二卵性の双子。恋に落ちました。

第一章 まさかの同居

第1裏話 再会

　新居へとやってきた。大学進学で、お兄ちゃんと離れ離れになることは予想できていたけどやっぱり寂しい。

　最寄りの駅から10分ほど歩く。そろそろ、僕の新居が見えてくる頃だろう。

　築12年で1LDKのアパート。周りには商店街や映画館なども充実。それで家賃が5万円と言う曰く付きの物件だ。

　僕がお兄ちゃんと違って事故物件とか幽霊とかが苦手なことを両親は知っているので、しっかり調べてくれたのを僕は知っている。

　でも、この情報を与えられると、とても怖くなってしまう。

　見えてきた。やっぱり5万で借りられる物件とは思えない。

しかし、やけに業者のトラックの数が多い気がする。箱根の家に集まった台数くらい集まっている。

鍵は預けてあるので、もう動きは始まっている。

「東希さん！東希清さん！」

お兄ちゃんの名前だ。何故お兄ちゃんの名前が出てくるのだ。

「東希清さん。こちら、お運びした荷物になります。」

渡された名簿を見て僕は驚いた。

そこには、僕の分はともかく、お兄ちゃんの分の荷物もここに届いているのだ。

僕は慌てて母に電話をかけた。

「もしもしお母さん!」

「はいはい、鈴どうかした？」

母は事の重大さも考えずに呑気な返事をしてきた。

「僕の家に、お兄ちゃんの荷物まで届いてるんだけど…」

少し、緊張感を持って聞いてみるが、母のトーンは全く変わらない。

「そうねぇ。だってそう頼んだもの。」

なんだよ。こいつは悪魔なのか？僕はその息子なのか？

「どういうこと？」

このとき、僕の頭は真っ白になっている。