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7章
55話「彼女の存在の大きさ」
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アレスが敵の手に落ちた、それは騎士団の中に広がりを見せたが全員がランスロットの事を責めたりする事は無かった。それどころかランスロットの闘志に火が点いた事で士気が上がって編成部隊に我先にと立候補する騎士達が増えている状況であった。
だが、今はアレスの事も大事ではあるがティクス国とエドゥル国との同盟を再構築する為に開かれる話し合いの場にて、先々代の王であり、現王の父親でもあるルーディルとロックの面会が行われる事となっている。その場に騎士団代表としてランスロットの姿もあった。
ロゼットと大臣の運びでルーディルは使者としての役目を果たす為に、エドゥル国王である李麗の親書をロックに差し出す。ロックはこれを受け取り中身を把握すると返答として同盟の再構築に同意する事を示した。
「これにて同盟の話し合いは終わりと致します。ルーディル様、どうかご自身の故郷であるティクスにご帰国は願えませんかな?」
「そうして私の事を望んでくれるのはありがたい。だが、私は今李麗の夫としてエドゥル国の国王となっている。ティクスと同盟を組んだといえそれを覆す事は本意ではない。それに……ロックがこうして皆の支え合って国王として治めている姿を見れただけでも充分安心している」
「お父様……。お1つだけお聞かせ願えませんか?」
「私に答えられる事ならば何でも聞いてくれ」
「ケンベルト兄様の事を見捨てた訳ではないのですよね? お父様はこのティクスを、兄様や私を守る為にエドゥル国の李麗様の元に行かれたのですよね?」
「……だが、ケンベルトには死に際まで王として責務を負わせた愚かな父だ。国を、子を守る為に私の身体1つで出来る事をしたが、結果としてそれは子供達に不幸を味わせた事に繋がった。私はあまりにも愚かな父だと思っているよ」
「そんな事ありません!」
「ロック……」
「お父様の事を兄様はいつも私に「子の事を思うのと同時に国の為にご自身を犠牲にされた尊きお父様だ」とお話して下さっていた。ケンベルト兄様は決してお父様の事を愚かだとかは思っていませんでした!」
ロックは玉座から飛び降りて小走りでルーディルの前まで行くとボフッと抱き着く。小さいながらもその腕には父を求めている少年の力だけが宿っているのをルーディルは感じ取っていた。
ロゼットとランスロットの2人はルーディルはロックに対してだけじゃない、ケンベルトに対しても負い目を感じながら生きて来た事を悟り、使者としてすぐにエドゥル国の李麗に返事を持って行かないといけない事を考えてロックにそっと言葉を掛ける。
「陛下、ルーディル様を行かせて差し上げなくては。同盟が成らねば死者の塔の攻略もままなりません」
「ルーディル様、陛下の事は私達が全力でお支え致します。どうかエドゥル国の国王李麗様に今回のお返事をお伝え下さい」
「ロゼットとランスロットの両名がいれば大丈夫だろう。……ロック、全てが終わったらまた会いに来る。それまでに国王として立派に皆から尊敬される男になりなさい」
「っ、はい……お父様もお元気で」
ルーディルを見送るロックの双眸には涙が浮かんでいたが、決して我儘でルーディルを引き止める事はしなかった。そして、ロゼットと大臣達に付き添われてロックは自室に戻って行く。
ランスロットの脳裏にはケンベルトが幼い頃に父親であるルーディルがいなくなった時の事を、正直な言葉で話していた内容を思い出す。ケンベルトの強さはこの頃から磨かれていたのだろうな、とランスロットは今でも思い出す事が出来た。
『お父様はきっと影ながらこのティクスをお守りしているんだ。だから、俺はその国を王として守り、いつかお父様の自慢になれる国王になってお父様の事をお待ちするんだ』
まだ10歳頃のケンベルトだって王としての素質があったからこそ、早い時期に国王となってこのティクスを導いてきた。だが、その願いは果たされる事も叶わないまま死を迎え、実弟のロックにその願いを託す事になってしまう。
ランスロットは団長室に歩きながらケンベルトの事も思い出していたが、李麗の元で会ったルーディルが使者として訪れる事になろうとはあの時は思いもしなかった。アレスがもしルーディルが使者としてこのティクスに来ていた事を知ったらどう話すだろうか。
そして、気付くのである。ランスロットの中でアレスの存在の大きさに。
「気付けばアレスの事ばかり考えているな……。いつも隣にいるのが当たり前だった分、こうして離れてみると存在の大きさに心が持っていかれる……」
誰もいないのを確認してランスロットは壁に背を預けて1人顔を右手で覆った。まだ45歳にもなったばかりのランスロットは見目も年齢を感じさせない麗しい見た目をしている。
だが、それはアレスという女性が傍にいて初めてその美しさに磨きが掛かりより一層の麗しさを際立たせていたのも事実だ。アレスは23歳の若さでランスロットの婚約者となったが、アレスだってまだ女盛りの美しさを持つ。
その2人が並べばティクスの美男美女の兄妹というだけではなく、騎士団のお似合いの婚約者同士だとも呼ばれている。そのアレスを失った今、ランスロットは殆ど理性だけで身体を動かしている状態でもあった。
こうして、誰もいない場所で身体を、心を休ませる事をしているのも、弱さをこれ以上増やさない為にしている事で。今まではそんなランスロットを守ってきたのはアレスであり、心を癒し、魂を守り、安らぎと温かさを与えてくれていたのはアレスだけだったのだ。
「……」
アレスのあの時の光景が頭から離れない。震える身体を無理矢理動かして馬車に滑り込むのがどれだけ恐怖でランスロットを傷付けるかに怯えているアレスを引き止めれなかった事がランスロットをより一層苦しめている。
自分が代わりに行けばアレスだけでも助けられたのであれば、そう考えるがランスロットを守る為に自分を犠牲にする道を選んだアレスの事をランスロットは責めれない。逆の立場なら同じ決断をきっと自分もしているだろうという確信があったからだ。
ひとまず身体と心の休息を終えたランスロットは普段通りの団長の顔に戻して、団長室に戻って行く。団長室に戻り今後の死者の塔に向かう際の部隊の編成をローレンスと話し合っている時だった。
「失礼します」
「ランスロットさん、今戻りました」
「エリッド達か。ご苦労だったな。ロゼットには?」
「さっき報告を。そして、聞きました。アレスが敵の手に落ちた事も」
「……アレスにその判断をさせたのは間違いなく俺だ」
「でも、これはこれで良かったのかも知れません」
「どういう事だ?」
「闇の眷属達もランスロットさんの肉体を無傷で欲しいからアレスを引き入れた。それが本当であれば、アレスの身体にはそんなに興味を持っていない。つまり、アレスの身の安全はこのティクスにいるより高いと言えます」
レーデアはランスロットにある可能性の話をする為に一冊の本を取り出す。ローレンスやハルウッド、ガルドやロルゾもその本に興味を惹かれて集まってくる。
レーデアが開いたその本からまるで光が溢れ出すかの様な温かな温もりが団長室に広がる。ローレンスが眉を上げて驚きを見せながら本の正体を口にした。
「これは神々の神託書ではありませんか」
「はい。これは私達が2度目の召喚をこのガハランド大陸の神々により受けた際に、神々から渡された書物でございます。これによれば闇の眷属達はあくまでもランスロット様の肉体を手に入れる為にアレス様を人質に取ったと書いてありますが、それ以上にアレス様には神獣様の守護もあって闇の眷属達の手には余っていると書かれております」
「ルトの事だな」
「その神獣がいざって時にランスロットさんとアレスの力を受けて覚醒すれば、破者の王への攻撃も出来ると思うんだ。神々はこの破者の王について俺達に告げたのは、倒すべき闇の王、そして、ガハランド大陸の未来を曇らせる者、として伝えてくれている」
エリッドがそこまで話をしてから真剣な表情でランスロットと向き合う。男として、1人の騎士として、そして何よりもアレスの愛する人間として、ランスロットには知らせなくてはいけない事もあった。
「ランスロットさん。この先貴方は非常に辛い選択肢が残されています。そのどちらかを正確に選んで掴まないと……アレスは2度と貴方の元には戻れないと覚悟して下さい」
「……どういう事か聞いてもいいだろうか?」
「恐らく、この死者の塔での戦いでアレスは御子として力に覚醒すると思われます。そして、全ての戦いが終わった時に神々はアレスを……他の世界へと送り出す可能性があります」
「……」
「こればかりは神々のご意思ですので俺達もどうする事も出来ない。ただ、アレスの力の元は貴方だ。だから、全ての力を引き換えに平和すらも捨ててアレスをこの世界に残すか、それとも平和を取り、全ての力を維持してこのガハランド大陸の未来を守るか、どちらかを選択しなくてはならないと思います」
「ふっ……」
「それはランスロットには愚問だと思うぜエリッド」
「そうですね、ランスロット様には簡単な選択肢です」
「まぁ、長くランスロットと付き合っている俺達には分かり切っている質問だな」
「俺は全ての力と平和を引き替えてでもアレスをこの世界に残す。アレスさえ俺の傍にいればどんな苦労も乗り越えて行けるからな」
あまりにも即答するランスロットとローレンス達の理解の早さにエリッド達は一瞬唖然とする。だが、少ししてそれがこの世界の人々の希望でもある騎士団の姿であるんだと気付き、理解したエリッド達は笑顔を浮かべて頷いた。
ランスロットはアレスを取り戻す為なら平和なんて望まないと断言する。堂々したその言葉に皆がアレスがランスロットを守りたいと思った気持ちが理解出来たと言える。
アレスがこんなにも守りたいと思うランスロットは、アレス以外の存在が自分とアレスを引き裂こうものならそれ相応の報復をする程の男である事を全員知っている。だからこそ、アレスの存在がランスロットをこうも前に向かわせる事をランスロットを知る者達は知るのであった。
「俺の平和というのはアレスが隣で笑ってくれる事が平和の証なんだ。それ以外の平和など俺には必要ない。それが例えこのガハランド大陸の平和と引き替えても、俺にはアレス以外の存在は必要ないんでな」
「ここまでハッキリしてりゃアレスも心配しないだろうな」
「本当に。だからアレス嬢がご自身を犠牲にされても守りたいと思うのでしょう」
「愛されているんですねランスロットさん」
「もう少しアレス以外の事にも視野を広げてくれると部下としては助かるんだがな」
「ですが、そんなランスロット様だから私達も付き従うのですけれどね」
仲間達と共にアレス奪還を目指す。そして、アレスの方でも微かに動きが見られているのはまだランスロット達は知らない――――。
だが、今はアレスの事も大事ではあるがティクス国とエドゥル国との同盟を再構築する為に開かれる話し合いの場にて、先々代の王であり、現王の父親でもあるルーディルとロックの面会が行われる事となっている。その場に騎士団代表としてランスロットの姿もあった。
ロゼットと大臣の運びでルーディルは使者としての役目を果たす為に、エドゥル国王である李麗の親書をロックに差し出す。ロックはこれを受け取り中身を把握すると返答として同盟の再構築に同意する事を示した。
「これにて同盟の話し合いは終わりと致します。ルーディル様、どうかご自身の故郷であるティクスにご帰国は願えませんかな?」
「そうして私の事を望んでくれるのはありがたい。だが、私は今李麗の夫としてエドゥル国の国王となっている。ティクスと同盟を組んだといえそれを覆す事は本意ではない。それに……ロックがこうして皆の支え合って国王として治めている姿を見れただけでも充分安心している」
「お父様……。お1つだけお聞かせ願えませんか?」
「私に答えられる事ならば何でも聞いてくれ」
「ケンベルト兄様の事を見捨てた訳ではないのですよね? お父様はこのティクスを、兄様や私を守る為にエドゥル国の李麗様の元に行かれたのですよね?」
「……だが、ケンベルトには死に際まで王として責務を負わせた愚かな父だ。国を、子を守る為に私の身体1つで出来る事をしたが、結果としてそれは子供達に不幸を味わせた事に繋がった。私はあまりにも愚かな父だと思っているよ」
「そんな事ありません!」
「ロック……」
「お父様の事を兄様はいつも私に「子の事を思うのと同時に国の為にご自身を犠牲にされた尊きお父様だ」とお話して下さっていた。ケンベルト兄様は決してお父様の事を愚かだとかは思っていませんでした!」
ロックは玉座から飛び降りて小走りでルーディルの前まで行くとボフッと抱き着く。小さいながらもその腕には父を求めている少年の力だけが宿っているのをルーディルは感じ取っていた。
ロゼットとランスロットの2人はルーディルはロックに対してだけじゃない、ケンベルトに対しても負い目を感じながら生きて来た事を悟り、使者としてすぐにエドゥル国の李麗に返事を持って行かないといけない事を考えてロックにそっと言葉を掛ける。
「陛下、ルーディル様を行かせて差し上げなくては。同盟が成らねば死者の塔の攻略もままなりません」
「ルーディル様、陛下の事は私達が全力でお支え致します。どうかエドゥル国の国王李麗様に今回のお返事をお伝え下さい」
「ロゼットとランスロットの両名がいれば大丈夫だろう。……ロック、全てが終わったらまた会いに来る。それまでに国王として立派に皆から尊敬される男になりなさい」
「っ、はい……お父様もお元気で」
ルーディルを見送るロックの双眸には涙が浮かんでいたが、決して我儘でルーディルを引き止める事はしなかった。そして、ロゼットと大臣達に付き添われてロックは自室に戻って行く。
ランスロットの脳裏にはケンベルトが幼い頃に父親であるルーディルがいなくなった時の事を、正直な言葉で話していた内容を思い出す。ケンベルトの強さはこの頃から磨かれていたのだろうな、とランスロットは今でも思い出す事が出来た。
『お父様はきっと影ながらこのティクスをお守りしているんだ。だから、俺はその国を王として守り、いつかお父様の自慢になれる国王になってお父様の事をお待ちするんだ』
まだ10歳頃のケンベルトだって王としての素質があったからこそ、早い時期に国王となってこのティクスを導いてきた。だが、その願いは果たされる事も叶わないまま死を迎え、実弟のロックにその願いを託す事になってしまう。
ランスロットは団長室に歩きながらケンベルトの事も思い出していたが、李麗の元で会ったルーディルが使者として訪れる事になろうとはあの時は思いもしなかった。アレスがもしルーディルが使者としてこのティクスに来ていた事を知ったらどう話すだろうか。
そして、気付くのである。ランスロットの中でアレスの存在の大きさに。
「気付けばアレスの事ばかり考えているな……。いつも隣にいるのが当たり前だった分、こうして離れてみると存在の大きさに心が持っていかれる……」
誰もいないのを確認してランスロットは壁に背を預けて1人顔を右手で覆った。まだ45歳にもなったばかりのランスロットは見目も年齢を感じさせない麗しい見た目をしている。
だが、それはアレスという女性が傍にいて初めてその美しさに磨きが掛かりより一層の麗しさを際立たせていたのも事実だ。アレスは23歳の若さでランスロットの婚約者となったが、アレスだってまだ女盛りの美しさを持つ。
その2人が並べばティクスの美男美女の兄妹というだけではなく、騎士団のお似合いの婚約者同士だとも呼ばれている。そのアレスを失った今、ランスロットは殆ど理性だけで身体を動かしている状態でもあった。
こうして、誰もいない場所で身体を、心を休ませる事をしているのも、弱さをこれ以上増やさない為にしている事で。今まではそんなランスロットを守ってきたのはアレスであり、心を癒し、魂を守り、安らぎと温かさを与えてくれていたのはアレスだけだったのだ。
「……」
アレスのあの時の光景が頭から離れない。震える身体を無理矢理動かして馬車に滑り込むのがどれだけ恐怖でランスロットを傷付けるかに怯えているアレスを引き止めれなかった事がランスロットをより一層苦しめている。
自分が代わりに行けばアレスだけでも助けられたのであれば、そう考えるがランスロットを守る為に自分を犠牲にする道を選んだアレスの事をランスロットは責めれない。逆の立場なら同じ決断をきっと自分もしているだろうという確信があったからだ。
ひとまず身体と心の休息を終えたランスロットは普段通りの団長の顔に戻して、団長室に戻って行く。団長室に戻り今後の死者の塔に向かう際の部隊の編成をローレンスと話し合っている時だった。
「失礼します」
「ランスロットさん、今戻りました」
「エリッド達か。ご苦労だったな。ロゼットには?」
「さっき報告を。そして、聞きました。アレスが敵の手に落ちた事も」
「……アレスにその判断をさせたのは間違いなく俺だ」
「でも、これはこれで良かったのかも知れません」
「どういう事だ?」
「闇の眷属達もランスロットさんの肉体を無傷で欲しいからアレスを引き入れた。それが本当であれば、アレスの身体にはそんなに興味を持っていない。つまり、アレスの身の安全はこのティクスにいるより高いと言えます」
レーデアはランスロットにある可能性の話をする為に一冊の本を取り出す。ローレンスやハルウッド、ガルドやロルゾもその本に興味を惹かれて集まってくる。
レーデアが開いたその本からまるで光が溢れ出すかの様な温かな温もりが団長室に広がる。ローレンスが眉を上げて驚きを見せながら本の正体を口にした。
「これは神々の神託書ではありませんか」
「はい。これは私達が2度目の召喚をこのガハランド大陸の神々により受けた際に、神々から渡された書物でございます。これによれば闇の眷属達はあくまでもランスロット様の肉体を手に入れる為にアレス様を人質に取ったと書いてありますが、それ以上にアレス様には神獣様の守護もあって闇の眷属達の手には余っていると書かれております」
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「ランスロットさん。この先貴方は非常に辛い選択肢が残されています。そのどちらかを正確に選んで掴まないと……アレスは2度と貴方の元には戻れないと覚悟して下さい」
「……どういう事か聞いてもいいだろうか?」
「恐らく、この死者の塔での戦いでアレスは御子として力に覚醒すると思われます。そして、全ての戦いが終わった時に神々はアレスを……他の世界へと送り出す可能性があります」
「……」
「こればかりは神々のご意思ですので俺達もどうする事も出来ない。ただ、アレスの力の元は貴方だ。だから、全ての力を引き換えに平和すらも捨ててアレスをこの世界に残すか、それとも平和を取り、全ての力を維持してこのガハランド大陸の未来を守るか、どちらかを選択しなくてはならないと思います」
「ふっ……」
「それはランスロットには愚問だと思うぜエリッド」
「そうですね、ランスロット様には簡単な選択肢です」
「まぁ、長くランスロットと付き合っている俺達には分かり切っている質問だな」
「俺は全ての力と平和を引き替えてでもアレスをこの世界に残す。アレスさえ俺の傍にいればどんな苦労も乗り越えて行けるからな」
あまりにも即答するランスロットとローレンス達の理解の早さにエリッド達は一瞬唖然とする。だが、少ししてそれがこの世界の人々の希望でもある騎士団の姿であるんだと気付き、理解したエリッド達は笑顔を浮かべて頷いた。
ランスロットはアレスを取り戻す為なら平和なんて望まないと断言する。堂々したその言葉に皆がアレスがランスロットを守りたいと思った気持ちが理解出来たと言える。
アレスがこんなにも守りたいと思うランスロットは、アレス以外の存在が自分とアレスを引き裂こうものならそれ相応の報復をする程の男である事を全員知っている。だからこそ、アレスの存在がランスロットをこうも前に向かわせる事をランスロットを知る者達は知るのであった。
「俺の平和というのはアレスが隣で笑ってくれる事が平和の証なんだ。それ以外の平和など俺には必要ない。それが例えこのガハランド大陸の平和と引き替えても、俺にはアレス以外の存在は必要ないんでな」
「ここまでハッキリしてりゃアレスも心配しないだろうな」
「本当に。だからアレス嬢がご自身を犠牲にされても守りたいと思うのでしょう」
「愛されているんですねランスロットさん」
「もう少しアレス以外の事にも視野を広げてくれると部下としては助かるんだがな」
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