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7章
51話「ガルディア戦争」
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星導き達と呼ばれる異世界の者達であるエリッド達を迎えたティクス国。エリッド達からランスロットの肉体を求めている王について聞かされて、ランスロットの記憶にはまだ懐かしいとは言えない亡き先王のケンベルトから聞いた事実が思い出される。
『死者の塔は古い時代に起こったとされている「ガルディア戦争」の時に当時の国々を滅亡に招いた王の魂が封じられているとされているんだ。その死者の塔に封じられている王は、自分の魂を宿せる依代が産まれるまで長い年月をその塔にて過ごす……祖父から聞いた話だが、俺はその依代にお前がなりそうで怖いよ』
ケンベルトの予言とでも言うべきか、その王はランスロットの肉体を狙っていると聞かされてランスロットは眉根を寄せるしか出来ない。そして、エリッドはそんなランスロットの婚約者であるアレスについても色々と考えられる事を口にする。
「その王に忠誠を誓う者達がどの時代にも存在している。ランスロットさんの肉体を狙う為なら妹で婚約者であるアレス、君の存在は人質にしては最適だ。だから、君の安全も確保しなくてはランスロットさんの身体は奪われ兼ねない」
「私がランスロットの弱点、だって事ね。私もしっかりと自分の身は守らないといけない……」
「それだけじゃないわ。王の復活には御子である貴女の力が最も大事な元になる。だから王は貴女を狙ってもくるでしょう。私達は貴女の事も守りたいと思っているわ」
アルディシアはそこまで告げるとアレスの肩に両手を置いて、その部分からアレスの身体に不思議と温かい力を感じる事が出来た。アレスはその力の存在に驚きながらもアルディシアを見上げてキョトンとしている。
ランスロットはエリッドに視線を向けて何をしたのかと視線のみで問い掛けるとエリッドは小声でランスロットのみに伝える。それは星導きの者達としては当然の行為だとも付け足しておくのも忘れないで。
「アレスの体内にアルディシアの力で作った魔法陣を刻んだんだよ。その魔法陣が破壊されない限り彼女が連れ去られたりしても居場所が分かる。それと同時に彼女の力を抑え込んでくれるから悪用される事もある程度は防げる」
「そうなのか。君達は本当に先の未来が見えているんだな」
「そうでもないさ。でも、俺達の世界では聞こえてなかった神々の声がこの世界では聞こえてくるから、動きやすくなっているだけなんだよ」
「俺も神々の声を聞くが、殆どが神託だから中々自分達の未来まではお話をしてもらえない。だが、それでもアレスを守りたい気持ちを伝えたら祝福されたけれども」
「それがこの世界の神々の答えなんだよ。それでいいんだと思う。少なくとも先が見えているからと言って全てが守れる訳じゃない」
エリッドの言葉には暗に守れなかった者達もいる事を伝えているとランスロットは感じ取ってしまう。それだけエリッド達は色々な世界を旅してきたんだろうと察する事も出来る。
アレスはアルディシアの事を疑っている事もなく、女性同士の会話をし始めている。ロゼットとロックにはレーデアとトールデッドが色々と旅してきた世界の事を話をしてくれていた。
エリッドはランスロットの視線を真っ直ぐに受けて小さく笑った。まるでエリッドは昔馴染みの親戚のお兄さんが傍にいるような親近感を持たせてくれる。
「俺達はこの世界には2度目の召喚なんだ。前の召喚の時にはこの世界では「ガルディア戦争」と呼ばれている戦争の時で、それはそれは激しい戦争だったのを覚えている」
「ガルディア戦争……ティクス・エドゥル・ディズ国の3国が同盟を組み、そして、ガルディア戦争と名付けられた由来の国である「ベリアズ国」を倒す為の戦争だったと記憶しているが……君達はその戦争で召喚されていたのか」
「そう。でも、俺達は恵まれている方だ。ベリアズ国の召喚では無かったからな。今は無きディズ国の王様に召喚されたから同盟国の力になれた。もし、これがベリアズ国の召喚なら今の平和なガハランド大陸は無かったと思う」
「そう言われたら奇跡が重なったのだと言えるんだろう。だが、今回は誰が君達を召喚したのだろうか……何か分からないのか?」
「俺達は神々に召喚されたのは事実だ。神々の力を俺が一番に受けているのもいい証拠だと言える。それだけ神々はこの今の現状に危機感を抱いていると言っていいだろうね」
エリッドはそこまで言って小さく息を吐き出す。そして自分達の存在が如何にこの世界ではどんな影響を与えるかは自覚しているのだった。
そして、アレスとランスロットの2人は星導きの者達の世話役としてハルウッドとローレンスを付ける事を提案する。この2人なら問題はないだろうとロゼットも同意してロック王も許可をする。
暫くは城内で過ごす事になるだろうがエリッドはアレスとランスロットに深い感謝をして、その日は解散する事となった。アレスは団長室に戻って行く途中でランスロットの左手にそっと右手で触れる。
「どうした?」
「ううん……なんとなく触れたかった」
「……何を不安になった?」
「……ランスロットを守る為なら私はどうなってもいい、って言ったら怒る?」
「怒るより悲しいな。俺はアレスがいて初めて生きていると実感できる人間であるから」
「ランスロットの未来を守る為なら私はどんな事にも耐えれる。けれど……私は1人の女としてランスロットの為になら死んでもいいと思えちゃう。それだけ愛しているって言えるから」
「……」
「私は御子である前に、騎士である前に、1人の女として愛する人の未来を守りたい。それだけは誰が何を言っても譲れない。それだけランスロットを愛している……それだけ愛してしまっているの」
アレスは前を向いたまま自分の想いを言葉に乗せる。その想いをランスロットは受け止め、そして、心の中にあるアレスへの愛情へ変換していく。
ランスロットのアレスへの愛情は今でこそ婚約者となって溢れ出ているのを、少しずつアレスへ示しているけれども収まっている事は全く以てない。逆に以前よりも溢れ返って収拾が付かないまでになり始めている程だ。
「アレス……どうしたらお前にこの想いが伝わるだろうな?」
「……ランスロットの思ったままの行動で示してくれればいいんじゃないかな?」
「それだと、お前が嫌だと泣き叫ぶ気がしてやまないよ」
「どんな方法を使おうとしているの?」
「2度と俺以外の誰の瞳にも映らない……監禁して、俺だけしか存在しない世界で、俺だけを愛する様に躾ていく……そんな危険な思想の持ち方をしている」
「……いいよ」
「アレス……」
「私の事をランスロットが望む様に監禁して、それがランスロットの愛情なら私は嬉しいし、嫌がったりしない。だって……私もそれを愛だって知っているし受け入れたいと思う程に、ランスロットの事を信頼して愛しているんだから」
アレスのシルバーアイがランスロットのゴールドアイを捉えて見つめてくる。ランスロットの歪んでいるだろう愛情もアレスには特上のご褒美だと言えると断言してしまう。
ランスロットの手がアレスの身体を引き寄せて通路脇の物陰に引っ張り込む。そして、アレスのピンク色の唇を強引に奪って酸素も飲み込む様な激し目の口付けをし始める。
アレスもまた強引な口付けに応じる様にランスロットの首に腕を回して、そのまま身体を密着させながら自分から舌を差し出す。そのままジュルジュルと音を立てて2人は暫く濃厚な口付けを堪能していた。
口付けを終えた2人は唇を離すと銀の糸が互いを結び、アレスが舌なめずりしてその糸を引き取った。ランスロットの右手の親指がアレスの唇を撫でてそのまま軽くリップ音を響かせて触れるだけの口付けをして完全に身体を離す。
「私……いつかランスロットとだけの生活を送りたい」
「その日が迎える為にも、今はこの国を守らないといけない」
「全てが終わったら……ずっと傍にいてくれる?」
「死がふたりを分かつまで。ずっと傍にいよう」
「約束だから」
アレスのブルーの髪の毛が風に舞って揺れ動く。ランスロットはその髪の毛を少し右手に取ればその髪の毛に口付けを落とす。
その頃、ガハランド大陸の北部にそびえ立つ死者の塔の最上階。そこに数人の人間達が集まり異様な言葉を唱えながら闇の力を集めていた。
闇の力は次第に大きな歪を生み出し、その歪から強大な力を感じ取る事が出来る。人間達の両手からは大量の血が流れ落ちているのが確認出来る。
『力がまだ足りぬ。もっと集めよ』
「破者の王にもっと闇の力を注げ。そして、依代の男をこの塔へ導くのだ。そこで初めて我々の計画は、宿願は叶えられるのだから」
「破者の王復活に捧げるのだ。神々に愛されし御子の力を」
『私こそがこのガハランド大陸を支配するのに相応しい王なのだ。私こそが……私こそが』
闇の歪から聞こえてくる言葉と周囲の人間達の言葉。それを繋ぎ合わせるとやはりこの死者の塔では闇が集まり始めている事が伺える。
そして、その死者の塔の最上階にて破者の王と呼ばれし存在が目覚め始めている。それをティクス国に集まった星導きの者達は感じ取っていた。
時はあまり残されていないのかも知れない。そして、この国ではまだ知られてないだろうが、悪魔の国としてガルディア戦争時に恐れられていた「ベリアズ国」が復活しようとし始めている事も星導きの者達は知っていた。
「思っている以上に力の流れが早い……このままではガルディア戦争の再来を促してしまいますね」
「そうならない為にも私達が召喚されたのでしょう? なら目論みを潰すまでじゃない」
「でもね、今回はそう簡単に行かないと思う。この世界は確かに僕達が以前召喚された時よりも明らかに時代も力関係も異なっている。だから、それを考えると今回はそう上手く事が進むとは思えないんだ」
「仮にどんな困難があったとしても俺達じゃないと出来ない事はあるんだと思う。そして、それが結果として多くの人々の希望に繋がる事を俺達は知っている。だから、俺達はこの世界を救う為に戦うんだ」
エリッドはそう強く告げて部屋の外を眺める窓辺に立つ。アレスの笑顔を見て、ランスロットの信頼を感じて、エリッドは今までのどの世界よりもこのガハランド大陸を有する世界を救いたいと願っている。
光を持つ自分の力がどこまで通用するかは不明だが、それでも絶望に染まってしまうよりかは光を翳して希望を強く持つ事の方が大事だと思えるからだ。そして、エリッドはそれが出来うる人間でもある。
アレスとの初対面の時にアレスには光があると感じ取ったエリッドは、アレスとランスロットの禁断の関係すらもそれは伏線にしか思えなかった。この2人はどんな関係であっても愛し合ってしまう2人だと思ったから。
神々があの2人を見守るのであれば、自分も同じ見守る側にいよう。それがエリッドの中でランスロットとアレスの運命を見守るという決意になるのであった。
光の星導きの者達は夜空に流れる星々の力を見つめて、そして、運命を知る。それが異世界の者達であっても変わりはしないのであろうと神々は静かに見守るのであった――――。
『死者の塔は古い時代に起こったとされている「ガルディア戦争」の時に当時の国々を滅亡に招いた王の魂が封じられているとされているんだ。その死者の塔に封じられている王は、自分の魂を宿せる依代が産まれるまで長い年月をその塔にて過ごす……祖父から聞いた話だが、俺はその依代にお前がなりそうで怖いよ』
ケンベルトの予言とでも言うべきか、その王はランスロットの肉体を狙っていると聞かされてランスロットは眉根を寄せるしか出来ない。そして、エリッドはそんなランスロットの婚約者であるアレスについても色々と考えられる事を口にする。
「その王に忠誠を誓う者達がどの時代にも存在している。ランスロットさんの肉体を狙う為なら妹で婚約者であるアレス、君の存在は人質にしては最適だ。だから、君の安全も確保しなくてはランスロットさんの身体は奪われ兼ねない」
「私がランスロットの弱点、だって事ね。私もしっかりと自分の身は守らないといけない……」
「それだけじゃないわ。王の復活には御子である貴女の力が最も大事な元になる。だから王は貴女を狙ってもくるでしょう。私達は貴女の事も守りたいと思っているわ」
アルディシアはそこまで告げるとアレスの肩に両手を置いて、その部分からアレスの身体に不思議と温かい力を感じる事が出来た。アレスはその力の存在に驚きながらもアルディシアを見上げてキョトンとしている。
ランスロットはエリッドに視線を向けて何をしたのかと視線のみで問い掛けるとエリッドは小声でランスロットのみに伝える。それは星導きの者達としては当然の行為だとも付け足しておくのも忘れないで。
「アレスの体内にアルディシアの力で作った魔法陣を刻んだんだよ。その魔法陣が破壊されない限り彼女が連れ去られたりしても居場所が分かる。それと同時に彼女の力を抑え込んでくれるから悪用される事もある程度は防げる」
「そうなのか。君達は本当に先の未来が見えているんだな」
「そうでもないさ。でも、俺達の世界では聞こえてなかった神々の声がこの世界では聞こえてくるから、動きやすくなっているだけなんだよ」
「俺も神々の声を聞くが、殆どが神託だから中々自分達の未来まではお話をしてもらえない。だが、それでもアレスを守りたい気持ちを伝えたら祝福されたけれども」
「それがこの世界の神々の答えなんだよ。それでいいんだと思う。少なくとも先が見えているからと言って全てが守れる訳じゃない」
エリッドの言葉には暗に守れなかった者達もいる事を伝えているとランスロットは感じ取ってしまう。それだけエリッド達は色々な世界を旅してきたんだろうと察する事も出来る。
アレスはアルディシアの事を疑っている事もなく、女性同士の会話をし始めている。ロゼットとロックにはレーデアとトールデッドが色々と旅してきた世界の事を話をしてくれていた。
エリッドはランスロットの視線を真っ直ぐに受けて小さく笑った。まるでエリッドは昔馴染みの親戚のお兄さんが傍にいるような親近感を持たせてくれる。
「俺達はこの世界には2度目の召喚なんだ。前の召喚の時にはこの世界では「ガルディア戦争」と呼ばれている戦争の時で、それはそれは激しい戦争だったのを覚えている」
「ガルディア戦争……ティクス・エドゥル・ディズ国の3国が同盟を組み、そして、ガルディア戦争と名付けられた由来の国である「ベリアズ国」を倒す為の戦争だったと記憶しているが……君達はその戦争で召喚されていたのか」
「そう。でも、俺達は恵まれている方だ。ベリアズ国の召喚では無かったからな。今は無きディズ国の王様に召喚されたから同盟国の力になれた。もし、これがベリアズ国の召喚なら今の平和なガハランド大陸は無かったと思う」
「そう言われたら奇跡が重なったのだと言えるんだろう。だが、今回は誰が君達を召喚したのだろうか……何か分からないのか?」
「俺達は神々に召喚されたのは事実だ。神々の力を俺が一番に受けているのもいい証拠だと言える。それだけ神々はこの今の現状に危機感を抱いていると言っていいだろうね」
エリッドはそこまで言って小さく息を吐き出す。そして自分達の存在が如何にこの世界ではどんな影響を与えるかは自覚しているのだった。
そして、アレスとランスロットの2人は星導きの者達の世話役としてハルウッドとローレンスを付ける事を提案する。この2人なら問題はないだろうとロゼットも同意してロック王も許可をする。
暫くは城内で過ごす事になるだろうがエリッドはアレスとランスロットに深い感謝をして、その日は解散する事となった。アレスは団長室に戻って行く途中でランスロットの左手にそっと右手で触れる。
「どうした?」
「ううん……なんとなく触れたかった」
「……何を不安になった?」
「……ランスロットを守る為なら私はどうなってもいい、って言ったら怒る?」
「怒るより悲しいな。俺はアレスがいて初めて生きていると実感できる人間であるから」
「ランスロットの未来を守る為なら私はどんな事にも耐えれる。けれど……私は1人の女としてランスロットの為になら死んでもいいと思えちゃう。それだけ愛しているって言えるから」
「……」
「私は御子である前に、騎士である前に、1人の女として愛する人の未来を守りたい。それだけは誰が何を言っても譲れない。それだけランスロットを愛している……それだけ愛してしまっているの」
アレスは前を向いたまま自分の想いを言葉に乗せる。その想いをランスロットは受け止め、そして、心の中にあるアレスへの愛情へ変換していく。
ランスロットのアレスへの愛情は今でこそ婚約者となって溢れ出ているのを、少しずつアレスへ示しているけれども収まっている事は全く以てない。逆に以前よりも溢れ返って収拾が付かないまでになり始めている程だ。
「アレス……どうしたらお前にこの想いが伝わるだろうな?」
「……ランスロットの思ったままの行動で示してくれればいいんじゃないかな?」
「それだと、お前が嫌だと泣き叫ぶ気がしてやまないよ」
「どんな方法を使おうとしているの?」
「2度と俺以外の誰の瞳にも映らない……監禁して、俺だけしか存在しない世界で、俺だけを愛する様に躾ていく……そんな危険な思想の持ち方をしている」
「……いいよ」
「アレス……」
「私の事をランスロットが望む様に監禁して、それがランスロットの愛情なら私は嬉しいし、嫌がったりしない。だって……私もそれを愛だって知っているし受け入れたいと思う程に、ランスロットの事を信頼して愛しているんだから」
アレスのシルバーアイがランスロットのゴールドアイを捉えて見つめてくる。ランスロットの歪んでいるだろう愛情もアレスには特上のご褒美だと言えると断言してしまう。
ランスロットの手がアレスの身体を引き寄せて通路脇の物陰に引っ張り込む。そして、アレスのピンク色の唇を強引に奪って酸素も飲み込む様な激し目の口付けをし始める。
アレスもまた強引な口付けに応じる様にランスロットの首に腕を回して、そのまま身体を密着させながら自分から舌を差し出す。そのままジュルジュルと音を立てて2人は暫く濃厚な口付けを堪能していた。
口付けを終えた2人は唇を離すと銀の糸が互いを結び、アレスが舌なめずりしてその糸を引き取った。ランスロットの右手の親指がアレスの唇を撫でてそのまま軽くリップ音を響かせて触れるだけの口付けをして完全に身体を離す。
「私……いつかランスロットとだけの生活を送りたい」
「その日が迎える為にも、今はこの国を守らないといけない」
「全てが終わったら……ずっと傍にいてくれる?」
「死がふたりを分かつまで。ずっと傍にいよう」
「約束だから」
アレスのブルーの髪の毛が風に舞って揺れ動く。ランスロットはその髪の毛を少し右手に取ればその髪の毛に口付けを落とす。
その頃、ガハランド大陸の北部にそびえ立つ死者の塔の最上階。そこに数人の人間達が集まり異様な言葉を唱えながら闇の力を集めていた。
闇の力は次第に大きな歪を生み出し、その歪から強大な力を感じ取る事が出来る。人間達の両手からは大量の血が流れ落ちているのが確認出来る。
『力がまだ足りぬ。もっと集めよ』
「破者の王にもっと闇の力を注げ。そして、依代の男をこの塔へ導くのだ。そこで初めて我々の計画は、宿願は叶えられるのだから」
「破者の王復活に捧げるのだ。神々に愛されし御子の力を」
『私こそがこのガハランド大陸を支配するのに相応しい王なのだ。私こそが……私こそが』
闇の歪から聞こえてくる言葉と周囲の人間達の言葉。それを繋ぎ合わせるとやはりこの死者の塔では闇が集まり始めている事が伺える。
そして、その死者の塔の最上階にて破者の王と呼ばれし存在が目覚め始めている。それをティクス国に集まった星導きの者達は感じ取っていた。
時はあまり残されていないのかも知れない。そして、この国ではまだ知られてないだろうが、悪魔の国としてガルディア戦争時に恐れられていた「ベリアズ国」が復活しようとし始めている事も星導きの者達は知っていた。
「思っている以上に力の流れが早い……このままではガルディア戦争の再来を促してしまいますね」
「そうならない為にも私達が召喚されたのでしょう? なら目論みを潰すまでじゃない」
「でもね、今回はそう簡単に行かないと思う。この世界は確かに僕達が以前召喚された時よりも明らかに時代も力関係も異なっている。だから、それを考えると今回はそう上手く事が進むとは思えないんだ」
「仮にどんな困難があったとしても俺達じゃないと出来ない事はあるんだと思う。そして、それが結果として多くの人々の希望に繋がる事を俺達は知っている。だから、俺達はこの世界を救う為に戦うんだ」
エリッドはそう強く告げて部屋の外を眺める窓辺に立つ。アレスの笑顔を見て、ランスロットの信頼を感じて、エリッドは今までのどの世界よりもこのガハランド大陸を有する世界を救いたいと願っている。
光を持つ自分の力がどこまで通用するかは不明だが、それでも絶望に染まってしまうよりかは光を翳して希望を強く持つ事の方が大事だと思えるからだ。そして、エリッドはそれが出来うる人間でもある。
アレスとの初対面の時にアレスには光があると感じ取ったエリッドは、アレスとランスロットの禁断の関係すらもそれは伏線にしか思えなかった。この2人はどんな関係であっても愛し合ってしまう2人だと思ったから。
神々があの2人を見守るのであれば、自分も同じ見守る側にいよう。それがエリッドの中でランスロットとアレスの運命を見守るという決意になるのであった。
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