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第26話 決戦開始
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「では、冒険者たち、頼む。危ない場面になったら逃げてくれても構わない。だが、どうにか、この町を守って欲しい」
ギルド長が冒険者たちの前で演説をしていた。
少しだけ休憩をして、ギルドに戻ってみると、こうなっていた。
ギルド長の方はまだやる気そうに見えるが、近くにいる冒険者の目は酷い。
やる気どころか、いまにも逃げ出したいといった感情が透けて見える。
普通ならばそうなのだろう。あんなに多くのモンスターと戦う。それは恐怖だ。
死ぬかもしれない。そんな風に思う。
シンヤたちがおかしいのだ。
どうしてあそこまで冷静なのだ。
まあ、俺もリンも同じようなものか。
「よし、君たち配置につきたまえ。できるだけ近くのものと連携を取るのだ」
はぁとため息をつけながら冒険者はいなくなった。
「ギルド長も大変ですね」
「そうだ。大変なんだよ、ギルド長というのは。……それで、仲間はどこに行ったんだ?」
「休憩してるだけですよ。そのうち俺も戻って準備します」
「もうやることは決まっているのか?」
「はい、俺があの仮面の少女と戦って、他の人はモンスターを一掃してくれるって流れです」
「仮面の少女か…………あの仮面、どこかで見たことがあったんだかな。どこで見たのか……」
「思い出せないんですか?」
「…………わからない。悪いな」
「別にいいですよ。正体なんて。倒して聞けばいいですし」
ちょっとだけどんな奴だか興味はあるが、そこまで気にすることではない。
それよりも倒せるかの方が気になる。
「はぁ……あの少年がこんな風になるなんてな。あの事件から早3年。昔の私じゃ考えられない成長だ」
「またその話ですか。もういいですって。過去のことは」
「そうだな。過去は過去。いまはいま。人間は変わる生き物だ。環境によって変化し、順応する生き物だ。だから、これが当たり前なのかもしれないな」
「…………」
「まあいい。じゃあ、あとは頼んだよ。私は私で仕事をしなくてはならないからな。失礼させてもらう。ああ、そうだ、せっかくだしこれを渡しておこう」
「…………? これは?」
「私が昔も昔に使っていた片手剣だ。片方しかないのは許してくれ」
「いいんですか?」
「もう使わないからな。手放せなくて困っていたのだが、ちょうどいいところにレンがいた。そのかっこうをみると武器は持っていないだろ。是非、使ってくれたまえ」
「……ありがとうございます」
「では、頑張ってこい」
そういってギルド長は奥の所長室に戻っていく。
ギルド長だからこそ仕事をしなければならないんだろう。
「俺も……やるか」
ギルドを出る。周りには冒険者でありふれていた。
どれも酷い顔をしている。
少し歩いて、リンたちがいるところを見つkrた。
全員そろっている。
そこに向かった。
「あ、レンさん。やっと来ましたか。遅かったですね!」
「ちょっとギルド長と話をしてた。そっちはどうなってる」
「暇だったから近くにいた住民の避難を手伝ってた。まあまあの人数は俺たちで逃がしたと思うぜ」
「そうか。それなら安心してやれる」
外を見てみると、もうすぐそこにモンスターが迫っていた。
仮面の少女もモンスターにまたがって、進行してきている。
俺はそこで全員に向かって言う。
「一応、俺なりに作戦みたいなのは立てておいた」
「聞かせてもらおう」
「まず、リンたちにやってもらうのはあのモンスター軍団と少女を引き付けてもらう事だ」
「引き付ける?」
「意識をずらすぐらいでいい。別に戦ったりする必要はない。その隙をついて俺があの少女を叩く」
「なるほど、それが作戦ってことね」
「作戦と言えない気もするが、それが一番効率的だ。リンたちは他の冒険者たちと協力して、モンスター退治に当たってくれ」
「よし、めちゃくちゃ稼ぐぞ!」
シンヤは元気満々に腕を上げる。
「仮面の少女を倒した後は俺もフォローに入る。だから、絶対に死ぬなよ」
「わかってるって。死んだか飯も食えねぇからな!」
「レンさんこそ、危ないことしないでくださいよ」
「ああ、わかってる」
俺の力は自分でもわからないくらいに未知数だ。
あの時のように使い過ぎれば暴走する可能性だってまだ残っている。
それでもやれるだけやる。
「もうやる気なのか? まだ早いだろ」
「たしかにまだ早い気がする。だができるだけあの少女とモンスターを引き離しておきたい。あいつはいくらでもモンスターを召喚できるのかもしれない。無限にモンスターがいるんじゃあ勝てない。だから最初に叩く」
「そういうことですか。それなら私たちが引き付けておきますね」
「ああ、頼む」
深く深呼吸する。
俺たちはここにいる冒険者たちよりも一足先に行動を開始する。
「よし、行くぞ」
俺の掛け声とともに全員が動き出した。
リンたちは走って奴らの方に近づく。
俺は瞬間移動をして、できるだけバレないようにまわっていく。
モンスターたちは予想通り、アイツらの方に焦点をあてていた。
「よし、作戦通り」
戦ってはいないが、引き付けている。
他の冒険者はいよいよ戦いが始まるんだ!と騒いでいる。
「俺もやるか」
瞬間移動で行ける範囲まで近づいた。
多分気づかれていない。
このままなら後ろを取れる。
俺はギルド長から貰った剣を構える。
元々は素手で戦うつもりだったが、剣でやるのも悪くない。
少女はモンスターに乗っているため、俺はまず空中に飛んだ。
一瞬にして、少女の目の前に来る。
狙うは急所、ではなく肺。いま殺すわけにはいかない。
「取った!」
目の前に少女がいた。あとはこの剣を当てるだけ。
思い切り振る。
腹に到達する寸前。
体が消えた。
「っち、避けたか」
「びっくりしたあ。いきなりでてくるなんて反則だよね。私じゃなかったら避けられなかったよ」
化け物レベルの速さだ。反射神経も凄すぎる。
少女は俺から少し離れたところにいた。
モンスターからは降りていて、余裕そうな態度を出している。
「ふぅ……とりあえず、近くのモンスターたちは邪魔だし他の場所にやっちゃおうかな」
少女が右手を横に振る。
するとモンスターたちは一列になっていたのからどんどんと広がっていく。
そしてそのままあのギルドの場所に突っ込んでいった。
「なんだ今の……そんなこともできるのか」
広がって行ったことで冒険者たちも分散しなくてはならない。
危険が増える。
リンたちが心配になる。
でも、もう見えない。祈るしかない。
「そりゃそうでしょ。だって私のモンスターたちだし」
「まるで飼っているみたいな言い方だな」
「だから飼ってるんだよ。まあ、その説明をしても理解できなさそうだし、なにより面倒くさいからしないんだけど」
「…………」
モンスターを飼うなんて、そんな事が可能なのか。
「ま、いっか。それより早く始めよっか。戦いを」
少女が鎌を構え始める。
俺は剣をしまって、手に力を入れる。
「今度こそ、殺してあげる。そっちの方が楽になれるからね」
そういってリベンジ戦が始まった。
ギルド長が冒険者たちの前で演説をしていた。
少しだけ休憩をして、ギルドに戻ってみると、こうなっていた。
ギルド長の方はまだやる気そうに見えるが、近くにいる冒険者の目は酷い。
やる気どころか、いまにも逃げ出したいといった感情が透けて見える。
普通ならばそうなのだろう。あんなに多くのモンスターと戦う。それは恐怖だ。
死ぬかもしれない。そんな風に思う。
シンヤたちがおかしいのだ。
どうしてあそこまで冷静なのだ。
まあ、俺もリンも同じようなものか。
「よし、君たち配置につきたまえ。できるだけ近くのものと連携を取るのだ」
はぁとため息をつけながら冒険者はいなくなった。
「ギルド長も大変ですね」
「そうだ。大変なんだよ、ギルド長というのは。……それで、仲間はどこに行ったんだ?」
「休憩してるだけですよ。そのうち俺も戻って準備します」
「もうやることは決まっているのか?」
「はい、俺があの仮面の少女と戦って、他の人はモンスターを一掃してくれるって流れです」
「仮面の少女か…………あの仮面、どこかで見たことがあったんだかな。どこで見たのか……」
「思い出せないんですか?」
「…………わからない。悪いな」
「別にいいですよ。正体なんて。倒して聞けばいいですし」
ちょっとだけどんな奴だか興味はあるが、そこまで気にすることではない。
それよりも倒せるかの方が気になる。
「はぁ……あの少年がこんな風になるなんてな。あの事件から早3年。昔の私じゃ考えられない成長だ」
「またその話ですか。もういいですって。過去のことは」
「そうだな。過去は過去。いまはいま。人間は変わる生き物だ。環境によって変化し、順応する生き物だ。だから、これが当たり前なのかもしれないな」
「…………」
「まあいい。じゃあ、あとは頼んだよ。私は私で仕事をしなくてはならないからな。失礼させてもらう。ああ、そうだ、せっかくだしこれを渡しておこう」
「…………? これは?」
「私が昔も昔に使っていた片手剣だ。片方しかないのは許してくれ」
「いいんですか?」
「もう使わないからな。手放せなくて困っていたのだが、ちょうどいいところにレンがいた。そのかっこうをみると武器は持っていないだろ。是非、使ってくれたまえ」
「……ありがとうございます」
「では、頑張ってこい」
そういってギルド長は奥の所長室に戻っていく。
ギルド長だからこそ仕事をしなければならないんだろう。
「俺も……やるか」
ギルドを出る。周りには冒険者でありふれていた。
どれも酷い顔をしている。
少し歩いて、リンたちがいるところを見つkrた。
全員そろっている。
そこに向かった。
「あ、レンさん。やっと来ましたか。遅かったですね!」
「ちょっとギルド長と話をしてた。そっちはどうなってる」
「暇だったから近くにいた住民の避難を手伝ってた。まあまあの人数は俺たちで逃がしたと思うぜ」
「そうか。それなら安心してやれる」
外を見てみると、もうすぐそこにモンスターが迫っていた。
仮面の少女もモンスターにまたがって、進行してきている。
俺はそこで全員に向かって言う。
「一応、俺なりに作戦みたいなのは立てておいた」
「聞かせてもらおう」
「まず、リンたちにやってもらうのはあのモンスター軍団と少女を引き付けてもらう事だ」
「引き付ける?」
「意識をずらすぐらいでいい。別に戦ったりする必要はない。その隙をついて俺があの少女を叩く」
「なるほど、それが作戦ってことね」
「作戦と言えない気もするが、それが一番効率的だ。リンたちは他の冒険者たちと協力して、モンスター退治に当たってくれ」
「よし、めちゃくちゃ稼ぐぞ!」
シンヤは元気満々に腕を上げる。
「仮面の少女を倒した後は俺もフォローに入る。だから、絶対に死ぬなよ」
「わかってるって。死んだか飯も食えねぇからな!」
「レンさんこそ、危ないことしないでくださいよ」
「ああ、わかってる」
俺の力は自分でもわからないくらいに未知数だ。
あの時のように使い過ぎれば暴走する可能性だってまだ残っている。
それでもやれるだけやる。
「もうやる気なのか? まだ早いだろ」
「たしかにまだ早い気がする。だができるだけあの少女とモンスターを引き離しておきたい。あいつはいくらでもモンスターを召喚できるのかもしれない。無限にモンスターがいるんじゃあ勝てない。だから最初に叩く」
「そういうことですか。それなら私たちが引き付けておきますね」
「ああ、頼む」
深く深呼吸する。
俺たちはここにいる冒険者たちよりも一足先に行動を開始する。
「よし、行くぞ」
俺の掛け声とともに全員が動き出した。
リンたちは走って奴らの方に近づく。
俺は瞬間移動をして、できるだけバレないようにまわっていく。
モンスターたちは予想通り、アイツらの方に焦点をあてていた。
「よし、作戦通り」
戦ってはいないが、引き付けている。
他の冒険者はいよいよ戦いが始まるんだ!と騒いでいる。
「俺もやるか」
瞬間移動で行ける範囲まで近づいた。
多分気づかれていない。
このままなら後ろを取れる。
俺はギルド長から貰った剣を構える。
元々は素手で戦うつもりだったが、剣でやるのも悪くない。
少女はモンスターに乗っているため、俺はまず空中に飛んだ。
一瞬にして、少女の目の前に来る。
狙うは急所、ではなく肺。いま殺すわけにはいかない。
「取った!」
目の前に少女がいた。あとはこの剣を当てるだけ。
思い切り振る。
腹に到達する寸前。
体が消えた。
「っち、避けたか」
「びっくりしたあ。いきなりでてくるなんて反則だよね。私じゃなかったら避けられなかったよ」
化け物レベルの速さだ。反射神経も凄すぎる。
少女は俺から少し離れたところにいた。
モンスターからは降りていて、余裕そうな態度を出している。
「ふぅ……とりあえず、近くのモンスターたちは邪魔だし他の場所にやっちゃおうかな」
少女が右手を横に振る。
するとモンスターたちは一列になっていたのからどんどんと広がっていく。
そしてそのままあのギルドの場所に突っ込んでいった。
「なんだ今の……そんなこともできるのか」
広がって行ったことで冒険者たちも分散しなくてはならない。
危険が増える。
リンたちが心配になる。
でも、もう見えない。祈るしかない。
「そりゃそうでしょ。だって私のモンスターたちだし」
「まるで飼っているみたいな言い方だな」
「だから飼ってるんだよ。まあ、その説明をしても理解できなさそうだし、なにより面倒くさいからしないんだけど」
「…………」
モンスターを飼うなんて、そんな事が可能なのか。
「ま、いっか。それより早く始めよっか。戦いを」
少女が鎌を構え始める。
俺は剣をしまって、手に力を入れる。
「今度こそ、殺してあげる。そっちの方が楽になれるからね」
そういってリベンジ戦が始まった。
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