ドールの菫の物語

ありがとうの言葉は愛情

「マスター、マスター！」
「どうしたの？　今日も元気だね菫（すみれ）」
「あのね、僕マスターに伝えたい言葉があるんだ♪　言ってもいい？？」
「聞いていいなら教えてくれるかな？」
「ありがとうマスター。僕をお家の子にしてくれてありがとう。僕を愛してくれてありがとう」
「……ありがとうの嵐だね？」
「ありがとうは僕の心から出来た想いで言ったよ。マスターにはありがとうで愛情をあげたいの！」

　僕はマスターの膝の上に乗って胸元に寄り添って甘える。
　マスターはそんな僕のクリーム色のロングヘア―を撫でながら、瞳を細めて嬉しそうに微笑んでいるのが見れた。
　嬉しいな、マスターが笑うと僕の心も嬉しいし幸せな気持ちになれる。

「菫」
「はぁい」
「ありがとうには色々な感情がある。でも菫はそのありがとうに愛情を乗せてくれた。それが私には一番嬉しいよ」
「本当？　マスターが嬉しいと僕も嬉しい！」
「菫が人間になってもその心を忘れないようにね。感謝の心を忘れたら醜い人間になってしまうから」
「うん、感謝をする事忘れない。マスターへの感謝を一番に大事にするよ」
「ありがとう。私のありがとうの感情は愛情と喜びだね」
「マスター、もっと僕を見て？　マスターのドールで居られる幸せを感じさせて……」

　マスターの手が僕の頬に添えられると、マスターは優しい声で耳元で囁く。

「どんなに離れていても菫を見ているよ。私の大事な大事な菫」
「マスター♪」

　僕達は微笑み合って触れ合う、その温もりはとても暖かくて心を包み込んでいく。
　マスターの愛情、しっかりと感じれているよ。
　だからマスターのドールとして僕は感謝を忘れないでいる。
　そんな僕をマスターは愛してくれますか？？