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6章
45話「護る事も必要だが攻める事も考えよ」
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ティクス城下町にいる冒険者達が集まる中庭にランスロットは姿を見せる。冒険者達に騎士団団長としてではなく、同じ国を守る者として言葉を紡ぐ。
「今回、このティクスを闇に落とし入れようよする者達が城下にいると判明した。それで騎士団だけではこの者達を捕らえる事は不可能と判断し、貴方方のお力をお借りしたい。共にティクスを守る為にお力をお貸ししては貰えないだろうか?」
「そんな事なら任せてくれ。それに俺達もケンベルト陛下のお力になれるんなら騎士団の方々のお力になりますよ」
「そーだそーだ。不審者の事なら俺達に任せてくれ!」
「ランスロット様、城下は俺達に任せて、アレス様の事をお助けして下さい。あの方は巡回の度に俺達冒険者に優しい言葉を掛けてくれた希望なんだ! 俺達の光を取り戻して下さい!」
「ありがとう。その不審者がアレスを助け出す為にも必要な情報を握っていると思われる。どうか妹を助ける為にも不審者を素早く捕えて欲しい」
ランスロットが頭を下げて頼み込むと冒険者達は大声で「任せろ!」と叫びながら不審者を探しに飛び出していく。アレスの人望は確かに城下の人々に根付いているのをランスロットが感じ取っているとガルドが笑いながらある小話をしてくれた。
「アレス嬢、城下の人達に自分とランスロットが禁断の関係である事を1から説明して回っている。何故か分かるか? いつの日かランスロットがエルンシア家の主として社交界に出た時に妻として傍にいる事が出来ればきっと自分にもランスロットを守れるって意気込んでいるからだ」
「アレス……」
「あの子はあの子なりにお前が大事で愛おしいんだ。禁断だとしても愛し合う事に決まりはない。それがお前とアレスの愛であるなら貫き通せる様にあの子は自分なりに頑張って説得を続けていくだろうよ」
「だから、冒険者達がアレスを助けて欲しいというのもアレスが日頃から城下の人々にそう言う意味で、話をしていたのがこんな形で恩返しされているって事だな」
「いい女を持てて良かったな」
「あぁ。だから必ずこの手で取り戻す」
ランスロットの心にアレスへの想いが溢れていく。自分のいない今の状況でどんなに苦しい想いをしているか分からない。
だが、必ず自分が助けに来ると信じているという確信はあった。それだけランスロットとアレスの絆は強いのである。
ランスロットの元に不審者が捕らえられたという報告が届いたのは夕方頃。冒険者達がある青年を捕えて連れてきた。
「彼が?」
「この坊やが闇の魔物を召喚しているのを目撃したご婦人を襲っていたんだ。間違いない」
「くっ……僕を捕らえた所で遅過ぎたね。あの女騎士は既に破者の王への生贄にされているに違いない」
「……破者の王、とは?」
「知らないのか? お前達ティクスが150年前に封じた異界アルシッドの王だ! あの方の支配こそこのガハランド大陸には相応しいんだよ!!」
「つまり、その王を蘇らせる手段をディズ国に調べさせてたのも君の仕向けか」
「僕達、闇の星導きの者達には破者の王こそが主として相応しいと思っている。こんな偽善だらけの神聖国の支配など誰が受け入れるもんか! 人間を人間として見ない貴族の支配する国なんて滅ぶべきなんだよ! そうさ! ディズ国に破者の王を復活させる為に禁呪の魔法を使わせていたのも僕達闇の星導きの者達だ! このガハランド大陸の支配こそ僕達の願い……! ぐっ!」
「なっ! そこか!」
ランスロットの背後から飛んできた矢が青年の頭に刺さって絶命する。ランスロットが振り向くと矢が数本放たれており、ガルドとハルウッドがそれを防ぐ。
ロルゾが兵士と共に矢を放った人間を追ったが既に城外に逃げており、後を追うのは不可能であった。ランスロットは死んだ青年の遺体を検分したいという医学者達に死体を任せて冒険者達に改めて頭を下げた。
「ありがとうございます。貴方方のお陰で闇の星導きの者達という組織が明らかになっただけではなく、ディズ国の目的も判明しました。ここからは皆さんにはこのティクスを守る力になってもらいたいとお願いします。これは騎士団長としてのお願いです」
「俺達は騎士団長様に頼まれなくても自発的にこのティクスを守るつもりだったよ。だって俺達も身分は違っても同じティクスを愛する者達だからさ」
「俺達は力でしか力にはなれないが、本当に守りたい物には協力を惜しんだりしねぇよ」
「ランスロット様、そろそろ準備を。後はガルドが引き受けます」
「皆さん、あとはお願いします」
ランスロットはもう一度深く頭を下げてハルウッドが用意した馬に向かう。ガルドがティクス国に残り、ロルゾとハルウッドが同行してローレンスのいる前線基地に移動するのである。
同期組も馬車に乗って前線基地に向かう為の乗り込みを済ませており、救出班は前線基地に向かった。数日掛けて移動をして戦前基地に到着したランスロットはすぐにローレンスからの私見を方向してもらっていた。
「それではあの鎌を持っているのはアルシッドの門を守る番人、で違いないのだな?」
「はい。国内に出入りする者の1人を捕えて吐かせましたらそんな情報が。それと同時にこの世界に新しい動きがあるのも星読みで判明しております」
「新しい動き……聖なる武器の出現とかか?」
「いえ、星導きの者達……光の力を持った異世界の者達が舞い降りるという星が出ております」
「闇の星導きの者達がいるのであれば光の星導きの者達がいてもおかしくないか。その者達は何処に出るかは分からないのだろう?」
「はい。ですのでエドゥル国にも出る可能性はありますので、ガハランド大陸全土に知らせる必要があります。時期は今から1年以内には確実に現れます」
「ローレンス、仮にその光の導きの者達が力を貸してくれるとなるのであれば今無暗に救出をするのは愚策というか?」
「いえ、アレス嬢の救出は急務でございます。急ぎ国内に入って救出するのが優先かと」
「何か問題あるのかランスロット?」
「お前達には先に話しておこう。ルトの事だが、ルトは俺とアレスを守る為に神々が遣わせた神獣だ。そのルトが先にアレスの元に向かっている」
「なんと……ルトが神獣であればアレス嬢の危機には力を発揮出来ますな」
「本当かよ……子猫だと思っていたんだけれどな、あのフォルムから」
「アレス嬢の元に子猫のままで到着出来れば一先ず安心ではございますね」
ハルウッドがそう告げているがアレスが一体どの様な状態なのかは不明なのもあって、ランスロットは心持穏やかではなかった。だが、団長として正式にディズ国への進行を指揮する立場になれば冷静さは欠いてはいけないと自分に言い聞かせる。
ロルゾとハルウッドに全軍を集める様に指示を出し、ローレンスに補佐を命じる。こうしてアレス救出作戦の実行が間もなく始まろうとしていた。
――――ディズ国ディズ王城の魔力湖傍
『にゃ~ん』
「ん? こんな辺鄙な城に子猫か。なんだ迷子か? そうだ、お前の事をあの囚われている女の子の部屋に連れて行ったら少しは違うかな」
『にゃん?』
「おいで~。よしよし、いい子だ。よーし、お前のその愛らしい声であの女の子を元気づけてやってくれ」
ルトはディズ国の王城内部に侵入していた。姿が子猫であるが為に警戒されていない。
兵士の1人に存在を見付けてもらい、まんまとアレスがいるだろう部屋に連れて来てもらったルトは部屋に入るとその異様さに固まる。アレスの姿はまるで人形の様に無表情でただ椅子に座っているだけの状態になっていた。
それだけではない、部屋全体に豪華な装飾品と神々を祭った小さな祈りを捧げる礼拝堂の様な場所まで完備されている。それが逆にアレスの存在を引き立てていた。
兵士はルトを部屋の入口に降ろすとアレスに向かって言葉を掛ける。だが、アレスは一切感情の起伏も見せないで黙って床の一点を見つめていた。
『(闇の進行が心を支配し始めているのか?)』
「お嬢さん、そろそろ何か喋ってもいいんじゃないか? 別に無理をしてここにいる必要はないんじゃないかー?」
「……」
「はぁ、食事は一応食べているだけでもありがたいけれどさ……。子猫さん、この子の笑顔になれるように癒してやってな? それじゃ俺は食事に行ってくるよ。お嬢さん、もう少しの辛抱だからな」
『(この男……闇には染まってない。それどころか光を感じる……)にゃ~ん』
兵士がアレスの部屋を出ていくとドアをパタンと閉められてガチャンと外から鍵を掛けられる音がした。ルトは気配を探ってからアレスの前に姿を見せて数回足に尻尾を叩き付ける。
それによりアレスが意図的にルトを見ると次第に涙を浮かべて両手を伸ばしてきた。まだアレスは生きているのである。
「ルトっ……」
『無事かアレス』
「ルトっ、ルト……」
『もうじきランスロットがここに来る。それまで耐えれるか?』
「それどころじゃないの! この城の王の間にアルシッドの王が目覚めようとしている。その王が目覚めたら私は生贄にされてしまうわ! 私はどうなってもいい、でもランスロットが来てはダメ!」
『どういう事なのだ? 落ち着いて話をしてくれ』
「実は、この城の王の間に巨大な魔法陣があって……そこに闇の星導きの者達って名乗る人達が毎日強い魔力を注いで異界アルシッドの門を解放しているの。そこの門に入って行った1人の賢者って呼ばれている人から「直にアルシッドの王を復活させれる」と連絡が来たらしくって……」
『その王の復活にアレスの命が必要、だという訳か』
「いいえ。私はあくまで餌なんだって。目的はランスロットの肉体」
『ランスロットの肉体? つまりアルシッドの王は依代となる男の身体を求めているって事だな?』
「えぇ、だからランスロットの肉体を渡す訳には……」
アレスの言葉にルトは少し考えてこうアレスに進言する。それを聞いたアレスは驚きながらもルトの言葉に従ってその計画に乗じてディズ国の完全崩壊を促す為の駒として動く事を決める。
ルトはアレスを気遣っていた兵士を普通の人間ではないと見ていた。そう、あの兵士こそがアレスとランスロットを光へと導く存在になり得る存在であると、ルトはそう見抜いていたのである。
そして、アレスもその兵士が普通に自分の事を逃がそうとしてくれている事をルトに話す。そして、運命の幕が静かに持ち上がり始める瞬間が訪れようとし始めていた――――。
「今回、このティクスを闇に落とし入れようよする者達が城下にいると判明した。それで騎士団だけではこの者達を捕らえる事は不可能と判断し、貴方方のお力をお借りしたい。共にティクスを守る為にお力をお貸ししては貰えないだろうか?」
「そんな事なら任せてくれ。それに俺達もケンベルト陛下のお力になれるんなら騎士団の方々のお力になりますよ」
「そーだそーだ。不審者の事なら俺達に任せてくれ!」
「ランスロット様、城下は俺達に任せて、アレス様の事をお助けして下さい。あの方は巡回の度に俺達冒険者に優しい言葉を掛けてくれた希望なんだ! 俺達の光を取り戻して下さい!」
「ありがとう。その不審者がアレスを助け出す為にも必要な情報を握っていると思われる。どうか妹を助ける為にも不審者を素早く捕えて欲しい」
ランスロットが頭を下げて頼み込むと冒険者達は大声で「任せろ!」と叫びながら不審者を探しに飛び出していく。アレスの人望は確かに城下の人々に根付いているのをランスロットが感じ取っているとガルドが笑いながらある小話をしてくれた。
「アレス嬢、城下の人達に自分とランスロットが禁断の関係である事を1から説明して回っている。何故か分かるか? いつの日かランスロットがエルンシア家の主として社交界に出た時に妻として傍にいる事が出来ればきっと自分にもランスロットを守れるって意気込んでいるからだ」
「アレス……」
「あの子はあの子なりにお前が大事で愛おしいんだ。禁断だとしても愛し合う事に決まりはない。それがお前とアレスの愛であるなら貫き通せる様にあの子は自分なりに頑張って説得を続けていくだろうよ」
「だから、冒険者達がアレスを助けて欲しいというのもアレスが日頃から城下の人々にそう言う意味で、話をしていたのがこんな形で恩返しされているって事だな」
「いい女を持てて良かったな」
「あぁ。だから必ずこの手で取り戻す」
ランスロットの心にアレスへの想いが溢れていく。自分のいない今の状況でどんなに苦しい想いをしているか分からない。
だが、必ず自分が助けに来ると信じているという確信はあった。それだけランスロットとアレスの絆は強いのである。
ランスロットの元に不審者が捕らえられたという報告が届いたのは夕方頃。冒険者達がある青年を捕えて連れてきた。
「彼が?」
「この坊やが闇の魔物を召喚しているのを目撃したご婦人を襲っていたんだ。間違いない」
「くっ……僕を捕らえた所で遅過ぎたね。あの女騎士は既に破者の王への生贄にされているに違いない」
「……破者の王、とは?」
「知らないのか? お前達ティクスが150年前に封じた異界アルシッドの王だ! あの方の支配こそこのガハランド大陸には相応しいんだよ!!」
「つまり、その王を蘇らせる手段をディズ国に調べさせてたのも君の仕向けか」
「僕達、闇の星導きの者達には破者の王こそが主として相応しいと思っている。こんな偽善だらけの神聖国の支配など誰が受け入れるもんか! 人間を人間として見ない貴族の支配する国なんて滅ぶべきなんだよ! そうさ! ディズ国に破者の王を復活させる為に禁呪の魔法を使わせていたのも僕達闇の星導きの者達だ! このガハランド大陸の支配こそ僕達の願い……! ぐっ!」
「なっ! そこか!」
ランスロットの背後から飛んできた矢が青年の頭に刺さって絶命する。ランスロットが振り向くと矢が数本放たれており、ガルドとハルウッドがそれを防ぐ。
ロルゾが兵士と共に矢を放った人間を追ったが既に城外に逃げており、後を追うのは不可能であった。ランスロットは死んだ青年の遺体を検分したいという医学者達に死体を任せて冒険者達に改めて頭を下げた。
「ありがとうございます。貴方方のお陰で闇の星導きの者達という組織が明らかになっただけではなく、ディズ国の目的も判明しました。ここからは皆さんにはこのティクスを守る力になってもらいたいとお願いします。これは騎士団長としてのお願いです」
「俺達は騎士団長様に頼まれなくても自発的にこのティクスを守るつもりだったよ。だって俺達も身分は違っても同じティクスを愛する者達だからさ」
「俺達は力でしか力にはなれないが、本当に守りたい物には協力を惜しんだりしねぇよ」
「ランスロット様、そろそろ準備を。後はガルドが引き受けます」
「皆さん、あとはお願いします」
ランスロットはもう一度深く頭を下げてハルウッドが用意した馬に向かう。ガルドがティクス国に残り、ロルゾとハルウッドが同行してローレンスのいる前線基地に移動するのである。
同期組も馬車に乗って前線基地に向かう為の乗り込みを済ませており、救出班は前線基地に向かった。数日掛けて移動をして戦前基地に到着したランスロットはすぐにローレンスからの私見を方向してもらっていた。
「それではあの鎌を持っているのはアルシッドの門を守る番人、で違いないのだな?」
「はい。国内に出入りする者の1人を捕えて吐かせましたらそんな情報が。それと同時にこの世界に新しい動きがあるのも星読みで判明しております」
「新しい動き……聖なる武器の出現とかか?」
「いえ、星導きの者達……光の力を持った異世界の者達が舞い降りるという星が出ております」
「闇の星導きの者達がいるのであれば光の星導きの者達がいてもおかしくないか。その者達は何処に出るかは分からないのだろう?」
「はい。ですのでエドゥル国にも出る可能性はありますので、ガハランド大陸全土に知らせる必要があります。時期は今から1年以内には確実に現れます」
「ローレンス、仮にその光の導きの者達が力を貸してくれるとなるのであれば今無暗に救出をするのは愚策というか?」
「いえ、アレス嬢の救出は急務でございます。急ぎ国内に入って救出するのが優先かと」
「何か問題あるのかランスロット?」
「お前達には先に話しておこう。ルトの事だが、ルトは俺とアレスを守る為に神々が遣わせた神獣だ。そのルトが先にアレスの元に向かっている」
「なんと……ルトが神獣であればアレス嬢の危機には力を発揮出来ますな」
「本当かよ……子猫だと思っていたんだけれどな、あのフォルムから」
「アレス嬢の元に子猫のままで到着出来れば一先ず安心ではございますね」
ハルウッドがそう告げているがアレスが一体どの様な状態なのかは不明なのもあって、ランスロットは心持穏やかではなかった。だが、団長として正式にディズ国への進行を指揮する立場になれば冷静さは欠いてはいけないと自分に言い聞かせる。
ロルゾとハルウッドに全軍を集める様に指示を出し、ローレンスに補佐を命じる。こうしてアレス救出作戦の実行が間もなく始まろうとしていた。
――――ディズ国ディズ王城の魔力湖傍
『にゃ~ん』
「ん? こんな辺鄙な城に子猫か。なんだ迷子か? そうだ、お前の事をあの囚われている女の子の部屋に連れて行ったら少しは違うかな」
『にゃん?』
「おいで~。よしよし、いい子だ。よーし、お前のその愛らしい声であの女の子を元気づけてやってくれ」
ルトはディズ国の王城内部に侵入していた。姿が子猫であるが為に警戒されていない。
兵士の1人に存在を見付けてもらい、まんまとアレスがいるだろう部屋に連れて来てもらったルトは部屋に入るとその異様さに固まる。アレスの姿はまるで人形の様に無表情でただ椅子に座っているだけの状態になっていた。
それだけではない、部屋全体に豪華な装飾品と神々を祭った小さな祈りを捧げる礼拝堂の様な場所まで完備されている。それが逆にアレスの存在を引き立てていた。
兵士はルトを部屋の入口に降ろすとアレスに向かって言葉を掛ける。だが、アレスは一切感情の起伏も見せないで黙って床の一点を見つめていた。
『(闇の進行が心を支配し始めているのか?)』
「お嬢さん、そろそろ何か喋ってもいいんじゃないか? 別に無理をしてここにいる必要はないんじゃないかー?」
「……」
「はぁ、食事は一応食べているだけでもありがたいけれどさ……。子猫さん、この子の笑顔になれるように癒してやってな? それじゃ俺は食事に行ってくるよ。お嬢さん、もう少しの辛抱だからな」
『(この男……闇には染まってない。それどころか光を感じる……)にゃ~ん』
兵士がアレスの部屋を出ていくとドアをパタンと閉められてガチャンと外から鍵を掛けられる音がした。ルトは気配を探ってからアレスの前に姿を見せて数回足に尻尾を叩き付ける。
それによりアレスが意図的にルトを見ると次第に涙を浮かべて両手を伸ばしてきた。まだアレスは生きているのである。
「ルトっ……」
『無事かアレス』
「ルトっ、ルト……」
『もうじきランスロットがここに来る。それまで耐えれるか?』
「それどころじゃないの! この城の王の間にアルシッドの王が目覚めようとしている。その王が目覚めたら私は生贄にされてしまうわ! 私はどうなってもいい、でもランスロットが来てはダメ!」
『どういう事なのだ? 落ち着いて話をしてくれ』
「実は、この城の王の間に巨大な魔法陣があって……そこに闇の星導きの者達って名乗る人達が毎日強い魔力を注いで異界アルシッドの門を解放しているの。そこの門に入って行った1人の賢者って呼ばれている人から「直にアルシッドの王を復活させれる」と連絡が来たらしくって……」
『その王の復活にアレスの命が必要、だという訳か』
「いいえ。私はあくまで餌なんだって。目的はランスロットの肉体」
『ランスロットの肉体? つまりアルシッドの王は依代となる男の身体を求めているって事だな?』
「えぇ、だからランスロットの肉体を渡す訳には……」
アレスの言葉にルトは少し考えてこうアレスに進言する。それを聞いたアレスは驚きながらもルトの言葉に従ってその計画に乗じてディズ国の完全崩壊を促す為の駒として動く事を決める。
ルトはアレスを気遣っていた兵士を普通の人間ではないと見ていた。そう、あの兵士こそがアレスとランスロットを光へと導く存在になり得る存在であると、ルトはそう見抜いていたのである。
そして、アレスもその兵士が普通に自分の事を逃がそうとしてくれている事をルトに話す。そして、運命の幕が静かに持ち上がり始める瞬間が訪れようとし始めていた――――。
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