令嬢は恋に堕ちて、メイドは涙で濡れる  【R18】 アンソロジー

やまたろう

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深窓の令嬢と秘密の画家 〜狂った王と囚われた王女〜

11)狂人の愛と狂信者*

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 オフィーリアが失踪した直後に正式な申出書がラフェルト伯爵邸に届いた、届け人がその場で内容を読み上げて、私が確認した事を立会人が見届けた。

 かなり正式な手順を踏んだ申出にその場で異議を唱える訳にもいかず、長年計画した事が水泡に帰して立腹したが、オフィーリアを取り戻すまでの間、代わりの女を捕まえて遊ぶ事にした。

 以前、下街を歩いていた時に偶然リアに似た女を見かけた、軽く調べてみると女好きのラミーレ男爵がメイドに手をつけて生まれた娘と分かった、男爵の庶子だが認知はされていない。

 ラミーレ男爵は母の弟で僕達の叔父に当たるが、絶縁状態で僕達は会った事すら無かった。

 リリアは従姉妹だからリアと容姿が似ているのも頷ける。

 職場を転々として行方知れずだったリリアをギルドに依頼して捕まえた。

 リリアの瞳は新緑だが髪の色は茶色だ、リアに似せる為に茶髪を短く刈ってプラチナブロンドのカツラを被せると、遠目にはオフィーリア本人に見えた。

 妹と似た外見の彼女を僕がオフィーリアとして扱うと、面白い事に使用人達は妹が戻ってきたと勘違いした。

 面倒事になるのを避ける為に使用人を遠ざけ、食事や入浴などリリアの世話は全て僕が行った。

 傍目には病弱の妹を献身的に支える兄に見えたらしく、邸の皆がリリアをリアだと信じ込んだ。

 リリアという良い素材を手に入れた僕は遊びに力が入り、本物のリアとやりたくて我慢していた事をリリア相手に実行した。

 まず最初はリリアの全身を洗った、湯浴みを覗いていた僕がリアにやりたかった事の一つだ。

 そして昏睡薬の作用が切れる頃に媚薬入りの水を飲ませて、理性が飛びトロトロに蕩けたリリアを抱いた。

 あの時はリアを抱いている錯覚に酔いしれて精が尽きるまで抱いた、リリアが僕を欲しがる様子も良かった。

 辿々たどたどしく話せるが悲鳴をあげる事は出来ない、ゆっくり這う事は出来るが立ち上がる事は出来ない、半分意識はあるが理性は半分もない。

 父親に試していた昏睡薬を絶妙の加減で配合して毎朝リリアに飲ませた、そして薬が切れる夜には媚薬を与えてリリアと遊んだ。

 今夜の遊びは眠っているリリアの寝室に忍び込み、彼女を起こさずに挿入出来るか試す事だ。

 単なる遊びで彼女が起きても起きなくても関係ない、僕がスリリングを楽しむだけで最後までする事に変わりはない。

 夜着を脱がせて裸にすると秘部を舐めた、いつもは媚薬の効果で前戯をしなくてもリリアの蕾みは濡れているが、眠っている今は媚薬を飲んでいない、唾液を塗して舌と指で愛撫した。

「ん、うぅっ、ぁ、っ、あっ、あ?」

「起こしてごめん、寝ている間に可愛がってたんだ、ほら柔らかくなってるだろ?」

 指でリリアの良い所をグイッと刺激してやると、リリアの身体がビクビクッと跳ねる。

 その夜は媚薬なしでリリアと愛し合った、僕が腰を打ち付ける度に嬌声をあげるリリアが可愛い。

 次第に僕はリリアとのごっこ遊びに夢中になって行った、リリアも嫌がるどころか喜んでいる様に見えた、それで僕は歩けないが立つ事はできる位に薬の量を減らした。

「リア、今日はピクニックに行こう」

 リリアを車椅子に乗せて伯爵邸の庭園をゆっくりと見せて回る、邸に来てから彼女が部屋から出るのはこれが初めてだった、とても喜んでリアと同じ新緑の瞳を輝かせている。

「き、れ、い………お、に、い、さ、ま」

 彼女にはリアと同じく僕をお兄様と呼ばせている。

 いつもは前開きの寝衣を着ているが流石にそれで外には出られない、リリアにドレスを着せるのは難しく今日は町娘風の服を着せてみた。

 ゆっくりと庭園を巡って邸裏の小さな丘へ向かう、そこは大樹が繁って人目につきにくい場所だった。

 僕はその場所にピクニックシートを広げてリリアを車椅子から抱き上げ移動させた。

 二人で簡単なランチを済ませるとメインの遊びを始める、リリアを押し倒してスカートの裾から手を入れ、すべすべの太腿を撫でてスカートをへそ上迄たくし上げた、恥ずかしいのかリリアが抵抗する。

「み、ちゃ、や、そ、と、だ、め」

 むっちりとした太腿と白いレースの下着、盛り上がる恥丘が可愛くて下着の上から撫でる、小さなレースに隠された秘部を太陽の下に晒して愛し合う、それを考えるだけで興奮する。

「大丈夫だ、誰も見てない」

「や、や、だ、め」

 リリアの下着は既に濡れていた、媚薬の影響か毎日抱いているからか彼女は感度が良くて少しの刺激でもすぐに濡れる。

「リアも興奮してるだろ、ここ濡れてる」

 レースの下着をゆっくり下げると蜜壺から垂れる蜜が糸を引く、僕は溢れ出る蜜をじゅるじゅると吸って蕾みを舐めた。

「ふっ、う、だ、め、や、なの、あっ、やっ」

 可愛く抵抗するリリアだが、既に軽くイッたのか内腿がぷるぷると震えている

「蜜を溢れさせたリアが悪い、吸い取るだけじゃ駄目だ穴に栓をするぞ」

 僕はズボンの前立てを外して男性器を解放した、リアが欲しくてそそり勃つソレを蜜壺の中へ突き入れて蜜がもれる穴を強制的に塞ぐ。

 ぐぢゅっぶぢゅぶちゅ!!!!

「ああっ、だ、だめ、お、にい、さ、ま」

 挿れた衝撃でまた軽くイッたのかリリアの中が締まった、貪欲に精液を搾り取ろうとする動きに耐えて中を穿つ。

 ばちゅ!、ばちゅ!、ばちゅ!、ばちゅ!、ばちゅ!

「あっ、あっ、あっ、ん、くふぅ、や、あん」

「リア、はぁ、はぁ、リア、いいぞ、はぁ、僕達が愛し合う所を太陽に見せつけてやろう」

 この日はリアと叶えたかった事の一つ、晴れた外での性行為を楽しんだ。

 興が乗った僕は一度では足らずリリアを転がして後ろから突く、抽送に合わせて可愛く啼くリリアを上から眺め、ドレスと違い丈が短い町娘風のスカートは便利だと考えた。

 こうして何度か遊びを楽しむ内に僕は彼女の事を可愛く感じ始めた。

 勿論今も変わらずオフィーリアを愛している、でもリリアといると落ち着いた幸せを感じる、いつからこんな気持ちになったのだろう

 …変だな、これは単なる遊びだった筈なのに…

 僕は毎晩リリアと睦み合い彼女の部屋で一緒に眠るようになった、リリアとの偽りだらけの生活は楽しくて思いの外幸せだった。

 あの夜もリリアを抱き締めて眠り、途中むずかる様な気配に目が覚めた、リリアが動かない身体で必死に僕を叩いて起こしたのだ。

 起きると邸が火事になっていた、もう辺りは火の海でリリアを抱えて逃げようにも何故か身体が動かない、それに火の回りが早すぎて逃げ場はもう無かった。

「…リ…リ…ア」

 僕は初めてリアでは無くリリアの名前を呼んだ、それに気付いたリリアが花が綻ぶような笑顔を見せた、それは僕が初めてみる幸せに満ちた美しい微笑みで、死に際なのも忘れてリリアに見惚れた。

「あ、い、し、て、る」

 リリアが紡いだ言葉を聞いてさざなみの様に後悔が押し寄せる、オフィーリアを取り戻す事を諦めた訳でも愛情が冷めた訳でも無いのに、リリアが愛しかった。

 …もう少し早くリリアと出会っていれば、何かが違っていたのだろうか…

 煙に巻かれて呼吸が苦しくなるが僕もリリアも逃げられない、もう殆ど意識が無くなったリリアの身体を僕は最後の力で抱き締めた。




 ◆◇◆◇◆◇




 マーサがこの邸で働き出してから未だ三年だが、使用人の中では一番の古株になる。使用人の数が少なく一人が受け持つ仕事が多い為、若い使用人達は嫌がって直ぐに辞めていった。

 初老の女性でこれといった特技も無いマーサは、辞めても新たな働き口は直ぐには見つからない、不満はあっても働き続けるしか無かった。

 マーサには仕事の不満よりも気かがりな事があった、それはこの邸に悪魔が住んでいるという事だ。

 血の繋がった兄が妹に懸想している事も、地下室で動物実験を行い幾つもの命を奪って来た事も、地下室の掃除をするマーサは全てを知ってて知らない振りをして来た。

 しかし遂に看過出来ない事が起きた、悪魔が逃げ出した妹を連れ戻して自由を奪い、薬を飲ませて部屋に軟禁し男女の関係になったのだ。

「おお、神よお赦し下さい。穢れた当主にどうか罰をお与え下さい」

 初めは当主の一方的な執着と思えたそれを妹が喜んで受け入れている事を知った。逃げ出す前は嫌がる素振りを見せていたのに、今では自分から尻を振っている。

 近親相姦に耽る悪魔を許してはいけない、あの二人は神に背く大罪人だ。

 マーサは教会の熱心な信者だった、幼い頃から貧乏で結婚も上手く行かず、暴力を振るう夫から逃げ出し、僅かなお金の為に下女として働く日々、自分の不幸を忘れる為に神に祈り、そして狂信的な信者となった。

 これまでマーサが悪魔の所業を見逃していたのは、何も悪くないお嬢様の将来を潰さない為と自分の生活の為だ、しかし清純だったお嬢様は性に貪欲な悪魔の情婦へと成り下がった。

「気高き神よ、あの者達に罰を!、どうか私の進むべき道をお示し下さい」

 見窄らしい部屋の中でそれだけが豪華な祭壇に向かって、マーサは熱心に祈り続けて神の啓示を待った。

 やがて祭壇に灯した蝋燭の炎が揺らめくのを見たマーサはハッとする。

「おお、神よ、感謝します。御名のもとに見事に悪魔を退治して見せましょう」

 次の日、マーサは神の意志を実行に移した、地下室からくすねた昏睡薬を水差しに混ぜて渡し、その時が来るのを辛抱強く待つ。

 悪魔が寝る前に必ず水を飲む事をマーサは知っていた、やがて獣欲を満たした悪魔が眠りに落ちる。

 マーサは邸の至る所に油を撒いた、決して悪魔を逃す事のない様に出入り口付近は特に念入りに撒く、そして邸に火をつけ業火に包まれて全てが燃えるのを外から眺めた。

「おお神よ、ご覧下さい、この世から悪魔を消し去りました、穢れた者達は炎で浄化されるでしょう」

 夜明けに燃え盛る業火を前に、ぶつぶつと何かを呟く初老の女を見つけた警備隊は、直ぐに放火犯として女を拘束した。

 邸は全焼して焼け跡から男女と見られる二人の遺体が発見された、鎮火後の邸の捜索でエイデン・ラフェルトが犯した犯罪の証拠が見つかり警備隊は騒然となる。

 違法薬物を専門に扱う闇ギルドの存在も明らかになり、ギルドが摘発された事で人気の媚薬香水の流通も止まり、それに絡んだ性犯罪も減少した。

 放火犯の女は精神を病んでいる様子だったが、罪を認めたので火炙りの刑に処された。




 ◆◇◆◇◆◇




 火災から数日後にオフィーリアとシアンは伯爵邸を訪れた、焼け残った地下室に降りた二人はエイデンの悪業の痕跡を目にする。

 オフィーリアの為に作られた豪華な鳥籠、薬の開発に使った娼婦の為の土牢、手記によれば何人もの女性がここで死を迎えている。

 エイデンの箍が外れたのは両親が亡くなったからだと思っていた。

 でも違った、私を思い通りにしたいエイデンが邪魔な二人に薬を盛って殺したのだ。

 幼い頃の記憶にある優しかった兄は幻想で、エイデンは初めから私を狙う悪魔だった、私には優しい兄などいなかったのだ…

 監禁計画に十年の歳月を費やした兄は、私が家を出る事で頓挫した計画を中止して、新たな計画を立てそれを実行した。

 犯罪者の兄は私を取り戻す為に騒ぐと自分の首が締まる事を理解していた。

 私の身代わりになった従姉妹のリリア、この火災が起きるまで私は彼女の存在すら知らなかった。

 どんな経緯で出会ってどんな関係だったのかは知らないが、二人の遺体は抱き合っていたと聞いた。

「不思議ね、従姉妹なのに一度も貴女と会わずにお別れするなんて、さようならリリア」

 オフィーリアは焼け跡に独り立ち、顔も知らない従姉妹に哀悼の祈りを捧げる、傍に来たシアン卿がそっと私の背中に手を添えた。

「そろそろ子爵邸に帰りましょうか、令嬢、お手どうぞ」

 彼があの時と変わらぬ言葉を口にして私に手を差し出した、でも私の周りはあの時とは百八十度以上も変わっていた。

 恐怖の対象だった兄が亡くなり実家は没落寸前で、爵位が無くなれば私は貴族から平民になる、変わり過ぎて戸惑う事ばかりだ。

 ただそんな中でもシアン卿の優しい微笑みは変わらない、

 いや、少しは親密になれたのか初対面の時よりも空気が柔らかく親しい雰囲気に見える、それは私の思い間違いではなかった、このあと私は彼に秘密を打ち明けられたのだから。

 私を攫って助けてくれた彼は、私と同じ苦しみを知る人だった。










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