大国に囲まれた小国の「魔素無し第四王子」戦記(最強部隊を率いて新王国樹立へ)

たぬころまんじゅう

文字の大きさ
135 / 187
第三章

ハイム村の攻防戦1

しおりを挟む
 同日、ギュンターの元に北の村ハイムから緊急の報告が入る。エルン城にいるギュンターは、ドルフ、アジルと共に兵舎の前で訓練に励んでいた。

 そこへ慌ててやって来た兵士が報告をするために走って来たため、3人とも兵士のほうに視線が集中する。

「ギュンターさま!先ほど、賊が我が領であるハイムを襲撃、略奪をしております!」

 「どういうことだ!?」

 ギュンターに緊張が走った。ルンデルの脅威は排除したはずである。ルンデル兵でなければ、やはり賊・・・・・・?周辺の野盗はフランツやガルダが見回り隊を結成して以来、ほぼ壊滅しているはず。

 ほとんどの仲間が王都に集結しているこのタイミングで襲ってきたというのか?ギュンターの脳裏にアルスの顔が浮かんだ。何かあったのか・・・・・・。
 
「すみません。情報が足らず、我々もよくわかりません」
 
「わかった、すぐに行く。ドルフ、アジル付いて来いっ!」

 ギュンターは兵を引き連れてすぐにハイムに向かう。ギュンターがハイムに着いてみると村から火が上がっており、市場は荒らされ、食料が散らばっていた。
 
「ふざけやがって!」

 ギュンターは目の前で金品を略奪している賊を数人斬り伏せると、村の中央へ向かう。

「おら!さっさと火に投げ入れろ!」

「グズグズするな!」

 中央には大きな火が焚かれており、野盗たちが住民に保存してある小麦を投げ入れることを強要していた。

「お願いします。これを燃やしたら家で食べるものが無くなってしまいます。どうかご慈悲を」

 ひとりの老婆が男に向かって慈悲を乞うも、蹴り飛ばされ倒れる。そこへ周囲の住民たちが老婆を守って口々に抗議をした。

 その抗議にキレた男は、抗議する住民の先頭にいた男性を斬り捨ててしまった。ちょうどその瞬間が目に入ったギュンターの怒りは頂点に達する。
 
「ドルフ、アジル、全員生かして返すなよ!」
 
「わかってまっせ、ギュンターの兄貴!」

 ドルフとアジルがオーラを高めて衝撃波を放つと、あっという間にそこにいた賊たちは吹き飛ばされていく。続いてギュンターは住民を斬り捨てた賊に斬撃を飛ばして一刀両断。真っ二つになった男の身体は血しぶきを上げながら倒れた。 
 
 三人は次々と村の中央にいた賊を斬り捨てていく。ドルフが逃げようとする賊を追って斬りかかろうとしたその時である。その横から黒い影が解き放たれた矢のように、ドルフに襲い掛かった。

「おわっ!」

 辛うじてドルフが襲い掛かった剣を弾き返すものの、影に蹴られて馬から落馬する。落ちたところを更に追撃されるも、転がりながら避けきって立ち上がった。

「兄貴!」

 アジルが咄嗟に衝撃波を放ちながらドルフの傍に駆け寄る。

「ドルフ、大丈夫か!?」

 ギュンターはその様子を見て馬で駆け寄ろうとした。が、ギュンターの前に立ちはだかったのは、巨体の賊。ギュンターの前の賊はニヤッと笑う。

「おっと、おまえの相手は俺だ」

「腕に覚えがありそうだな」

「ここに来りゃちったぁ楽しめるって聞いたから、わざわざこんな辺鄙《へんぴ》な田舎まで来てやったんだ。俺の敵になる奴はすぐに死んじまってな」

 ハルバートを構え、腰には剣という出で立ち。見れば一目でわかる、どちらの得物も業物だろう。ギュンターはドルフとアジルを横目に剣を構える。隙が無い。こいつが賊の頭目か?

「戦う前にひとつ聞いておきたい。おまえらは、本当に賊か?」

「さあなぁ?おまえが勝ったら教えてやらんでもない」

「そうか」

「会話は終わりだ、さあ楽しもうぜっ!」

 そう言い終わるなり、男はハルバートを構え突きを繰り出す。ギュンターは突き出されたハルバートを弾き返した。ハルバートは槍と斧を合わせたようなもので、形も色々あるが重さを抑えるため大概は斧の部分は小さくなっている。

 しかし、男の使ってるハルバートは斧の部分が大きい。つまり、それだけの重さを振り回せるだけの身体能力の持ち主だということだ。

 ギュンターはオーラを込めて斬撃を飛ばして反撃するも、軽く弾かれる。

「良いじゃねぇか、おまえ!」

 男の身体からブワァっとオーラが立ち昇る。男が繰り出す突きの速度と圧力は上がり始めた。ギュンターも男に合わせる形で魔素を身体に巡らせ、身体強化のレベルを段階的に上げていく。

 ぶつかり合う剣戟の音は次第に激しさを増し、武器に込められたお互いのオーラがぶつかり合うたびに爆発するような轟音が周囲に響いた。

 一方、ギュンター達が戦っている横でドルフ、アジルのレフェルト兄弟は襲い掛かって来た影と対峙していた。影から影へと移動しながらレフェルト兄弟に迫る。

「兄貴!」

「わーってるよ!」

 アジルが声を掛けると同時にドルフは仕掛ける。影が移動した瞬間を狙って剣を突き刺す。影はドルフの剣をナイフで受け止め、同時にもう片方に構えたナイフでドルフに仕掛けた。

 咄嗟にドルフはバックステップで飛びのく。そこへ後ろからアジルの放った衝撃波が飛ぶ。一転して、影は両手のナイフで十字を作り衝撃波を飛ばし相殺する。
しおりを挟む
感想 6

あなたにおすすめの小説

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

第5皇子に転生した俺は前世の医学と知識や魔法を使い世界を変える。

黒ハット
ファンタジー
 前世は予防医学の専門の医者が飛行機事故で結婚したばかりの妻と亡くなり異世界の帝国の皇帝の5番目の子供に転生する。子供の生存率50%という文明の遅れた世界に転生した主人公が前世の知識と魔法を使い乱世の世界を戦いながら前世の奥さんと巡り合い世界を変えて行く。  

公爵家の秘密の愛娘 

ゆきむらさり
恋愛
〔あらすじ〕📝🌹グラント公爵家は王家に仕える名門の家柄。 過去の事情により、今だに独身の当主ダリウス。国王から懇願され、ようやく伯爵未亡人との婚姻を決める。 そんな時、グラント公爵ダリウスの元へと現れたのは1人の少女アンジェラ。 「パパ……私はあなたの娘です」 そう名乗り出るアンジェラ。 ◇ アンジェラが現れたことにより、グラント公爵家は一変。伯爵未亡人との再婚もあやふや。しかも、アンジェラが道中に出逢った人物はまさかの王族。 この時からアンジェラの世界も一変。華やかに色付き出す。 初めはよそよそしいグラント公爵ダリウス(パパ)だが、次第に娘アンジェラを気に掛けるように……。 母娘2代のハッピーライフ&淑女達と貴公子達の恋模様💞  ✴️設定などは独自の世界観でご都合主義となります。ハピエン💞 ✴️稚拙ながらもHOTランキング(最高20位)に入れて頂き(2025.5.9)、ありがとうございます🙇‍♀️

つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました

蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈ 絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。 絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!! 聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ! ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!! +++++ ・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)

異世界に転生した社畜は調合師としてのんびりと生きていく。~ただの生産職だと思っていたら、結構ヤバい職でした~

夢宮
ファンタジー
台風が接近していて避難勧告が出されているにも関わらず出勤させられていた社畜──渡部与一《わたべよいち》。 雨で視界が悪いなか、信号無視をした車との接触事故で命を落としてしまう。 女神に即断即決で異世界転生を決められ、パパっと送り出されてしまうのだが、幸いなことに女神の気遣いによって職業とスキルを手に入れる──生産職の『調合師』という職業とそのスキルを。 異世界に転生してからふたりの少女に助けられ、港町へと向かい、物語は動き始める。 調合師としての立場を知り、それを利用しようとする者に悩まされながらも生きていく。 そんな与一ののんびりしたくてものんびりできない異世界生活が今、始まる。 ※2話から登場人物の描写に入りますので、のんびりと読んでいただけたらなと思います。 ※サブタイトル追加しました。

【完結】捨てられた双子のセカンドライフ

mazecco
ファンタジー
【第14回ファンタジー小説大賞 奨励賞受賞作】 王家の血を引きながらも、不吉の象徴とされる双子に生まれてしまったアーサーとモニカ。 父王から疎まれ、幼くして森に捨てられた二人だったが、身体能力が高いアーサーと魔法に適性のあるモニカは、力を合わせて厳しい環境を生き延びる。 やがて成長した二人は森を出て街で生活することを決意。 これはしあわせな第二の人生を送りたいと夢見た双子の物語。 冒険あり商売あり。 さまざまなことに挑戦しながら双子が日常生活?を楽しみます。 (話の流れは基本まったりしてますが、内容がハードな時もあります)

無一文で追放される悪女に転生したので特技を活かしてお金儲けを始めたら、聖女様と呼ばれるようになりました

結城芙由奈@コミカライズ連載中
恋愛
スーパームーンの美しい夜。仕事帰り、トラックに撥ねらてしまった私。気づけば草の生えた地面の上に倒れていた。目の前に見える城に入れば、盛大なパーティーの真っ最中。目の前にある豪華な食事を口にしていると見知らぬ男性にいきなり名前を呼ばれて、次期王妃候補の資格を失ったことを聞かされた。理由も分からないまま、家に帰宅すると「お前のような恥さらしは今日限り、出ていけ」と追い出されてしまう。途方に暮れる私についてきてくれたのは、私の専属メイドと御者の青年。そこで私は2人を連れて新天地目指して旅立つことにした。無一文だけど大丈夫。私は前世の特技を活かしてお金を稼ぐことが出来るのだから―― ※ 他サイトでも投稿中

処理中です...