私の恋人は異母兄で聖騎士団団長の凄い人

影葉 柚希

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12章

93話「対決!最後の敵」

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 バルキットのロドを吸収する為の攻撃法を用いていたランスロット達、宝具の器に段々とロドが溜まっていくのを確認しながら確実にロドを完全体から奪い取っていく。そのロドを濃縮していく宝具がパンパンになったのと同時にランスロットのロドが宝具に光を込めていく。
 爆弾と貸す宝具を右手に持ってランスロットはバルキットの胴体部分から離れていく。空一杯覆っている上体に目掛けて宝具を飛ばすと、着弾すると宝具からロドとランスロットが込めた光が爆発をし始めて上体にダメージが入って行く。
『小癪な……この上体をその様な方法で攻撃してくるとは。だが、この程度のダメージなどアリの攻撃の様なものよ』
「大したダメージが入っていないが、それでも宝具に込めた光の力の効果でダメージの継続的効果はある筈だ。今の内に近付くぞ」
 ランスロットとガルドが先行して胴体から顔に向かって走っていく。アルボリス達は胴体を引き続き攻撃する為に胴体側に残って攻撃を続けていく。
 ガルドの魔法剣がロドの吸収を行っている間にランスロットはラインハッドに光を纏わせていく。それをバルキットの視線が捕らえていたので右腕が2人へと襲い掛かっていく。
 バルキットの怒りを感じながらも右腕の攻撃を回避しつつ、ガルドとランスロットは顔へと向かっていく為に走り続けていく。エリッドとトールデッドがダメージを受け過ぎて地面に伏せてしまい、ガルベルドがパリィを続けているが段々とダメージが蓄積しており、動きが鈍くなってきている。
「一撃がきついから結構こっちにもダメージがデカいな……」
「このままだと全滅する可能性もある……最悪短期決戦だな」
「そうなっちまうと真面目に俺が盾役するからランスロットは挑めるか?」
「そうするしかないな。ガルド、無理だけはするな」
「お前を生かす為なら無理でもするさ。それが親衛騎士としての役目だからな」
 ガルドは剣を構えてバルキットの攻撃をパリィし始める準備を整える。ランスロットはガルドの後ろを走りながらバルキットの顔にまで近寄る為に距離を計る。
 2人がバルキットの攻撃を集中的に浴び始めるとアルボリス達はエリッド達の回復に向かう。ロルゾが騎士達に魔物の討伐が終わってる者達から治癒班の編成をし始めていく。
 全体的なロルゾの指示の元で再編成した騎士達が回復に回ってくれているのもあって、全体的の回復速度が上がっていく。騎士達のサポートを受けてエリッド達も回復すると攻撃に備えて体勢を整えていく。
 ガルドがパリィしながら攻撃を受けているとランスロットを行かせるタイミングを見極めていた。バルキットの攻撃が一時的に途切れた瞬間にガルドがランスロットに叫ぶ。
「行け!」
「すまない!」
「お前だけでも行ければ……ぐっ!」
「目指すは顔! 急がなくては……!」
 ランスロットの焦りが徐々に大きくなっていく。ガルドだって無尽蔵な体力の持ち主ではない。
 時間が掛かればそれだけ全滅の可能性を高めていく事に繋がっていく。そうなってしまうならば1人でターゲットを絞らせればまだ回復に人手を割けるのも事実だ。
 顔の付近までやってきたランスロットの存在をバルキットの瞳が捕らえる。バルキットの全貌は見た限り肩までの黒い髪を揺らし、鋭い目付きを限界にまで吊り上げて、口元は歪に歪み、身体全体は筋肉が盛り上がり一撃が大地を破壊せん程であった。
「バルキット!」
『来るがいい! お前の肉体を私の物にする為にもお前に絶望を与えていく! 魂を食らい尽してやる!」
「俺は、俺達は決して絶望に飲まれたとしても負けない! 俺達の希望の光は俺達自身の中にあるんだからな!」
 ラインハッドに光を纏わせて構えるランスロット、対して巨体を活かしての攻撃を繰り出すバルキットはお互いの攻撃を相殺する勢いで大地が裂け目を生み出す。それと同時にガルドの身体を宙に浮かせて裂け目がパックリと大口を開けて待ち侘びている。
 だが、ランスロットにもそれを気にする余裕はない。ガルドは剣を壁に突き刺して落下を阻止して、エリッド達により助けてもらうと地上に上がってバルキットを見上げる。
「あの巨体の攻撃をランスロットはよく相殺するな……俺でも無理だぞ」
「光が強いからだと思います。じゃないとあの闇の力を相殺するなんて相当に負担が行くだろうと思いますから」
「それでも凄いですな。ランスロット様はあの巨体の相手に怯みすら見せないのですから」
「ランスロットは元々聖騎士団の団長としてティクスに戻ってきたが、それまでは流浪の旅をしていたっていうし、腕前は確かにあるんだとは思うんだよな」
「ランスロットさんと1回、試合してみたいです。どんなに強いんだろう?」
 ガルド達が話し合っている間にロルゾが騎士達をまとめあげてガルド達を迎えに来る。そして、ガルドの体力消耗率を確認して治癒騎士達がガルドを回復させていく。
 その頃のランスロットとバルキットの戦いは熾烈を極めていた。お互いの攻撃が相殺し合って中々のダメージが出ないし入らないのである。
 だが、それだとしてもランスロットとバルキットの両者は決して攻撃の手を緩めたりはしない。それどころか戦いは激しくなっていき、大地はだんだんと裂け目が増えていきまともな大地が無くなり始めていた。
「俺達も一時的に入口付近まで下がるぞ。このままだと足場が悪くなって足手まといになってちまう」
「ランスロットとバルキットの戦いには俺達はもうこれ以上何もする事は出来ないしな。祈りを捧げて光の力を強める事をするだけしか無いか」
「それでも、少しでもランスロットさんの力になれるのであれば祈りを捧げます。それが力の元になるんですから」
「とりあえず一旦避難しましょう。ここでダメージを受ける訳にはいきませんので」
「ガルドさん、僕の肩に捕まって下さい。足場が悪いから体力がまともに回復してない身体だときついと思いますから」
「悪いな。それじゃ頼む」
 トールデッドに肩を借りて避難をするガルドを中心に、騎士達も避難を始める。大地が引き裂かれて割れ目だらけになっていくのを避けながら高台の場所にある入口付近まで下がっていく。
 ランスロットは背中にある羽根を動かして空中に浮かんで、それで大地に足を取られる事もなく攻撃に専念していたがそれでもバルキットの攻撃も強力ではあった。そんな両者の周囲にはリーズが大量に発生しており、騎士達が次第に中和作業に取り掛かるのをロルゾは確認している。
「リーズの発生がヤバイな……。中和作業に人手が足りなくなっちまう」
「この子達を使ってみて!」
「なんだその白い小動物は?」
「ルピルピって言ってリーズを食べてくれる魔法動物です。この子達が異界には大量に発生しているのでこの子達の餌にリーズを与えましょう」
『ルーンルンル♪』
「ルピルピ、このリーズを沢山食べてくれるかい?」
「まだ沢山いる。連れてくる」
 アルボリス達が大量のルピルピを連れて来てリーズを食べさせている場所から離れていた部分では小さい状態のルピルピがまだまだわんさか発生していた。何故にこんなにも異界にルピルピがいるのかは定かではないが、この存在が少なくともランスロット達にとって敵対している訳ではないので助かっているのも事実である。
 ルピルピがリーズを物凄い勢いで食べ始めると辺りのリーズが段々と薄まって、中和作業に取り掛かっていた騎士達も他の作業に取り掛かる事が出来る様になっていた。ランスロットの魔法が生み出す光がどうやらルピルピが大量発生している原因なのでは? と思っていたのはガルドとトールデッドがそんな会話をしていた。
「ルピルピは魔法生物だと聞きますけれど、どうして異界に大量にいるんでしょうか?」
「ランスロットの魔法がそんな効果をもたらす可能性もあるんじゃないか? そして、それは光の効果が出ていると思うんだよな」
「光の魔法にそんな効果があるんですか? 僕は風の魔法を専門にしているからよくは理解していないんですけれど」
「光の中でも上位の魔法には他の生物に治癒効果等を付与する効果も認められている。だから、ランスロットの魔法が使えば使う程にルピルピを増殖させている可能性も否定出来ないんだ」
「それじゃランスロットさんの魔法が使われればルピルピも増殖する、って事ですよね?」
「あぁ、だからこそリーズが大量に発生しているとルピルピは大量に集まるのも自然の節理だって事だ」
 トールデッドの肩を借りてしっかりと歩きながらガルドはそう話をする。だが、ガルドの中には些かの不安もあるのはあったのである。
 光の魔法を使うのは仕方ない、それが闇の力を相殺する為でもあり、そして、同時にバルキットの力を削る為の力になるのは充分に理解が出来る。だが、それによって問題が生じる事もあるのだ。
 それを考えるとガルドは少々ランスロットの事を心配する事しか出来ないのが悔しいのだが。トールデッドがそんなガルドに気付き首を傾げて見つめる。
「トールデッド達は聞いた事ないか? 魔法の使用率が高過ぎると副作用が出るって話を」
「いえ……あくまで僕達は頼り過ぎない様にとは言われていますから」
「そうなのか、なら1つ教えておいてやろう。このガハランド大陸には魔法の副作用ってのがあるが、その副作用が少し珍しいと言うか……特殊なんだ」
「特殊なんですか? それは聞いてもいいでしょうか?」
「……肉体が若返ってしまうんだよ。魔法の使い過ぎによるリーズが大量に発生するせいによるリーズ中毒の影響で身体が強制的に若返ってしまう」
「えっ、それって……ある意味嬉しい副作用ですよね?」
「あぁ、だからこの世界の魔導士達が若い様に見えるのはその副作用のお陰とも言われているんだ。ローレンスがあの歳であの肉体を持っているのはそのせいだろうよ」
「なんだろう、羨ましいです」
 トールデッドの言葉にガルドは苦笑を浮かべながら羨ましがるトールデッドを見つめる。だが、トールデッドがそこまでいう程に年齢を重ねているようには見えない若さの肌をしているし、肉体も若い筈だ。
 それを羨ましいというのは少々本心が言っているのだろうかと考えてしまう。だが、そんな事を考えられるだけの落ち着きを取り戻しつつある別部隊だからだろうとガルドは冷静な思考の片隅で理解はしているのであった――――。
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