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9章
67話「仲間と共に激戦を切り抜ける」
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異界へと降り立ったランスロット達の視界に入ってきたのは……まさしく混沌の世界、と言ってもいいだろう光景であった。ベルベルやミノタウロスの様な魔物達がうじゃうじゃと辺りを普通に徘徊していたり、中には軍隊の様な動きをしている異界の住人達と思われるスケルトンの部隊も見受けられたからだ。
士気が高い騎士達も、この光景には全員が息を飲む。だが、ここまで来たからには引く事は叶わない。
「これだけの光景が目の当たりにすると、流石の士気も低下は免れないか」
「ましてやここは異界。神々の加護も届きにくい世界だからな。騎士達が恐怖に狩られて暴走しない様な統率が必要になる。苦戦は必須だ」
ロゼットと話をしていたランスロットはラインハッドが光を帯びている事に気付く。そして、ラインハッドを引き抜き空高くに掲げると今通ってきた道から無数の光が差し込み異界を照らし始めた。
騎士達は「神々が見守って下さっている!」と声を上げて光を見つめている。これにはランスロットも驚きを隠せなかったが、これが神々なりの支援の形なんだと思いラインハッドを掲げたまま声を上げる。
「行くぞ! 目指すはこの先にある城だ! そこに聖女が囚われている! 助け出すぞ!」
「行くぞ!」
ランスロットの馬を先頭に、ロゼット、ガルド、ハルウッド、エリッド達が順を追って動き出す。騎士達も光に勇気付けられた事で士気も維持したまま魔物達の中を突き進んでいく。
魔物達は自分の範囲内に入らなければ攻撃はしてこないのだろう、目立った攻撃は無かった。それがまた士気を維持させれるだけの効果を持っており、騎士達も慎重ではあったが堂々と進軍していく。
異界の中を進む事数時間。変わり映えしない光景も一気に様子を変える。広がった世界の先にそびえ立つ城と、巨大な塔があった。
城はアレスが言っていた城だろうが、塔の方には見覚えなどない。だが、今は城までの道のりを進むのが先決である。
「あの城からアルディシアのロドを感じる。あそこにアレス様がいますね」
「念の為に魔法陣を彼女の中に生成しておいて助かったわ。あんなデカい城なら魔法陣を追って行ったが最短でアレスの元に辿り着けるもの」
「だが、城の中は魔物で溢れ返っている可能性もあるよ。用心には越したことはないから」
「トールデッドと俺で道を切り開く事が出来ればあとはランスロットさん達がアレスを助けに行ける。俺達は俺達の出来る事をするんだ」
「ロゼット、ハルウッドは部隊の半分の指揮を頼む。ガルドと俺が城の中に踏み込む。エリッド達と共に進めばアレスの元には辿り着く事も早くなりそうだ」
「お気を付けください。相手はランスロット様の肉体を欲しているラオンです。何か仕掛けている可能性もございますので」
「まぁ、お前の瞳が曇らなければ問題は起きないだろうけれどな」
「心に命じておく」
城までの道にはどうも簡単に進める雰囲気は無かった。道の両サイドの土地に音を立てて動く魔獣の姿がそれなりの頭数確認出来ているからだ。
この道以外に城に行く術はないので、魔獣を撃破する以外に進む方法はない。なのでランスロットは先頭にガルドの部隊を添えて、その後に本隊が続き突破する方法を取る事にした。
進軍開始するとガルドの部隊が手前に出て来た魔獣との戦闘に入って攻撃を開始。遅れてアルフォッド、オルベが支援する様に動く部隊の戦闘で魔獣にダメージを与えている。
本隊も遅れて合流して数と力で魔獣を容赦なく切り伏せて行く。最後尾の守りはロゼットが担い、怪我人を受け入れて治療までも担当してくれていた。
1頭、1頭と確実に数を減らしていきながら徐々に城へと近付く中で、予想に反して進軍の早さが上がらない。その理由は新人達の士気が高いせいで命令が届いていない為に、攻撃にムラが出始めているのである。
これにいち早く対応したのがハルウッド。新人達に落ち着く様に声を掛けて自分の指揮下に置いて戦力の安定化を計ったのである。
ハルウッドのフォローが功を奏したのか、戦力のムラが解消されて魔獣のある程度は撃破出来た。徐々に城に続く道を押し開いていくと城の前には1人の男の姿があった。
「ここまで来たのか。余程、自分達の身分と置かれている立場が理解出来ていない様子だな」
「お前は誰だ。ラオンの手先の者か?」
「俺の名はウィンドル。ラオンの親友でお前達をここから先に通さぬようにと命じられた者だ。残念だが、そこの団長以外はお引き取り願おうか」
「言ってくれるな。俺達の力を見くびられている様だが、簡単に俺達は引き下がるつもりはないぜ」
「ランスロットさんだけを求めているのはラオンの復活に必要だからだ。だが、俺達星導きの者達もいるのを忘れてもらっては困るんだけれどな」
「肩慣らし、という訳ではないけれど僕も暴れたいから相手になってもらおうかな」
「お前達の相手はこいつらだよ。……闇に従いし眷属に属する者達。我が主の名の元に汝らをこの地に召喚せん。汝らの力はこの地の主の力となりて、主の敵を食い破る牙を以って敵を殺せ。ダークサモネス!!」
ウィンドルの詠唱が終わると同時に城の左右からと後方から大型の鉄巨人が2体と5つの首を持つドラゴンの姿が現れる。新人騎士達を連れてハルウッドが鉄巨人の1体を担当し、ガルドは5つの首のドラゴン、ロゼットが後方で魔法支援、アルフォッド、オルベはエリッド達と共に鉄巨人の1体を担当し始める。
ランスロットはラインハッドを右手に握ったまま馬から降りて、ウィンドルと対峙する。ウィンドルの額から生えている角は妖しく光を帯びており、何かしらの存在を感じさせていた。
ランスロットはそんなウィンドルの様子を観察しながら、冷静にラインハッドを構える。ウィンドルも腰から細長くて刃先が数か所に分かれている独特の形をした剣を引き抜き構える。
それぞれの激戦が今幕を上げた。まず鉄巨人組のハルウッドが新人達に動きを見極める様に指示を出し、自分が囮となって鉄巨人に攻撃を誘発させていく。
鉄巨人は元々鉄の剣を振り下ろしたり、振り抜いたりした単調な攻撃がメインになる魔物である。だが、追い詰められていくと予期せぬ行動も時々確認されているのでハルウッドがまず手本として鉄巨人の身体に魔法でダメージを蓄積させていく。
新人達も攻撃を冷静に見極めて、微々たる力ではあるが魔法の攻撃をちまちまと鉄巨人に蓄積させていく。これにより鉄巨人の怒りは蓄積されていく……と思われていたが、思っている以上の蓄積が出来てないのか、攻撃パターンが変わらない。
「(何かがおかしい……この鉄巨人の動きの変化が見られないのはどうして……? 魔法が効いていないという事でしょうか)」
ハルウッドが観察しながら鉄巨人を見ているが魔法は確かに新人達のが確実に身体には入っている。だが、一向に鉄巨人の攻撃は変わる気配が見られない。
そして、エリッド達の担当する鉄巨人の方には変化が出始めていた。まるで怒りが最初から蓄積されていたかの様な猛攻に晒されているのである。
アルフォッド、オルベは先頭で鉄巨人の攻撃を誘発しながら動きを確認。エリッド達もそれぞれに鉄巨人と対峙しているが、動きが暴れているせいであまり確定していないのが元で苦戦を強いられている状態であった。
少し離れている位置でその2体の鉄巨人を見ていたロゼットが何かを考える。ハルウッドが担当している鉄巨人は暴れてない、対してエリッド達が担当する鉄巨人は暴れている。
対なる存在、そう思っていたが様子がどうもおかしい。ロゼットが何か突破口はないかと観察していたが、ハルウッドがそれより先に新人達に下がる様に指示を出す。
「少し手荒ではありますが……。神聖なる我が剣に宿りし聖なる天使ダイレイドル。汝の力を私にお貸しください。はぁぁぁぁ!」
神聖剣と呼ばれる親衛騎士のハルウッドが極めた剣技を鉄巨人に与えると、エリッド達が担当していた鉄巨人にダメージが入る。これでロゼットが確信を持って伝令を出した。
「あの2体は”2体ではない、1体が分身の様にして存在している。つまり片方を倒してしまえば残りも倒せる”という事か」
伝令を聞いたハルウッドがなる程、と納得して新人達に総攻撃の許可を出す。エリッド達は自分達の方の鉄巨人からの攻撃を凌げばいいのだと判断して、一斉に回避行動に移行する。
そして、ハルウッド達の鉄巨人への総攻撃は苛烈を極めた。魔法も物理の攻撃も殆どが微々たるダメージしか入らない。
そして、ダメージを受けて怒りを暴発させているエリッド達の鉄巨人は、狂暴さが溢れて攻撃のパターンも読みずらく負傷者も増え始めて来た。長期戦になれば不利なのは人間の自分達である事は全員が分かっている。
「エリッド、このままだと被害が増えます。ここは僕に一手に任せてもらえませんか?」
「……そうだな。トールデッドだけならまだ”可能”だもんな。よし、全員下がれ! トールデッドだけに攻撃を集中させるんだ!」
アルフォッド、オルベはその言葉に少し驚いた顔をするが、エリッドの判断に従ってトールデッドだけに鉄巨人の攻撃を集中させる為に全員が鉄巨人から距離を取り始める。トールデッドだけに集中し始めた攻撃にトールデッドはしっかり回避行動を行いながらカウンターとしてダメージを蓄積させていく。
それが続いていた時、トールデッドの双眸が大きく見開かれて何かを見つけ出す。それは鉄巨人のコア、つまり心臓部分に当たる核になるパーツのある場所である。
「見付けました! これで行ける筈っ……!」
トールデッドの右手に風の力が集まり、旋風の如き動きをして鉄巨人に一撃を加える。その部分にダメージを受けた鉄巨人は最初は暴れていたが、すぐに動きが遅くなり……ガラガラと身体の部分部分から腕や胴体が地面に落ちていく。
同じタイミングでハルウッド達の方の鉄巨人の動きも同じ様に崩れ始めていた。そうトールデッドは分身と聞いて心臓は1つしかないと考え、その部分をずっと攻撃を回避しながら探し出そうとしていたのである。
素手での攻撃をメインに使っているが、元は素早さを活かした攻撃を得意とするシーフ(盗賊)をジョブとして使っていたトールデッドの眼力の前に、心臓部分の核を見抜かれて攻撃を与えられた鉄巨人は敗北したのである。これにより2体だと思われていた鉄巨人はハルウッド達とエリッド達の協力攻撃の果てに撃退。
残るは5本の頭を持つガルド担当のドラゴンが残された。そのガルドは既に5本中4本の頭を切り落としているので余裕だと思われていたが苦戦を強いられている。
何故かと言うと……切り落とした頭が独自に炎や毒ブレスを切り落とされた後も吐き続けている為に、移動場所が限られてしまい、攻撃に時間が掛かっていたのである。それでもガルドのタフさは騎士内の中でもトップクラスに入るしぶとさを誇る。
「これで終わりだぁぁぁぁ!」
ザシュ、と音を立てて最期の1本の頭が切り落とされる。しかし、それで終わりでは無かった。
なんと、切り落とした首全てが再生し、元の5本の状態に戻ってしまったのである。これにはガルドもゲッと顔色を変えた。
「真面目に再生能力あるのは分かっていたが……こうなってくると全体攻撃の方が効率いいのかねぇ……」
ブツブツ言いながら自分の指揮下にある部隊にまた攻撃の再開を命じるが、ガルドには秘策があった。そして、ラインハッドを構えているランスロットの方もジワジワと戦闘開始の緊張感が高まり始めていた。
相手はラオンの親友と名乗っていた。ならば過去のガルディア戦争時の1人なのは分かる。
油断する気はないが、ここで時間を稼がれても迷惑だと言わないばかりにランスロットの気が高まっていく。ウィンドルはそんなランスロットの姿に小さく笑いながら武器を構えているだけだった――――。
士気が高い騎士達も、この光景には全員が息を飲む。だが、ここまで来たからには引く事は叶わない。
「これだけの光景が目の当たりにすると、流石の士気も低下は免れないか」
「ましてやここは異界。神々の加護も届きにくい世界だからな。騎士達が恐怖に狩られて暴走しない様な統率が必要になる。苦戦は必須だ」
ロゼットと話をしていたランスロットはラインハッドが光を帯びている事に気付く。そして、ラインハッドを引き抜き空高くに掲げると今通ってきた道から無数の光が差し込み異界を照らし始めた。
騎士達は「神々が見守って下さっている!」と声を上げて光を見つめている。これにはランスロットも驚きを隠せなかったが、これが神々なりの支援の形なんだと思いラインハッドを掲げたまま声を上げる。
「行くぞ! 目指すはこの先にある城だ! そこに聖女が囚われている! 助け出すぞ!」
「行くぞ!」
ランスロットの馬を先頭に、ロゼット、ガルド、ハルウッド、エリッド達が順を追って動き出す。騎士達も光に勇気付けられた事で士気も維持したまま魔物達の中を突き進んでいく。
魔物達は自分の範囲内に入らなければ攻撃はしてこないのだろう、目立った攻撃は無かった。それがまた士気を維持させれるだけの効果を持っており、騎士達も慎重ではあったが堂々と進軍していく。
異界の中を進む事数時間。変わり映えしない光景も一気に様子を変える。広がった世界の先にそびえ立つ城と、巨大な塔があった。
城はアレスが言っていた城だろうが、塔の方には見覚えなどない。だが、今は城までの道のりを進むのが先決である。
「あの城からアルディシアのロドを感じる。あそこにアレス様がいますね」
「念の為に魔法陣を彼女の中に生成しておいて助かったわ。あんなデカい城なら魔法陣を追って行ったが最短でアレスの元に辿り着けるもの」
「だが、城の中は魔物で溢れ返っている可能性もあるよ。用心には越したことはないから」
「トールデッドと俺で道を切り開く事が出来ればあとはランスロットさん達がアレスを助けに行ける。俺達は俺達の出来る事をするんだ」
「ロゼット、ハルウッドは部隊の半分の指揮を頼む。ガルドと俺が城の中に踏み込む。エリッド達と共に進めばアレスの元には辿り着く事も早くなりそうだ」
「お気を付けください。相手はランスロット様の肉体を欲しているラオンです。何か仕掛けている可能性もございますので」
「まぁ、お前の瞳が曇らなければ問題は起きないだろうけれどな」
「心に命じておく」
城までの道にはどうも簡単に進める雰囲気は無かった。道の両サイドの土地に音を立てて動く魔獣の姿がそれなりの頭数確認出来ているからだ。
この道以外に城に行く術はないので、魔獣を撃破する以外に進む方法はない。なのでランスロットは先頭にガルドの部隊を添えて、その後に本隊が続き突破する方法を取る事にした。
進軍開始するとガルドの部隊が手前に出て来た魔獣との戦闘に入って攻撃を開始。遅れてアルフォッド、オルベが支援する様に動く部隊の戦闘で魔獣にダメージを与えている。
本隊も遅れて合流して数と力で魔獣を容赦なく切り伏せて行く。最後尾の守りはロゼットが担い、怪我人を受け入れて治療までも担当してくれていた。
1頭、1頭と確実に数を減らしていきながら徐々に城へと近付く中で、予想に反して進軍の早さが上がらない。その理由は新人達の士気が高いせいで命令が届いていない為に、攻撃にムラが出始めているのである。
これにいち早く対応したのがハルウッド。新人達に落ち着く様に声を掛けて自分の指揮下に置いて戦力の安定化を計ったのである。
ハルウッドのフォローが功を奏したのか、戦力のムラが解消されて魔獣のある程度は撃破出来た。徐々に城に続く道を押し開いていくと城の前には1人の男の姿があった。
「ここまで来たのか。余程、自分達の身分と置かれている立場が理解出来ていない様子だな」
「お前は誰だ。ラオンの手先の者か?」
「俺の名はウィンドル。ラオンの親友でお前達をここから先に通さぬようにと命じられた者だ。残念だが、そこの団長以外はお引き取り願おうか」
「言ってくれるな。俺達の力を見くびられている様だが、簡単に俺達は引き下がるつもりはないぜ」
「ランスロットさんだけを求めているのはラオンの復活に必要だからだ。だが、俺達星導きの者達もいるのを忘れてもらっては困るんだけれどな」
「肩慣らし、という訳ではないけれど僕も暴れたいから相手になってもらおうかな」
「お前達の相手はこいつらだよ。……闇に従いし眷属に属する者達。我が主の名の元に汝らをこの地に召喚せん。汝らの力はこの地の主の力となりて、主の敵を食い破る牙を以って敵を殺せ。ダークサモネス!!」
ウィンドルの詠唱が終わると同時に城の左右からと後方から大型の鉄巨人が2体と5つの首を持つドラゴンの姿が現れる。新人騎士達を連れてハルウッドが鉄巨人の1体を担当し、ガルドは5つの首のドラゴン、ロゼットが後方で魔法支援、アルフォッド、オルベはエリッド達と共に鉄巨人の1体を担当し始める。
ランスロットはラインハッドを右手に握ったまま馬から降りて、ウィンドルと対峙する。ウィンドルの額から生えている角は妖しく光を帯びており、何かしらの存在を感じさせていた。
ランスロットはそんなウィンドルの様子を観察しながら、冷静にラインハッドを構える。ウィンドルも腰から細長くて刃先が数か所に分かれている独特の形をした剣を引き抜き構える。
それぞれの激戦が今幕を上げた。まず鉄巨人組のハルウッドが新人達に動きを見極める様に指示を出し、自分が囮となって鉄巨人に攻撃を誘発させていく。
鉄巨人は元々鉄の剣を振り下ろしたり、振り抜いたりした単調な攻撃がメインになる魔物である。だが、追い詰められていくと予期せぬ行動も時々確認されているのでハルウッドがまず手本として鉄巨人の身体に魔法でダメージを蓄積させていく。
新人達も攻撃を冷静に見極めて、微々たる力ではあるが魔法の攻撃をちまちまと鉄巨人に蓄積させていく。これにより鉄巨人の怒りは蓄積されていく……と思われていたが、思っている以上の蓄積が出来てないのか、攻撃パターンが変わらない。
「(何かがおかしい……この鉄巨人の動きの変化が見られないのはどうして……? 魔法が効いていないという事でしょうか)」
ハルウッドが観察しながら鉄巨人を見ているが魔法は確かに新人達のが確実に身体には入っている。だが、一向に鉄巨人の攻撃は変わる気配が見られない。
そして、エリッド達の担当する鉄巨人の方には変化が出始めていた。まるで怒りが最初から蓄積されていたかの様な猛攻に晒されているのである。
アルフォッド、オルベは先頭で鉄巨人の攻撃を誘発しながら動きを確認。エリッド達もそれぞれに鉄巨人と対峙しているが、動きが暴れているせいであまり確定していないのが元で苦戦を強いられている状態であった。
少し離れている位置でその2体の鉄巨人を見ていたロゼットが何かを考える。ハルウッドが担当している鉄巨人は暴れてない、対してエリッド達が担当する鉄巨人は暴れている。
対なる存在、そう思っていたが様子がどうもおかしい。ロゼットが何か突破口はないかと観察していたが、ハルウッドがそれより先に新人達に下がる様に指示を出す。
「少し手荒ではありますが……。神聖なる我が剣に宿りし聖なる天使ダイレイドル。汝の力を私にお貸しください。はぁぁぁぁ!」
神聖剣と呼ばれる親衛騎士のハルウッドが極めた剣技を鉄巨人に与えると、エリッド達が担当していた鉄巨人にダメージが入る。これでロゼットが確信を持って伝令を出した。
「あの2体は”2体ではない、1体が分身の様にして存在している。つまり片方を倒してしまえば残りも倒せる”という事か」
伝令を聞いたハルウッドがなる程、と納得して新人達に総攻撃の許可を出す。エリッド達は自分達の方の鉄巨人からの攻撃を凌げばいいのだと判断して、一斉に回避行動に移行する。
そして、ハルウッド達の鉄巨人への総攻撃は苛烈を極めた。魔法も物理の攻撃も殆どが微々たるダメージしか入らない。
そして、ダメージを受けて怒りを暴発させているエリッド達の鉄巨人は、狂暴さが溢れて攻撃のパターンも読みずらく負傷者も増え始めて来た。長期戦になれば不利なのは人間の自分達である事は全員が分かっている。
「エリッド、このままだと被害が増えます。ここは僕に一手に任せてもらえませんか?」
「……そうだな。トールデッドだけならまだ”可能”だもんな。よし、全員下がれ! トールデッドだけに攻撃を集中させるんだ!」
アルフォッド、オルベはその言葉に少し驚いた顔をするが、エリッドの判断に従ってトールデッドだけに鉄巨人の攻撃を集中させる為に全員が鉄巨人から距離を取り始める。トールデッドだけに集中し始めた攻撃にトールデッドはしっかり回避行動を行いながらカウンターとしてダメージを蓄積させていく。
それが続いていた時、トールデッドの双眸が大きく見開かれて何かを見つけ出す。それは鉄巨人のコア、つまり心臓部分に当たる核になるパーツのある場所である。
「見付けました! これで行ける筈っ……!」
トールデッドの右手に風の力が集まり、旋風の如き動きをして鉄巨人に一撃を加える。その部分にダメージを受けた鉄巨人は最初は暴れていたが、すぐに動きが遅くなり……ガラガラと身体の部分部分から腕や胴体が地面に落ちていく。
同じタイミングでハルウッド達の方の鉄巨人の動きも同じ様に崩れ始めていた。そうトールデッドは分身と聞いて心臓は1つしかないと考え、その部分をずっと攻撃を回避しながら探し出そうとしていたのである。
素手での攻撃をメインに使っているが、元は素早さを活かした攻撃を得意とするシーフ(盗賊)をジョブとして使っていたトールデッドの眼力の前に、心臓部分の核を見抜かれて攻撃を与えられた鉄巨人は敗北したのである。これにより2体だと思われていた鉄巨人はハルウッド達とエリッド達の協力攻撃の果てに撃退。
残るは5本の頭を持つガルド担当のドラゴンが残された。そのガルドは既に5本中4本の頭を切り落としているので余裕だと思われていたが苦戦を強いられている。
何故かと言うと……切り落とした頭が独自に炎や毒ブレスを切り落とされた後も吐き続けている為に、移動場所が限られてしまい、攻撃に時間が掛かっていたのである。それでもガルドのタフさは騎士内の中でもトップクラスに入るしぶとさを誇る。
「これで終わりだぁぁぁぁ!」
ザシュ、と音を立てて最期の1本の頭が切り落とされる。しかし、それで終わりでは無かった。
なんと、切り落とした首全てが再生し、元の5本の状態に戻ってしまったのである。これにはガルドもゲッと顔色を変えた。
「真面目に再生能力あるのは分かっていたが……こうなってくると全体攻撃の方が効率いいのかねぇ……」
ブツブツ言いながら自分の指揮下にある部隊にまた攻撃の再開を命じるが、ガルドには秘策があった。そして、ラインハッドを構えているランスロットの方もジワジワと戦闘開始の緊張感が高まり始めていた。
相手はラオンの親友と名乗っていた。ならば過去のガルディア戦争時の1人なのは分かる。
油断する気はないが、ここで時間を稼がれても迷惑だと言わないばかりにランスロットの気が高まっていく。ウィンドルはそんなランスロットの姿に小さく笑いながら武器を構えているだけだった――――。
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