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2章
14話「アレス、騎士への挑戦」
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新人騎士試練当日。試験受付会場となるティクス城前広場には多くの受験者達の姿が。
若い者は13歳の子供から、最年長は見た目で判断するなら50歳前後の男性の姿までが確認する事が出来る。男性がかなりの人数を割り合い占めているが少ないけれども女性の姿も確認は出来ていた。
その数少ない女性受験者の中にアレスの姿も当然あった。アレスはブルーの髪を頭の高い位置で結んで服装は少年と思わせる程の男性ルック。
試験受付会場の受付騎士に事前に応募した際に受け取っていた証明書を手渡して受験者の証であるブレスレットを受け取って右手首に装備していた。広場にはアレスを含めて総勢90名近くの受験者達が揃っている。
「受験者の方々はお集まり下さい! これより新人騎士試験の第一次試験を行います。まず、皆様には騎士についての基礎知識を見せてもらいますので学科試験から執り行います。100問の質問を正解数に応じて点数付けを行い、順位を発表します。上位60名様の方々が第二次試験へお進みになられる事になります」
「まずは知識から攻めて来るのか。よーし、ここでトップに入って印象を良く付けて上位を突っ走るぞ」
「知識だけで30名程を振るうのか……騎士たるやとはこうして選別されるのだな」
「……焦るな、今までの実力を出せれば……ぼ、僕にだって可能性はあるっ」
受験者達の集団から色々な声が聞こえてくるがアレスは動揺する事も焦る事も、ましてや高まる気持ちを押さえる事にも集中力を乱される事はなかった。恐らく受験者の中でも数少ない平常心で挑んでいると言っていいだろう。
学科試験の場所になっている学校の一部を借りて行われた学科試験。時間は朝の10時から夕方の4時までの間に100問の質問に答えを書き込むだけのシンプルな試験である。
だが、100問の質問に正確に答えるには知識もそうであるが、どれだけ時間の配分と自分の実力を出し切れるかに監視官達の注目は当てられる。90名の受験者達は一斉に開始の言葉が掛かると用紙をひっくり返してカリカリとペンを走らせていく。
1時間経過してもそんなに焦りを見せる者達は流石にいなかったが、これが5時間を過ぎる頃には半数がペンの動きを止めて苦悶の声を上げ始めていた。しかし、そんな中でも冷静な判断をしていた者達はペースを乱される事もなく全部の質問に答えを書き込み、見直す余裕さえも見受けられていた。
時間の4時を迎えて終了の声が聞こえたと同時に答案用紙は回収されて採点が始まる。絶望に机に伏せる者、ソワソワとして落ち着きがない者、冷静に状況を見ている者、自信ある者と様々な反応が見られていた。
「それでは採点結果を張り出します。60位以下の方々は張り出しておりませんのでご自身の名前があるかどうか確認されて下さい。なお順位は今回同位の方が多かったのでグループ事に張り出しております」
採点を担当した監視官の言葉に従って張り出された学科試験結果。アレスはまずは下位グループから自分の名前があるかを目視で確認していく。
60位から40位まで見てみたアレスは自分の名前がそのグループにはなかった事を確認。そして上位レベルになる39位から9位までのグループを確認するがそこにもアレスの名は確認出来なかった。
「まさか……落ちた……?」
アレスが一抹の不安を胸に抱えて8位から1位までのグループを確認していく。8位から3位までは1人ずつの名前があったが、どれもアレスの名ではなかった。
最後の2位と1位の順位には合わせて10名の名前が張り出され、アレスは2位の上位部分に刻まれているのを確認する。まさか自分が2位だとは思っていなかったアレスは少しだけ喜ぶつもりだったが1位の5人はどれだけ正確だったのかと気になって点数を確認して驚愕する。
1位の5名は全員が100点の点数を叩き出しており、満点である事を証明していた。騎士たる知識についてこの1位の人間達は完璧な知識を持ち合わせている事になる。
「確認が済みましたら第二次試験に移ります。突破した方々は次の会場へ移動をお願いします」
案内をしてくれる担当官に従ってアレス達は会場を移動。次に到着した会場は広い大聖堂の室内であった。
60名の受験者達と担当官、監視官、シスターの30名を含めても広さを維持出来るこの大聖堂はティクス国の中でもかなり大きな大聖堂として国の遺産とも言われている。その大聖堂に集まったアレス達に次の試験内容が告げられる。
「この大聖堂では騎士の素質を調べる為に必要である「集中力」と「忍耐力」についての試練を行います。皆様の前に用意されている100万粒の小麦の種を1から100万粒数え終わるまでの集中力と忍耐力を試す試験となります。しかし、普通に数えれると思わない様に。1人につき2名の人間が左右から違う数字を囁きます。それに惑わされない様に正確に100万粒数えれたら突破と致します。何かに書いたりして数の記録を取る行為は反則と見なします」
「質問をよろしいか?」
「なんでしょうか?」
「どうやって100万粒を数え終わったと判定するかお聞きしたい」
「それは隣にシスター達が付きまして数の数えるのを邪魔します。そのシスター達とは別に魔法騎士達が傍に控えて魔法で数の確認を行います。正確に数え終わった方の魔法騎士の判定が出れば突破と見なします」
質問をしたのは1位で3番目に入っていた人物。アレスはその人物がどうしてその様な質問をしたのかは気にしなかった。
60人の受験者達はそれぞれ椅子に腰掛け、目の前に100万粒の小麦の種を用意され、両サイドにはシスター達が立って準備が整う。担当官の合図が聞こえて全員が地獄の第二次試験を始める。
「……」
「10・28・50」
「39・14・76」
両サイドのシスター達の声に惑わされて数え間違いがすぐに起き始めるが、それでも集中力を乱されない者達が頭角を表す。アレスは少しペースは遅いものの確実に数を数えシスター達の声に心を向ける事もなく時間にして4時間で100万粒を数え切った。
しかし、アレスよりも数名以上が2時間や3時間程で数え終わっておりアレスは上位勢ではあるが学科よりかは順位を落とす結果に留まった。この第二次試験で振るいに掛けられて残ったのは60名中40名。
担当官から初日の試験はここまでだと言われて、用意された宿舎にて身体を休める受験者達はそれぞれ食事を食べていた。アレスも食事を受け取りどこで食べようかと室内を見渡していると1人の青年が声を掛けてきて誘ってくれた。
「よっ、こっち空いているぜ」
「あ、ありがとうございます。失礼しますね」
「あ、俺はアルフォッド。アルって呼ばれている」
「私はアレスと言います。アルさんはこの騎士試練初めてですか?」
「いや3回目。過去の試験時にも応募して最後まで行くんだけれど実力が足りなくていつも落選している。でも、今年は受かりそうな気がしてんだ」
「そこまで騎士になりたい理由でも?」
「憧れが一番だけれど、俺の兄貴も騎士なんだ。だから一緒に同じ騎士になりたくて。とは言っても俺の兄貴と俺の父親は違うんで顔はあまり見た事ないんだけれどな」
「そうなんですね。お兄さんと同じ騎士になりたいって素敵です」
「はは、アレスはどうして騎士になろうって?」
「私も兄が騎士なんです。だから兄と一緒に剣を握りたくて。去年まで身体を作ったり、知識の勉強をしてきていたんで万全を期して今年初挑戦しているんです」
「そっかー。アレスの兄貴さんも騎士なのか。それじゃお互いに受かる様に頑張ろうな!」
「はいっ!」
アルと名乗った青年は黒髪の短い髪を揺らしながら食事で出されたシチューをパクリと食べてしっかり食べていた。自分と同じ兄の為に騎士を目指すアルとの会話を経てアレスの中に再度強い決意が刻まれる。
自分は兄ランスロットの傍に行く為に、一緒に生きる為に、難関だと言われている騎士になる為に、努力を重ねてきたのである。それを発揮する為に今こうして試練を受けているのだと言う自覚をアレスは再度自分にさせる。
食事と入浴を済ませたアレスは1人与えられている部屋にて日記を書いていた。今日からの騎士の試験を受けている事を綴って色々と自分の中に芽生えている気持ちや考えを書き殴って綴っていく。
きっと兄ランスロットの耳に自分の事は既に届いている事は承知している。だが、今のところ兄の名前で伝言も届いてなければ試験の辞退を告げてくる気配もない。
ランスロットが自分の実力を持って騎士となろうとしている事を見届けてくれる。そうアレスは信じていた。
「私の事を信じてくれている……だから、その信頼に応えたい……。諦めたりしない……」
まだハッキリと兄のランスロットの事を認識している訳ではない。ただ、一度だけ遠目で兄であるランスロットの姿を見た事を思い出す。
堂々としながらも周囲の仲間達に向ける信頼を寄せた眼差しに自分も含まれたい。そう幼いアレスの心は思ってしまった。
アレスは自分に下された神託も同時に思い出す。この先兄であるランスロットには色々と危ない出来事や問題が降り注ぐ事が神々によってアレスは知らされている。
兄の力にどうにかなりたい。そして、出来れば傍にいたいと考えた結果として騎士としてランスロットの部下にでもなれれば、力になれると想い至って今に至る。
まだ13歳になって時間は経過していないアレスには大きな想いでもあるだろう。だが、それでもアレスは兄であるランスロットへの親愛は自分の心を支えてくれているだけの大きさである事は自覚していたのである。
「兄さん……私、きっと騎士になって兄さんの力になるから……待ってて……」
日記を書き終えたアレスは日記を荷物の中に入れてベッドに横になった。明日以降の試験は恐らく体力勝負になる事は予想出来るからだ。
自分の身体ではどこまでしがみ付く事が出来るかは未知数でありながらも、今までの努力を信じる事でアレスは静かに眠りへ意識を落としていく。明日の自分を信じればきっと結果は自ずと出てくるものであると言うかのように。
アレスの成績はランスロットの耳にしっかり届いていた。そして、それは同時に騎士としての才能を見出す事に繋がる事をこの時のアレスには知る由もなかった――――。
若い者は13歳の子供から、最年長は見た目で判断するなら50歳前後の男性の姿までが確認する事が出来る。男性がかなりの人数を割り合い占めているが少ないけれども女性の姿も確認は出来ていた。
その数少ない女性受験者の中にアレスの姿も当然あった。アレスはブルーの髪を頭の高い位置で結んで服装は少年と思わせる程の男性ルック。
試験受付会場の受付騎士に事前に応募した際に受け取っていた証明書を手渡して受験者の証であるブレスレットを受け取って右手首に装備していた。広場にはアレスを含めて総勢90名近くの受験者達が揃っている。
「受験者の方々はお集まり下さい! これより新人騎士試験の第一次試験を行います。まず、皆様には騎士についての基礎知識を見せてもらいますので学科試験から執り行います。100問の質問を正解数に応じて点数付けを行い、順位を発表します。上位60名様の方々が第二次試験へお進みになられる事になります」
「まずは知識から攻めて来るのか。よーし、ここでトップに入って印象を良く付けて上位を突っ走るぞ」
「知識だけで30名程を振るうのか……騎士たるやとはこうして選別されるのだな」
「……焦るな、今までの実力を出せれば……ぼ、僕にだって可能性はあるっ」
受験者達の集団から色々な声が聞こえてくるがアレスは動揺する事も焦る事も、ましてや高まる気持ちを押さえる事にも集中力を乱される事はなかった。恐らく受験者の中でも数少ない平常心で挑んでいると言っていいだろう。
学科試験の場所になっている学校の一部を借りて行われた学科試験。時間は朝の10時から夕方の4時までの間に100問の質問に答えを書き込むだけのシンプルな試験である。
だが、100問の質問に正確に答えるには知識もそうであるが、どれだけ時間の配分と自分の実力を出し切れるかに監視官達の注目は当てられる。90名の受験者達は一斉に開始の言葉が掛かると用紙をひっくり返してカリカリとペンを走らせていく。
1時間経過してもそんなに焦りを見せる者達は流石にいなかったが、これが5時間を過ぎる頃には半数がペンの動きを止めて苦悶の声を上げ始めていた。しかし、そんな中でも冷静な判断をしていた者達はペースを乱される事もなく全部の質問に答えを書き込み、見直す余裕さえも見受けられていた。
時間の4時を迎えて終了の声が聞こえたと同時に答案用紙は回収されて採点が始まる。絶望に机に伏せる者、ソワソワとして落ち着きがない者、冷静に状況を見ている者、自信ある者と様々な反応が見られていた。
「それでは採点結果を張り出します。60位以下の方々は張り出しておりませんのでご自身の名前があるかどうか確認されて下さい。なお順位は今回同位の方が多かったのでグループ事に張り出しております」
採点を担当した監視官の言葉に従って張り出された学科試験結果。アレスはまずは下位グループから自分の名前があるかを目視で確認していく。
60位から40位まで見てみたアレスは自分の名前がそのグループにはなかった事を確認。そして上位レベルになる39位から9位までのグループを確認するがそこにもアレスの名は確認出来なかった。
「まさか……落ちた……?」
アレスが一抹の不安を胸に抱えて8位から1位までのグループを確認していく。8位から3位までは1人ずつの名前があったが、どれもアレスの名ではなかった。
最後の2位と1位の順位には合わせて10名の名前が張り出され、アレスは2位の上位部分に刻まれているのを確認する。まさか自分が2位だとは思っていなかったアレスは少しだけ喜ぶつもりだったが1位の5人はどれだけ正確だったのかと気になって点数を確認して驚愕する。
1位の5名は全員が100点の点数を叩き出しており、満点である事を証明していた。騎士たる知識についてこの1位の人間達は完璧な知識を持ち合わせている事になる。
「確認が済みましたら第二次試験に移ります。突破した方々は次の会場へ移動をお願いします」
案内をしてくれる担当官に従ってアレス達は会場を移動。次に到着した会場は広い大聖堂の室内であった。
60名の受験者達と担当官、監視官、シスターの30名を含めても広さを維持出来るこの大聖堂はティクス国の中でもかなり大きな大聖堂として国の遺産とも言われている。その大聖堂に集まったアレス達に次の試験内容が告げられる。
「この大聖堂では騎士の素質を調べる為に必要である「集中力」と「忍耐力」についての試練を行います。皆様の前に用意されている100万粒の小麦の種を1から100万粒数え終わるまでの集中力と忍耐力を試す試験となります。しかし、普通に数えれると思わない様に。1人につき2名の人間が左右から違う数字を囁きます。それに惑わされない様に正確に100万粒数えれたら突破と致します。何かに書いたりして数の記録を取る行為は反則と見なします」
「質問をよろしいか?」
「なんでしょうか?」
「どうやって100万粒を数え終わったと判定するかお聞きしたい」
「それは隣にシスター達が付きまして数の数えるのを邪魔します。そのシスター達とは別に魔法騎士達が傍に控えて魔法で数の確認を行います。正確に数え終わった方の魔法騎士の判定が出れば突破と見なします」
質問をしたのは1位で3番目に入っていた人物。アレスはその人物がどうしてその様な質問をしたのかは気にしなかった。
60人の受験者達はそれぞれ椅子に腰掛け、目の前に100万粒の小麦の種を用意され、両サイドにはシスター達が立って準備が整う。担当官の合図が聞こえて全員が地獄の第二次試験を始める。
「……」
「10・28・50」
「39・14・76」
両サイドのシスター達の声に惑わされて数え間違いがすぐに起き始めるが、それでも集中力を乱されない者達が頭角を表す。アレスは少しペースは遅いものの確実に数を数えシスター達の声に心を向ける事もなく時間にして4時間で100万粒を数え切った。
しかし、アレスよりも数名以上が2時間や3時間程で数え終わっておりアレスは上位勢ではあるが学科よりかは順位を落とす結果に留まった。この第二次試験で振るいに掛けられて残ったのは60名中40名。
担当官から初日の試験はここまでだと言われて、用意された宿舎にて身体を休める受験者達はそれぞれ食事を食べていた。アレスも食事を受け取りどこで食べようかと室内を見渡していると1人の青年が声を掛けてきて誘ってくれた。
「よっ、こっち空いているぜ」
「あ、ありがとうございます。失礼しますね」
「あ、俺はアルフォッド。アルって呼ばれている」
「私はアレスと言います。アルさんはこの騎士試練初めてですか?」
「いや3回目。過去の試験時にも応募して最後まで行くんだけれど実力が足りなくていつも落選している。でも、今年は受かりそうな気がしてんだ」
「そこまで騎士になりたい理由でも?」
「憧れが一番だけれど、俺の兄貴も騎士なんだ。だから一緒に同じ騎士になりたくて。とは言っても俺の兄貴と俺の父親は違うんで顔はあまり見た事ないんだけれどな」
「そうなんですね。お兄さんと同じ騎士になりたいって素敵です」
「はは、アレスはどうして騎士になろうって?」
「私も兄が騎士なんです。だから兄と一緒に剣を握りたくて。去年まで身体を作ったり、知識の勉強をしてきていたんで万全を期して今年初挑戦しているんです」
「そっかー。アレスの兄貴さんも騎士なのか。それじゃお互いに受かる様に頑張ろうな!」
「はいっ!」
アルと名乗った青年は黒髪の短い髪を揺らしながら食事で出されたシチューをパクリと食べてしっかり食べていた。自分と同じ兄の為に騎士を目指すアルとの会話を経てアレスの中に再度強い決意が刻まれる。
自分は兄ランスロットの傍に行く為に、一緒に生きる為に、難関だと言われている騎士になる為に、努力を重ねてきたのである。それを発揮する為に今こうして試練を受けているのだと言う自覚をアレスは再度自分にさせる。
食事と入浴を済ませたアレスは1人与えられている部屋にて日記を書いていた。今日からの騎士の試験を受けている事を綴って色々と自分の中に芽生えている気持ちや考えを書き殴って綴っていく。
きっと兄ランスロットの耳に自分の事は既に届いている事は承知している。だが、今のところ兄の名前で伝言も届いてなければ試験の辞退を告げてくる気配もない。
ランスロットが自分の実力を持って騎士となろうとしている事を見届けてくれる。そうアレスは信じていた。
「私の事を信じてくれている……だから、その信頼に応えたい……。諦めたりしない……」
まだハッキリと兄のランスロットの事を認識している訳ではない。ただ、一度だけ遠目で兄であるランスロットの姿を見た事を思い出す。
堂々としながらも周囲の仲間達に向ける信頼を寄せた眼差しに自分も含まれたい。そう幼いアレスの心は思ってしまった。
アレスは自分に下された神託も同時に思い出す。この先兄であるランスロットには色々と危ない出来事や問題が降り注ぐ事が神々によってアレスは知らされている。
兄の力にどうにかなりたい。そして、出来れば傍にいたいと考えた結果として騎士としてランスロットの部下にでもなれれば、力になれると想い至って今に至る。
まだ13歳になって時間は経過していないアレスには大きな想いでもあるだろう。だが、それでもアレスは兄であるランスロットへの親愛は自分の心を支えてくれているだけの大きさである事は自覚していたのである。
「兄さん……私、きっと騎士になって兄さんの力になるから……待ってて……」
日記を書き終えたアレスは日記を荷物の中に入れてベッドに横になった。明日以降の試験は恐らく体力勝負になる事は予想出来るからだ。
自分の身体ではどこまでしがみ付く事が出来るかは未知数でありながらも、今までの努力を信じる事でアレスは静かに眠りへ意識を落としていく。明日の自分を信じればきっと結果は自ずと出てくるものであると言うかのように。
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