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2章
13話「新人騎士募集試験の前日」
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ティクス国聖騎士団の新人騎士募集試験の日を前日に控えたある屋敷の部屋にアレスは1人明日の試験に備えて準備をしていた。ブルーの髪の毛を縛る為に用意した髪紐の結び方を鏡に向かいながら確認している所にノック音が聞こえてくる。
「はーい」
「失礼しますよアレスお嬢様」
「ルルさん!」
「明日の試験に持って行けるポーチが出来ましたのでお持ちしました。いよいよですね」
「ありがとうございます。はい……明日からの試験を無事に合格して兄さんの元に行くんです。その為にこの5年間を過ごして来たんですから」
「8歳の頃からランスロット様の元に行く為に剣術や知識、礼儀作法や身体作りをされてこられて……その結果を発揮する為の試練が明日に控えている……。お育てしてきた我々も心配ではありますが、普段の力が出せればきっと合格致しますよ」
「はい。私は兄さんを護りたい……その為ならどんな辛い事もきっと超えれると信じています。それに、私には不思議と大丈夫って信じれるんです」
「それは神々の声が聞こえるからですか?」
「そうだと思います。正直私が神々に愛されているとか実感していませんけれど、この声が兄さんへ導いてくれているのは事実だから。私は兄さんの隣で生きていきたいです」
ルルはシルバーの瞳を持つアレスの言葉に強い決意を感じる事が出来た。アレスを幼少時から世話をしてきた人間としては年の離れた妹的な存在であったアレスが、実の兄であり血の繋がる家族のランスロットの元に行こうとしているのを見守れる位置にいられる事が嬉しいと思っていた。
この屋敷の中で過ごしてきたアレスがこうして大人の階段を1段ずつ上がって行く姿を間近で見れただけでも喜ばしい。ルルの右手をアレスは優しい触れ方をしながら包み込む。
「ルルさん、幼い頃から私を見守ってくれてありがとうございます。私、カレル婦人とロロ主人、ルルさんの3人に拾われなかったら今の今まで自分と向き合って来れなかったと思います。こんなに優しい人達に護られて成長できた事、誇りに思います」
「アレスお嬢様、私こそ血の繋がりはなくとも妹の様に傍にいてくれた事は本当に嬉しい限りでしたよ。仮にこの先ランスロット様の元に行ってもたまには姿を見せに来て下さいね?」
「はいっ! きっと帰ってきます!」
ギュッと抱き着いてくるアレスをルルは優しく抱き締め返す。この存在が自分達家族にとって温かい時間を与えてくれたのは間違いない事実である。
アレスが育ててくれた家族と一時の別れを受け入れている頃。団長業務に就いてたランスロットはケンベルトの私室にいた。
2人はホワイト色のワインを味わいながら明日から始まる新人騎士の試練について色々と語り合っていたが、ランスロットはアレスの事をケンベルトに謝罪する事をしていた。それを受けてケンベルトはクスクスと笑いながらランスロットの謝罪を聞き流している。
「真面目に謝罪しているんだが?」
「お前がどうして謝る必要がある? お前が命令して受けさせている訳ではないだろう?」
「それはそうなんだが……」
「お前と同じ正義感溢れる妹ならば受ける事自体が考えられていたっておかしい事じゃないだろうからな。それもお前の為に騎士になりたいと言う想いは大事でしかない」
「だが、いくらでも道は選択肢がある筈だ。なにも危険と隣り合わせになる騎士を選択しなくてもいいだろうと思ってしまう……」
「神々に愛されし御子、その魂には慈愛の精神が宿る」
「……」
「お前とアレスがこの国で幸せに生きてくれれば俺はそれだけで充分だ。俺なりの償いにもなる」
「俺は一回もお前に恨みなんて抱いた覚えはない」
「それでも、お前の一族がこのティクスで支えてきた功績は評価されるべきものだ。それが例え人には言えぬ事であったとしてもな」
ケンベルトはそこまで言ってワインをグイっと飲む。遅れてランスロットも同じ様にワインを飲むが味わうまでの余裕は無かった。
明日に控えている新人騎士試練。内容は団長であるが故に把握はしているが今年はケンベルトの意見も取り入れているので実戦的内容が多く含まれている。
だからこそ、女のアレスが合格するにはそれ相当の苦戦が強いられてしまうのは分かってしまうのであった。兄として今すぐにでも止めさせるべきでもあるだろう。
だが、アレスの強い心を兄としての言葉だけで留める事はきっと無理な話でもあって。ランスロットはワインを飲み干して深い溜め息を吐き出すしか出来なかった。
「今年の新人騎士試練、目玉はやはり野外試練だろうな」
「……正直、ベテランの騎士達のサポートも付けないで2年目の騎士達とペアを組ませてモンスターの巣穴の掃討を行う試練は危険も高い。死者が出る可能性も低くはない」
「だが、今後はディズ国との緊張感がまた高まり始める可能性もある。だからこそ、すぐに実戦に入れる有能の人材を確保する意味でもお前だって考えていたのだろう?」
「遅かれ早かれ、剣を握ると言う事は手を汚す事にもなる。モンスターも切り倒せないんじゃ人間相手に剣を動かす事も不可能だ。だが……この時期にまさかベルベルの巣穴に行かせるとは考えもしなかった」
「最近、市民達からベルベルが異常繁殖している情報が上がっている。これは調査にもなるからな。騎士団の試験にも使えると判断したまでよ。お前の指示で上手く調査をしてくれ」
ベルベルとは、頭は馬の顔をして身体はヤギの様な胴体を持ち、知能はゴブリン並みに低いがリーダー格の指示には従う集団行動の取れるモンスターの事。このベルベルは本来一定の頭数でティクス国の領土内にある森の中で生活しているのだが、ここ数年で頭数の数が異常繁殖をしているのが増えており、市民から駆除の依頼を出されている事が増えているモンスターでもあった。
そのベルベルの巣穴は森の中に自然と出来た洞窟にあり、騎士団の鍛錬目的で駆除を担当している事もあって今年の新人騎士の試験に使う事をケンベルトが命令して試験の最終試験で騎士になって2年目のまだ新人と言える者と、今回の試練に応募してきて残った者達にペアを組ませて巣穴の掃討を行う事で駆除と異常繫殖の原因を調査する事としたのである。だが、これにはかなりの危険も含まれるので騎士団としては今年の試練最終選考に残った者達には忠告として、死を感じたら試練を考えるのではなく身を護る行動を取る様にと伝える事にしている。
騎士としてペアを組む者達の実力があれば死ぬまでの事態に陥る事はある程度回避は出来るだろうが、何が起こるか分からない。万全を期して挑むのは騎士団の面々も同じなのである。
「ランスロット、一応お前の元にも情報としては入っているとは思うが……ディズ国の動向をどう見る?」
「正直考えられる対策としては「禁呪」の使用禁止協定を強固にするしか今は方法が取れないだろうな。ディズ国の内部に人間を送り込むにも今ディズ国は城門を固く閉じていると聞いている」
「そもそも、5年前に緊張感を高めた「禁呪」の使用も強行派の行動だとディズ国も話していたが……今回はその強行派の動きとは一線を超えているとも考えられる行動を見せている。近々使者を立てて話し合いの場を設ける予定ではあるのだがな」
「その結果として協定の威力が最大限に活かされたらティクス国も穏やかな対応は出来るんだろうが」
「最悪な場合の方が考えなくてはならないがな」
ワインのお代わりをグラスに注ぐケンベルトの横顔はあまり考えている時に見せる険しい物に近かった。ランスロットも騎士団の団長として有事の際には騎士達と共にティクス国を護る為に剣を振るう覚悟は出来ている。
どっちにしろディズ国の動きもだが、その目的を知らなくては安易に刺激になる行動は避けねばならないと2人は同じ考えを示すのだった。その頃のロゼットはディズ国に忍ばせようとしている部下に色々な方面のサポートの準備をしていた。
ロゼットの見込んでいる部下は元々ディズ国の人間であり、ロゼットの人柄や懐の深さに惚れて部下としてこのティクス国へ流れてきた部下である。ディズ国とティクス国の戦争をこの部下はあまり好ましいとは思わないと考えていたロゼットではあったが、部下の本心は至って簡潔であった。
「俺はディズ国が戦争をするのであれば滅べばいいと思っているんですよ? それこそ「禁呪」とかに頼るなんて魔法国だとしても許されないと分かっていますから。それに、俺はロゼット様の手足になって働く方が何十倍にも生きているって実感出来ますから」
「本当にいいのだな? 事と場合によってはお前は俺の部下としての一生を送る事になるのだぞ?」
「構いません。俺は俺の意思でロゼット様の部下になったんだ。後悔なんて微塵もしていませんよ。だから、俺に命じて下さい。ロゼット様の力になれる事をしろって」
「……ありがとう。ならば行け。ディズ国の目論見を見極めてこい」
「承知!」
部下の男がすぐに部屋から姿を消す。ロゼットの為に故郷を出てきた者、家族とは永遠に別れて仕えてくれている者、そして、命を賭けて任務をしてくれてる者……ロゼットの部下は本当にロゼットの為に生きる事を選んだ者達だらけである。
1人になったロゼットは書類と地図を広げた机にコトリとチェスのナイトを地図の上に置く。ディズ国がこの後に協定を踏み躙って「禁呪」を使うとしたら何処を考えているか? それをロゼットは看破しなくてはならない。
ロゼットはケンベルトの腹心であり、ティクス国の軍師でもある。愛国心がある訳ではないが、ロゼットをここまで生かしてくれたのは間違いなくティクス国である。
恩義を返す為、ケンベルトの治政を助ける為、そして、このティクスが神聖国である為、軍師たるロゼットは考える。そして、導き出す答えと方法をカリカリと洋紙に書き込んでいきながら静かに考えていた。
「これが神々のお考えの上で成り立つ出来事であるのであれば……俺達人間はなんとちっぽけな存在なのだろうな」
ロゼットはそう呟いて洋紙を書き上げると丸めて封をすると外に控えている兵士を呼ぶ。呼ばれて入ってきた兵士に丸めた洋紙をケンベルトの元に持って行く様に命じて手渡す。
兵士がしっかり受け取り持って行くのを見送ってロゼットは窓の外に視線を向ける。今日のティクス国の夜空はまだ比較的に雲のない綺麗な星空が見える夜空であった――――。
「はーい」
「失礼しますよアレスお嬢様」
「ルルさん!」
「明日の試験に持って行けるポーチが出来ましたのでお持ちしました。いよいよですね」
「ありがとうございます。はい……明日からの試験を無事に合格して兄さんの元に行くんです。その為にこの5年間を過ごして来たんですから」
「8歳の頃からランスロット様の元に行く為に剣術や知識、礼儀作法や身体作りをされてこられて……その結果を発揮する為の試練が明日に控えている……。お育てしてきた我々も心配ではありますが、普段の力が出せればきっと合格致しますよ」
「はい。私は兄さんを護りたい……その為ならどんな辛い事もきっと超えれると信じています。それに、私には不思議と大丈夫って信じれるんです」
「それは神々の声が聞こえるからですか?」
「そうだと思います。正直私が神々に愛されているとか実感していませんけれど、この声が兄さんへ導いてくれているのは事実だから。私は兄さんの隣で生きていきたいです」
ルルはシルバーの瞳を持つアレスの言葉に強い決意を感じる事が出来た。アレスを幼少時から世話をしてきた人間としては年の離れた妹的な存在であったアレスが、実の兄であり血の繋がる家族のランスロットの元に行こうとしているのを見守れる位置にいられる事が嬉しいと思っていた。
この屋敷の中で過ごしてきたアレスがこうして大人の階段を1段ずつ上がって行く姿を間近で見れただけでも喜ばしい。ルルの右手をアレスは優しい触れ方をしながら包み込む。
「ルルさん、幼い頃から私を見守ってくれてありがとうございます。私、カレル婦人とロロ主人、ルルさんの3人に拾われなかったら今の今まで自分と向き合って来れなかったと思います。こんなに優しい人達に護られて成長できた事、誇りに思います」
「アレスお嬢様、私こそ血の繋がりはなくとも妹の様に傍にいてくれた事は本当に嬉しい限りでしたよ。仮にこの先ランスロット様の元に行ってもたまには姿を見せに来て下さいね?」
「はいっ! きっと帰ってきます!」
ギュッと抱き着いてくるアレスをルルは優しく抱き締め返す。この存在が自分達家族にとって温かい時間を与えてくれたのは間違いない事実である。
アレスが育ててくれた家族と一時の別れを受け入れている頃。団長業務に就いてたランスロットはケンベルトの私室にいた。
2人はホワイト色のワインを味わいながら明日から始まる新人騎士の試練について色々と語り合っていたが、ランスロットはアレスの事をケンベルトに謝罪する事をしていた。それを受けてケンベルトはクスクスと笑いながらランスロットの謝罪を聞き流している。
「真面目に謝罪しているんだが?」
「お前がどうして謝る必要がある? お前が命令して受けさせている訳ではないだろう?」
「それはそうなんだが……」
「お前と同じ正義感溢れる妹ならば受ける事自体が考えられていたっておかしい事じゃないだろうからな。それもお前の為に騎士になりたいと言う想いは大事でしかない」
「だが、いくらでも道は選択肢がある筈だ。なにも危険と隣り合わせになる騎士を選択しなくてもいいだろうと思ってしまう……」
「神々に愛されし御子、その魂には慈愛の精神が宿る」
「……」
「お前とアレスがこの国で幸せに生きてくれれば俺はそれだけで充分だ。俺なりの償いにもなる」
「俺は一回もお前に恨みなんて抱いた覚えはない」
「それでも、お前の一族がこのティクスで支えてきた功績は評価されるべきものだ。それが例え人には言えぬ事であったとしてもな」
ケンベルトはそこまで言ってワインをグイっと飲む。遅れてランスロットも同じ様にワインを飲むが味わうまでの余裕は無かった。
明日に控えている新人騎士試練。内容は団長であるが故に把握はしているが今年はケンベルトの意見も取り入れているので実戦的内容が多く含まれている。
だからこそ、女のアレスが合格するにはそれ相当の苦戦が強いられてしまうのは分かってしまうのであった。兄として今すぐにでも止めさせるべきでもあるだろう。
だが、アレスの強い心を兄としての言葉だけで留める事はきっと無理な話でもあって。ランスロットはワインを飲み干して深い溜め息を吐き出すしか出来なかった。
「今年の新人騎士試練、目玉はやはり野外試練だろうな」
「……正直、ベテランの騎士達のサポートも付けないで2年目の騎士達とペアを組ませてモンスターの巣穴の掃討を行う試練は危険も高い。死者が出る可能性も低くはない」
「だが、今後はディズ国との緊張感がまた高まり始める可能性もある。だからこそ、すぐに実戦に入れる有能の人材を確保する意味でもお前だって考えていたのだろう?」
「遅かれ早かれ、剣を握ると言う事は手を汚す事にもなる。モンスターも切り倒せないんじゃ人間相手に剣を動かす事も不可能だ。だが……この時期にまさかベルベルの巣穴に行かせるとは考えもしなかった」
「最近、市民達からベルベルが異常繁殖している情報が上がっている。これは調査にもなるからな。騎士団の試験にも使えると判断したまでよ。お前の指示で上手く調査をしてくれ」
ベルベルとは、頭は馬の顔をして身体はヤギの様な胴体を持ち、知能はゴブリン並みに低いがリーダー格の指示には従う集団行動の取れるモンスターの事。このベルベルは本来一定の頭数でティクス国の領土内にある森の中で生活しているのだが、ここ数年で頭数の数が異常繁殖をしているのが増えており、市民から駆除の依頼を出されている事が増えているモンスターでもあった。
そのベルベルの巣穴は森の中に自然と出来た洞窟にあり、騎士団の鍛錬目的で駆除を担当している事もあって今年の新人騎士の試験に使う事をケンベルトが命令して試験の最終試験で騎士になって2年目のまだ新人と言える者と、今回の試練に応募してきて残った者達にペアを組ませて巣穴の掃討を行う事で駆除と異常繫殖の原因を調査する事としたのである。だが、これにはかなりの危険も含まれるので騎士団としては今年の試練最終選考に残った者達には忠告として、死を感じたら試練を考えるのではなく身を護る行動を取る様にと伝える事にしている。
騎士としてペアを組む者達の実力があれば死ぬまでの事態に陥る事はある程度回避は出来るだろうが、何が起こるか分からない。万全を期して挑むのは騎士団の面々も同じなのである。
「ランスロット、一応お前の元にも情報としては入っているとは思うが……ディズ国の動向をどう見る?」
「正直考えられる対策としては「禁呪」の使用禁止協定を強固にするしか今は方法が取れないだろうな。ディズ国の内部に人間を送り込むにも今ディズ国は城門を固く閉じていると聞いている」
「そもそも、5年前に緊張感を高めた「禁呪」の使用も強行派の行動だとディズ国も話していたが……今回はその強行派の動きとは一線を超えているとも考えられる行動を見せている。近々使者を立てて話し合いの場を設ける予定ではあるのだがな」
「その結果として協定の威力が最大限に活かされたらティクス国も穏やかな対応は出来るんだろうが」
「最悪な場合の方が考えなくてはならないがな」
ワインのお代わりをグラスに注ぐケンベルトの横顔はあまり考えている時に見せる険しい物に近かった。ランスロットも騎士団の団長として有事の際には騎士達と共にティクス国を護る為に剣を振るう覚悟は出来ている。
どっちにしろディズ国の動きもだが、その目的を知らなくては安易に刺激になる行動は避けねばならないと2人は同じ考えを示すのだった。その頃のロゼットはディズ国に忍ばせようとしている部下に色々な方面のサポートの準備をしていた。
ロゼットの見込んでいる部下は元々ディズ国の人間であり、ロゼットの人柄や懐の深さに惚れて部下としてこのティクス国へ流れてきた部下である。ディズ国とティクス国の戦争をこの部下はあまり好ましいとは思わないと考えていたロゼットではあったが、部下の本心は至って簡潔であった。
「俺はディズ国が戦争をするのであれば滅べばいいと思っているんですよ? それこそ「禁呪」とかに頼るなんて魔法国だとしても許されないと分かっていますから。それに、俺はロゼット様の手足になって働く方が何十倍にも生きているって実感出来ますから」
「本当にいいのだな? 事と場合によってはお前は俺の部下としての一生を送る事になるのだぞ?」
「構いません。俺は俺の意思でロゼット様の部下になったんだ。後悔なんて微塵もしていませんよ。だから、俺に命じて下さい。ロゼット様の力になれる事をしろって」
「……ありがとう。ならば行け。ディズ国の目論見を見極めてこい」
「承知!」
部下の男がすぐに部屋から姿を消す。ロゼットの為に故郷を出てきた者、家族とは永遠に別れて仕えてくれている者、そして、命を賭けて任務をしてくれてる者……ロゼットの部下は本当にロゼットの為に生きる事を選んだ者達だらけである。
1人になったロゼットは書類と地図を広げた机にコトリとチェスのナイトを地図の上に置く。ディズ国がこの後に協定を踏み躙って「禁呪」を使うとしたら何処を考えているか? それをロゼットは看破しなくてはならない。
ロゼットはケンベルトの腹心であり、ティクス国の軍師でもある。愛国心がある訳ではないが、ロゼットをここまで生かしてくれたのは間違いなくティクス国である。
恩義を返す為、ケンベルトの治政を助ける為、そして、このティクスが神聖国である為、軍師たるロゼットは考える。そして、導き出す答えと方法をカリカリと洋紙に書き込んでいきながら静かに考えていた。
「これが神々のお考えの上で成り立つ出来事であるのであれば……俺達人間はなんとちっぽけな存在なのだろうな」
ロゼットはそう呟いて洋紙を書き上げると丸めて封をすると外に控えている兵士を呼ぶ。呼ばれて入ってきた兵士に丸めた洋紙をケンベルトの元に持って行く様に命じて手渡す。
兵士がしっかり受け取り持って行くのを見送ってロゼットは窓の外に視線を向ける。今日のティクス国の夜空はまだ比較的に雲のない綺麗な星空が見える夜空であった――――。
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