モブ令嬢は仲良くなりたい

桜餅

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モブ令嬢は気づきました

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私、ユリア・ステュアートは気づいてしまった。ここは私が前世でやり込んでいた乙女ゲームの世界だと…

「うう…」 

頭が痛い…
頭にブワッと流れ込んできた情報に混乱して、ふらついた私は階段から足を踏み外した。

「あ…」

まずい落ちる、ギュッと目を瞑ると誰かが私の手を引き寄せてくれた。

「あぶなっ」 

「…?……えっ…!?」

助けてくれた人の顔を見て、全身が固まってしまった。
栗色の少し長めの髪を後ろで束ねている、糸目がちだけど、よく見たら綺麗な茜色の瞳で…
私が前世で推していた、ルディ君だ…え、る、ルディ君だ…

「あんた大丈夫か?…おいコラ聞いとんのか」

ペシッとシバかれた。 

「へっ…?」 

推しに、シバかれた??

「あ、た、助けていただきありがとうございます!!し、失礼致します!!」 

「あ、おいお前…」

あまりにも情報量が多すぎて、色々な感情が混ざり私は訳もわからないまま逃げるようにその場を後にした。





前世の私がやり込んでいたゲーム
『ときめき魔法学園~恋は世界を超えて~』とは、ヒロインのアリスという女の子が突然異世界に召喚され、聖女として魔法学園に入学し成長していく、という内容の恋愛シミュレーションゲームだ。

ルディ君はヒロインに情報を提供する所謂サポートキャラで、ファンタジーな世界観で尚且貴族だというのに関西弁を喋っている。そんなあまりにもミスマッチなキャラはプレイヤーに大変人気があり、攻略キャラとして追加してほしいとの声がたくさん上がっていた。
かくいう私もそんなルディ君に夢中になり、ルディ君のためにゲームを頑張っていた。
というのも、ステータスを上げるほどルディ君がご褒美として情報をくれるのだ。つまり会える、話せる。頑張るしかなかった。

…さっき、ルディ君が生きてたし助けてもらったしペシッてされた…?
え、夢??

…待って私失礼だったかなあ!?!?
助けてもらっといてそそくさと逃げてちゃった…!!わあああやり直したい!!
  


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