私の恋人は異母兄で聖騎士団団長の凄い人

影葉 柚希

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12章

99話「凱旋パレード」

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 ティクスの市民達による意見書を読んでいたロックは市民達が今一番に求めている事について色々と対応を取っていく為に、準備を行っていく。大臣達を始めとする臣下の人々に手助けしてもらいながらもロックは着々と王としての経験を積んでいくのであった。
 そのロックからロゼットと大臣達に指示が届く、それは聖騎士団の凱旋パレードの準備を行う内容であった。市民達はガハランド大陸に光が満ちたのは聖騎士団と同盟国の存在のお陰だと意見書に書かれていた事を含めてパレードの提案をロックが各方面にしていたのである。
「陛下のお心遣いをランスロットも無下には出来ないだろうな。よし、パレードでの守備隊を編成出来るかハルウッドとカセル?」
「そう言う事でしたら騎士達も喜んで編成に入るかと思います。それに、戦いに赴いた騎士達の話を聞いた残っていた騎士達もランスロット様の武勇伝を聞いて大興奮しておりましたから」
「俺もそのパレードに参加する者達を歓迎してあげたいですね。リディルの話では戻ってきた騎士達は皆が皆、生還出来た事に涙を流している者達もいたと聞きましたので、盛大に祝ってやるべきかと」
「異界で死ぬ可能性も高かったが、ランスロットが自分で戦う事を選択したからこそ騎士達もそんなに危険な目に遭わなかったと聞く。だからこそ、遠征に行った騎士達はランスロットを称えてやってほしいという意見が出たのはそう言う事か」
「ランスロット様のご人望もさる事ながら、元々がお優しい方なのでどうしても騎士達を生かして返す為にご自身で戦う事をお望みになられたのではないかなと思います」
「本当、ロゼット様の後釜だと言われていた頃からだいぶ成長されたとは思いますよ。あの頃から既に10年も経過しているのですから」
 カセルが10年前の話をし始めるとロゼットもそんな事もあったな、と思い出す事になる。ハルウッドとカセルがパレードの準備に取り掛かってくれている間にロックからのパレードの事をランスロットに知らせる為の準備に取り掛かる。
 騎士団の凱旋パレードにはまだ滞在しているカナディルダ国の騎士団も参列してもらう様に手配を取る。カナディルダ国の騎士団の存在もあったからこそ、生還出来た可能性も高いとランスロットに報告を受けていた事もあって招待する事にしたのである。
「アベリオ国は既に退国したし、ティールズ国はロック陛下が既に招待していると聞く。カナディルダ国の騎士団にはロック陛下から褒美の授与式も考えていると聞いているので、その準備もしておかないといけないな」
「ロゼット様」
「ローレンスか。何かあったか?」
「いえ、実はランスロット様からこちらの手紙を届けてくれと頼まれました」
「手紙? 何が書かれているのだろうか」
「恐らくご息女とご子息のお披露目についてではありませんかな?」
「まだ早いだろう? まだ産まれて1か月も経っていないのでは?」
「早い内に見せておかないと、これから多忙期に入りますからお披露目が出来ないと考えられたようです」
 ローレンスがそう言ってロゼットにランスロットからの手紙を差し出す。封を開封して中身を取り出して読み始めるとイシュタル・パーシヴァルとの名前が決まった事と、お披露目に関してロゼットに段取りを任せたいという内容であった。
 イシュタルとパーシヴァルという名前に微笑みを浮かべるロゼットにローレンスもキョトンとしてしまう。ロゼットはローレンスに2人の子供の名を聞かせると納得して頷く。
「それにしてもパレードとは陛下もお考えになりましたね」
「あぁ、だが、それだけに市民達の希望があったのだろうと思われる」
「市民達は聖騎士団の事を誇りに思ってくれているのだと分かると、ランスロット様達も嬉しい限りでしょう」
「俺の代では中々出来なかったスラム街の改善にも取り組んでいた。それがこうして市民達から慕われる騎士団に成長したのが大きい功績だとも言える。ローレンス、パレードの日取りを占っておいてくれ」
「御意」
 ローレンスとロゼットはそう話をしてパレードの準備に取り掛かるのだった。そして、凱旋パレードの当日を迎えると朝からカナディルダ国の騎士団と遠征に行っていた騎士達は、着飾った馬に騎乗し列を整えて先頭にランスロット、ガルベルド、エリッド、トールデッドが並んでパレードの始まりを告げる。
「これより凱旋パレードを執り行う。いいか、今回俺達が帰ってきた事を市民が歓迎してくれている事だけは忘れない様に。市民達の為に行われるパレードでもあるからこそ、俺達は正々堂々とパレードをするのを忘れるな」
 ランスロットの言葉に騎士達は全員が背をしっかり伸ばして馬を歩かせ始める。そして、城門を抜けた一団は市民達が待っている市内の中を2列になってパレードをし始める。
 先頭をランスロットが先導して歩くと市民達はフラワーシャワーの様に花びらを騎士達に振り散らかす。それを騎士達は手を振りながらパレードをしているとガルベルドがランスロットに馬を寄せて微笑みを浮かべる。
「こんなに温かい市民からの歓迎や帰還の祝いなど数年以上味わえなかった出来事でございます」
「カナディルダ国の騎士団は市民とは?」
「然程、交流はありません。国王が国王なだけに騎士団も日頃は冷静に任務に忠実なだけで……。ですが、このティクス国の市民との交流を経て色々と考える部分があります」
「何か打開策でもお考えになられましたか?」
「国王の存在は本当に必要か考えております。そして、今カナディルダ国の主たる決断力を持つのは騎士団と一部の大臣達のみで。ですので大臣達を説得して国の再構築をしようかと考えております」
「かなり大掛かりの方法を取るのですね。ですが、本当に国を思うのであれば必要な事ですね」
「ランスロット様のお陰でございますよ。私の決断を促したのはランスロット様のお姿を見たからです」
 ガルベルドはそこまで話をして前を真っ直ぐに向けながら静かに微笑みを深める。ランスロットのお陰だというが本人であるランスロットには全然心当たりはないのだが。
 そして、パレードは市内の中の中心地に通り掛かると子供達が騎士達に手を振って帰還を祝う。その途中でアルフォッド達が私服姿で市民達の安全を守っているのをランスロットは確認していたが、アルフォッド達はランスロット達に一礼して警備に戻って行く。
「アルフォッド達は私服でも警備に専念してくれていたんだな……。あとでお礼を言わなくてはならないだろう」
「ランスロット、あそこにハルウッドとカセルが招待したアレスの育ての家族がいるぞ」
「……招待してくれたのか。あの方々を騎士団の団長室に招いてくれ。話をしたい」
「だろうと思ってカセルの妻であるリディルが声を掛けてくれているそうだ」
「仕事が早いんだよなぁ、カセルもだがリディルの行動力も」
「いいじゃないか、それだけ仕事が出来る人間だという事で」
 ランスロットはロルゾとガルドの言葉に微笑みを浮かべて馬の背を撫でると、アレスの育ての親達に一礼する。ルルとカレル、ロロはそのランスロットを見届けて団長室に向かってティクス王城に歩いて行く。
 パレードは次第に終わりへと近付いていくと市民達は最終的な祝いの準備をしていた。城門の手前で騎士団の警備の騎士達が市民達と共に待っているのが見えた。
 馬を止めてランスロット達は待っていた市民達から何かを送られる。なんだろうかと思ったが、それはティクスの一部の地域でしか咲かないと言われている花を使った花束と花飾りであった。
「ランスロット様、本当にガハランド大陸をお救いしてもらい感謝しております。市民一同、心より感謝しております」
「ランスロット様! これお婆ちゃんのお手製のブーケです! アレス様のお誕生日のプレゼントはお屋敷に贈りますね!」
「ありがとうございます。皆さんが信じてくれたから戦いに勝てたんですよ。私達からもお礼を申し上げたい」
「ランスロット様、貴方様がこのティクスの英雄ですよ!」
「ランスロット様の事を今後は英雄騎士団長様とお呼びしましょう!」
 ワイワイと賑やかな市民達と会話を楽しんだランスロット達は城の中に入って行く。そして、騎士達は馬から降りて市民達の安全を守る為の任務に戻って行く。
 ガルベルド達は明日には帰国する為の出発準備の為に別れて、エリッド達も神々のお告げを聞く為に教会に行くと言うので別れた。そして、ロルゾ達と共に団長室に戻ったランスロットはルル達と対面していた。
「お久しぶりでございますランスロット様」
「ご無沙汰しております。この度は団長室にまでお越しいただき感謝致します。実はアレスが出産したのをお知らせしていなかったと思いまして」
「おぉ、それは誠でありますか。アレスが子を産めましたか」
「アレスちゃんが子供を? それは頑張りましたね。ルル、良かったわね」
「良かった……彼女が愛する人の子供を授かった事も、無事に出産できた事も、きっと神様が導いて下さったのですね」
「あと屋敷に来てもらえませんか? アレスに会ってもらいたいので」
「私達が会ってもよろしいのですか?」
「是非会いに来てください。アレスも心から喜びます」
「アナタ、お言葉に甘えて会いに行かせてもらいましょう? ルルも行きますよね?」
「はいっ」
 こうしてアレスの育ての家族が屋敷に来る事が決まったので、アレス宛てに使いを出して知らせておく。アレスはその使いを受けて家族が来てくれる事に嬉しさからフィンに育ての家族の事を話す。
 フィンもアレスの過去をその時に初めて聞いて、驚きはしたものの、それでもアレスがこんなにも素直で純粋な子に育ったのは家族のお陰だったのだと分かって、感謝をしたいなと告げるとアレスも微笑みを浮かべて喜んだ。
 家族との再会を果たす事になるアレスと初めての孫を抱き上げてあやしているフィンは、少しソワソワしながら家族の到着を心待ちにしながら屋敷の中で静かに待っていた。そして、ランスロットが家族を連れて帰宅するのが分かった時にアレスは誰よりも微笑んでいたと後々フィンがランスロットに話したのは言うまでもなかった――――。
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