a pair of fate

みか

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【第一部】

失踪事件 side 黒川 廉

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ギャーギャーうるせぇ理央を連れて、イルカショーを見る為に最前列のベンチに座る。
こんなん絶対濡れるだろ、さすがにもう少し後ろに行こうと理央に言うが、断固として動かず内心溜息をついた。

これが華だったら、俺は可愛いワガママだなとニヤニヤしながら付き合うんだろう。
でも今俺の隣に居るのは華じゃない。
一人でじっとクリオネを見ているであろう姿を想像して胸が痛む。

イルカショーはまだ始まらない。


「ねぇ廉!聞いてる?」

「あ?あー。うん、花火な。ハイハイ。」

「絶対だからね?!約束だよ!!」


スマホ片手に理央の問いかけに返事をすると、ちょうど凛堂から数件Limeが送られてにてすぐに開く。

──華だ。

3枚の画像とひとつの動画だった。
まず3枚の画像。クリオネの水槽に張り付いてそれを観察している華の姿。

もちろんどれもカメラ目線ではなく所謂いわゆる
、隠し撮りというやつだ。

最後に数秒の短い動画。
やっぱりクリオネを見ている華が不意にふにゃっと笑う。
それだけの短い短い動画。

クリオネを見て笑う。たったそれだけの動画なのにどうしてこうも心が満たされるのだろうか。

それより、こんなに近い距離で堂々と隠し撮りされて何で気付かないんだろう。

戻ったらお説教だな、とニヤニヤしているとイルカショーが始まるアナウンスがかかる。


「──わぁ!冷たい!!」

「チッ」

「あっ…ごめんなさい…俺がこんなに前で見たいって言ったから、」

「…別に」


イルカの大ジャンプと共に飛んできた水飛沫が見事俺と理央をヒットし、思わず舌打ちすると理央は顔を青くして俺に謝ってくる。
理央に怒ったんじゃなくて水が掛かったのにイラついたんだけどな…と思うがそれを説明するのも面倒臭い。


「…ふぅ」


バレないように静かに息を吐き出す。


理央は俺に依存している。

理央が初めて出会った『優しい人』が俺だから。
理央は俺の事を王子様だとか一番優しいだとか言っているがそんな事はない。
ただの刷り込みだ。

理央はよくおとぎ話の様に話す。
『廉があの日おれを選んでくれたんだよ!』と。
冷たいようで悪いが正直10年くらい前の事なんか全く憶えていない。
親父が『お前が選んだ子なんだから面倒みろ』って言ったから。ただそれだけ。

10年ほど『俺が選んだ』より『面倒みろ』の方がしか意識していなかった。
親父である前に組織のボスだから。

普通、逆じゃないかと思われそうだが俺の場合は違った。
上司の命令を守るのは当たり前だろ。





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