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クロック帝国編
金色の暗殺者
しおりを挟む「綺麗…」
目の前で目を泳がせて恥ずかしそうにしている彼の頰に手を添えて顔を更に近づける。
「あ、あの…。」
彼の言葉には返事をせず、おでこを彼のおでこにつけて目を合わせると彼はボッと顔を真っ赤にした。
「…お月様みたいに綺麗な金色だね」
僕は彼の目を見つめたまま、ふにゃっと笑う。
「て、天使様に綺麗って言ってもらえるなんて!」
そう言って彼が興奮したように腰を上げた。
「ひぁっ、」
彼が腰を上げることによって彼のが僕に深く突き刺さり、思わず背を仰け反らせた。
「はぁ、は…、ん…」
ベットに倒れ込み彼を見上げると金色の目を細め、にっこりと笑顔で僕を見ている。
「こんなに綺麗な天使様と僕が繋がっているなんて…。」
彼は恍惚とした顔で両手を天に掲げている。
僕、天使じゃないんだけどなぁ…。
彼を見る限り、上等な服を着ていないことから高貴な身では無いだろうということが伺える。
でも言葉遣いは丁寧。
腰に巻いたボロボロのターバンのようなものから、貧しい生活をしているのかもしれないこともわかる。
だけど、筋肉もしっかりとついているし、身長も高いから食べ物はしっかり食べれてるのかも。
そうやってジロジロと見ていたからか、彼は自分の体を見てから、こちらに首を傾げた。
「…なにかありましたか?」
「いや、筋肉かっこいいなって」
僕が彼の胸筋を指差すと、あぁ…と納得して僕の手を取り自分の胸へと持っていった。
ぴとっ…と僕の手のひらが彼の胸に触れる。
「天使様はいくらでも触っていいですよ。僕は天使様のものですから。なんなりと使ってください。」
つ、つかう…?
よくわからないけど、彼の胸を掴んでみると僕とは違い、がっしりとしていて手も筋肉で反発されているのかうまくつかめない。
彼も触られても何ともないのか笑顔のままだ。
これじゃさっきやられた仕返しができないじゃんか…。
「…やり返してやろうと思ったのに。」
僕がむすぅーっと頰を膨らますと彼はアワアワと見るからに慌てている。
「天使様を怒らせてしまうなんて…!」
そう言ってどこから出したのか、ナイフを首にあてている。
って、ナイフ!?
今度は僕が慌てて彼のナイフを奪い取り投げ捨てて首に抱きつく。
「だ、だめだよ!あぶないよ!何してるの!」
僕が彼に怒鳴ると彼はしょんぼりとした顔で、反省しているのか血が出た箇所を抑えている。
「天使様を怒らせてしまった僕は悪いやつなので死んだほうがいいかと思いまして…。」
えぇ!?
「怒ってないよ!それに、そんな簡単に死なないでよ!君は僕のなんでしょ!?」
彼はハッと何かに気づいたように驚いて顔を上げた。
「確かにそうですね、天使様のものになったのに勝手に死ぬところでした。」
ふざけているようで、ふざけていなくて、ネムには彼が本気でそう言っていることが分かった。
さっき、ナイフを首にあてたときも、ネムが気づいて止めなければ、そのまま首を刎ねていただろう。
「どうして、そんなに命が軽くなっちゃったの…。」
思わず出た言葉に彼は驚いている。
「天使様は気づいておられなかったのですか…?
僕は暗殺者の末裔です。
だから、金色の瞳なのですよ。」
あんさつしゃのまつえい?
「簡単に説明すると、人に命令をされて人を殺す。
そんな種族ですね。」
とっても苦しいはずの話なのに笑顔で言っている彼は何かが壊れてしまっているのかもしれない。
「そ、そんな…。」
「軽蔑しましたか?」
正直、人を殺すなんて怖い話だし、ビビらないといえば嘘になる。
でも彼は僕を殺そうとなんてしてないし、末裔ということは彼の両親も暗殺者だったわけで。
彼はなりたくなくてもなるしかなかったんじゃないかな…。
僕は彼を抱き寄せてポンポンと頭をなでた。
「…軽蔑なんてしないよ。僕なんかが軽蔑なんてできないよ…。」
彼は僕とは違う。
彼はなりたくなくても暗殺者をするしかなかった。
だけど僕の場合、魔王にならなくたって、人間を殺さなくたってよかったのに。
でもその道を選んでいた。
何千人もの人を殺したであろう僕が、暗殺者である彼を責めるなんてことできないよ…。
「やっぱり僕の天使様です…!」
「ぁ、ひぅ、あっ、あんっ…」
止まっていた彼のが動き出し、動きが早まっていく。
パチュン!パチュン!パチュン!
「ひぁッ!あッ!あっ!あンッ!ンッ!アッ!」
「っ、」
パチュッ!パチュッ!パチュッ!パチュッ!
「ああッ!ァアッ!アッ!アんッ!ぁッ!ひァあッ!」
「ふ、」
「…っあああアああアアアッああああアアあッ!!!!」
びゅるるるるっ!っと彼のが僕の中に放たれたと同時に僕のも果てた。
それからというもの、僕は毎日彼と気持ちいいことをしている。
閉じ込められているため時間はわからないけど半日ぐらいはずっと僕と繋がってるんじゃないかな。
朝ごはんと昼ごはんを一緒に過ごしたまま食べるから半日は経っているはず。
僕が疲れ果てて気絶するまでこの行為は続くから時間の感覚がわからなくなるけど、何日か聞くと日付は答えてくれるから閉じ込められてから何日経っているかはわかる。
暗殺者ってだけあって、夜に仕事に出かけて朝に血生臭い匂いをさせながら帰ってくる。
ただ一番困るのはトイレ。
僕の鎖をどうしても外したくないみたいで、長さは少し伸ばしてくれたけどトイレまでは届かない。
だから、ビンのようなものに彼に見られながら出すことになる。
お風呂に関しては彼の魔法のおかげで入らずとも身体は清潔に保たれている。
一週間もの間この生活をしてる。
闇の魔法を使えばこの鎖ぐらい外せるけど、天使様って言ってる彼の理想を崩したくないなぁ、と思う僕がいる。
でも、絶対にウルフもアルくんもユースも心配してるよね。
どうしたら彼の理想を壊さずに部屋から出られるかな…。
「天使様、今日も素敵です…!」
「あっ、んぅ、ぅうっ、んんっ…」
僕は胸を揉まれながらも、飛びそうな意識を堪えて必死で頭を働かせるのだった。
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