ギルド最弱と呼ばれているけれど、実は数年前、大厄災を起こした最強の能力者でした。最高のヒロインと一緒に隠していたチートの力を使って無双します

シア07

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第6話 倒したあとで

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「よかった……なんとかなったか……」

 安堵してその場に座って一息つく。
 体はいつも以上に疲れを感じた。
 封印していたものを久しぶりに使ったためだろう。

 そこで俺は深く考える。

「…………暴走はなし、か……」

 あの時、≪ビックバン≫の時のように暴走はしなかった。
 その予兆さえ見えなかった。
 さっき【竜蛇】を倒すために使った技、分解セパレートでさえ、問題なかったのだ。 
 いままで怖くてトラウマだったことが少し嘘のようで意外に思えた。
 
「……でも……俺はまた使ったんだな。この呪われた能力タレントを……」

 握った拳を見る。
 ずっとあの事件以来使わないでいた能力を自分のために使ってしまった。
 二度と使うことはないと思っていたのに…………
 
「もし……これからも使っていったらどうなるんだ……」

 また暴走するのだろうか。それともしないのだろうか。
 ……わからない。
 いまの俺にはわからなかった。

「まあ……でもただ一つだけ言えるのは助けれたってことだ」

 その分、リンを助けることが出来た。
 得られたものは大きい。

「行くか……」

 立ち上がってリンがいる方向までゆっくりと歩いていく。
 隠れていたのだが、俺が向かってきたことを見ると、飛び出してくる。
 
「だ、大丈夫なんですか……いまの……倒したんですか?」

「問題ない。確実に絶命させた」

「本当ですか!?」

「ああ、マジだ」

 そういうと、凄いです!と飛び跳ねだす。
 褒めてくれるのは嬉しいだが、こんなにも褒められると逆に照れくさい。
 飛び跳ねているところ見て、ふと思う。

「……それより傷の方はどうだ?」

「回復薬を使ったらほぼほぼ完全に治りました! ほら」

 転んだときにはねんざしていたところがきれいさっぱり消えている。
 あの回復薬は性能が良かったらしい。

「あの道具屋の人に感謝だな」

「そうですね! 感謝でいっぱいです!」

 リンはニコリと笑う。
 元気そうでよかったと思う。
 
「そういえば、さっきの技なんなんだったですか!? 説明してくれるんですよね。あとでって言ってましたし」

「別に……説明することじゃない」

「説明することじゃないって。レンさん前に能力タレントは持ってないって言っていたじゃないですか! 私に嘘ついてたんですか!?」

「……まあ、結果的にはそういうことになるな」

 前にリンには能力がないと言っていたことを思いだす。
 あれは仕方がなかった。

「酷いです!」

「でも勘違いするなよ。俺はリンのためを思っていっただけだ」

「意味わかんないですよ。やっぱりこういう隠し事は良くないと思うんです! あんな瞬間移動みたいな能力があるくらい教えてくれてもいいんじゃないですか!?」

「なに言っているんだ。そもそも俺の能力は瞬間移動テレポーテーションなんかじゃない。それはただの副産物に過ぎない。本来のものとは全くの別物だ」

「じゃあいったい、なんの能力タレントなんですか!?」

「俺の能力タレントは…………いや、やっぱり言えない」

 口ごもる。
 言えない。
 いいや、言いたくないのだ。

「え?」

「……言ったところで俺にメリットはないしな。言う必要もない」

「えー教えて下さいよ。ケチです!」

「まあ……いつかな」

 俺が能力を教えたせいであの事件に巻き込んでしまう可能性がある。
 それは絶対に避けなければならない。
 俺は話をそらすように言う。

「……それよりも早く帰らないか。俺はもう疲れているんだが」

「まあ、たしかに。戦闘しましたしね……帰りますか……って、待ってください」

「ん、なんだ?」

「いま帰っちゃったらこのパーティー解散しちゃうんじゃないですか!?」

「そういう契約だからな」

「そんなの嫌です。私、帰りません!」

「んな、子供みたいなことを……」

「子供じゃないです!」

「……はぁ、面倒くさい」

「ちょっとだけでいいので、先進んでみましょうよ。この奥になにがあるのか少し見るだけですから」

「その奥には普通の部屋があるだけだ。モンスターも数匹いるはずだが、多分さっきの【竜蛇】によって殺されているか、逃げ出しているはずだ」

「ネタバレやめてください! ほんの少しでいいので、行きましょうよ」

「…………わかった。少しだけだからな」

「やった!」

 上手く押し切られてしまう。
 どうやら俺は押しに弱いらしい。
 
 そういうわけでリンと一緒に奥の方へと歩いていく。
 歩きながら思ったことがある。

 どうしてあそこに【竜蛇】がいたのか、だ。
 普通ならばボスはあんな風には出てこない。
 そもそもボスがいる部屋は決まっているのだ。
 それを破って来ただけでなく、違う層のボス。
 これはなにかがあるのかもしれない。

 凄く嫌な予感がした。
 もしかすると本当にまた能力を使わないといけなくなるかもしれない。
 今回なにもなかったのはきっと偶然なのだ。
 注意しなければならない。
 これからも能力は封印しておく方がいいだろう。

 ある程度進んだところでリンガ止まった。

「どうした?」

「レンさん……これなんですか?」

「なんだ……それ……」

 下に落ちていたものを拾い上げる。
 水晶のように光った硬そうな球だった。

「綺麗ですね……輝いている感じがなんか可愛いです」

「そういうもんか」

「知ってますか、これ?」

「いいやわからない。何十回もこの層には来ているが、初めて見た」

「ん~レンさんでも知らないんですか。なら誰かの落とし物かもしれませんね。私がちゃんとギルドに届けておきましょう」

「……失くすなよ」

「私のことをなんだと思っているんですか。ものの管理くらい余裕ですよ。子供じゃあるまいし」

 鞄に入れる。
 まだまだ子供だろと思いながら、もう一度歩き出す。
 モンスターが現れることはなく、ゆっくりと少しの間散歩した。
 そのあと来た道を戻りダンジョンの入り口まで行く。

「そろそろ解散にするか」

「……分かりましたよ。疲れているのは伝わりましたし」

 残念そうにしている姿が胸にくる。
 そのまま去ろうと思ったのだが、仕方ない。
 俺はため息をついてから言う。

「はぁ……じゃあな。……また今度な。クエストの草はまだギルドに出せていないし」

「今度…………はい、また今度お願いします!」

 一気に元のリンに戻る。
 本当に俺は押しに弱いなと思いつつ、家に帰った。
 快眠だった。
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