姿を見せていた。
ガイアはルプスと話している内にそろそろ本格的に休まないといけない時間になっているのに気付く。ルプスは明日の食事を仕込むからとガイアに部屋に戻る様に促してくるので、ガイアも従って部屋に戻った。
フェランドはまだぼんやりとしてはいたが、窓辺ではなくベッドに腰掛けていた……が、なんだか様子がおかしい事に気付く。ガイアが近寄るとフェランドは大粒の涙を浮かべているのが分かった。
「フェランド?」
「がい、あ……」
「どうした?」
「寂しかった……」
「あぁ、悪い。お前が何か考え込んでいるのを邪魔するのも悪いから、ルプスと話し込んでた。それで、考えには答えは出たのか?」
「……俺、未来が見えないよ……」
「フェランド……」
フェランドは俯いて、手の甲にぽたぽたと涙を落とす。こうなる位なら抱き締めて大丈夫だ、と言い聞かせてやるべきだったかと考えるガイアにも理由は分かっている。
フェランドにしかこのオルガスタン大陸を救う事は出来ないと考えてしまった。そして、その助ける方法として自分の命を使う事を考えたのだろうと。
ガイアはフェランドの隣に腰掛けてその艶やかな黒髪を優しく撫でる。それが嬉しかったのだろう、フェランドはグイグイ頭を押し付けてくる。
「フェランド、お前は何があっても死なせんよ」
「ガイア……」
「仮にお前が死んだとして、それでオルガスタン大陸が救われても……俺は救われないからだ。俺はお前がいない世界に生きる価値はないと思っている。だから、お前が死ななきゃいけないのであれば俺も一緒に死んでやる。1人にはさせねぇ」
「っ、ガイアぁ……」
「よしよし、お前も頑張って考えたもんな。偉いぞ」
ガイアの言葉と決意に涙腺崩壊したフェランドは泣きながらガイアに抱き着く。そして、暫くして泣き疲れてしまったフェランドを抱いたままガイアも横になって身体を休める事にした。
ガイアが聞いた声の内容を考えれば、オルガスタン大陸の最後の希望になるのは確かにフェランドであろうとガイアは考える。だが、そこに自分の求めている未来はないのだと知っているのも考えればガイアの選択肢はあまり多くはない。
ガイアにとって確かにオルガスタン大陸は大事だと言える。だが、そこに愛する存在であるフェランドの姿が無かったらそれはあまりにも色褪せた世界にしかならない事も分かっているのだ。
「俺が絶対に1人にはしねぇから……だから、1人で先を走るなよフェランド」
眠っているフェランドの身体を抱き締めながらもガイアは強く願う。自分の前からこの愛おしい存在が消えない事を。
暫くして雨音が激しさを増す。その音に誘われて眠りが深くなっていくガイアは夢を見ていた。
まだ幼い5歳頃の自分とフェランドの姿。もうこの頃には手を取って一緒に歩いていた記憶を思い出す。
親を、家族を早くに亡くした2人は幼いままの頃でもお互いを励まし合い、そして認め合い、支え合ってきた。だから夢を見ている間もフェランドの事は離さなかったのも、きっとそれだけガイアの中でのフェランドが大事だという事なのだろう。
「んっ……」
「んんぅ……」
お互いの身体が動いて意識が浮上し始めると、先に目を覚ましたのは寝起きのいいフェランド。ガイアが遅れて目を覚ますとフェランドはぼんやりしたままガイアの唇に自分の唇を軽く触れさせる。
それでお互いにゆっくりとではあるものの、意識が完全に覚醒し始めていつの間にか微笑み合いながら見つめ合っていた。顔を離して身体を起こした2人は軽く室内で身体を伸ばしていく。
「なんだかぐっすり寝れたよ」
「本当か? 俺もなんだよな」
「ガイアは元々眠りが浅いからこんなにゆっくりと寝れたのは久々じゃない?」
「あぁ、雨音がトリガーになったのかもしれないな」
「そう言えば雨、止んだね。今日は晴れるかな?」
「だといいんだけれどな。ミリーアがそろそろ起こしに来るだろうしアーマー類着込むぞ」
「りょ~かい」
ガイアとフェランドは脱いでいたアーマーを身に着込むと腰に剣を差した所で、ミリーアが起こしに来る。ミリーアに優しく挨拶する2人にミリーアは少し顔色を悪くしているのをガイアは見逃さなかった。
それはフェランドにも気付かれる程だったので、フェランドがそっとミリーアの身体を支えながら言葉を掛ける。今のミリーアには無理をしている感じがあって2人は気になってしまったのだ。
「ミリーア? どうしたんだい?」
「顔色悪いぞ。何かあったのか?」
「……あまりいい事ではないのだけれど……」
「聞かせて? 俺達は仲間として心配するよ」
「実は、世界樹が弱り始めているの……。初めてだからこんな事。だからどうしたらいいのか分からなくて……」
「世界樹が弱り始めている? それはどんな風に弱り始めているんだ?」
「声が……声が聴こえなくなり始めているの。前までは私達妖精にはしっかり届いていた筈の声が、今はこちらから呼び掛けないと答えてもくれない」
ミリーアの言葉にガイアとフェランドはお互いの顔を見合った。まるで世界樹は妖精達から離れていく、そんな印象を受けているのだ。
だが、これが本当に弱っているのであればそれはあまりにも素直に喜ぶ事の出来ない状態。ガイアもフェランドもこれに関しては妖精のミリーア経由でしか世界樹の状態を知る事は出来ないので2人はこの後の旅にどんな影響が出てくるのかは定かじゃない事に不安を覚えるのであった――――。
ガイアの腕の中は酷く安心出来る、それが分かっているからこそ普段は考えない事を考える事も出来る。アガルダはマナの聖樹が開花したら猛攻撃してくる、そう言われているのだがそれはアガルダがフェランドを狙う事に繋がるのだろうか? と。
「……」
色々とフェランドは考え込むが、元々こういうのを考える方の知識を持っている訳ではない。だからか考え過ぎて痛む頭を感じてフェランドは小さく溜め息を吐き出し、再度ガイアの胸元に顔を埋めて眠ろうとしていた。
でも、”聴こえて”しまった……世界樹の声が。フェランドに語り掛けてくる優しい声が脳に直接響いてくる。
『愛する子、貴方は知らないといけない。貴方の存在が影響を与える意味を』
「っ」
『貴方の存在はこのオルガスタン大陸の最後の希望。この時代ではなく永遠の希望。この時代でアガルダを止めなくては2度とオルガスタン大陸には光は差さないでしょう。貴方の決断で全てが定まるのです』
世界樹の言葉にフェランドは言葉を発する事も出来なかった。自分達が最後の希望、そう告げられている事に驚きは無かった。
だが、どうして自分達……フェランドのみにその声が届いたのか? ガイアには聴こえなかったのはどうしてか? それの答えはきっと誰も持ち合わせてないのだろうとフェランドはなんとなく察していた。 そして、フェランドの命が全てのトリガーであるのも理解はした。
ガイアを起こさない様に腕の中からすり抜けて、ベッドから立ち上がってインナー姿のままで窓の傍に椅子を持ってきて、そしてそこに座って窓の外を見上げて思う。この旅の果てに自分の未来は存在しないのでは? と。
1人で出来るだけ考えていると気付かなかった。ガイアの意識が目覚めてフェランドの姿を探して動いている事に。
「ふぇ……らんど……?」
「……」
ガイアの呼び声にも気付かないフェランドの意識は深い海に沈んでいた。意識をようやく覚醒させたガイアが身体を起こして部屋の中を見回すと窓辺のフェランドに気付く。
ベッドから立ち上がり窓辺に近寄ると、フェランドは膝を抱えて小さくなって何かを考えているようだった。そんな様子を近くに来て見ていたガイアは少し考えて、暫くは考えに沈ませてやろうと飲み物を取りに行く為に部屋を出ていった。
でも、フェランドにはどうしても気付いて欲しいとガイアは願っていた事をフェランドは気付かない。ガイアはフェランドとは別の”声”が聴こえて色々と考えていた事を。
「それじゃフェランドは何かを考え込んでいるの?」
「あぁ、あの様子だと暫くは戻って来ねぇな」
「ガイア、これでも飲んで。フェランドには後から持って行くから」
「すまない。……本当の意味で俺とフェランドは世界樹の声が聴こえてもおかしくはないんだろうが、フェランドには少し難しいのかもしれない」
「そうだとしても、フェランド自身が気付かないといけないのでしょう? それが、ガイアの聞いた声の答え」
ルプスは程よい温もりのお茶をガイアに差し出しながらフェランドとガイアの聞いた声について、少し考えてから自分なりの言葉でガイアに伝える。ガイアも分かってはいるのだ、フェランドの運命が、命が、このオルガスタン大陸の最後になるだろう世界樹からの救いの手になる事を。
その運命はガイアとは異なるのはルプスも知っている。だからこそ、今フェランドが考えている事はフェランドにしか辿り着けない答えでもあるのだと。
ガイアはお茶を飲みながらぼんやりと考えてみる。今までの人生でこんなにもフェランドを遠くに感じる事は無かった。
それだけ一緒にいたからこそ、やはりどうしても手を差し伸べてやりたくはなる。だが、今は、今だけは手を差し伸べる事が出来ない。
「甘やかし過ぎているんだろうな俺は」
「どうだろう。フェランドは自分の足で立っている。それはガイアがちゃんと見守ってきたからだと思う」
「……ルプスはヴォルグが困ってて、自分の足で踏み出せなくなっていたらどうする?」
「その時は背中を押す程度の手助けはする。でも、本当に歩けないなら背負うよ」
「背負う、か……。今はあいつも自分の足で歩き出そうとしているから、余計なお世話になっちまうとな」
ガイアの悩みは意外にも深く、そしてルプスにはそれがどうしてもガイアは世話を焼きたがる人間である。と印象付けるだけの姿を見せていた。
ガイアはルプスと話している内にそろそろ本格的に休まないといけない時間になっているのに気付く。ルプスは明日の食事を仕込むからとガイアに部屋に戻る様に促してくるので、ガイアも従って部屋に戻った。
フェランドはまだぼんやりとしてはいたが、窓辺ではなくベッドに腰掛けていた……が、なんだか様子がおかしい事に気付く。ガイアが近寄るとフェランドは大粒の涙を浮かべているのが分かった。
「フェランド?」
「がい、あ……」
「どうした?」
「寂しかった……」
「あぁ、悪い。お前が何か考え込んでいるのを邪魔するのも悪いから、ルプスと話し込んでた。それで、考えには答えは出たのか?」
「……俺、未来が見えないよ……」
「フェランド……」
フェランドは俯いて、手の甲にぽたぽたと涙を落とす。こうなる位なら抱き締めて大丈夫だ、と言い聞かせてやるべきだったかと考えるガイアにも理由は分かっている。
フェランドにしかこのオルガスタン大陸を救う事は出来ないと考えてしまった。そして、その助ける方法として自分の命を使う事を考えたのだろうと。
ガイアはフェランドの隣に腰掛けてその艶やかな黒髪を優しく撫でる。それが嬉しかったのだろう、フェランドはグイグイ頭を押し付けてくる。
「フェランド、お前は何があっても死なせんよ」
「ガイア……」
「仮にお前が死んだとして、それでオルガスタン大陸が救われても……俺は救われないからだ。俺はお前がいない世界に生きる価値はないと思っている。だから、お前が死ななきゃいけないのであれば俺も一緒に死んでやる。1人にはさせねぇ」
「っ、ガイアぁ……」
「よしよし、お前も頑張って考えたもんな。偉いぞ」
ガイアの言葉と決意に涙腺崩壊したフェランドは泣きながらガイアに抱き着く。そして、暫くして泣き疲れてしまったフェランドを抱いたままガイアも横になって身体を休める事にした。
ガイアが聞いた声の内容を考えれば、オルガスタン大陸の最後の希望になるのは確かにフェランドであろうとガイアは考える。だが、そこに自分の求めている未来はないのだと知っているのも考えればガイアの選択肢はあまり多くはない。
ガイアにとって確かにオルガスタン大陸は大事だと言える。だが、そこに愛する存在であるフェランドの姿が無かったらそれはあまりにも色褪せた世界にしかならない事も分かっているのだ。
「俺が絶対に1人にはしねぇから……だから、1人で先を走るなよフェランド」
眠っているフェランドの身体を抱き締めながらもガイアは強く願う。自分の前からこの愛おしい存在が消えない事を。
暫くして雨音が激しさを増す。その音に誘われて眠りが深くなっていくガイアは夢を見ていた。
まだ幼い5歳頃の自分とフェランドの姿。もうこの頃には手を取って一緒に歩いていた記憶を思い出す。
親を、家族を早くに亡くした2人は幼いままの頃でもお互いを励まし合い、そして認め合い、支え合ってきた。だから夢を見ている間もフェランドの事は離さなかったのも、きっとそれだけガイアの中でのフェランドが大事だという事なのだろう。
「んっ……」
「んんぅ……」
お互いの身体が動いて意識が浮上し始めると、先に目を覚ましたのは寝起きのいいフェランド。ガイアが遅れて目を覚ますとフェランドはぼんやりしたままガイアの唇に自分の唇を軽く触れさせる。
それでお互いにゆっくりとではあるものの、意識が完全に覚醒し始めていつの間にか微笑み合いながら見つめ合っていた。顔を離して身体を起こした2人は軽く室内で身体を伸ばしていく。
「なんだかぐっすり寝れたよ」
「本当か? 俺もなんだよな」
「ガイアは元々眠りが浅いからこんなにゆっくりと寝れたのは久々じゃない?」
「あぁ、雨音がトリガーになったのかもしれないな」
「そう言えば雨、止んだね。今日は晴れるかな?」
「だといいんだけれどな。ミリーアがそろそろ起こしに来るだろうしアーマー類着込むぞ」
「りょ~かい」
ガイアとフェランドは脱いでいたアーマーを身に着込むと腰に剣を差した所で、ミリーアが起こしに来る。ミリーアに優しく挨拶する2人にミリーアは少し顔色を悪くしているのをガイアは見逃さなかった。
それはフェランドにも気付かれる程だったので、フェランドがそっとミリーアの身体を支えながら言葉を掛ける。今のミリーアには無理をしている感じがあって2人は気になってしまったのだ。
「ミリーア? どうしたんだい?」
「顔色悪いぞ。何かあったのか?」
「……あまりいい事ではないのだけれど……」
「聞かせて? 俺達は仲間として心配するよ」
「実は、世界樹が弱り始めているの……。初めてだからこんな事。だからどうしたらいいのか分からなくて……」
「世界樹が弱り始めている? それはどんな風に弱り始めているんだ?」
「声が……声が聴こえなくなり始めているの。前までは私達妖精にはしっかり届いていた筈の声が、今はこちらから呼び掛けないと答えてもくれない」
ミリーアの言葉にガイアとフェランドはお互いの顔を見合った。まるで世界樹は妖精達から離れていく、そんな印象を受けているのだ。
だが、これが本当に弱っているのであればそれはあまりにも素直に喜ぶ事の出来ない状態。ガイアもフェランドもこれに関しては妖精のミリーア経由でしか世界樹の状態を知る事は出来ないので2人はこの後の旅にどんな影響が出てくるのかは定かじゃない事に不安を覚えるのであった――――。
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