【R18】闇夜の龍は銀月と戯れる

やまたろう

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闇夜の龍は銀月と戯れる▲

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 キュリアスが死を覚悟したその時、キュリアスの胸元で琥珀色のペンダントが輝いて剣撃ごとサイラスの体を弾き飛ばした。


「何が起きたんだ」


 ルーベンは驚いて、弾き飛ばされて倒れたまま動かないサイラスと傷一つないキュリアスを見比べる。


「キュリアス!」


 キュリアスの背中に庇われていたギデオンが、ナルシスの手を振り切って背後からキュリアスを抱き締めてくる。その腕を抱き締め返したキュリアスは、砕けて床に散らばる琥珀色の破片を見つめた。


 その琥珀色はメイヴィスの瞳と同じ色で、キュリアスは国を出ると決めた日にメイヴィスと話した事を思い返していた。


「キュリアス、国外追放で本当に良いんだな、後悔しないか?」


「うん、勝手な事ばかりするギデオンにちゃんと僕の気持ちを伝えたい、幽閉されて二度と彼に会えないのは嫌だ」


 僕がメイヴィス兄様の顔を見てはっきり言うと、兄様はどこからか琥珀色のペンダントを取り出して僕の首にかけた。


「そうか、国外追放だから何も持たせてやれないが餞別にこれをやろう。物理的な攻撃を一度だけ防いでくれる守護石だ、これを付けていけ」


 優しい笑顔で顔を覗き込まれて、初めて兄様から抱き締められた。


「今までは誤解を招かない為に抱き締めてやれなかったが、お前も本当に好きな人が出来た事だし最後かも知れないからな、元気でなキュリアス」


 ・・・・そう言って抱き締めて頭を撫でてくれて、僕の身を案じてくれたメイヴィス兄様、兄様が僕を助けてくれた・・・・・・別れた時の優しい顔が脳裏に浮かんで涙がでてくる。


「何だ、これは?」


 砕けて床に落ちた破片から黄金の魔法陣が展開していく、ルーベンは不可思議な現象に動きを止めて様子を見ている。

「これは、まさか・・・」


 僕は気付いた、ダルトンを襲撃した時に見たものと同じだと。あの時は光の中からメイヴィス兄様が現れた、まさか・・・・まさか、兄様が来てくれる?


「助けて・・・メイヴィス兄様」


 僕の祈りが通じたのか魔法陣の中央に強い光が現れた、煌く光球の中に男性の姿が見える。僕はそれが誰だか直ぐに分かり、恍惚とした甘い痺れで全身がさざめく。

 ・・・・やっぱり思った通りだ・・・来てくれたんだ・・・・


 黄金色の髪がふわりと浮いて、琥珀色の瞳の奥がバチバチと輝いている。煌く光を体にまとう神々しい姿に、その場にいた全員が圧倒される。


きらめく太陽】メイヴィス兄様がそこに居た。


 メイヴィス兄様は部屋の中を見回して、苦々しげな顔になり僕へ告げた。


「面倒な事になっているな。取り敢えず散らしておくから、後片付けは自分でしろよ、キュリアス」


 メイヴィス兄様が言い終えた瞬間、目も眩むほどの白い光が部屋を満たして、バチバチバチッと弾けるような音が聞こえた。光が消えた部屋にはもうメイヴィス兄様の姿はなくて、僕とギデオン以外の三人は床に倒れていた。


 第三皇子ナルシスが呻きながら身を起こした。


「うう・・今のは何だ、一体何が起きたんだ?、彼は誰だ・・・」

 ギデオンは背後にいたナルシスを振り返る。


「ナルシス、お前ルーベンの制圧が解けたのか?」


「ああ。ギデオン、すまなかった、大丈夫か?」


 制圧中の記憶はあるので、何が起きていたのかは理解している。


「どういう事だ!、何故俺の制圧が解けた!」


 激昂するルーベンの後ろに、剣を持ったサイラスが近づき背後からルーベンを刺した。


「かはっ!、サイラス、お前!!」 


 刺されたルーベンが血を吐きながら、振り返ってサイラスを睨む。サイラスは仄暗い笑みを浮かべてルーベンを見ると、剣を引き抜いて自分の胸を刺した。
 

「ぶはっ、ルーベン、もう二度とお前の制圧は受けない」


「サイラス!」
「ルーベン、サイラス!」


 血塗れの二人はその場に倒れた。




 ◆◇◆◇◆◇




 療養中のギデオンは自室の寝台の上で上半身を起こして座っていた、幸い使用されたのは軽い薬物で体の痺れはすぐに消えて後遺症の心配もないそうだ。


「お前がいきなり部屋に入ってきた時は驚いたぞ、キュリアス。どうして帝国に戻ってきた?」


 僕は寝台の横の椅子に座り、ギデオンを睨みつける、顔色も体調も悪くないようで内心安堵する。


「ギデオンが勝手に僕をラグランドへ送り返したから、文句を言う為に戻って来たんだ」


 ギデオンはちょっと呆れた顔で、僕の肩上で切り揃えた銀髪を一房引っ張る。


「キュリアス、さっき見ただろう、帝国には制圧の能力者がゴロゴロ居るんだ。お前みたいな奴が一人でフラフラしてたら直ぐに支配される。そうなる前に帝国から出ろ」


「僕を心配して身の安全を考えてくれたの?、だから僕を手放したの?、自分勝手な考えで動くなよ!、僕はギデオンが好きだから側に居たいのに、僕の気持ちも考えろ!」


 ギデオンは僕の言葉に驚いて、眼を見開き僕を見つめると困惑した表情で問いかけてくる。


「お前はメイヴィスが好きなんだとずっと思っていた、本当に俺の事が好きなのか?、制圧してお前を抱いてこの部屋に軟禁した俺を憎んでいないのか?」

「憎んでたら命懸けで助けたりしない!」


 その言葉に納得したギデオンは静かに語り出した。


「俺はあの日お前に一目惚れしたんだ、だから誰かに制圧される前に俺が制圧した。俺の制圧は誰にも上書き出来ないからその方が安全だと思った。この部屋に軟禁したのは、ルーベンみたいに危険な人物との接触を避けるためだ。だが自分の欲望に負けてお前を抱いてしまった、すまなかったキュリアス」


 ギデオンが頭を下げてきた、でも僕が欲しかったのはそんな言葉や態度じゃなかった。僕は椅子から立ち上がりギデオンの胸ぐらを掴んで叫ぶ。


「謝って欲しいわけじゃない!、あの日一目惚れしたのはお前だけじゃない、僕も同じだ。僕のことが好きなんだろ?、そういう事は抱く前にちゃんと言えよ! お前に抱かれるのは嫌じゃない、でも制圧された人形なんかじゃなくて、ちゃんと僕自身の意思で抱かれたかった」


 僕はギデオンの胸をボコボコ叩いて、これまでの鬱憤をはらす。ギデオンは暫く僕のされるがままになっていたが、僕が落ち着くと抱き締めて囁いた。


「キュリアス、お前を愛してる」


「言うのが遅いんだよ・・・・・・・僕も愛してる」


「お前を抱きたい、抱いても良いか?」


 これまで制圧下でキュリアスを自由に抱いてきたギデオンが初めてキュリアスに許可を求めた。


「・・・・・うん」


 キュリアスは頬を染めて頷く、許可を求められる事がこんなに恥ずかしいとは思わなかった、これなら好きに抱かれた方が良かったかも・・・・と思った事はギデオンには内緒だ。


 ギデオンはキュリアスを優しく寝台に横たえて、恭しく服を脱がせる。久し振りに生で見るキュリアスの体は、夢想で抱いていた時よりも何倍も美しかった。

 ギデオンは自分の服を脱ぎながらも、キュリアスの裸体から眼が離せない。


 肉付きの薄い体は真っ白で、肌の手触りを確かめたくなり、紅く染まる二つの果実はじっくり舐めて味を知りたくなる。 スラリと伸びた脚のつけ根には女を知らない雄が慎ましく収まり、男の手を待ち侘びて震えて眼を楽しませる。 そして小ぶりだが柔らかくて形の良い尻とその奥に隠された男を喜ばせる秘密の場所。


 キュリアスの裸体を見ただけで、ギデオンの雄は既に首をもたげて涙を流している、視覚だけで理性が焼き切れそうなギデオンは自分を抑える為にふーっと息を整える。


「綺麗だ、キュリアス。触っても良いか?」


「もう、いちいち聞くなよ!、恥ずかしいだろ!、今まで通りに抱けよ」 


「仰せの通りに、我が天上の月よ」


 ギデオンは恥ずかしさの余りにキレたキュリアスに微笑み口付けて、そっと彼の体に触れていく、敏感な脇腹を撫で上げて、腰や太腿をさすり尻を触って弾力を楽しむ。その間、何度も口付けを繰り返して互いを高めていく。


「んっ、ふぅっ」


 ギデオンはあちこち触れて撫でるのに、肝心の所は触れてこない。キュリアスはむずむずして脚を擦り合わせる。


「どうした、キュリアス、俺にどうして欲しい?、言わなければ分からないぞ」


 ギデオンは両手で脇腹と胸を摩りながら、ずっと喰べたかった胸の紅い果実を一つ口に含んだ。それを ちゅくっ と吸い上げ舌で舐めてじっくり味わう。


 キュリアスは一番触って欲しい所を触って貰えず焦れている。


「あっ、ぅふぅ、んっ、ギデオンの意地悪。も、触って・・・・」


 ギデオンはもう片方の果実を味わいつつキュリアスの尻を撫でて揉む。


「うん?、キュリアス。どこを触って欲しいんだ?、ちゃんと俺に教えてくれ」


 ギデオンは分かっていながらはぐらかし、愛しいキュリアスの顔を真上から覗き込む。


「意地悪!お前、制圧してた時はそんなんじゃ無かった、もっとガツガツしてた」


 キュリアスは真っ赤になって食いつく、ギデオンを睨む目はちょっと涙目だ。


「ふっ、お前がメイヴィスを好きだと誤解してた頃は悔しくてちょっと乱暴に抱いてたから、今日は優しくしてみたんだが、気に入らなかったか?、なら元に戻して俺らしく抱いてやる、覚悟しろよ」


「あああ!!」


 いきなりギデオンがキュリアスの雄に舌を這わせる、口腔内で舐めてしゃぶられて、突然の刺激にキュリアスの腰が跳ねる、竿を擦られて先端を じゅるっ と啜られた。


「ああああぁぁぁっ!!」


 キュリアスはあっという間に射精した。指に着いた精液を舐めたギデオンはその濃さに満足して嗤う、それはキュリアスが誰とも寝てない証だからだ。


「久し振りだから、キツイかもな」


 キュリアスの白濁で尻穴を解していく、暫く雄を受け入れていないソコは、前よりもキツく感じる。


「んっ、んっ、ふっ」


 ギデオンは後ろの穴を弄りつつ、イッたばかりのキュリアスの雄を刺激する、尻穴が柔らかくなった所で自身の猛った肉棒を当てがった。


  くぷっ ぐちゅっ ぐちゅぐちゅぐちゅぅっ


「あ!  あ!  あああ !!! 」


 ギデオンの灼熱の肉棒がキュリアスの腹の中を埋め尽くす、欲しかった雄からの刺激でキュリアスは二度目の精を吐き出し最愛の雄を締め付けた。


「くうっ、ああっ」


 ギデオンも久し振りの快感に堪えきれずにキュリアスの中に己の欲望を吐き出した。ビクビク痙攣しているキュリアスの腰や尻をさすり暫く余韻に浸ると、まだ硬さを保ったままの雄の抽送を始めた。


「キュリアス、動くぞ」


 そこからギデオンは荒々しく動いて自身の欲望を満たし始め、キュリアスは与えられる快感で意識が半分飛んでも許して貰えず、ギデオンに抱かれ続けた。




 ◆◇◆◇◆◇




 何度も愛し合った二人は心地よい疲労感に包まれている、今は互いに寄り添って二人の未来について話をしていた。


「皇太子の位はナルシスに譲り、俺は帝国を出るつもりだ。今回の件で保守派も暫く大人しくなるし、要らん混乱は招きたく無いからな」


 あの日サイラスは死んで、一命を取り留めたルーベンは制圧の能力を失った、ギデオンが去れば高能力者はナルシスだけになる。
  

「実は楽園を作った際に、ジュール王国にギルドを作って登録しておいた、俺と一緒にジュールに行かないか?、あそこならラグランドの隣国だし国外追放でも皆んなと会いやすいだろう?」


「ギデオン、改革のために頑張ってきたのに帝国を離れるなんて本気なの?」


「お前と一緒に居たい、でもそれは帝国では無理だ。改革はナルシスに任せるさ」


 ギデオンは微睡んでいるキュリアスの額に口付けて、銀髪を撫でて柔らかく微笑む。


 ・・・・それにメイヴィスに礼も言いたい。今回の借りも近くに居れば、いずれ返せる時がくるだろう・・・・


 銀色の月は愛で輝きをまして、闇夜の龍の行先を明るく照らす。月の美しさに魅入られた龍は、手中のそれを抱き締めて愛を告げる。


「キュリアス、愛してる」


 龍が愛する月は眠っている、月の側で龍も眠りについた。








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