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第1章『始まりの村と魔法の薬』編
第26話 遭遇/Uncertainly
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「おらあああぁぁ、もらったああぁ!!!!」
ソウヤの振り下ろした剣の刃が白い影の肉を切り裂こうとした次の瞬間、彼の目前で信じられない現象が現実となって現れた。
「な、何ぃ!?」
「えっ!?」
耳をつんざくほどの甲高い衝撃音と共に白い影の前に姿を表したのは、まるで透明な盾のようにも見える光の壁だった。
ソウヤが繰り出した渾身の一撃はその光の壁に軽々と阻まれ、すんでの所で剣の刃は相手に損傷を負わせることができないまま弾き返されてしまった。
さらにその衝撃でソウヤはバランスを失い、そのまま呆気なく後方へ吹き飛ばされてしまう。
「ソウ君! しっかりして!!」
「お、おい、おまえら……。 バリア使うとか反則だろ……!」
痺れる右手を押さえたソウヤが悔しそうに強く奥歯を噛みしめる傍ら、白い影はやはり何事も無かったかのように沈黙の表情のままだった。光の壁もいつのまにかその姿を消していた。
「ねぇ、どうしよう!! このままじゃ……」
「そんなこと、俺に聞くなよ!!」
最後の切り札でもあったソウヤの聖剣がことごとくはね返され、ミサは今にも泣き出しそうほどパニックになっていた。
攻撃用のポーションもすべて使い果たしてしまい、まさに絶体絶命の状況だった。仮に何か武器が残されていたとしても、奴らのバリアが存在する限りこちらに勝機はない。
「あぁ、ゲームとか漫画だったらこういう時、かわいいヒロインとかが助太刀しに来てくれたりするもんなんだけどなぁ……。てか、エレリア!! どこに行ったんだよ! 早く助けてくれ!!」
「そうだよ! リアちゃん!! お願い、助けて!!」
ミサとソウヤは一筋の望みを胸に、エレリアの名を必死に叫んだ。夜空に二人の声がこだまする。
だが、いくら叫べど、エレリアが姿を現す気配は微塵もなかった。
「そんな……。リアちゃん……」
「くそっ、俺たちを見捨てるつもりかよ、エレリア!」
ソウヤは居場所を失った悔しさと怒りを拳に込め、地面にその手を力強く叩きつけた。
そして、その瞬間、しばらく沈黙を続けていた白い影たちがついにミサたちに牙を向いた。
目を真紅に染め、一斉にミサたちに襲いかかる。
「いやあああああああああああ!!!!」
命乞いをする暇もなく、ミサたちの意識はそこで途切れた。
ここで時は少し前にさかのぼる。
ミサたちが謎の白い影に囲まれている一方で、エレリアは村の墓地で自称コックル村長の妹ニーナという亡霊から、この村にまつわる真相を聞かされようとしていた。
「本当のこと……?」
「そう、カロポタス村で起きた真相、そして、誰も語ろうとしない……いや、誰にも語ることができない事件の真犯人。それを、アナタには嫌でも聞いてもらうわ。そのために、ここへアナタを呼んだんだから」
ニーナは神妙な表情でエレリアをじっと見据える。
「でも真相も何も、ニーナさんを殺したのはあなたの恋人フェイルメアじゃないの?」
「だ、か、ら、それは村の人がアナタに吹き込んだ嘘なの! もう、いいや! 単刀直入に言おう! 私を殺したのはカレじゃない!」
「えぇ!?」
ニーナの口から発せられた言葉の数々は、いつの日か村長から伝えられた事実とは反する衝撃的なものだった。
「第一、カレがワタシを殺すはずないでしょ?」
「確かに……、それは私も気になってたんだ……」
ニーナの問いかけに、エレリアも共感の意を込めて小さく首を縦に振った。村長からこの村の悲劇を聞かされている時点で、エレリアは彼の殺害動機についてずっと拭えない違和感を抱いていた。
やはり、フェイルメアは彼女を殺してなかったのだ。ここに来て初めて、エレリアの胸中に漂っていた疑惑が明白になった。
「カレはね、とっても強くて、カッコよくて、何より魔法のことなら何でも知ってたの。ワタシはカレのそんな博識な部分に惚れちゃって……」
すると、ニーナは頼んでもいないのに、自身の恋人まつわる自慢話を語り始めた。
「だって、カレってスゴイんだよ! ボーマ、サナプラ、シュルフ、ドルクの四大属性魔法はもちろんのこと、それ以外にも闇の魔法ミゼルアとか、光の魔法ミラレアとか……、とにかくワタシの知らなかった色んな魔法を自由自在に使うことができる人だったんたよ!」
「へ、へぇ……、そうなんだ……」
これを見よがしにまくし立てられる彼女の自慢話に、唯一の聞き手であるエレリアは苦笑いを浮かべるしか術はなかった。
「それに何より、カレはとっても優しかったの。ワタシが兄から結婚相手の候補の選択を強制的に迫られたときも、カレは親身になってワタシに……」
「えっ、ちょ、ちょっと待って。強制的に結婚相手の選択って、一体どういうこと?」
「あれれ? アナタ、ワタシの政略結婚のこと、何も知らないわけ?」
ニーナは目を丸くしてエレリアを見つめる。
そして、しばらく考え込んだ後、
「うーん、まぁ、しょうがない。時間がないから手短になるかもだけど、それについてもちゃんと話してあげるよ」
「あっ……、もし嫌なら無理して話してもらわなくても大丈夫なんだけど……」
「いや、いいって、いいって! まだ生きてるキミが死んだワタシに気遣いなんてしなくていいから!」
と、なんとも笑えない死者のジョークを口にした。
「このカロポタス村っていうのはね、見ての通り陸から切り離された孤島にある村でしょ? だから、ワタシのご先祖様の頃からずっと、この村は誰にも頼ることなく自給自足の生活を続けてきたみたいなの」
「自給自足、それって今のカロポタス村も同じだ……」
「だけど、ワタシの兄さんが村長の座を引き継いだ時、兄さんはこの村のやり方に不満を持ってたみたいなの」
「不満?」
ニーナの説明に、エレリアは首をかしげる。
「『ずっと島に閉じこもったままだと村は発展しない!』って、兄さんはどうやらその時、日に日に逼迫していくカロポタス村の財政に不安を感じていたみたいで。確かに、その時は村でも例年にない不漁続きで、ごはんが何だか味気なくなっていたのを、ワタシもおぼろげに覚えてる」
「不漁続き……、これも今のコックル村と同じじゃん……」
自給自足に不漁続きという言葉。これらはすべて、今エレリアたちが暮らしているコックル村の現状とまったく同じだ。
「この状況を脱しようと、兄さんはある一つの計画を企んだ……」
そして、ニーナがその発言をすべて言い終えるよりも前に、エレリアは自ずと彼女の伝えたかった真意を悟ることができた。
政略結婚。頭の中にこの言葉が浮かぶ。
「どうやらあの人は、ワタシをスカースレットの名高い商人と婚約させて、王国と村との関係をより強固のものにしようと企んでいたみたいなの」
「その時のニーナさんはどう思ってたの?」
「もちろん、嫌だったよ!」
ニーナが声を荒らげて返答する。
「ワタシにはフェイルメアという愛すべき相手がいたし、何より仮にカレがいなかったとしても、そんな本人の意思にそぐわない不純な結婚なんて、ワタシは認めない……!」
この件に関しては、エレリアも彼女に強く共感できた。いくら村のためと言えども、自分の人生が不本意に道具として利用されるなど決して認められるはずがない。
「だから、当然ワタシは兄さんに拒否の意を示したの。だけど、兄さんは兄さんで村長としての意地と責任があったみたいで。それで、ワタシと兄さんは最初で最後の大喧嘩をしちゃって……」
「それで、その後どうなったの……?」
すると、ニーナは嘲笑に似た小さな息を鼻から吹き出し、怪しげに口の端を歪めた。
「エレリアちゃん、キミは勘が鈍いのねぇ」
「えっ?」
彼女の発言の真意が掴めず、エレリアは困惑する。
勘が鈍いなんて、どうゆうことなのか。
「ワタシを殺した真犯人、それは……」
すると彼女の口から、ついに真実が語られた。
そして、その衝撃の事実を耳にしたと同時に、エレリアは驚きのあまり我を忘れて驚愕の意を叫び声にしてしまった。
「え……、ええっ!? う、嘘でしょ!?」
「残念だけど、これが真実なのよ」
ニーナは自らの発言を撤回することなく、黙って首を縦に振る。そして、彼女から一方的に突きつけられた真実に、エレリアはどうしていいか分からず、ただその場で立ち尽くすことしかその時はできなかった。
これまでフェイルメアが彼女を殺したのだと思いこんでいたが、それは虚偽だった。あの人物が彼女を殺した犯人だなんて。今でも、新事実を知ってしまった衝撃で、頭がクラクラしている。
「唯一ワタシの姿を見ることができるキミにだけは、このコトをどうしても知ってほしかった。そしてキミには、この呪われたワタシの運命にケリをつけてほしいの……!!」
ニーナは鋭くエレリアの瞳を見据えて、確固たる意思と共に語りかける。その目には、エレリアに対する強い信頼と底しれぬ深い悲しみの色を秘めているように見えた。
「そりゃ、もちろんタダでなんて言わないよ。キミが望むものなら何だって用意する! その気になれば、永遠の命だって……」
彼女は少し怪しげな微笑を漏らしつつ、しかし表情は真剣そのもので、エレリアの情に直接訴えかけてくるように見つめている。
だが、エレリアは彼女の提案に対して首を軽く横に振った。一瞬、ニーナの顔に不安の色が浮かぶ。
「確かに、永遠の命は魅力的かもだけど、今の私には必要ない」
エレリアはニーナに見返りなどいらないことを伝えた。そして、彼女の願いを胸に刻み、柔らかな笑顔と共にその決意を口にした。
「ニーナさん。あなたの思い、私が責任を持って村のみんなに伝えるよ。そして、みんなに私と同じように真実を知ってもらう。それで、いいんだよね?」
この発言に、一片の迷いなど無かった。
すべては彼女のため。悲しみの呪縛に囚われた彼女を救うため。そこに、何の見返りも自己利益も求めてはない。
すると、ニーナはエレリアの慈しみを受け取り、今にも慈しみ消え入りそうな声でこう告げた。
「アリガトウ……」
その瞬間、陽気な彼女の顔に、清楚な乙女の表情を垣間見ることができた。
そして、もしかしたらその姿こそが本当の彼女の姿なのではないかと、その時のエレリアは思った。こんな呪われた村の奥地で永い間、それも誰の目に触れられることなく、ただ独り彼女はエレリアが来るのを待ち続けていたのだ。その孤独は、大切な人愛の温もりを知ってしまったエレリアには想像もつかない。
だからこそ、彼女はその孤独と悲しみを紛らわすためにも、自身に偽りのヴェールを被せる必要があった。
だが、それも今日で終わらせる。
「あっそうだ、そうだ、最後にコレを持っていて。きっと、アナタの役に立つと思うから」
すると、ニーナはふと何かを思い出したように顔を上げ、エレリアを墓地の隅にまで連れて行った。
「これは……」
「見ての通り、ワタシのお墓よ。誰も手入れしてないから、もうボロッボロなんだけど」
ニーナが連れて来たのは、なんと彼女自身の墓石だった。
すでに彼女が言ったように、墓は完全に朽ち果て、もはや墓と形容してもよいのか分からないほど酷い有様だった。
これが、死者に対する弔いなのであろうか。
「まぁ、ワタシの骨は兄さんが持ってるから、この墓はただの飾りみたいなものね」
だが、当人であるニーナはそれほど気にしてはいないようだった。
「そこに小さな扉があるでしょ? そこを開けて見て」
「扉?」
ニーナからそう言われ、エレリアは目を凝らして探してみる。
だが扉と言われても、目の前にあるのはただの黒い瓦礫の山と化した墓の残骸だけ。扉らしきものは見当たらない。
「もう、しょうがないなぁ!」
すると、痺れを切らしたニーナは呆れたように息を漏らすと、何のためらいもなくエレリアの身体をすり抜けた。
「ひゃっ!?」
「あっ、ゴメン。驚かせちゃった?」
薄気味悪い冷たさが背筋を伝い、エレリアは思わず身震いしてしまった。幽霊にしか成せない所業なのだろうが、突然されるとびっくりするから止めてほしい。
すると、朽ち果てた石の小山の中からとある一箇所を彼女は指さした。
「ここだよ、ここ。ほらワタシは物には触れないからさ、アナタが開くのよ」
そう言って、ニーナはエレリアに扉を開けるよう命じてきた。
そして、言われるがままエレリアはその小さな扉を恐る恐る開いた。
「……ん? これは?」
中から恐ろしいものでも出てきたらどうしようかと身構えていたエレリアだったが、現れたのはなんと小さな欠片のようなものだった。よく見ると、何かの刃の破片のようにも見える。
「これが、ワタシを殺した凶器の一部」
「えっ……? なんで、そんなものが……」
「どうやら、誰かがこっそり墓に隠してくれておいたみたいで。ただ、ワタシにも誰の仕業なのかは分かんないんだけども……」
ニーナも分からないとすれば、一体誰の仕業なのか。わざわざ殺害時に使用された凶器の一部を被害者の墓に供えるなんて、よほどの世話好きな人物に違いないことは確かだ。
「でも、少しは役に立つでしょう?」
「うん、もちろん! ありがとう、ニーナ」
ニーナが渡してくれた最後の希望にエレリアが感謝の意を伝えようとした瞬間、事態は何の前触れもなくいきなり急変した。
そう、遠くの方から何者かの悲鳴が村に響き渡ったのだ。その声に、エレリアはすかさず顔を上げ、そして声の正体を瞬時に悟ったのだった。
「この声は、ミサとソウヤ!?」
ここに来るまで、エレリアは謎の白ずくめの集団に囲まれたミサたちを取り残してきた。どうか自分が戻るまで無事でいてと心の隅でずっと願っていたが、現実は非情だった。
「どうやら、もう時間切れみたい……」
ニーナも悔しそうに目を細めながらも、致し方なくエレリアとの別れを決心した。
「エレリア、ワタシのことはいいから、早く行きなさい!」
「ニーナ……」
彼女の切迫した叫び声に、騒ぎ立つ胸を抑え込むエレリア。
今すぐにでもミサたちのもとへ駆け出して救出したいのに、なぜか足を前へ動かす気持ちにならなかった。それは、この村の呪いでも何でもなく、単に今ここを離れてしまうと一生ニーナに会えないような気がしたからだ。
正体不明の未練に足を掴まれたように、エレリアはその場でうろたえていた。
「ちょっと何してるの、早く! キミには死者のワタシより、救うべき人たちがいるでしょ!」
しかし、ニーナの鋭い言葉がエレリアの見えない足枷を切り裂いた。
今、自分が助けるべき相手はミサとソウヤだ。なら、向かうべき場所はただ一つ。
「……分かった!」
エレリアは強く覚悟を決めると、次は躊躇うことなく一歩を踏み出した。
そして、後ろを振り返ってニーナに最後の言葉を告げた。
「絶対に犯人を見つけて、あなたを救ってみせるから!!」
エレリアの高らかな宣言にニーナは何も言わず、その代わりに力強くうなずいてくれた。その笑顔には、安堵と感謝の意が込められているようにも見えた。
不思議な声に誘われるがままエレリアは彼女に出会ったわけだが、この村に足を踏み入れるまで、すべては必然だったのかもしれない。いや、もしかすると偶然を装って彼女が引き寄せたのだろう。
彼女をこの悲しき呪縛から解放できるのは自分だけ。
エレリアはそんな決意を胸にまずはミサたちを救出するため、ニーナに背を向けて、暗闇の奥へ消えて行った。
ソウヤの振り下ろした剣の刃が白い影の肉を切り裂こうとした次の瞬間、彼の目前で信じられない現象が現実となって現れた。
「な、何ぃ!?」
「えっ!?」
耳をつんざくほどの甲高い衝撃音と共に白い影の前に姿を表したのは、まるで透明な盾のようにも見える光の壁だった。
ソウヤが繰り出した渾身の一撃はその光の壁に軽々と阻まれ、すんでの所で剣の刃は相手に損傷を負わせることができないまま弾き返されてしまった。
さらにその衝撃でソウヤはバランスを失い、そのまま呆気なく後方へ吹き飛ばされてしまう。
「ソウ君! しっかりして!!」
「お、おい、おまえら……。 バリア使うとか反則だろ……!」
痺れる右手を押さえたソウヤが悔しそうに強く奥歯を噛みしめる傍ら、白い影はやはり何事も無かったかのように沈黙の表情のままだった。光の壁もいつのまにかその姿を消していた。
「ねぇ、どうしよう!! このままじゃ……」
「そんなこと、俺に聞くなよ!!」
最後の切り札でもあったソウヤの聖剣がことごとくはね返され、ミサは今にも泣き出しそうほどパニックになっていた。
攻撃用のポーションもすべて使い果たしてしまい、まさに絶体絶命の状況だった。仮に何か武器が残されていたとしても、奴らのバリアが存在する限りこちらに勝機はない。
「あぁ、ゲームとか漫画だったらこういう時、かわいいヒロインとかが助太刀しに来てくれたりするもんなんだけどなぁ……。てか、エレリア!! どこに行ったんだよ! 早く助けてくれ!!」
「そうだよ! リアちゃん!! お願い、助けて!!」
ミサとソウヤは一筋の望みを胸に、エレリアの名を必死に叫んだ。夜空に二人の声がこだまする。
だが、いくら叫べど、エレリアが姿を現す気配は微塵もなかった。
「そんな……。リアちゃん……」
「くそっ、俺たちを見捨てるつもりかよ、エレリア!」
ソウヤは居場所を失った悔しさと怒りを拳に込め、地面にその手を力強く叩きつけた。
そして、その瞬間、しばらく沈黙を続けていた白い影たちがついにミサたちに牙を向いた。
目を真紅に染め、一斉にミサたちに襲いかかる。
「いやあああああああああああ!!!!」
命乞いをする暇もなく、ミサたちの意識はそこで途切れた。
ここで時は少し前にさかのぼる。
ミサたちが謎の白い影に囲まれている一方で、エレリアは村の墓地で自称コックル村長の妹ニーナという亡霊から、この村にまつわる真相を聞かされようとしていた。
「本当のこと……?」
「そう、カロポタス村で起きた真相、そして、誰も語ろうとしない……いや、誰にも語ることができない事件の真犯人。それを、アナタには嫌でも聞いてもらうわ。そのために、ここへアナタを呼んだんだから」
ニーナは神妙な表情でエレリアをじっと見据える。
「でも真相も何も、ニーナさんを殺したのはあなたの恋人フェイルメアじゃないの?」
「だ、か、ら、それは村の人がアナタに吹き込んだ嘘なの! もう、いいや! 単刀直入に言おう! 私を殺したのはカレじゃない!」
「えぇ!?」
ニーナの口から発せられた言葉の数々は、いつの日か村長から伝えられた事実とは反する衝撃的なものだった。
「第一、カレがワタシを殺すはずないでしょ?」
「確かに……、それは私も気になってたんだ……」
ニーナの問いかけに、エレリアも共感の意を込めて小さく首を縦に振った。村長からこの村の悲劇を聞かされている時点で、エレリアは彼の殺害動機についてずっと拭えない違和感を抱いていた。
やはり、フェイルメアは彼女を殺してなかったのだ。ここに来て初めて、エレリアの胸中に漂っていた疑惑が明白になった。
「カレはね、とっても強くて、カッコよくて、何より魔法のことなら何でも知ってたの。ワタシはカレのそんな博識な部分に惚れちゃって……」
すると、ニーナは頼んでもいないのに、自身の恋人まつわる自慢話を語り始めた。
「だって、カレってスゴイんだよ! ボーマ、サナプラ、シュルフ、ドルクの四大属性魔法はもちろんのこと、それ以外にも闇の魔法ミゼルアとか、光の魔法ミラレアとか……、とにかくワタシの知らなかった色んな魔法を自由自在に使うことができる人だったんたよ!」
「へ、へぇ……、そうなんだ……」
これを見よがしにまくし立てられる彼女の自慢話に、唯一の聞き手であるエレリアは苦笑いを浮かべるしか術はなかった。
「それに何より、カレはとっても優しかったの。ワタシが兄から結婚相手の候補の選択を強制的に迫られたときも、カレは親身になってワタシに……」
「えっ、ちょ、ちょっと待って。強制的に結婚相手の選択って、一体どういうこと?」
「あれれ? アナタ、ワタシの政略結婚のこと、何も知らないわけ?」
ニーナは目を丸くしてエレリアを見つめる。
そして、しばらく考え込んだ後、
「うーん、まぁ、しょうがない。時間がないから手短になるかもだけど、それについてもちゃんと話してあげるよ」
「あっ……、もし嫌なら無理して話してもらわなくても大丈夫なんだけど……」
「いや、いいって、いいって! まだ生きてるキミが死んだワタシに気遣いなんてしなくていいから!」
と、なんとも笑えない死者のジョークを口にした。
「このカロポタス村っていうのはね、見ての通り陸から切り離された孤島にある村でしょ? だから、ワタシのご先祖様の頃からずっと、この村は誰にも頼ることなく自給自足の生活を続けてきたみたいなの」
「自給自足、それって今のカロポタス村も同じだ……」
「だけど、ワタシの兄さんが村長の座を引き継いだ時、兄さんはこの村のやり方に不満を持ってたみたいなの」
「不満?」
ニーナの説明に、エレリアは首をかしげる。
「『ずっと島に閉じこもったままだと村は発展しない!』って、兄さんはどうやらその時、日に日に逼迫していくカロポタス村の財政に不安を感じていたみたいで。確かに、その時は村でも例年にない不漁続きで、ごはんが何だか味気なくなっていたのを、ワタシもおぼろげに覚えてる」
「不漁続き……、これも今のコックル村と同じじゃん……」
自給自足に不漁続きという言葉。これらはすべて、今エレリアたちが暮らしているコックル村の現状とまったく同じだ。
「この状況を脱しようと、兄さんはある一つの計画を企んだ……」
そして、ニーナがその発言をすべて言い終えるよりも前に、エレリアは自ずと彼女の伝えたかった真意を悟ることができた。
政略結婚。頭の中にこの言葉が浮かぶ。
「どうやらあの人は、ワタシをスカースレットの名高い商人と婚約させて、王国と村との関係をより強固のものにしようと企んでいたみたいなの」
「その時のニーナさんはどう思ってたの?」
「もちろん、嫌だったよ!」
ニーナが声を荒らげて返答する。
「ワタシにはフェイルメアという愛すべき相手がいたし、何より仮にカレがいなかったとしても、そんな本人の意思にそぐわない不純な結婚なんて、ワタシは認めない……!」
この件に関しては、エレリアも彼女に強く共感できた。いくら村のためと言えども、自分の人生が不本意に道具として利用されるなど決して認められるはずがない。
「だから、当然ワタシは兄さんに拒否の意を示したの。だけど、兄さんは兄さんで村長としての意地と責任があったみたいで。それで、ワタシと兄さんは最初で最後の大喧嘩をしちゃって……」
「それで、その後どうなったの……?」
すると、ニーナは嘲笑に似た小さな息を鼻から吹き出し、怪しげに口の端を歪めた。
「エレリアちゃん、キミは勘が鈍いのねぇ」
「えっ?」
彼女の発言の真意が掴めず、エレリアは困惑する。
勘が鈍いなんて、どうゆうことなのか。
「ワタシを殺した真犯人、それは……」
すると彼女の口から、ついに真実が語られた。
そして、その衝撃の事実を耳にしたと同時に、エレリアは驚きのあまり我を忘れて驚愕の意を叫び声にしてしまった。
「え……、ええっ!? う、嘘でしょ!?」
「残念だけど、これが真実なのよ」
ニーナは自らの発言を撤回することなく、黙って首を縦に振る。そして、彼女から一方的に突きつけられた真実に、エレリアはどうしていいか分からず、ただその場で立ち尽くすことしかその時はできなかった。
これまでフェイルメアが彼女を殺したのだと思いこんでいたが、それは虚偽だった。あの人物が彼女を殺した犯人だなんて。今でも、新事実を知ってしまった衝撃で、頭がクラクラしている。
「唯一ワタシの姿を見ることができるキミにだけは、このコトをどうしても知ってほしかった。そしてキミには、この呪われたワタシの運命にケリをつけてほしいの……!!」
ニーナは鋭くエレリアの瞳を見据えて、確固たる意思と共に語りかける。その目には、エレリアに対する強い信頼と底しれぬ深い悲しみの色を秘めているように見えた。
「そりゃ、もちろんタダでなんて言わないよ。キミが望むものなら何だって用意する! その気になれば、永遠の命だって……」
彼女は少し怪しげな微笑を漏らしつつ、しかし表情は真剣そのもので、エレリアの情に直接訴えかけてくるように見つめている。
だが、エレリアは彼女の提案に対して首を軽く横に振った。一瞬、ニーナの顔に不安の色が浮かぶ。
「確かに、永遠の命は魅力的かもだけど、今の私には必要ない」
エレリアはニーナに見返りなどいらないことを伝えた。そして、彼女の願いを胸に刻み、柔らかな笑顔と共にその決意を口にした。
「ニーナさん。あなたの思い、私が責任を持って村のみんなに伝えるよ。そして、みんなに私と同じように真実を知ってもらう。それで、いいんだよね?」
この発言に、一片の迷いなど無かった。
すべては彼女のため。悲しみの呪縛に囚われた彼女を救うため。そこに、何の見返りも自己利益も求めてはない。
すると、ニーナはエレリアの慈しみを受け取り、今にも慈しみ消え入りそうな声でこう告げた。
「アリガトウ……」
その瞬間、陽気な彼女の顔に、清楚な乙女の表情を垣間見ることができた。
そして、もしかしたらその姿こそが本当の彼女の姿なのではないかと、その時のエレリアは思った。こんな呪われた村の奥地で永い間、それも誰の目に触れられることなく、ただ独り彼女はエレリアが来るのを待ち続けていたのだ。その孤独は、大切な人愛の温もりを知ってしまったエレリアには想像もつかない。
だからこそ、彼女はその孤独と悲しみを紛らわすためにも、自身に偽りのヴェールを被せる必要があった。
だが、それも今日で終わらせる。
「あっそうだ、そうだ、最後にコレを持っていて。きっと、アナタの役に立つと思うから」
すると、ニーナはふと何かを思い出したように顔を上げ、エレリアを墓地の隅にまで連れて行った。
「これは……」
「見ての通り、ワタシのお墓よ。誰も手入れしてないから、もうボロッボロなんだけど」
ニーナが連れて来たのは、なんと彼女自身の墓石だった。
すでに彼女が言ったように、墓は完全に朽ち果て、もはや墓と形容してもよいのか分からないほど酷い有様だった。
これが、死者に対する弔いなのであろうか。
「まぁ、ワタシの骨は兄さんが持ってるから、この墓はただの飾りみたいなものね」
だが、当人であるニーナはそれほど気にしてはいないようだった。
「そこに小さな扉があるでしょ? そこを開けて見て」
「扉?」
ニーナからそう言われ、エレリアは目を凝らして探してみる。
だが扉と言われても、目の前にあるのはただの黒い瓦礫の山と化した墓の残骸だけ。扉らしきものは見当たらない。
「もう、しょうがないなぁ!」
すると、痺れを切らしたニーナは呆れたように息を漏らすと、何のためらいもなくエレリアの身体をすり抜けた。
「ひゃっ!?」
「あっ、ゴメン。驚かせちゃった?」
薄気味悪い冷たさが背筋を伝い、エレリアは思わず身震いしてしまった。幽霊にしか成せない所業なのだろうが、突然されるとびっくりするから止めてほしい。
すると、朽ち果てた石の小山の中からとある一箇所を彼女は指さした。
「ここだよ、ここ。ほらワタシは物には触れないからさ、アナタが開くのよ」
そう言って、ニーナはエレリアに扉を開けるよう命じてきた。
そして、言われるがままエレリアはその小さな扉を恐る恐る開いた。
「……ん? これは?」
中から恐ろしいものでも出てきたらどうしようかと身構えていたエレリアだったが、現れたのはなんと小さな欠片のようなものだった。よく見ると、何かの刃の破片のようにも見える。
「これが、ワタシを殺した凶器の一部」
「えっ……? なんで、そんなものが……」
「どうやら、誰かがこっそり墓に隠してくれておいたみたいで。ただ、ワタシにも誰の仕業なのかは分かんないんだけども……」
ニーナも分からないとすれば、一体誰の仕業なのか。わざわざ殺害時に使用された凶器の一部を被害者の墓に供えるなんて、よほどの世話好きな人物に違いないことは確かだ。
「でも、少しは役に立つでしょう?」
「うん、もちろん! ありがとう、ニーナ」
ニーナが渡してくれた最後の希望にエレリアが感謝の意を伝えようとした瞬間、事態は何の前触れもなくいきなり急変した。
そう、遠くの方から何者かの悲鳴が村に響き渡ったのだ。その声に、エレリアはすかさず顔を上げ、そして声の正体を瞬時に悟ったのだった。
「この声は、ミサとソウヤ!?」
ここに来るまで、エレリアは謎の白ずくめの集団に囲まれたミサたちを取り残してきた。どうか自分が戻るまで無事でいてと心の隅でずっと願っていたが、現実は非情だった。
「どうやら、もう時間切れみたい……」
ニーナも悔しそうに目を細めながらも、致し方なくエレリアとの別れを決心した。
「エレリア、ワタシのことはいいから、早く行きなさい!」
「ニーナ……」
彼女の切迫した叫び声に、騒ぎ立つ胸を抑え込むエレリア。
今すぐにでもミサたちのもとへ駆け出して救出したいのに、なぜか足を前へ動かす気持ちにならなかった。それは、この村の呪いでも何でもなく、単に今ここを離れてしまうと一生ニーナに会えないような気がしたからだ。
正体不明の未練に足を掴まれたように、エレリアはその場でうろたえていた。
「ちょっと何してるの、早く! キミには死者のワタシより、救うべき人たちがいるでしょ!」
しかし、ニーナの鋭い言葉がエレリアの見えない足枷を切り裂いた。
今、自分が助けるべき相手はミサとソウヤだ。なら、向かうべき場所はただ一つ。
「……分かった!」
エレリアは強く覚悟を決めると、次は躊躇うことなく一歩を踏み出した。
そして、後ろを振り返ってニーナに最後の言葉を告げた。
「絶対に犯人を見つけて、あなたを救ってみせるから!!」
エレリアの高らかな宣言にニーナは何も言わず、その代わりに力強くうなずいてくれた。その笑顔には、安堵と感謝の意が込められているようにも見えた。
不思議な声に誘われるがままエレリアは彼女に出会ったわけだが、この村に足を踏み入れるまで、すべては必然だったのかもしれない。いや、もしかすると偶然を装って彼女が引き寄せたのだろう。
彼女をこの悲しき呪縛から解放できるのは自分だけ。
エレリアはそんな決意を胸にまずはミサたちを救出するため、ニーナに背を向けて、暗闇の奥へ消えて行った。
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