私の恋人は異母兄で聖騎士団団長の凄い人

影葉 柚希

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10章

81話「ティクス国の存在」

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 ランスロットの元には未だにラオンとの攻防戦が続いている為に定期報告が上がってる。その報告を聞いていたランスロットの元に不思議な報告が上がっていた。
 この戦いの場に近付く一団がいるとの報告を受けたのである。それの一団に対して何か不思議な印象を受けたランスロットはロルゾ達に調査を命じる事にした。
「それじゃその近付いている一団を調べてくればいいんだな?」
「そうだ。敵ではないとは思うが……念の為に接触をして真意を調べてもらいたい。場合によっては実力行使も厭わないとしておこう」
「しかし、今の状況下で一団といえど接近してくる事は稀。何か考えているのだと思ってもいいかもしれませんね」
「ローレンスがいないって事は今、星を見ているんだろ? それで分かるんじゃないのか?」
「ロゼットの用件で離れているんだローレンスは。星を見ているのもロゼットの用件での事でな。ロゼットとルーディル様の部隊がそろそろ前線から引き上げてくるのも兼ねて、動きを読んでいる筈だ」
「失礼します。おや、私のお話でしょうか」
「噂をしたらローレンス本人の登場だ。俺が行くから何か分かったら知らせる」
 ロルゾがテントから出て行くとローレンスは首を傾げながらランスロットの元にロゼットとルーディルの部隊についての報告をする。それが終わってからランスロットがロルゾに接近中の一団についての調査を命じた事を伝えると納得された。
 ロルゾは馬を走らせて数人の騎士達と共に一団が見える位置にまで辿り着いていた。そして、その一団の旗が見覚えのある旗である事に気付く。
「あれは……カナディルダの国の旗じゃねぇか。どうしてカナディルダの一団がこんな場所に来ているんだ??」
「どうします? こちらから接触しますか?」
「一団の真意を知らないと危ないしな。警戒したまま接近して接触するぞ。くれぐれも分かりやすい警戒をするなー」
 ロルゾは馬を走らせてカナディルダの一団に近付く。相手もロルゾ達に気付いたのか進軍を止めて使者を出して来た。
 使者はロルゾ達に戦闘する意思はない事を伝えて、一団のリーダーが話をしたいとの内容の連絡をしてくるので、ロルゾ達は一団のリーダーと会う事にした。一団の中に招かれて驚いたのは精鋭部隊の手勢が揃っている事だった。
「初めてお目に掛かります。私はカナディルダの騎士団の騎士団長ガルベルドと申します」
「俺はティクス聖騎士団所属の風読み師ロルゾだ。どうしてカナディルダの騎士団がこんな手勢を引いて来ているか伺いたい」
「それは、ティクス国の援軍として参りました。我が国だけではありません。ティールズとアベリオ国も援軍を派遣すると言われています」
「おいおい、それはいきなり過ぎないか。今までお前さん達の近隣諸国は援軍出す事もしないで自国防衛に戦力を割いていたじゃないか」
「それがですね……各国のマリージュ達に神託が下されたのです。その神託に各国の王達が一斉に援軍として騎士団の派遣を命じられた、そう私達は聞いています」
「神々の怒りに触れた、とでもいう事か。それじゃあんた達は援軍として俺達の元に来てくれたんだな?」
「はい。この手勢でどこまでお力になれるかは分かりませんが、全力を尽くしたいと思います」
「なら、おい! ランスロットの元に誰かこの事を知らせに行ってくれ。俺は彼らを連れて本陣に戻る」
「分かりました!」
 ロルゾは一緒に来た騎士の1人に命じてランスロットの元に行かせた。カナディルダの騎士団と言えば団長として在籍している人間の腕前は確か、ランスロットとそう大差はないと風の噂で聞いているのをロルゾは思い出す。
 そして、ティクスと違いカナディルダの騎士団は魔法を一切使わない分の力を剣技に掛けている、それがあるいから純粋に剣で実力を持つ者しか入団は出来ないとも言われている厳しい騎士団でもある事を思い出す。ロルゾはカナディルダの騎士団の団長と名乗ったガルベルドにランスロットとの試合をさせたらどちらが勝つのか、少し見てみたい気もするのだった。
――――
「それじゃカナディルダの騎士団が援軍として来ているというのか?」
「あぁ、ロルゾが今ここに案内しているそうだ。だが、神々の神託がどのような神託だったのかは分からないが、それによって援軍が得れるのはかなり今の状況ではありがたいな」
「お前が純血の天使を呼び出す儀式の準備も間もなく整う。タイミングが揃い始めていると言ってもいいだろう」
「これも神々のご加護があるからだろう。それで例の件はどうなっているんだ?」
「ラオンの手の者達だろう存在はまだ確認されてない。フィン殿を狙ってくるのは隙を突いてくる時だろう。気を抜く事は出来ないがな」
 ロゼットがルーディルの部隊とラオンの部隊を牽制している間に調べてくれていたフィン暗殺部隊の警戒をしていたが、ランスロットはまだタイミングが来ていないのだと悟る。そこにフィンとアレスが姿を見せる、ルーディルも同行していた。
「ランスロット、少しいいですか?」
「どうされましたかお婆様」
「ルーディル様の部隊とロゼット様の部隊の騎士達の治療に行ってもいいでしょうか。瘴気に当たった負傷者の治療に」
「私も同行したいの。お願いランスロット」
「私も同行してお2人の身をお守りしよう」
「そう言えば負傷者の数も段々と上がってきているな……一度体勢を整えるべきかもしれん」
「ルーディル様、ロゼット、アレスとお婆様の事を頼む。俺は儀式の準備がそろそろ整う事もあって本陣から離れる事が出来ない」
「分かった。任せておけ」
「ありがとうございますランスロット」
「行ってきます」
 ルーディル・フィン・アレス・ロゼットがテントから出て治療の為に前線に向かったのを見届けると、ランスロットは援軍を出す国の情報を思い出す。今ロルゾが連れて来ているカナディルダの騎士団はティクスから東にある平均的な大きさ程の国。
 それとは別のティールズ国はティクスの南にあるこちらも平均的な大きさの国で、騎士団の殆どが魔法騎士である事が有名な国でもある。そして、アベリオ国……こちらはティクス国の北部にある国の中でもティクスより大きな大国でもある。
 そして、種族を問わない騎士団を所有する国でもあり、実力者が揃っているとも聞いている。その3国が援軍を出す程に神託の内容が気にはなるが、ランスロットは今は援軍が来るのを待っている暇はない。
 純血の天使達を呼び出す儀式の準備がもう間もなく整う。それが整い次第、アレスとフィンから受け取った光の力を使って純血の天使を天上界から降臨させる事になる。
「ご報告致します。儀式の準備が完了致しました。いつでも行けます」
「ありがとう。それじゃすぐに儀式を執り行う。周囲の警備を強めてくれ」
「はっ!」
 ランスロットはラインハッドの柄を撫でてからテントを出て、儀式の神具が並べられた場所に赴く。周囲の警戒にはローレンス・ハルウッド・ガルドがしっかり固めている事もあってランスロットはかなり集中して儀式に挑める。
 神具の並ぶ中央に立ったランスロットはラインハッドを引き抜き、顔の前に立てて瞳を伏せる。そして、祈りを捧げて降臨の儀式に使う言葉を祈りと共に捧げる。
「我が力は神々の力。この身体に流れし血は天使の血。神の申し子として我は願う。この邪悪なる大地を光で照らし、そして、この大地に命を巡らせん光を放つ者。汝らの存在を我はここに召喚し力を乞う。エンジェル・ブラッド・サモン!」
 ラインハッドが光を浴びて輝きを満たしていくと同時に空へと1筋の光が放たれる。そして、漆黒の雲に覆われていた空から無数の光の筋が地上に降り注ぐ。
 その光の中から背中に純白の羽根を持つ天使達が降臨していく。これにはラオンも瞳を細めて口元を歪ませる。
 これだけの天使を降臨させられれば闇の瘴気は殆ど意味を成さなくなる。それが結果としてラオンの部隊を弱体化させる事に繋がるのをラオンは知っている。
 そして、天使達は空中から光を大地に注ぎ闇の瘴気を中和しながら浄化していく。その光に当たった負傷した騎士達の穢れも浄化されていく。
「これが純血の天使達の力……温かいね」
「俺達の光まで回復させてくれている。やっぱりランスロットさんは神の選んだ申し子だよ」
「それだけじゃないわ。ロドの使用によるリーズの浄化も行われて、術者達の回復も行われている。あぁ、生き返る……」
「神々がランスロット様やアレス様をお認めになったのは、その根本に「優しき心」があるからだと思っていましたが……実力もあるという事なのでしょう」
 エリッド達も天使達の力によって身体の中にある光の力が回復していくのを感じ取る。少なくとも、今のエリッド達だとラオンの部隊は撃破は無理であった。
 闇の瘴気が思っていた以上にエリッド達の身体を蝕んで、光の力を奪い続けていたのもあって本領発揮出来なかったのである。それが今では光の力に満ちた身体であれば撃破も行けると言えそうである。
 儀式は成功し、フィンとアレスの周囲にも天使達が舞い降りてフィンに言葉を掛ける天使も多くいた。それがアレスには嬉しかった……大好きな祖母が忘れられている訳ではないと分かったから。
「フィン、貴女の子供?」
「彼女は孫よ。私の産んだ子の子供なの。聖女としてこの戦いに挑んでいるのよ」
「聖女って事は神々の声が聞こえるのね。それじゃ私達の力は彼女の事を守る力になるかしら?」
「え、皆様はお力をお貸し下さるのですか??」
「フィンの血を引く者は私達の仲間でもある。例えフィンが天上界に戻らなくても、私達はフィンの血を継ぐ貴女に力を化すの自然な事よ」
「アレス、彼女達の力をお借りなさい。そして、ランスロットの事を支えていくのです」
「はい、お婆様。皆様、不束者ではありますが、お力をお貸し下さい」
 アレスが深く頭を下げると天使達はアレスの両手に触れてそっと微笑む。その触れた手からアレスの体内に力が流れ込んでいくのが分かった。
 光とはまた違う優しい力。それは天使が持つ優しき力。
 アレスのお腹に宿っている子供も、この力を受け継いでいる事をアレスは心から願った。神々はいつだってランスロットとアレスの事を愛し続けているのだろう――――。
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