87 / 107
11章
86話「緊急事態の騎士団」
しおりを挟む
それは急に持ち上がった出来事であった。アベリオ国が同盟を組む代わりに騎士団に数個の自軍の騎士達を見習いに入れてほしい、と進言してきた。
これに対してロックは自分だけの判断では返答し兼ねると時間を稼いだ事もあって、ランスロットの耳に入るまでには色々な手が回されている状況になっていた。アベリオ国が何故に今になって騎士団の中に自分達の騎士を入れたがるのか? それは安易に考えとして挙がるのは掌握する為にスパイを忍ばせる為である。
ランスロットの出立も間近に迫っている時にこの自体の問題が持ち上がった事もあり、騎士団の状態は緊急事態となっていた。だが、ランスロットの判断はアッサリとしていた。
「それでは受け入れる、という事でよろしいのですか?」
「ハルウッドには負担を掛けてしまうが、カセルと協力してこの事案をいい方向に導いて欲しい。まぁ、カセルとハルウッドの両名がいれば俺も安心して出立出来るんだけれどな」
「しかし、アベリオ国が何故に今頃騎士団を任命してきたのか、そこら辺が怪しいとは思います。そちらの調査も私にお任せ下さりますか?」
「あぁ、頼む。俺はロルゾ達の準備が整い次第出立の意思を陛下にお伝えしてくるつもりだ」
「ランスロット様のお戻りまで必ずティクス聖騎士団の治安は守り抜いてみせます」
「頼むよ」
ハルウッドの言葉にランスロットは深く感謝をする。そして、騎士団の指揮権はハルウッドとカセルの両名に譲渡される為の手続きも始まる。
そして、その頃から他のティールズ国とカナディルダ国も動きを見せていた。だが、この2国は明らか様にアベリオ国を警戒している動きだとローレンスから聞かされる。
ランスロットの元にカナディルダ国の騎士団長であるガルベルドが訪れて自国の国王からの密書を差し出してきた。ランスロットの手に渡される密書に書かれているのはアベリオ国の本来の狙いをである内容であった。
「つまりアベリオ国の狙いは聖なる武器、という事ですか」
「我々は元々聖なる武器には然程興味はありませんが、アベリオ国の場合はその国からして聖なる武器の存在は喉から手が出る程に欲しています。その為に聖なる武器の居場所を知りたいが為に騎士団に自国の騎士達を入れさせよ、と進言したのかと思われます」
「そこまでして聖なる武器の力が欲しいのだろうか。元々、あれは神々が認めた国と持ち手にしか使えない武器だとは聞いているのですが」
「その力が問題なのでしょう。私達の様に剣だけで生きる騎士達と違って魔法騎士を有する国には聖なる力の加護は強大でもあります。ティクス国にあるのを脅威と感じている証でもありますね」
「それにおいてはカナディルダ国の国王は何とお考えなのですか? 同盟を組むにあたって神託が下されたから同盟に応じたと聞いていますが?」
「我が国王はお恥ずかしながら政治には強くもなく、軍事力にも疎い愚かの国王でございます。カナディルダ国の事実的な実権は私達騎士団にあります。なので、今回の神託が~の流れではありますが、私個人がティクスに味方するべきだと判断したまででございます」
ガルベルドはそこまで言ってゴールド色の髪の毛を揺らして笑う。このガルベルドは本当にランスロットの事を信頼しているが故にこんなに暴露話をしてくれる。
アベリオ国の狙いが分かったランスロットの判断は早かった。ハルウッド、カセルの両名にアベリオ国の狙いを伝えて、騎士団らしく厳重に騎士団の実力を見せ付ける様に指示を出したのである。
聖なる武器の力はあくまで国の全体に及ぶことであり、騎士団の実力は各個人の個の力が集まった証拠として成り立っている事を示す事を決めたのである。そして、ハルウッドとカセルはその意思を一番に理解してくれているので、後は任せて大丈夫だと判断する。
ガルベルドはランスロットの判断は素晴らしいと告げて、そして、ランスロットの出立について聞いていたのだろう、こんな提案をしてきた。まさに助けになる存在とはこの事を告げる。
「ランスロット様のご出立、私もご同伴してもよろしいか?」
「ガルベルド殿が? しかし、それではカナディルダ国の同盟の意味がないのでは?」
「先程も申し上げた通り、私の母国にて実権があるのは私の判断です。そして、ティクスの同盟にはランスロット様のご存在も重要な意味を持ちます。ならばその御身をお守りするのも同盟の中では必要だと判断したまでですよ」
「生きて帰れる保証はありませんよ?」
「それもまたいいではありませんか。相手は異世界の魔王でしたな? 私達の剣でどこまで通用するかは分かりませんが、お力になれればこれ幸いと申します」
「……そのお言葉をしっかり受け止めて、その申し出お受けしましょう」
「ありがたい! 共に異世界の魔王を滅ぼしてやりましょうぞ!」
「はい」
ランスロットとガルベルドは固い握手を交わす。そして、ロルゾ達の準備が整う前にガーベルからランスロット宛てに呼び出しが入る。
団長室からガーベルが指定してきた保管庫に向かうと保管庫の扉から眩い光が漏れ始めているのをランスロットは気付く。何かが起きているのを感じ取ったランスロットは扉をゆっくり開けて保管庫の中を見つめる。
光が保管庫の中を満たしていたがランスロットが入ってくると光は次第に落ち着きを見せ始める。ガーベルがランスロットを見て頭を下げて挨拶してくるのでランスロットはガーベルの隣に立って光の発生源……聖なる武器の方に視線を向ける。
「これは?」
「聖なる武器が人型になろうとしているのです。私が調べた限り、聖なる武器が人型の姿を取るのはガハランド大陸に危機が訪れている時だと分かっています。つまり、そういう事なのです」
「バルキットがその危機の元であるのは否めないな。ならばその危機的状況を聖なる武器たちは察してくれて、人型になって力を貸そうとしてくれているという訳か」
「既に5つの聖なる武器の内、エドゥル国の武器以外はこの人型になろうとしている傾向が見られています。出立前にはランスロット様の前に現れる事になるかと思います」
「そうならばかなり助かるな。そうじゃなくてもカナディルダ国のガルベルド殿までお力をお貸し下さるとの事で少数じゃなくなりつつあるのだが」
「それもランスロット様のご人望が成せた事でございます。それと、ロゼット様とお話していたのですが……。天上界の事はフィン様のご協力を得て、保身の神を暫く抑え込む事を考えています」
「そんな事が可能なのか?」
「その神の信仰をすればいいのです。そして、巫女としてのマリージュを探し出して祈りを捧げさせて、落ち着かせる事を試そうかと思っています」
「それならば可能か。色々と負担を掛けてしまうが、頼む」
「はい。それが大臣になっている私の仕事です」
ガーベルはそこまで言って滅多に笑わないのに、今日は微笑みを浮かべてランスロットに答える。聖なる武器の4つの光が落ち着くと光は保管庫から飛び出して市外へと飛んでいったのを物見兵が確認していた。
ランスロットの出立まで1週間を数える程になってからティクス国内も次第に落ち着きを見せ始める。騎士団の鉄壁な防御を以って市民達の安全を確立しているのもあって、市民達の中から騎士団に色々な情報もだが、物資の支援も入り始める。
そして、アベリオ国の狙いでもある聖なる武器の居場所もガーベルの提案で保管庫から移動させる。例の地下通路の空間に移動させて、冒険者達の協力を借りて鉄壁の守りを敷いた。
これでアベリオ国の騎士団がティクス城内を密かに調べてもガーベルとロゼット、ロック以外で知っているのは誰もいない。そして、冒険者達も口が固いしアベリオ国の騎士団の事を信用していないのもあって当面は大丈夫だろうとランスロットの心は安心を覚えていた。
屋敷に戻ってきたランスロットはフィンと一緒にアレスの妊婦のケアをする為に、執事達の手を借りてあっさり目のドリンクやスープを用意する。アレスの為なら慣れない料理も頑張ろうとするランスロットにフィンも執事達も微笑ましく見守った。
「アレス、いいか?」
「ん……はぁい、どうぞ……」
「今日は体調が悪いってお婆様から聞いて、これを作ってきた。食べれるだけ食べてくれればいい」
「あ……ありがとう。丁度何かしら胃に入れておきたかったの。あっ、これハーブティー?」
「あぁ、ドリンクはハーブティーとかなら悪阻もあまり悪化しないだろうとお婆様が。ハーブの種類にも気を使ってみた」
「嬉しい……飲んでいい?」
「ゆっくりでいいからな?」
「うん」
ベッドに横になっていたアレスをサイドテーブルに持ってきた食事を置いて起き上がるのを支える。起き上がったアレスのお腹はそれなりにふっくらとしていて、赤ん坊の成長を感じさせる。
ランスロットが持ってきたハーブティーを両手を使ってカップを包み込むと、静かに飲むアレスはハーブティーの優しい香りと口当たりのお陰で吐き気も感じる事もなく、すんなりと飲めた。その様子を隣に座って見守っていたランスロットがホッと一息吐き出す。
ハーブティーを半分まで飲み干したアレスは、一息付く。そして、隣に座るランスロットを見上げて微笑みを浮かべる。
「ランスロットが最終決戦に行っている間に私も母親となる為の勉強、頑張るね?」
「無理だけはするなよ? お婆様のサポートもあるんだ、1人じゃない」
「そうだとしても、私も親になる為の心構えは必要だと思うの。だって、大好きなランスロットがもしかしたら帰ってこないなんてなったら……私は1人でお腹の子供と共に生きていく覚悟を決めないといけない。その覚悟もする必要あるんだよ?」
「そうだな……。だが、信じて待っててくれればいい。その信じてくれる力が、心が、俺の光の力になって必ずアレスの元に帰ってくる事を約束させてくれる」
「うん。私は聖女としても、騎士としても、ランスロットがどれだけ強いかを知っている。そして、どんなに真面目で、どんなに約束を破らない人間かも知っている。だから、信じて待っている。このお腹の子供とお婆様と一緒に」
アレスの身体を抱き締めてランスロットは微笑みを浮かべる。そして、静かに思うのだ……アレスの祈りさえあればどんな闇の底にいたとしても必ず光ある場所に戻れるんだろうと――――。
これに対してロックは自分だけの判断では返答し兼ねると時間を稼いだ事もあって、ランスロットの耳に入るまでには色々な手が回されている状況になっていた。アベリオ国が何故に今になって騎士団の中に自分達の騎士を入れたがるのか? それは安易に考えとして挙がるのは掌握する為にスパイを忍ばせる為である。
ランスロットの出立も間近に迫っている時にこの自体の問題が持ち上がった事もあり、騎士団の状態は緊急事態となっていた。だが、ランスロットの判断はアッサリとしていた。
「それでは受け入れる、という事でよろしいのですか?」
「ハルウッドには負担を掛けてしまうが、カセルと協力してこの事案をいい方向に導いて欲しい。まぁ、カセルとハルウッドの両名がいれば俺も安心して出立出来るんだけれどな」
「しかし、アベリオ国が何故に今頃騎士団を任命してきたのか、そこら辺が怪しいとは思います。そちらの調査も私にお任せ下さりますか?」
「あぁ、頼む。俺はロルゾ達の準備が整い次第出立の意思を陛下にお伝えしてくるつもりだ」
「ランスロット様のお戻りまで必ずティクス聖騎士団の治安は守り抜いてみせます」
「頼むよ」
ハルウッドの言葉にランスロットは深く感謝をする。そして、騎士団の指揮権はハルウッドとカセルの両名に譲渡される為の手続きも始まる。
そして、その頃から他のティールズ国とカナディルダ国も動きを見せていた。だが、この2国は明らか様にアベリオ国を警戒している動きだとローレンスから聞かされる。
ランスロットの元にカナディルダ国の騎士団長であるガルベルドが訪れて自国の国王からの密書を差し出してきた。ランスロットの手に渡される密書に書かれているのはアベリオ国の本来の狙いをである内容であった。
「つまりアベリオ国の狙いは聖なる武器、という事ですか」
「我々は元々聖なる武器には然程興味はありませんが、アベリオ国の場合はその国からして聖なる武器の存在は喉から手が出る程に欲しています。その為に聖なる武器の居場所を知りたいが為に騎士団に自国の騎士達を入れさせよ、と進言したのかと思われます」
「そこまでして聖なる武器の力が欲しいのだろうか。元々、あれは神々が認めた国と持ち手にしか使えない武器だとは聞いているのですが」
「その力が問題なのでしょう。私達の様に剣だけで生きる騎士達と違って魔法騎士を有する国には聖なる力の加護は強大でもあります。ティクス国にあるのを脅威と感じている証でもありますね」
「それにおいてはカナディルダ国の国王は何とお考えなのですか? 同盟を組むにあたって神託が下されたから同盟に応じたと聞いていますが?」
「我が国王はお恥ずかしながら政治には強くもなく、軍事力にも疎い愚かの国王でございます。カナディルダ国の事実的な実権は私達騎士団にあります。なので、今回の神託が~の流れではありますが、私個人がティクスに味方するべきだと判断したまででございます」
ガルベルドはそこまで言ってゴールド色の髪の毛を揺らして笑う。このガルベルドは本当にランスロットの事を信頼しているが故にこんなに暴露話をしてくれる。
アベリオ国の狙いが分かったランスロットの判断は早かった。ハルウッド、カセルの両名にアベリオ国の狙いを伝えて、騎士団らしく厳重に騎士団の実力を見せ付ける様に指示を出したのである。
聖なる武器の力はあくまで国の全体に及ぶことであり、騎士団の実力は各個人の個の力が集まった証拠として成り立っている事を示す事を決めたのである。そして、ハルウッドとカセルはその意思を一番に理解してくれているので、後は任せて大丈夫だと判断する。
ガルベルドはランスロットの判断は素晴らしいと告げて、そして、ランスロットの出立について聞いていたのだろう、こんな提案をしてきた。まさに助けになる存在とはこの事を告げる。
「ランスロット様のご出立、私もご同伴してもよろしいか?」
「ガルベルド殿が? しかし、それではカナディルダ国の同盟の意味がないのでは?」
「先程も申し上げた通り、私の母国にて実権があるのは私の判断です。そして、ティクスの同盟にはランスロット様のご存在も重要な意味を持ちます。ならばその御身をお守りするのも同盟の中では必要だと判断したまでですよ」
「生きて帰れる保証はありませんよ?」
「それもまたいいではありませんか。相手は異世界の魔王でしたな? 私達の剣でどこまで通用するかは分かりませんが、お力になれればこれ幸いと申します」
「……そのお言葉をしっかり受け止めて、その申し出お受けしましょう」
「ありがたい! 共に異世界の魔王を滅ぼしてやりましょうぞ!」
「はい」
ランスロットとガルベルドは固い握手を交わす。そして、ロルゾ達の準備が整う前にガーベルからランスロット宛てに呼び出しが入る。
団長室からガーベルが指定してきた保管庫に向かうと保管庫の扉から眩い光が漏れ始めているのをランスロットは気付く。何かが起きているのを感じ取ったランスロットは扉をゆっくり開けて保管庫の中を見つめる。
光が保管庫の中を満たしていたがランスロットが入ってくると光は次第に落ち着きを見せ始める。ガーベルがランスロットを見て頭を下げて挨拶してくるのでランスロットはガーベルの隣に立って光の発生源……聖なる武器の方に視線を向ける。
「これは?」
「聖なる武器が人型になろうとしているのです。私が調べた限り、聖なる武器が人型の姿を取るのはガハランド大陸に危機が訪れている時だと分かっています。つまり、そういう事なのです」
「バルキットがその危機の元であるのは否めないな。ならばその危機的状況を聖なる武器たちは察してくれて、人型になって力を貸そうとしてくれているという訳か」
「既に5つの聖なる武器の内、エドゥル国の武器以外はこの人型になろうとしている傾向が見られています。出立前にはランスロット様の前に現れる事になるかと思います」
「そうならばかなり助かるな。そうじゃなくてもカナディルダ国のガルベルド殿までお力をお貸し下さるとの事で少数じゃなくなりつつあるのだが」
「それもランスロット様のご人望が成せた事でございます。それと、ロゼット様とお話していたのですが……。天上界の事はフィン様のご協力を得て、保身の神を暫く抑え込む事を考えています」
「そんな事が可能なのか?」
「その神の信仰をすればいいのです。そして、巫女としてのマリージュを探し出して祈りを捧げさせて、落ち着かせる事を試そうかと思っています」
「それならば可能か。色々と負担を掛けてしまうが、頼む」
「はい。それが大臣になっている私の仕事です」
ガーベルはそこまで言って滅多に笑わないのに、今日は微笑みを浮かべてランスロットに答える。聖なる武器の4つの光が落ち着くと光は保管庫から飛び出して市外へと飛んでいったのを物見兵が確認していた。
ランスロットの出立まで1週間を数える程になってからティクス国内も次第に落ち着きを見せ始める。騎士団の鉄壁な防御を以って市民達の安全を確立しているのもあって、市民達の中から騎士団に色々な情報もだが、物資の支援も入り始める。
そして、アベリオ国の狙いでもある聖なる武器の居場所もガーベルの提案で保管庫から移動させる。例の地下通路の空間に移動させて、冒険者達の協力を借りて鉄壁の守りを敷いた。
これでアベリオ国の騎士団がティクス城内を密かに調べてもガーベルとロゼット、ロック以外で知っているのは誰もいない。そして、冒険者達も口が固いしアベリオ国の騎士団の事を信用していないのもあって当面は大丈夫だろうとランスロットの心は安心を覚えていた。
屋敷に戻ってきたランスロットはフィンと一緒にアレスの妊婦のケアをする為に、執事達の手を借りてあっさり目のドリンクやスープを用意する。アレスの為なら慣れない料理も頑張ろうとするランスロットにフィンも執事達も微笑ましく見守った。
「アレス、いいか?」
「ん……はぁい、どうぞ……」
「今日は体調が悪いってお婆様から聞いて、これを作ってきた。食べれるだけ食べてくれればいい」
「あ……ありがとう。丁度何かしら胃に入れておきたかったの。あっ、これハーブティー?」
「あぁ、ドリンクはハーブティーとかなら悪阻もあまり悪化しないだろうとお婆様が。ハーブの種類にも気を使ってみた」
「嬉しい……飲んでいい?」
「ゆっくりでいいからな?」
「うん」
ベッドに横になっていたアレスをサイドテーブルに持ってきた食事を置いて起き上がるのを支える。起き上がったアレスのお腹はそれなりにふっくらとしていて、赤ん坊の成長を感じさせる。
ランスロットが持ってきたハーブティーを両手を使ってカップを包み込むと、静かに飲むアレスはハーブティーの優しい香りと口当たりのお陰で吐き気も感じる事もなく、すんなりと飲めた。その様子を隣に座って見守っていたランスロットがホッと一息吐き出す。
ハーブティーを半分まで飲み干したアレスは、一息付く。そして、隣に座るランスロットを見上げて微笑みを浮かべる。
「ランスロットが最終決戦に行っている間に私も母親となる為の勉強、頑張るね?」
「無理だけはするなよ? お婆様のサポートもあるんだ、1人じゃない」
「そうだとしても、私も親になる為の心構えは必要だと思うの。だって、大好きなランスロットがもしかしたら帰ってこないなんてなったら……私は1人でお腹の子供と共に生きていく覚悟を決めないといけない。その覚悟もする必要あるんだよ?」
「そうだな……。だが、信じて待っててくれればいい。その信じてくれる力が、心が、俺の光の力になって必ずアレスの元に帰ってくる事を約束させてくれる」
「うん。私は聖女としても、騎士としても、ランスロットがどれだけ強いかを知っている。そして、どんなに真面目で、どんなに約束を破らない人間かも知っている。だから、信じて待っている。このお腹の子供とお婆様と一緒に」
アレスの身体を抱き締めてランスロットは微笑みを浮かべる。そして、静かに思うのだ……アレスの祈りさえあればどんな闇の底にいたとしても必ず光ある場所に戻れるんだろうと――――。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
敗戦国の姫は、敵国将軍に掠奪される
clayclay
恋愛
架空の国アルバ国は、ブリタニア国に侵略され、国は壊滅状態となる。
状況を打破するため、アルバ国王は娘のソフィアに、ブリタニア国使者への「接待」を命じたが……。
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
触手エイリアンの交配実験〜研究者、被験体になる〜
桜井ベアトリクス
恋愛
異星で触手エイリアンを研究する科学者アヴァ。 唯一観察できていなかったのは、彼らの交配儀式。
上司の制止を振り切り、禁断の儀式を覗き見たアヴァは―― 交わる触手に、抑えきれない欲望を覚える。
「私も……私も交配したい」
太く長い触手が、体の奥深くまで侵入してくる。 研究者が、快楽の実験体になる夜。
【完結・おまけ追加】期間限定の妻は夫にとろっとろに蕩けさせられて大変困惑しております
紬あおい
恋愛
病弱な妹リリスの代わりに嫁いだミルゼは、夫のラディアスと期間限定の夫婦となる。
二年後にはリリスと交代しなければならない。
そんなミルゼを閨で蕩かすラディアス。
普段も優しい良き夫に困惑を隠せないミルゼだった…
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
彼の巨大な体に覆われ、満たされ、貪られた——一晩中
桜井ベアトリクス
恋愛
妹を救出するため、一ヶ月かけて死の山脈を越え、影の沼地を泳ぎ、マンティコアとポーカー勝負までした私、ローズ。
やっと辿り着いた先で見たのは——フェイ王の膝の上で甘える妹の姿。
「助けなんていらないわよ?」
は?
しかも運命の光が私と巨漢戦士マキシマスの間で光って、「お前は俺のものだ」宣言。
「片手だけなら……」そう妥協したのに、ワイン一杯で理性が飛んだ。
彼の心臓の音を聞いた瞬間、私から飛びついて、その夜、彼のベッドで戦士のものになった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる