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6章
44話「どうしてこのタイミングで」
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アレス救出の計画が練られ始めている間にケンベルトに急激に巣くっていた病が進行してしまう。夜な夜な血を吐いて身体が衰弱し始めていると医者から聞かされてランスロットは頭を抱えてしまった。
今、ティクスを治めているケンベルトに何かあれば騎士達の士気もそうだが国全体の流れが悪くなる。アレスがいない今、ケンベルトの為に祈りを捧げてくれる者達はそんなにいる訳でもない。
どうしてこのタイミングで悪い事が重なってくるのだろうか。そう考えているランスロットにケンベルトはベッドの上で静かに話をし始める。
「ランスロット……お前がアレスを取り戻すまでは国の事は任せろ」
「そうは言ってもお前の事を放っておけなどするか」
「お前がアレスを取り戻す日までは、俺も死なん。それだけは断言出来る」
「ケンベルト……だが」
「お前やロゼットに言えば止められるのを承知の上で俺も覚悟を示す時が来たようだ。聖なる武器の力を使って延命する。それが尽きた時は俺の弟を王として迎えてくれ」
「ロック王子の事か」
「あぁ、あの子の周囲は綺麗にしている。そして、王としての器を持つ最後の俺の家族だ。親父が戻ってきてももう王位を継ぐ事が出来るのはロックだけだ。ロックが死んだら国は滅びる。そうなればお前達には神々の加護があると信じている……それまでは俺は死ねんよ」
ケンベルトは身体を起こしてランスロットに手を差し伸べる。その手を優しく握るランスロットにケンベルトは昔と変わらない微笑みを浮かべた。
この友人はいつだって自分とアレスを大事に思ってくれている。王としての素質もありながら人間としてもその器は立派だと言えるだろうと、ランスロットには自慢の王でもあり友人でもあった。
だからこそ、ケンベルトの死期が早いのは正直心が痛む。まだこれからの人生だとも言える若さでもあるのに、こんな志半ばで死を覚悟するのは友人として心が辛い。
「陛下、そろそろお休み下さい」
「ケンベルト、俺が必ずアレスを取り戻す。そして、お前の運命の星も変えてみせるからな」
「ははっ……期待しないで待っているよ」
「ランスロット様、ロゼット様がお部屋でお待ちです」
「……すぐに行きます。お休みケンベルト」
「あぁ、お休み」
ケンベルトの寝室からでて、ロゼットの執務室に行くと大臣達が集まっていた。恐らくケンベルトの死期を悟った発言での後継者の事についての話し合いをしていたのだろうとランスロットは気付く。
大臣達はロゼットにロック王子の即位について疑問はないので慎重に迎えるべきでは? とロゼットに提案している所だった。ランスロットの到着に大臣達は一気に静まり返る。
「陛下は?」
「お休みに。それで跡継ぎの事についてもお話されておいででした」
「そ、それは本当ですか!? 陛下はやはりロック王子の事を??」
「えぇ、自分の死後にロック王子を据えよと申しておいででしたね」
「だが、今大臣達から上がった話ではロック王子はまだ齢12歳。陛下と同じ年齢ではない事も踏まえて後見人の存在が必要不可欠になるのは避けられないな」
「その後見人には我々の大臣も意見はありますが、ロゼット様に選んで頂きたく思います」
「ガーベル!」
「適任はロゼット様とランスロット様です。我々大臣では癒着もございます。第3者の立場として考えうる適任者を選ぶべきかと私は思いますが?」
ガーベルと呼ばれた男の大臣は若くして大臣職に上り詰めた元学者の青年。彼の発案した政令案件はティクスに大きな新風を巻き起こしたのはここ数年でも記憶に新しい。
彼の様な逸材に恵まれているのも今のケンベルトが推し進めている「市民立場向上学会」という組織を城内に立ち上げた結果である。それを良く思わない貴族も多いが、実際この様に優れた家臣を得れているので貴族達もあまり口を大にして発言出来ない。
ロゼットとガーベルは色々と細かな手続きや処理などについての意見も殆ど普段からコミュニケーションを取っている方なので、この場でガーベルが発言して不利に陥ってもロゼットが助けに入る事はランスロットには分かり切っていた事である。そして、大臣達はガーベルの言葉とロゼットの視線に耐えれずにいそいそと退出していく。
「出過ぎた真似をしました」
「いや、君の言葉で大臣達が反論したら考えも変えたが、反論しなかったのを見ると心当たりがあり過ぎるのだろう。ランスロットには鬱憤が溜まってしまった様だが」
「いや、大臣達の癒着に関しては俺には何も出来ない部分でもあるからな。それよりもガーベル、後見人のリストなどはこちらで用意していいのか?」
「はい、お願いします。そして、それを元に大臣達を黙らせる方法をお取りください。ケンベルト陛下のお身体を延命させる為にも私は聖なる武器の調査に入りたいと思います」
「まさか、陛下が聖なる武器の力を使って延命をお考えだとはな……。そこまでして国を想う気持ちには感服する思いだ」
「それだけケンベルトの中ではこのティクス国が大事なんだと思う。父親から引き継いで自分の手で守る意味をあいつはいつも自分に問い掛けていた。だから、跡を継ぐだろうロック王子の事も親身になって色々と世話を焼いていたんだとも思う」
ランスロットにはケンベルトの幼少期に語られていた夢を思い出す事があった。幼少期のケンベルトは小さいながらも自分の手で国を守れたらそれが一番の褒美だとランスロットには語っていたのである。
そして、王となる日に手紙でランスロットにはこう書いていたのもランスロットは思い出す。「俺が王となる以上、命を燃やして国全体を盛り上げて、民の幸せを一番に考える。そんな国を目指す」という文章を。
ランスロットはロゼットの耳に入れておきたい事があった。レダルがあの襲撃の時にアレスに忍び寄った人物がいる事を伝えてくれたのである。
「つまり、国内に闇の力を招き入れた人物が潜んでいる、という事か」
「可能性的にディズ国の生き残りかだろうとは思うが、どんな人間かは定かではない」
「その様な者が国内にいるのであれば、もしかしたらあの者達が知っているかも知れません」
「あの者達?」
「冒険者達です。このティクスでは影は薄いですけれども、冒険者達の力もあって防衛には力が入っているのはランスロット様もご存知でしょうか?」
「あぁ、彼らのアドバイスが定期的に上がってくる。それを殆ど採用させてもらっているからな」
「彼らは一度腰を据えた国にはかなりの忠誠心を見せます。しかし、身分や教養の面で城に仕える事が出来ない者達が冒険者となって国を支えます。彼らの力を借りればまだ怪しい人物を炙り出す事も簡単かとは思います」
ガーベルの言葉には確かに一理あるとロゼットもランスロットも考える。そしてランスロットはその点に関してはフットワークが軽い男でもある。
すぐに城の兵士を使って城下にいる冒険者達を城に集まる様に伝えてくるように指示を出す。ガーベルとロゼットもこのランスロットの決断力には舌を巻く程である。
「冒険者の力も借りて国内の浄化を一気に行う。騎士団だけでは見逃すポイントも冒険者の力を借りれば一気に攻めれるだろう」
「本当にそういう部分でのフットワークは軽いなお前は。アレスの事はどうするのだ?」
「そう言えば妹様が闇の勢力に捕まったと聞いております。神々からは何も?」
「……神々にはアレスの無事を祈っているだけしかない。俺の力でアレスを取り戻す。それが俺に出来るアレスの為に剣を振るう理由だ」
「「……」」
「俺は城下に出てくる。緊急の知らせはロルゾ達に知らせてくれ」
「あぁ、分かった」
ランスロットの退出後、ガーベルとロゼットは静かに顔を見合わせる。ランスロットの瞳に光が宿っているのは確認出来るが、神々がアレスの事について何も言わないのは少し不思議に感じていたのである。
元々、アレスはその血筋から神々に愛されているのは確かである。だが、今回闇の手に落ちたアレスについて神々が一切ランスロットに知らせていない……嫌な予感が2人の間に流れた。
「ランスロット様」
「ハルウッド、どうした?」
「ローレンスから定期報告が。闇の力が以前より増しているという内容が」
「強まっている、という事か。それで他には?」
「それとは別にディズ国に出入り出来ている者達が確認出来たと」
「……やはり闇の力に染まった者達が出入りしていると見て良さそうだな」
「あとは城下から冒険者達が集まってきていますが?」
「俺が呼び寄せた。城下の不審人物の洗い出しを行う。下手をすればアレスを攫ったやつは闇の力に関与している人物がいると思われるんでな」
「分かりました。ガルドと私がお傍に控えます」
「頼む」
ハルウッドがガルドを呼びに行っている間にランスロット様と呼ぶ声に気付き振り向く。そこにはアレスの同期組の友人達が揃っていた。
その同期達に視線を向けているとアルフォッドとオルベ。リディルが前に一歩出て礼儀を尽くす。
「ランスロット様、俺達をアレス救出部隊に入れて下さい」
「僕達もアレスを助けたいです」
「まだまだ剣術も魔法もベテランの先輩達には劣るかとは思います。でも、仲間を、大事な友人を救えないで国を守れる騎士になれるとは到底思えないんです。お願いします!」
「お前達……」
「ランスロット様のお心が辛いのも俺達にはどうする事も出来ません。けれど、団長のランスロット団長にこうしてお願いする事は卑怯かとも思いました。でも……俺達にとってアレスは希望なんです!」
「僕達がこうして騎士として団長にお願いするのも、アレスが僕達の進むべき道を照らしてくれていた太陽でもあるから! 僕達が今度はアレスの闇を払う番です!」
「私もこの任務が最後の任務になります。でも、アレスの為ならカセル様も力を貸してくれると。私の親友を助ける事が最後の任務としてでも私は騎士として、アレスの親友として行きます!」
素晴らしい友人達を持って良かった、そう兄である顔をするランスロットは団長としての顔に戻るとアルフォッド達に厳しい言葉を告げるが、それを超えてもアルフォッド達は引き下がらないのであれば。そこまで考えているとアルフォッド達から最後の切り札を出されて苦笑を浮かべる。
「ランスロット団長がダメだと言っても俺達は勝手に着いていきます! だって、ランスロット団長は俺達の兄貴ですから! 兄貴の大事な人は俺達の大事な人です!」
「……それはアレスから聞いたのか?」
「アレスはいつもランスロット団長の事を自慢ではなく、ただ素敵な兄として、恋人として、団長として慕っていると控え目にしか話してくれません。でも、そんなアレスを僕達は大好きなんです!」
「団長、私達にだってアレスを大事にしたい想いはあります。だって……私達は永遠の絆を持つ同期ですから!」
「……なら、救出作戦が発令するまでに装備品の点検と他の騎士達のサポートをお願いする。作戦の実行時には君達には特別任務を言い渡すから覚悟していなさい」
「「「はいっ!!」」」
こうして、同期組の参戦も決まったアレス救出作戦。アレスを助けに行くのに身分なんて関係ない事をランスロットはヒシヒシと心に感じていた――――。
今、ティクスを治めているケンベルトに何かあれば騎士達の士気もそうだが国全体の流れが悪くなる。アレスがいない今、ケンベルトの為に祈りを捧げてくれる者達はそんなにいる訳でもない。
どうしてこのタイミングで悪い事が重なってくるのだろうか。そう考えているランスロットにケンベルトはベッドの上で静かに話をし始める。
「ランスロット……お前がアレスを取り戻すまでは国の事は任せろ」
「そうは言ってもお前の事を放っておけなどするか」
「お前がアレスを取り戻す日までは、俺も死なん。それだけは断言出来る」
「ケンベルト……だが」
「お前やロゼットに言えば止められるのを承知の上で俺も覚悟を示す時が来たようだ。聖なる武器の力を使って延命する。それが尽きた時は俺の弟を王として迎えてくれ」
「ロック王子の事か」
「あぁ、あの子の周囲は綺麗にしている。そして、王としての器を持つ最後の俺の家族だ。親父が戻ってきてももう王位を継ぐ事が出来るのはロックだけだ。ロックが死んだら国は滅びる。そうなればお前達には神々の加護があると信じている……それまでは俺は死ねんよ」
ケンベルトは身体を起こしてランスロットに手を差し伸べる。その手を優しく握るランスロットにケンベルトは昔と変わらない微笑みを浮かべた。
この友人はいつだって自分とアレスを大事に思ってくれている。王としての素質もありながら人間としてもその器は立派だと言えるだろうと、ランスロットには自慢の王でもあり友人でもあった。
だからこそ、ケンベルトの死期が早いのは正直心が痛む。まだこれからの人生だとも言える若さでもあるのに、こんな志半ばで死を覚悟するのは友人として心が辛い。
「陛下、そろそろお休み下さい」
「ケンベルト、俺が必ずアレスを取り戻す。そして、お前の運命の星も変えてみせるからな」
「ははっ……期待しないで待っているよ」
「ランスロット様、ロゼット様がお部屋でお待ちです」
「……すぐに行きます。お休みケンベルト」
「あぁ、お休み」
ケンベルトの寝室からでて、ロゼットの執務室に行くと大臣達が集まっていた。恐らくケンベルトの死期を悟った発言での後継者の事についての話し合いをしていたのだろうとランスロットは気付く。
大臣達はロゼットにロック王子の即位について疑問はないので慎重に迎えるべきでは? とロゼットに提案している所だった。ランスロットの到着に大臣達は一気に静まり返る。
「陛下は?」
「お休みに。それで跡継ぎの事についてもお話されておいででした」
「そ、それは本当ですか!? 陛下はやはりロック王子の事を??」
「えぇ、自分の死後にロック王子を据えよと申しておいででしたね」
「だが、今大臣達から上がった話ではロック王子はまだ齢12歳。陛下と同じ年齢ではない事も踏まえて後見人の存在が必要不可欠になるのは避けられないな」
「その後見人には我々の大臣も意見はありますが、ロゼット様に選んで頂きたく思います」
「ガーベル!」
「適任はロゼット様とランスロット様です。我々大臣では癒着もございます。第3者の立場として考えうる適任者を選ぶべきかと私は思いますが?」
ガーベルと呼ばれた男の大臣は若くして大臣職に上り詰めた元学者の青年。彼の発案した政令案件はティクスに大きな新風を巻き起こしたのはここ数年でも記憶に新しい。
彼の様な逸材に恵まれているのも今のケンベルトが推し進めている「市民立場向上学会」という組織を城内に立ち上げた結果である。それを良く思わない貴族も多いが、実際この様に優れた家臣を得れているので貴族達もあまり口を大にして発言出来ない。
ロゼットとガーベルは色々と細かな手続きや処理などについての意見も殆ど普段からコミュニケーションを取っている方なので、この場でガーベルが発言して不利に陥ってもロゼットが助けに入る事はランスロットには分かり切っていた事である。そして、大臣達はガーベルの言葉とロゼットの視線に耐えれずにいそいそと退出していく。
「出過ぎた真似をしました」
「いや、君の言葉で大臣達が反論したら考えも変えたが、反論しなかったのを見ると心当たりがあり過ぎるのだろう。ランスロットには鬱憤が溜まってしまった様だが」
「いや、大臣達の癒着に関しては俺には何も出来ない部分でもあるからな。それよりもガーベル、後見人のリストなどはこちらで用意していいのか?」
「はい、お願いします。そして、それを元に大臣達を黙らせる方法をお取りください。ケンベルト陛下のお身体を延命させる為にも私は聖なる武器の調査に入りたいと思います」
「まさか、陛下が聖なる武器の力を使って延命をお考えだとはな……。そこまでして国を想う気持ちには感服する思いだ」
「それだけケンベルトの中ではこのティクス国が大事なんだと思う。父親から引き継いで自分の手で守る意味をあいつはいつも自分に問い掛けていた。だから、跡を継ぐだろうロック王子の事も親身になって色々と世話を焼いていたんだとも思う」
ランスロットにはケンベルトの幼少期に語られていた夢を思い出す事があった。幼少期のケンベルトは小さいながらも自分の手で国を守れたらそれが一番の褒美だとランスロットには語っていたのである。
そして、王となる日に手紙でランスロットにはこう書いていたのもランスロットは思い出す。「俺が王となる以上、命を燃やして国全体を盛り上げて、民の幸せを一番に考える。そんな国を目指す」という文章を。
ランスロットはロゼットの耳に入れておきたい事があった。レダルがあの襲撃の時にアレスに忍び寄った人物がいる事を伝えてくれたのである。
「つまり、国内に闇の力を招き入れた人物が潜んでいる、という事か」
「可能性的にディズ国の生き残りかだろうとは思うが、どんな人間かは定かではない」
「その様な者が国内にいるのであれば、もしかしたらあの者達が知っているかも知れません」
「あの者達?」
「冒険者達です。このティクスでは影は薄いですけれども、冒険者達の力もあって防衛には力が入っているのはランスロット様もご存知でしょうか?」
「あぁ、彼らのアドバイスが定期的に上がってくる。それを殆ど採用させてもらっているからな」
「彼らは一度腰を据えた国にはかなりの忠誠心を見せます。しかし、身分や教養の面で城に仕える事が出来ない者達が冒険者となって国を支えます。彼らの力を借りればまだ怪しい人物を炙り出す事も簡単かとは思います」
ガーベルの言葉には確かに一理あるとロゼットもランスロットも考える。そしてランスロットはその点に関してはフットワークが軽い男でもある。
すぐに城の兵士を使って城下にいる冒険者達を城に集まる様に伝えてくるように指示を出す。ガーベルとロゼットもこのランスロットの決断力には舌を巻く程である。
「冒険者の力も借りて国内の浄化を一気に行う。騎士団だけでは見逃すポイントも冒険者の力を借りれば一気に攻めれるだろう」
「本当にそういう部分でのフットワークは軽いなお前は。アレスの事はどうするのだ?」
「そう言えば妹様が闇の勢力に捕まったと聞いております。神々からは何も?」
「……神々にはアレスの無事を祈っているだけしかない。俺の力でアレスを取り戻す。それが俺に出来るアレスの為に剣を振るう理由だ」
「「……」」
「俺は城下に出てくる。緊急の知らせはロルゾ達に知らせてくれ」
「あぁ、分かった」
ランスロットの退出後、ガーベルとロゼットは静かに顔を見合わせる。ランスロットの瞳に光が宿っているのは確認出来るが、神々がアレスの事について何も言わないのは少し不思議に感じていたのである。
元々、アレスはその血筋から神々に愛されているのは確かである。だが、今回闇の手に落ちたアレスについて神々が一切ランスロットに知らせていない……嫌な予感が2人の間に流れた。
「ランスロット様」
「ハルウッド、どうした?」
「ローレンスから定期報告が。闇の力が以前より増しているという内容が」
「強まっている、という事か。それで他には?」
「それとは別にディズ国に出入り出来ている者達が確認出来たと」
「……やはり闇の力に染まった者達が出入りしていると見て良さそうだな」
「あとは城下から冒険者達が集まってきていますが?」
「俺が呼び寄せた。城下の不審人物の洗い出しを行う。下手をすればアレスを攫ったやつは闇の力に関与している人物がいると思われるんでな」
「分かりました。ガルドと私がお傍に控えます」
「頼む」
ハルウッドがガルドを呼びに行っている間にランスロット様と呼ぶ声に気付き振り向く。そこにはアレスの同期組の友人達が揃っていた。
その同期達に視線を向けているとアルフォッドとオルベ。リディルが前に一歩出て礼儀を尽くす。
「ランスロット様、俺達をアレス救出部隊に入れて下さい」
「僕達もアレスを助けたいです」
「まだまだ剣術も魔法もベテランの先輩達には劣るかとは思います。でも、仲間を、大事な友人を救えないで国を守れる騎士になれるとは到底思えないんです。お願いします!」
「お前達……」
「ランスロット様のお心が辛いのも俺達にはどうする事も出来ません。けれど、団長のランスロット団長にこうしてお願いする事は卑怯かとも思いました。でも……俺達にとってアレスは希望なんです!」
「僕達がこうして騎士として団長にお願いするのも、アレスが僕達の進むべき道を照らしてくれていた太陽でもあるから! 僕達が今度はアレスの闇を払う番です!」
「私もこの任務が最後の任務になります。でも、アレスの為ならカセル様も力を貸してくれると。私の親友を助ける事が最後の任務としてでも私は騎士として、アレスの親友として行きます!」
素晴らしい友人達を持って良かった、そう兄である顔をするランスロットは団長としての顔に戻るとアルフォッド達に厳しい言葉を告げるが、それを超えてもアルフォッド達は引き下がらないのであれば。そこまで考えているとアルフォッド達から最後の切り札を出されて苦笑を浮かべる。
「ランスロット団長がダメだと言っても俺達は勝手に着いていきます! だって、ランスロット団長は俺達の兄貴ですから! 兄貴の大事な人は俺達の大事な人です!」
「……それはアレスから聞いたのか?」
「アレスはいつもランスロット団長の事を自慢ではなく、ただ素敵な兄として、恋人として、団長として慕っていると控え目にしか話してくれません。でも、そんなアレスを僕達は大好きなんです!」
「団長、私達にだってアレスを大事にしたい想いはあります。だって……私達は永遠の絆を持つ同期ですから!」
「……なら、救出作戦が発令するまでに装備品の点検と他の騎士達のサポートをお願いする。作戦の実行時には君達には特別任務を言い渡すから覚悟していなさい」
「「「はいっ!!」」」
こうして、同期組の参戦も決まったアレス救出作戦。アレスを助けに行くのに身分なんて関係ない事をランスロットはヒシヒシと心に感じていた――――。
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