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5章
41話「聖騎士団の本領発揮」
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ディズ国の城門から放たれた魔法についての詳細が分かったのは騎兵騎士達を出立させた直後。天気は豪雨で重歩兵隊の進行も遅くなると見込まれている天候へと変わった頃だった。
ディズ国が放ったのは禁呪の1つではあったものの、その効果は不発だったのもハッキリと分かった。その不発だったのが判明したのはローレンスの星読みから分かった事である。
「それじゃ禁呪の元となるロドが足りてなかったという事か」
「恐らく、それとは別にロドによるリーズの問題も出ているようです。これは魔法大国ではよくある出来事だと言えましょう」
「ロドは基本的に魔法を使うのに必要な物質、それを使って魔法を使って、その際にロドから生まれるリーズってのが精神汚染を引き起こし術者を死に追いやる……だったか? 俺は風は読めても魔法に関しては全然だしなぁ」
「そのリーズを定期的に浄化する事で精神汚染のリスクを下げて術者を守ります。でも、使う魔法の威力次第ではロドは膨大に必要で、その膨大さに比例してリーズも膨大な量になります。禁呪ともなればリーズの量は計り知れないでしょう」
ローレンスの説明にロルゾも真剣に考える。このまま禁呪を使い続ければディズ国は死者累々の国となるだけである事は明白だからだ。
アレスもその説明を聞いて不安そうにルトを抱き締めているがランスロットは色々と考え込んでいた。このままディズ国が引き下がるとは考えられないからだと知っている。
「そのリーズを厭わない程に禁呪を使っている……裏に何かがある筈だ。それが分かれば手は打てるのだが……」
「ディズ国自体に乗り込まないとそれは分からないだろうよ。そもそも、ハルウッド達が苦戦しているのに乗り込むなんて無茶な話だぞ」
「あの、どうしてハルウッド様だけに行かせたのですか? ガルド様とハルウッド様のお2人が揃っていればこんな事態にはならなかったのでは?」
「あぁ、アレス嬢はまだ知りませんでしたか。実はガルドとハルウッドの両者が揃う事が出来るのは緊急時のみなんですよ」
「緊急時のみ……?」
「ガルドとハルウッドはランスロットの親衛騎士でもあるから、2人がランスロットの傍を離れるのは前線にいる時だけなんだ。それも緊急時の時だけ、それ以外はランスロットを守る役目の方が重要視される」
ローレンスとロルゾの言葉にアレスはそれでガルドがランスロットの傍に控えている理由に納得がいく。そしてそれはランスロットの傍にいなきゃいけない制約だとガルドは話す。
「聖騎士団長って言うのは神々に愛された騎士の代表だ。その団長を守る役目に準ずるのは騎士としても名誉な事なんだが、それが故にこうして仲間の危機に駆け付けてやれないのも事実なんだわ」
「俺が一言「行け」と言えば行けるのなら言うぞ?」
「冗談を言うな。今の状況で離れる緊急性はないだろうが。神々の天罰が下される前にどうにかなるだろうよ」
ロルゾとローレンスは空を見上げながら何かを話し合い、ガルドはランスロットの前に定期報告を書いた書類を置く。アレスは椅子に座ったままルトの身体を優しく抱き締めたままで小さな願いを神々にする。
どうか、この悲しい戦いが早く終わります様に、そんな小さな願いを。ルトはそんなアレスの願いを察しているのか尻尾をくねらせてアレスの頬を尻尾で撫でる。
暫くしてロゼットの秘密裏の部隊が準備が整ったと連絡が入るとランスロットは次第に天気が悪化するのを見届けながら中庭に集まった聖騎士団の騎士達の前に姿を見せる。全員が雨に打たれながらもランスロットも同じ濡れながら言葉を発する。
「ディズ国の行動をこのまま見過ごす訳にはいかない。だが、我々には神々の守護がある。聖騎士団として、神々の名の下に我々は剣となり闇を切り祓いこの地に光を呼び込むぞ。皆の奮戦を期待する。聖なる騎士達に神々の守護があらんことを!」
ランスロットがラインハッドを天に引き抜き翳すと、光が豪雨の雨雲の中から差し込みラインハッドを包み込む様にして中庭を包み込む。騎士達はこの現象に神々が見ていると信じて士気を上げて中庭から前線へと旅立っていく。
旅立っていく騎士達を見送るアレスは自分も行くべきじゃないかと不安そうにしているが、ローレンスがアレスの肩を優しく叩く。それはローレンスには分かってしまうのだ、アレスの不安が。
「ここで無理をする必要はありませんよ」
「でも、私だけ前線に行かないなんて……騎士なのに」
「アレス嬢の存在はこのティクス国において重要な意味を持ちます。ランスロット様の為にも耐えてもらわないといけませんが」
「団長の為に耐える……」
「時がくれば貴女も前線に出なくてはなりません。それを判断するランスロット様のお心をお考え下さい」
ローレンスの言葉にアレスはハッとする。そうだ、と思わないといけない。
アレスの騎士としての願いを口にすればランスロットは聞かねばならない。それが自分の愛する存在であろうとも団長としての判断に委ねなくてはならない事は明白なのである。
アレスは髪にタオルを掛けられているランスロットに視線を向ける。だが、ランスロットと視線が合う事は無かった。
――――
「それでディズ国を包囲してから軽く3週間が経過しているが、ディズ国は抵抗し続けていると言う所か」
「あぁ、思っていた以上にしぶとい。ロゼットが部隊を忍ばせているが国内は既に死者の国だと判断している」
「一体そこまでしてディズ国は何を考えている? 戦争を引き起こして何かを得れると言うのか?」
「考えられるのは、聖なる武器の力を求めている、という事はないだろうか?」
「聖なる武器か。それが本当なら……この戦争もロクに力を使わないのも頷けるな。聖騎士団団長としてはどうする?」
「強行突破するつもりだ。どっちにしろ滅んでいる国にあまり長生きは出来ないだろう」
「お前が行くのか?」
「あぁ……。聖なる武器の存在も知っている者達はそう多くはないからな」
「無事を祈っている」
ケンベルトの前から辞したランスロットの瞳には強い決意が刻まれていた。この3週間の間に色々とディズ国は抵抗があった。
禁呪の不発を繰り返し、ディズ国の国内に住んでいただろう国民達の姿は既に精神汚染が進んだ生きた屍となり、モンスターと化してロゼットと共に国内に忍び込んでいた者達を襲っている。これによりティクス国はその神聖国であるが事を示して救国する事を決定。
聖騎士団は一部を除いてディズ国に進軍する事が決まり、ランスロットは自ら先頭にたってディズ国救国に挑む事になる。これにローレンスとアレスはティクス待機、ガルドとロルゾが同伴、ハルウッドは先に城門解放の為に戦闘行為に着手する事となった。
ランスロットと一緒に行けない事を知ったアレスは悲しみよりも不安が心を支配しているのに気付いていた。嫌な予感がしているからだ。
「ランスロット……」
「暫く留守にする。ローレンスと共に陛下を頼むぞ」
「……」
「アレス?」
「無事に……無事に帰ってきてね? 何か嫌な予感がするの……とてもじゃないけれど言葉には出来ない嫌な予感が……」
「大丈夫だ、俺達には神々の加護がある。それに……俺がアレスを1人にすると思うか?」
「ん……思わない。ちゃんと私の元に帰ってきてね……」
「あぁ、約束する」
アレスを抱き締めてブルーの髪の毛を撫でるランスロット。その手に微かに安心するアレスは少しして離れる。
これ以上抱き合っていたら着いていくと言って困らせてしまうと理解しているから。そしてランスロットはティクスを出てディズ国へと救国しに向かった。
市民からは「聖騎士団が本領発揮だ」と騒がれているが、アレスにはその言葉すら不安にしかならなかった。どうか、どうかと神々に祈りを捧げているだけしか出来ない自分に悲しみが募るけれども。
一方、最前線にまでやってきたランスロット達は城門を内側から開門させたロゼットと合流して、ディズ国の内部に進行。そこで見たのは人の姿をしたゾンビの行き交う城下町だった。
「全員、ゾンビは1体残らず仕留めろ! この者達の魂を天に還すのだ! 目指すはディズ国王城! 国王ワットを目指せ!」
ランスロットの号令で騎士達はゾンビ達を1体ずつ仕留めに掛かる。聖なる魔法を使って城下町を浄化していく騎士達に各部隊長の指示を任せて、ロルゾ達を連れてランスロットは王城に向かった。
ここまで抵抗しているのであれば王城にはまだ生きた人間がいるだろう、そう思っていたランスロットも王城の内部の状態には言葉を失くす。誰一人生きていなかった……そう国王ワットですら生きた屍となって玉座に座っていただけなのである。
「ここまでとはな……」
「これがディズ国の真実か」
「聖なる武器を保護する方に行ってくれ。俺は他の騎士達と共に浄化をして回る」
「ロゼットが行かなくていいのか保護は。俺より適任では?」
「聖騎士団長が保護した方が情報としても士気が上がる。だが、要注意するように」
「分かった。後は任せる」
ランスロットはディズ国の聖なる武器が保管されているだろう場所を探す様に、部下達に指示を飛ばして城内を見て回った。色々な装飾品すらもリーズによって廃品となっており、もはや見るも無残な状態であった。
部下から宝物庫に聖なる武器らしい存在がある、そう報告を受けてロルゾ達と共に向かう。扉には厳重な守りがあったのだろうが、騎士達の手により解除されており中にはスムーズに入る事が出来た。
「宝物庫の割には財政はよろしく無かったようだな」
「殆ど金になりそうなのはないぜ。これでよく国を保てたな」
「……これが聖なる武器でしょうか?」
「間違いない。これが聖なる武器の1つであるアキュートスだ。大剣の聖なる武器だと聞いている。結界はされているか?」
「いえ、その様な力は感じませんね。大丈夫の様です」
ハルウッドが代表としてアキュートスを持ち上げてランスロットに差し出す。ランスロットが触れても何も反応は無かったが、微かに魔力を感じたランスロットはアキュートスの中に自分の魔力を注いでみる。
するとアキュートスから眩い光が溢れ出す。それを受けて周囲の光景が一気に変わり始めた。
「なんだこりゃ?」
「ランスロットの魔力で記憶でも再生してんのか?」
「これではまるでアキュートスがこの国を保っていたという事にも受け取れますが……」
「アキュートス、お前の記憶を俺達に見せてくれ。そして、真実を伝えてくれ」
ランスロットは神々に祈る時の様にアキュートスに祈りを捧げる。そして、そこで知らされるディズ国の本当の狙いや滅んだ理由が明らかになる。
その真実はティクス国の土台である神々からの加護を疑う事になるのだろうか? それとも、アレスの感じた不安がそこにはあるのだろうか――――?
ディズ国が放ったのは禁呪の1つではあったものの、その効果は不発だったのもハッキリと分かった。その不発だったのが判明したのはローレンスの星読みから分かった事である。
「それじゃ禁呪の元となるロドが足りてなかったという事か」
「恐らく、それとは別にロドによるリーズの問題も出ているようです。これは魔法大国ではよくある出来事だと言えましょう」
「ロドは基本的に魔法を使うのに必要な物質、それを使って魔法を使って、その際にロドから生まれるリーズってのが精神汚染を引き起こし術者を死に追いやる……だったか? 俺は風は読めても魔法に関しては全然だしなぁ」
「そのリーズを定期的に浄化する事で精神汚染のリスクを下げて術者を守ります。でも、使う魔法の威力次第ではロドは膨大に必要で、その膨大さに比例してリーズも膨大な量になります。禁呪ともなればリーズの量は計り知れないでしょう」
ローレンスの説明にロルゾも真剣に考える。このまま禁呪を使い続ければディズ国は死者累々の国となるだけである事は明白だからだ。
アレスもその説明を聞いて不安そうにルトを抱き締めているがランスロットは色々と考え込んでいた。このままディズ国が引き下がるとは考えられないからだと知っている。
「そのリーズを厭わない程に禁呪を使っている……裏に何かがある筈だ。それが分かれば手は打てるのだが……」
「ディズ国自体に乗り込まないとそれは分からないだろうよ。そもそも、ハルウッド達が苦戦しているのに乗り込むなんて無茶な話だぞ」
「あの、どうしてハルウッド様だけに行かせたのですか? ガルド様とハルウッド様のお2人が揃っていればこんな事態にはならなかったのでは?」
「あぁ、アレス嬢はまだ知りませんでしたか。実はガルドとハルウッドの両者が揃う事が出来るのは緊急時のみなんですよ」
「緊急時のみ……?」
「ガルドとハルウッドはランスロットの親衛騎士でもあるから、2人がランスロットの傍を離れるのは前線にいる時だけなんだ。それも緊急時の時だけ、それ以外はランスロットを守る役目の方が重要視される」
ローレンスとロルゾの言葉にアレスはそれでガルドがランスロットの傍に控えている理由に納得がいく。そしてそれはランスロットの傍にいなきゃいけない制約だとガルドは話す。
「聖騎士団長って言うのは神々に愛された騎士の代表だ。その団長を守る役目に準ずるのは騎士としても名誉な事なんだが、それが故にこうして仲間の危機に駆け付けてやれないのも事実なんだわ」
「俺が一言「行け」と言えば行けるのなら言うぞ?」
「冗談を言うな。今の状況で離れる緊急性はないだろうが。神々の天罰が下される前にどうにかなるだろうよ」
ロルゾとローレンスは空を見上げながら何かを話し合い、ガルドはランスロットの前に定期報告を書いた書類を置く。アレスは椅子に座ったままルトの身体を優しく抱き締めたままで小さな願いを神々にする。
どうか、この悲しい戦いが早く終わります様に、そんな小さな願いを。ルトはそんなアレスの願いを察しているのか尻尾をくねらせてアレスの頬を尻尾で撫でる。
暫くしてロゼットの秘密裏の部隊が準備が整ったと連絡が入るとランスロットは次第に天気が悪化するのを見届けながら中庭に集まった聖騎士団の騎士達の前に姿を見せる。全員が雨に打たれながらもランスロットも同じ濡れながら言葉を発する。
「ディズ国の行動をこのまま見過ごす訳にはいかない。だが、我々には神々の守護がある。聖騎士団として、神々の名の下に我々は剣となり闇を切り祓いこの地に光を呼び込むぞ。皆の奮戦を期待する。聖なる騎士達に神々の守護があらんことを!」
ランスロットがラインハッドを天に引き抜き翳すと、光が豪雨の雨雲の中から差し込みラインハッドを包み込む様にして中庭を包み込む。騎士達はこの現象に神々が見ていると信じて士気を上げて中庭から前線へと旅立っていく。
旅立っていく騎士達を見送るアレスは自分も行くべきじゃないかと不安そうにしているが、ローレンスがアレスの肩を優しく叩く。それはローレンスには分かってしまうのだ、アレスの不安が。
「ここで無理をする必要はありませんよ」
「でも、私だけ前線に行かないなんて……騎士なのに」
「アレス嬢の存在はこのティクス国において重要な意味を持ちます。ランスロット様の為にも耐えてもらわないといけませんが」
「団長の為に耐える……」
「時がくれば貴女も前線に出なくてはなりません。それを判断するランスロット様のお心をお考え下さい」
ローレンスの言葉にアレスはハッとする。そうだ、と思わないといけない。
アレスの騎士としての願いを口にすればランスロットは聞かねばならない。それが自分の愛する存在であろうとも団長としての判断に委ねなくてはならない事は明白なのである。
アレスは髪にタオルを掛けられているランスロットに視線を向ける。だが、ランスロットと視線が合う事は無かった。
――――
「それでディズ国を包囲してから軽く3週間が経過しているが、ディズ国は抵抗し続けていると言う所か」
「あぁ、思っていた以上にしぶとい。ロゼットが部隊を忍ばせているが国内は既に死者の国だと判断している」
「一体そこまでしてディズ国は何を考えている? 戦争を引き起こして何かを得れると言うのか?」
「考えられるのは、聖なる武器の力を求めている、という事はないだろうか?」
「聖なる武器か。それが本当なら……この戦争もロクに力を使わないのも頷けるな。聖騎士団団長としてはどうする?」
「強行突破するつもりだ。どっちにしろ滅んでいる国にあまり長生きは出来ないだろう」
「お前が行くのか?」
「あぁ……。聖なる武器の存在も知っている者達はそう多くはないからな」
「無事を祈っている」
ケンベルトの前から辞したランスロットの瞳には強い決意が刻まれていた。この3週間の間に色々とディズ国は抵抗があった。
禁呪の不発を繰り返し、ディズ国の国内に住んでいただろう国民達の姿は既に精神汚染が進んだ生きた屍となり、モンスターと化してロゼットと共に国内に忍び込んでいた者達を襲っている。これによりティクス国はその神聖国であるが事を示して救国する事を決定。
聖騎士団は一部を除いてディズ国に進軍する事が決まり、ランスロットは自ら先頭にたってディズ国救国に挑む事になる。これにローレンスとアレスはティクス待機、ガルドとロルゾが同伴、ハルウッドは先に城門解放の為に戦闘行為に着手する事となった。
ランスロットと一緒に行けない事を知ったアレスは悲しみよりも不安が心を支配しているのに気付いていた。嫌な予感がしているからだ。
「ランスロット……」
「暫く留守にする。ローレンスと共に陛下を頼むぞ」
「……」
「アレス?」
「無事に……無事に帰ってきてね? 何か嫌な予感がするの……とてもじゃないけれど言葉には出来ない嫌な予感が……」
「大丈夫だ、俺達には神々の加護がある。それに……俺がアレスを1人にすると思うか?」
「ん……思わない。ちゃんと私の元に帰ってきてね……」
「あぁ、約束する」
アレスを抱き締めてブルーの髪の毛を撫でるランスロット。その手に微かに安心するアレスは少しして離れる。
これ以上抱き合っていたら着いていくと言って困らせてしまうと理解しているから。そしてランスロットはティクスを出てディズ国へと救国しに向かった。
市民からは「聖騎士団が本領発揮だ」と騒がれているが、アレスにはその言葉すら不安にしかならなかった。どうか、どうかと神々に祈りを捧げているだけしか出来ない自分に悲しみが募るけれども。
一方、最前線にまでやってきたランスロット達は城門を内側から開門させたロゼットと合流して、ディズ国の内部に進行。そこで見たのは人の姿をしたゾンビの行き交う城下町だった。
「全員、ゾンビは1体残らず仕留めろ! この者達の魂を天に還すのだ! 目指すはディズ国王城! 国王ワットを目指せ!」
ランスロットの号令で騎士達はゾンビ達を1体ずつ仕留めに掛かる。聖なる魔法を使って城下町を浄化していく騎士達に各部隊長の指示を任せて、ロルゾ達を連れてランスロットは王城に向かった。
ここまで抵抗しているのであれば王城にはまだ生きた人間がいるだろう、そう思っていたランスロットも王城の内部の状態には言葉を失くす。誰一人生きていなかった……そう国王ワットですら生きた屍となって玉座に座っていただけなのである。
「ここまでとはな……」
「これがディズ国の真実か」
「聖なる武器を保護する方に行ってくれ。俺は他の騎士達と共に浄化をして回る」
「ロゼットが行かなくていいのか保護は。俺より適任では?」
「聖騎士団長が保護した方が情報としても士気が上がる。だが、要注意するように」
「分かった。後は任せる」
ランスロットはディズ国の聖なる武器が保管されているだろう場所を探す様に、部下達に指示を飛ばして城内を見て回った。色々な装飾品すらもリーズによって廃品となっており、もはや見るも無残な状態であった。
部下から宝物庫に聖なる武器らしい存在がある、そう報告を受けてロルゾ達と共に向かう。扉には厳重な守りがあったのだろうが、騎士達の手により解除されており中にはスムーズに入る事が出来た。
「宝物庫の割には財政はよろしく無かったようだな」
「殆ど金になりそうなのはないぜ。これでよく国を保てたな」
「……これが聖なる武器でしょうか?」
「間違いない。これが聖なる武器の1つであるアキュートスだ。大剣の聖なる武器だと聞いている。結界はされているか?」
「いえ、その様な力は感じませんね。大丈夫の様です」
ハルウッドが代表としてアキュートスを持ち上げてランスロットに差し出す。ランスロットが触れても何も反応は無かったが、微かに魔力を感じたランスロットはアキュートスの中に自分の魔力を注いでみる。
するとアキュートスから眩い光が溢れ出す。それを受けて周囲の光景が一気に変わり始めた。
「なんだこりゃ?」
「ランスロットの魔力で記憶でも再生してんのか?」
「これではまるでアキュートスがこの国を保っていたという事にも受け取れますが……」
「アキュートス、お前の記憶を俺達に見せてくれ。そして、真実を伝えてくれ」
ランスロットは神々に祈る時の様にアキュートスに祈りを捧げる。そして、そこで知らされるディズ国の本当の狙いや滅んだ理由が明らかになる。
その真実はティクス国の土台である神々からの加護を疑う事になるのだろうか? それとも、アレスの感じた不安がそこにはあるのだろうか――――?
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