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1章
1話「その男は聖なる加護を受けし聖騎士団長となる」
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ティクス国のコロッセオには新しい聖騎士団長着任の儀式と前聖騎士団長の昇華の儀式を執り行う為に解放されて市民や非番の騎士達が詰め掛けていたのである。まず正式に団長に就任するランスロットの姿がパレードからお披露目されてからというものの市民、特に女性陣から圧倒的に支持を得ていた。
控室で出番を待っていたランスロットの元にロゼットが訪れる。ロゼットは昇華の儀式を行う為に正装の鎧姿となっている状態で訪れてくれた。
「気分はどうだろうか?」
「少し緊張しておりますけれども、実に気分は安定しておりますよ」
「このコロッセオでの勝ち抜き戦を市民や非番の騎士達の前とは言え、剣技を披露する事になるのだから緊張するのも仕方ないだろう。だが、無理はするでないぞ。貴殿に何かあっては神々から天罰が下されてしまう恐れもあるのでな」
「大丈夫ですよ。勝ち抜き戦でも手を抜く気は毛頭にありませんので。それに私もこの勝ち抜き戦で実力を示さないと聖騎士団長としての面目がございませんから」
「貴殿はいつも穏やかそうに見えているが、腹の底には煮え滾る野心がある様に思える。だが、その野心を表に出すのも必要だと思え」
「心に刻んでおきます。それだけの為に来られたのですか?」
「いや、マリージュ……巫女達の呼び名の1つだが、そのマリージュに神託が下されたと先程国王陛下からお伺いしてきてな。その神託を話しておこうかと思って来たのだ」
「神託? 神々が私が聖騎士団団長に着任する事を懸念しているとでも言うのでしょうか」
「そうではない。神託にはこう綴られている……神々は新しい聖騎士団長に親愛の力を授け、その力を持ってその者は神々の騎士として戦う運命に従うであろう。と下されていたのだ」
ロゼットの言葉にランスロットは色々と考えていたが神託の内容に納得をする。神々はランスロットを歓迎していると言える神託に自然と力が抜けていくのを感じるのだった。
そして、まず手始めに勝ち抜き戦の試合が執り行われる事になる。コロッセオ全体の声援と黄色い悲鳴が上がりランスロットの登場で場は大いに盛り上がりを見せた。
審判役の男性により簡単に並んだ兵士や騎士達を含めた総勢40名がコロッセオのリング状にひしめき合っていたが、全員がランスロットにターゲットを絞っていた。場が静寂に包まれ始めると観客達も固唾を飲んで事の始まりを見守っている。
「それではこれより新聖騎士団長、ランスロット卿による勝ち抜き戦を行います。ランスロット団長に胸を借りる勢いで皆さんどうぞ団長へと挑まれて下さい。それでは団長の勝利条件は一人残さずに倒す事。それ以外は負けと見なします。それではよろしいですかな? 試合開始!!」
「わー!!」
「その実力、見させてもらいます!」
「正面からじゃ勝てないだろうし、兵法を活かして挑ませてもらいます!」
「皆、全力で挑んでくるといい。私も全力でお相手しよう」
ランスロットが中央に立っており、周囲の兵士、騎士達は木剣を構えて一斉にランスロットへと襲い掛かる。1人、1人とランスロットは焦りも見せないで捌いて行き確実に仕留めて行く。
開始30分で総勢40名いた人数が15名減って25名まで減っていたが、それ以上にランスロットの強さに全員が驚きを見せている。ランスロットはまだ”1歩”も動いていないのである。
これには国王席に座っているケンベルトはその動きに微笑みを浮かべていた。友人としてのランスロットは知っているが、騎士としてのランスロットは格段に人を惹き付ける魅力があるのをケンベルトは知っている。
「ロゼット、どうだ?」
「いやはや、まさかここまで軽く流されるとは思ってもみませんでした。まぁ、手合わせした時に感じましたが、あの者ならば団長としても最適な人物かと思いますぞ」
「だが、ここからは本番だろう。あの残った者達はロゼット自身が選び抜いた精鋭達であろう?」
「よくお分かりで。そうでございます……ランスロット殿が本当に神々に愛されているのであればあの人数に対して引けは取らないでしょう」
「その考えがランスロットに通用するか見物ではあるな」
ケンベルトとロゼットはそう言い合いって笑ってコロッセオのリングを見守る。リングの上で睨み合いも少し経過していた頃、ランスロットの剣が光を帯び始める。
その光に気付いた者達はすぐに攻撃を開始するが時すでに遅し。ランスロットの愛剣「ラインハッド」が最大に輝きを宿して周囲に威圧感を与えるかのような光を放つ。
「神々に愛されし我が剣の守護されし力を受けてみるがいい」
「させるか!」
「攻撃の手を緩めるな!」
「一撃だけでもっ!」
騎士達が剣を引き抜いてランスロットの間合いに飛び込んだと同時にティクス国上空に大きな光が差し込む。その光がランスロットに降り注ぐと間合いに踏み込んだ者達は一気に光による見えない力に押し飛ばされてしまったのである。
これには観客達も驚いて言葉を失くすが、残っていた騎士が小さく呟く。「神々の祝福」だと。
「まさか本当に神々に愛されている、とでもいうのか……?」
「ロゼット様以外に神々の力を使える者がいるという事か」
「だからこそ、この勝ち抜き戦を行って実力を示さんとされていたのか……。だが、そんな人に一撃でもいい、入れて認めてもらいたい!」
「俺も同じだ。認めてもらえるのであれば怪我など怖くはない!」
残っていた騎士達、兵士達も一気に間合いに入り込む様に武器を構えて突撃してくる。それに応じる様にランスロットも剣を軽く構えて静かに対応する構えを取り始める。
試合はその後混戦になったが、やはりランスロットは息を乱すでもなく、慌てるでもなく、明らかに余裕がある冷静な判断力を発揮して試合を有利に進めて行った。そして、試合開始1時間後――――。
「そこまで! 勝者ランスロット新団長!」
「ここまで皆さんの本気を知れて良かったです。これなら安心して皆さんと共に肩を並べて歩いて行けると断言出来ますね」
「悔しい……。でも、こんなに強いならロゼット様が託されたのも頷ける」
「俺達を導くその姿をどうか皆の為に先頭に立って促して下さい団長」
「お願いしますランスロット団長」
怪我まではしてない騎士達や兵士達が敬礼しながら新団長であるランスロットを受け入れて行く。これに同調する様に観衆達も新団長であるランスロットを受け入れて歓声を上げるのであった。
そして、儀式のメインであるロゼットの昇華の儀式を執り行う為に準備が行われ始めるコロッセオのリングに台座と神官達が並んで配置されて儀式の準備が着々と勧められていく。
昇華の儀式、それは騎士団長時代の穢れを祓い、そして同時に魂の浄化を行い新しい生命として転生するという一種の神事であった。これを行って改めて穢れの無い状態でケンベルトに仕える事が最大の目的でもあるのである。
「これより昇華の儀式を執り行う。ここに儀式を受けし者よ……台座に座りその身の穢れを祓い、新しい魂で国王陛下に再度忠誠を誓い給え」
「我が名は聖騎士団長ロゼット。この身に宿る穢れを祓い清め、そして新しい魂の元に国王陛下に忠誠を誓い、そして国の為にまたこの身を仕える事をお許し下さいませ」
神官達による神聖魔法の詠唱が始まる。台座に座ったロゼットの身体を光の神聖魔法が包み込み次第に頭上から黒い光が浮かび上がって来れば徐々にそれが神官達が持つ神具に導かれて……吸収されていくのが観衆達の目にも明らかに見えていた。
その黒い光こそがその身に宿っていた穢れだとされており、量が多ければ多い程に穢れが強いとされている。ロゼットの穢れは神具5つの内4つに収まる程だったのでそれなりに穢れていたという状態であった。
儀式も落ち着きながら終わりを迎え、穢れを払ったロゼットがリングの真上に設置されている王族の席に座っているケンベルト国王に向かって頭を下げる。ロゼット国王が立ち上がり国民達にも聞こえる様に大きな張りのある声で宣言する。
「ここに、ロゼットの昇華の儀式を完了した事を認めロゼットの更なる忠誠を受けてロゼットをティクス国の最重要大臣として迎え入れる事を宣言する。国を想う気持ちは皆と同じであると私は信じている。だから皆もロゼットを迎え入れて欲しい」
ケンベルト国王陛下の言葉に観衆達から大きな拍手が響き渡る。それと同時にケンベルトの元にリングから降りたロゼットとランスロットの姿が控えた。
この日、ティクス国の聖騎士団長に着任する事になったランスロットはこの日からティクス国の要としての聖騎士として団を率いて行く事になる。同時に国内の治安から国外の治安を維持する為の聖騎士団としての戦力強化に挑まないといけなくなる。
だが、ランスロットには不安など微塵も無かった。この着任に関しての問題や面倒毎はロゼットが事前に取り除いてくれているし解決もしてくれている。
それだけの期待を込められてランスロットはこのティクス国に迎えられていた。そして、ランスロット自身もこのティクス国に仕えた理由も他にあったのである。
それについてはまた別のお話になるであろうが、少し話すとしたらそれはランスロットの長年の探し物が見付かるお話だと言えるだろう。そう、その探し物こそがこのお話の本当の物語の始まりを示唆する探し物と言えるだろう。
「ランスロット、いよいよだな。これでお前の本当の探し物が見付かるだろうよ」
「ケンベルト、俺の探し物が見付かる時はお前に迷惑を掛けてしまうが……」
「その時はその時だ。大丈夫、お前が長年時間を掛けて探し求めてきたのだ。見付かると信じているぞ」
「そうだといいのだが。俺の家の事も含めてケンベルト、お前には色々と世話をしてもらっている。感謝はしきれないですね」
「いいんだよ。長年の付き合いでお前の願いも考えも性格も知っているからこそ支援に名乗りを上げたんだ。それまでにお前が味わってきた苦労や辛さに比べたら俺はまだ温かい方だからな。少しは友人としてお前の幸せに貢献させてくれ」
「……感謝する。これで見付かればいいのだが……」
「この国にいるのは確実なのだろう?」
「あぁ、それは間違いない。あの子が……妹がこのティクス国の中にいるのは確実な情報だ。だが、詳細までは分からない……出来ればすぐにでもこの腕に抱き締めてやりたいのに……」
「たった1人の血の分けた妹だからな。お前が大事にしていた家族としての最後の存在だ。だからこそ、俺も協力したいと思っている。ロゼットがそこら辺は上手く調べてくれるだろう。今は団長として団を率いてくれ」
「あぁ……それが今の俺に出来る最大の恩返しだ」
ランスロットの妹、それがランスロットの最大の弱点であり、一番探し求めていた探し者である――――。
控室で出番を待っていたランスロットの元にロゼットが訪れる。ロゼットは昇華の儀式を行う為に正装の鎧姿となっている状態で訪れてくれた。
「気分はどうだろうか?」
「少し緊張しておりますけれども、実に気分は安定しておりますよ」
「このコロッセオでの勝ち抜き戦を市民や非番の騎士達の前とは言え、剣技を披露する事になるのだから緊張するのも仕方ないだろう。だが、無理はするでないぞ。貴殿に何かあっては神々から天罰が下されてしまう恐れもあるのでな」
「大丈夫ですよ。勝ち抜き戦でも手を抜く気は毛頭にありませんので。それに私もこの勝ち抜き戦で実力を示さないと聖騎士団長としての面目がございませんから」
「貴殿はいつも穏やかそうに見えているが、腹の底には煮え滾る野心がある様に思える。だが、その野心を表に出すのも必要だと思え」
「心に刻んでおきます。それだけの為に来られたのですか?」
「いや、マリージュ……巫女達の呼び名の1つだが、そのマリージュに神託が下されたと先程国王陛下からお伺いしてきてな。その神託を話しておこうかと思って来たのだ」
「神託? 神々が私が聖騎士団団長に着任する事を懸念しているとでも言うのでしょうか」
「そうではない。神託にはこう綴られている……神々は新しい聖騎士団長に親愛の力を授け、その力を持ってその者は神々の騎士として戦う運命に従うであろう。と下されていたのだ」
ロゼットの言葉にランスロットは色々と考えていたが神託の内容に納得をする。神々はランスロットを歓迎していると言える神託に自然と力が抜けていくのを感じるのだった。
そして、まず手始めに勝ち抜き戦の試合が執り行われる事になる。コロッセオ全体の声援と黄色い悲鳴が上がりランスロットの登場で場は大いに盛り上がりを見せた。
審判役の男性により簡単に並んだ兵士や騎士達を含めた総勢40名がコロッセオのリング状にひしめき合っていたが、全員がランスロットにターゲットを絞っていた。場が静寂に包まれ始めると観客達も固唾を飲んで事の始まりを見守っている。
「それではこれより新聖騎士団長、ランスロット卿による勝ち抜き戦を行います。ランスロット団長に胸を借りる勢いで皆さんどうぞ団長へと挑まれて下さい。それでは団長の勝利条件は一人残さずに倒す事。それ以外は負けと見なします。それではよろしいですかな? 試合開始!!」
「わー!!」
「その実力、見させてもらいます!」
「正面からじゃ勝てないだろうし、兵法を活かして挑ませてもらいます!」
「皆、全力で挑んでくるといい。私も全力でお相手しよう」
ランスロットが中央に立っており、周囲の兵士、騎士達は木剣を構えて一斉にランスロットへと襲い掛かる。1人、1人とランスロットは焦りも見せないで捌いて行き確実に仕留めて行く。
開始30分で総勢40名いた人数が15名減って25名まで減っていたが、それ以上にランスロットの強さに全員が驚きを見せている。ランスロットはまだ”1歩”も動いていないのである。
これには国王席に座っているケンベルトはその動きに微笑みを浮かべていた。友人としてのランスロットは知っているが、騎士としてのランスロットは格段に人を惹き付ける魅力があるのをケンベルトは知っている。
「ロゼット、どうだ?」
「いやはや、まさかここまで軽く流されるとは思ってもみませんでした。まぁ、手合わせした時に感じましたが、あの者ならば団長としても最適な人物かと思いますぞ」
「だが、ここからは本番だろう。あの残った者達はロゼット自身が選び抜いた精鋭達であろう?」
「よくお分かりで。そうでございます……ランスロット殿が本当に神々に愛されているのであればあの人数に対して引けは取らないでしょう」
「その考えがランスロットに通用するか見物ではあるな」
ケンベルトとロゼットはそう言い合いって笑ってコロッセオのリングを見守る。リングの上で睨み合いも少し経過していた頃、ランスロットの剣が光を帯び始める。
その光に気付いた者達はすぐに攻撃を開始するが時すでに遅し。ランスロットの愛剣「ラインハッド」が最大に輝きを宿して周囲に威圧感を与えるかのような光を放つ。
「神々に愛されし我が剣の守護されし力を受けてみるがいい」
「させるか!」
「攻撃の手を緩めるな!」
「一撃だけでもっ!」
騎士達が剣を引き抜いてランスロットの間合いに飛び込んだと同時にティクス国上空に大きな光が差し込む。その光がランスロットに降り注ぐと間合いに踏み込んだ者達は一気に光による見えない力に押し飛ばされてしまったのである。
これには観客達も驚いて言葉を失くすが、残っていた騎士が小さく呟く。「神々の祝福」だと。
「まさか本当に神々に愛されている、とでもいうのか……?」
「ロゼット様以外に神々の力を使える者がいるという事か」
「だからこそ、この勝ち抜き戦を行って実力を示さんとされていたのか……。だが、そんな人に一撃でもいい、入れて認めてもらいたい!」
「俺も同じだ。認めてもらえるのであれば怪我など怖くはない!」
残っていた騎士達、兵士達も一気に間合いに入り込む様に武器を構えて突撃してくる。それに応じる様にランスロットも剣を軽く構えて静かに対応する構えを取り始める。
試合はその後混戦になったが、やはりランスロットは息を乱すでもなく、慌てるでもなく、明らかに余裕がある冷静な判断力を発揮して試合を有利に進めて行った。そして、試合開始1時間後――――。
「そこまで! 勝者ランスロット新団長!」
「ここまで皆さんの本気を知れて良かったです。これなら安心して皆さんと共に肩を並べて歩いて行けると断言出来ますね」
「悔しい……。でも、こんなに強いならロゼット様が託されたのも頷ける」
「俺達を導くその姿をどうか皆の為に先頭に立って促して下さい団長」
「お願いしますランスロット団長」
怪我まではしてない騎士達や兵士達が敬礼しながら新団長であるランスロットを受け入れて行く。これに同調する様に観衆達も新団長であるランスロットを受け入れて歓声を上げるのであった。
そして、儀式のメインであるロゼットの昇華の儀式を執り行う為に準備が行われ始めるコロッセオのリングに台座と神官達が並んで配置されて儀式の準備が着々と勧められていく。
昇華の儀式、それは騎士団長時代の穢れを祓い、そして同時に魂の浄化を行い新しい生命として転生するという一種の神事であった。これを行って改めて穢れの無い状態でケンベルトに仕える事が最大の目的でもあるのである。
「これより昇華の儀式を執り行う。ここに儀式を受けし者よ……台座に座りその身の穢れを祓い、新しい魂で国王陛下に再度忠誠を誓い給え」
「我が名は聖騎士団長ロゼット。この身に宿る穢れを祓い清め、そして新しい魂の元に国王陛下に忠誠を誓い、そして国の為にまたこの身を仕える事をお許し下さいませ」
神官達による神聖魔法の詠唱が始まる。台座に座ったロゼットの身体を光の神聖魔法が包み込み次第に頭上から黒い光が浮かび上がって来れば徐々にそれが神官達が持つ神具に導かれて……吸収されていくのが観衆達の目にも明らかに見えていた。
その黒い光こそがその身に宿っていた穢れだとされており、量が多ければ多い程に穢れが強いとされている。ロゼットの穢れは神具5つの内4つに収まる程だったのでそれなりに穢れていたという状態であった。
儀式も落ち着きながら終わりを迎え、穢れを払ったロゼットがリングの真上に設置されている王族の席に座っているケンベルト国王に向かって頭を下げる。ロゼット国王が立ち上がり国民達にも聞こえる様に大きな張りのある声で宣言する。
「ここに、ロゼットの昇華の儀式を完了した事を認めロゼットの更なる忠誠を受けてロゼットをティクス国の最重要大臣として迎え入れる事を宣言する。国を想う気持ちは皆と同じであると私は信じている。だから皆もロゼットを迎え入れて欲しい」
ケンベルト国王陛下の言葉に観衆達から大きな拍手が響き渡る。それと同時にケンベルトの元にリングから降りたロゼットとランスロットの姿が控えた。
この日、ティクス国の聖騎士団長に着任する事になったランスロットはこの日からティクス国の要としての聖騎士として団を率いて行く事になる。同時に国内の治安から国外の治安を維持する為の聖騎士団としての戦力強化に挑まないといけなくなる。
だが、ランスロットには不安など微塵も無かった。この着任に関しての問題や面倒毎はロゼットが事前に取り除いてくれているし解決もしてくれている。
それだけの期待を込められてランスロットはこのティクス国に迎えられていた。そして、ランスロット自身もこのティクス国に仕えた理由も他にあったのである。
それについてはまた別のお話になるであろうが、少し話すとしたらそれはランスロットの長年の探し物が見付かるお話だと言えるだろう。そう、その探し物こそがこのお話の本当の物語の始まりを示唆する探し物と言えるだろう。
「ランスロット、いよいよだな。これでお前の本当の探し物が見付かるだろうよ」
「ケンベルト、俺の探し物が見付かる時はお前に迷惑を掛けてしまうが……」
「その時はその時だ。大丈夫、お前が長年時間を掛けて探し求めてきたのだ。見付かると信じているぞ」
「そうだといいのだが。俺の家の事も含めてケンベルト、お前には色々と世話をしてもらっている。感謝はしきれないですね」
「いいんだよ。長年の付き合いでお前の願いも考えも性格も知っているからこそ支援に名乗りを上げたんだ。それまでにお前が味わってきた苦労や辛さに比べたら俺はまだ温かい方だからな。少しは友人としてお前の幸せに貢献させてくれ」
「……感謝する。これで見付かればいいのだが……」
「この国にいるのは確実なのだろう?」
「あぁ、それは間違いない。あの子が……妹がこのティクス国の中にいるのは確実な情報だ。だが、詳細までは分からない……出来ればすぐにでもこの腕に抱き締めてやりたいのに……」
「たった1人の血の分けた妹だからな。お前が大事にしていた家族としての最後の存在だ。だからこそ、俺も協力したいと思っている。ロゼットがそこら辺は上手く調べてくれるだろう。今は団長として団を率いてくれ」
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